島根富士通、小中学生向けのPC組み立て教室を開催

組み立て教室が行なわれた島根富士通工場

8月8日 実施
参加費:9万円



 島根富士通は8日、小学5年~中学3年向けのPC組み立て教室を、島根県簸川郡にある本社工場で開催した。今回の開催は4回目となり、30組の親子が参加した。参加費は9万円だった。

 参加者の内訳は、男子が17人、女子が13人。地域別では島根県内が20組、県外が10組で、遠いところでは東京からも来ている。今回のイベント告知はWebへの掲載のほか、地域の協力を得て、学校へのプリント配布なども行なったという。

 今回組み立てるPCは、15.6型ワイド液晶を搭載したノート「BIBLO NF/D70」相当品。主な仕様は、Core 2 Duo P8700(2.53GHz)、メモリ4GB、HDD 500GB、Intel GM45 Expressチップセット(ビデオ機能内蔵)、DVDスーパーマルチドライブ、1,366×768ドット表示対応15.6型ワイド液晶、OSに Windows Vista Home Premium、Office Personal 2007などとなっている。

 なお、申し込み時に、天板のカラーを4色の中から選べ、アーバンホワイトが9台、エボニーブラックが8台、プルシャンブルーが7台、ルビーレッドが6台選ばれた。

PC教室に集まった子供たち組み立てるPCのスペック宇佐美隆一社長

 組み立て教室の冒頭で、島根富士通 代表取締役社長の宇佐美隆一氏が挨拶。同氏は子供たちに対し、「“ものづくり”というものは、インターネットを調べたり本を読んだりしてして知識だけを得ても、身につかないものである。今回の組み立て教室の中で、実際にPCを組み立てていく過程で、挫折や成功する喜びを味わったり、工場見学をして、PCがどのようにして組み立てられるかを観てもらうことで、ものづくりに対しての興味を持ってもらいたい」と訴えかけた。

●組み立て手順

 組み立て前に、本体や基板に傷をつけないために時計や指輪などのアクセサリの取り外し、静電気によるパーツ破損を防止するためのアースバンドの着用、およびエプロンの着用が指示された。

 組み立ての部品数は18点、ネジの種類は6種類で、合計42本。貼り付けが難しいタッチパッドや、コア欠け破損する可能性のあるヒートシンク、コードの引き回しが難しいスピーカー、組み立てが複雑な液晶パネル、EMIシールドなどは、あらかじめスタッフが装着して、パーツを準備した。

注意事項アースバンドの装着ネジは必ずいったんネジ箱に出す
用意された組み立てセットパーツは番号順に並べられている。トレーは特注品マザーボードや筐体などを収納したボックス

 以下、組み立ての手順を追って写真で紹介する。

マザーボードを取り出す。ヒートシンクとメモリは装着済みとなっているファンの取り付けファンのコネクタは忘れずにつける。自作においても基本だ
マザーボードを下のエンクロージャに装着するエンクロージャへマザーボードをネジ止めする装着後の筐体
インジケータ部分のフラットケーブルの装着DVDスーパーマルチドライブを装着する次はエンクロージャの上の部分に、タッチパッドの左右クリックと指紋センサーユニットを取り付ける
指紋センサーのフラットケーブルをシールで固定する上と下エンクロージャを合体させると、ベース部分が見えてきたエンクロージャをネジ止めする
指紋センサーのフラットケーブルの取り付けスピーカーのラインの取り付け後半は液晶パネルの取り付けから始まる。ヒンジのネジ止めは6カ所
無線LANのアンテナを取り付ける液晶のコネクタを取り付けるキーボードのフラットケーブルの装着
キーボードの取り付けキーボード上部のカバーを取り付けるカバーを隠す枠を装着する
液晶のヒンジにネジを留める。そしてネジ隠しを装着するHDDを裏返してベイに装着するベイを取り付けてネジ止めしたらカバーをかぶせる
メモリスロットカバーのネジ止め、背面のネジ止めを行なう。ネジは全部で11カ所あり、親子揃って2人がかりで取り掛かるバッテリを装着すればもうすぐ完成だシールを貼り付けて完成
完成したノートPC組み立てが終わって、一斉に電源が点くと、拍手喝采となった自分の顔写真をレーザー印刷したマウスもプレゼントされた

