株式会社ヤマダ電機は、2009年4月から実施してきたMacintosh講座をより拡充する。同社では約5年前からパソコン教室事業に取り組み、PCの使い方やインターネットの利用方法を紹介するものやMicrosoft Office、弥生シリーズなどアプリケーションの利用方法などを学習するパソコン教室を開催している。
株式会社ヤマダ電機IT事業本部セミナー開発室の小暮功室長 |
パソコン教室事業を担当するヤマダ電機IT事業本部セミナー開発室の小暮功室長は、「現在、教室があるのは直営店で全国約100店、一部のフランチャイズ店でも設けている。店舗にパソコン教室を設けているので、専門の教室に比べ、参加しやすいのが特徴。ヤマダ電機で取得したポイントをパソコン教室に利用できるので、ポイントの活用方法としてもパソコン教室を注目するお客様が多い」と説明する。
PC販売店が実施するパソコン教室は、大型PC販売店が急増した'90年代に増加したものの、収益などの問題から一部販売店が限られた店舗で実施するに留まっている。ヤマダ電機としては、パソコン教室を行なうことで製品販売後のアフターフォローを行なう狙いもあるが、「あくまでも、パソコン教室は収益を取得する事業として、黒字化することが基本」だとしている。各講座90分で、税込み3,150円の受講料が基本。月間3,000人が受講している。
教室の特徴となっているのが学習スタイルだ。パソコン教室は、学校と同様に教師が教壇