 液晶を取り付ける前でいったん10分の休憩を挟んで、組み立てが約100分で終了した。その後、カウントダウンとともに一斉に電源を入れ、30組全員のPCが無事起動すると、会場は拍手喝采となった。

 司会はここで、「組み立てたPCには富士通最新の技術を投入されており、皆さんにちょっとしたサプライズがあるので、見られたら再度拍手してもらいたい」と話す。しばらくしてWindows Vistaが立ち上がり、子供たちが組み立て教室開始前にフロントで撮った写真が壁紙として表示されると、会場は笑いの渦に巻き込まれた。

 このほかのサプライズとして、自分の写真がレーザー刻印されたマウスも用意され、子供たちは満足げな様子だった。

●工場見学

 組み立て後、工場見学と記念撮影が行なわれた。工場見学では、島根富士通が、ノートPCの基板製造から組み立て工程までを紹介し、国内完全生産の品質の高さをアピールした。

 以下、工場内部の写真をキャプションとともに紹介する。写真の一部は前日入り取材をしたときに撮影したものである。

島根富士通は緑に囲まれた環境下にある
基板生産ライン。A~Fまで6ラインあり、基板の表裏両面実装のために「1」と「2」に分かれているパーツを実装する機械パーツはカートリッジ式になっており、自動的にアームに順番に補給される
半田クリームは温度湿度にデリケートなため、このように自販機で販売する方式を取っているパーツを実装する機械は2種類あり、1種類は基板側が動いてアームが単純回転して装着するタイプ、もう1種類はアームがフレキシブルに動作するタイプ。後者のほうが装着精度が高い基板のテスト装置。装着すると自動的にコネクタが挿入され、基板レベルでの動作検証を行なう
最近取り入れた「アンダーフィル」の工程。チップセットなどのBGA部品は、衝撃ではんだボールに傷が入りやすいので、接着剤で強化する2階は組立工場になっているパーツ倉庫
組み立てのライン。ラインは常にベルトコンベアで流れている1人ずつ決められたゾーンでしか作業できない。もしギリギリのラインになるとボタンで「お助け」を呼んで、駆けつけの合計2人で作業する2人がかりでも生産が間に合わなければライン全体が止まってしまう。時間と停止回数は常に“見える化”されており、このようにきめ細かい生産体制が敷かれている
机の横にある緑と青のテープに注目。緑が新たに設けられた「追い込みゾーン」で、時間に余裕があるときはこのゾーンに立ち入って作業できるそれぞれのラインの停止時間は集計される。もちろん停止時間が長過ぎると製造側にプレッシャーをかけることになるが、停止時間が短いということはそれだけラインに余裕があり、ベルトコンベアを少し高速に流しても良いと捕えられ、後日ラインが高速化されてしまったりするネジは複数の種類があるが、本数が管理されており、機種のバーコードを読むと、規定した本数分だけネジのシャッターが開き、ネジが取れるようになっている。足りないと警告音が鳴る仕組み
こちらはラベル貼り付けの部分。こちらもバーコードで取るシールをランプで表示し、間違えたシールを取ると警告音が鳴る。シールは自動的剥離されるシールの向きが正しいかチェックする機械。これは富士通お手製のもの。シールがわずかに斜めになっていたりすると、ユーザーからクレームが来たりすることがあるので、このように厳しいチェックが行なわれる製造が終わると簡易試験にかけられ、ストレステストを行なう
試験が終わると丸がつけられ、梱包作業に入るマニュアルなどを同梱する。間違いのないよう、重量チェックも行なわれる製品が出荷されるところ

 その後、ホームページAzbyClubの紹介や、タイピングコンテストなども行なわれた。タイピングコンテストでは、福島工場の組み立て教室での最高記録を超える子供が現れ、富士通社員から拍手が送られた。

タイピングコンテストの様子AzbyClubのホームページでは既に組み立て教室の速報があがっていた

(2009年 8月 10日)

[Reported by 劉 尭]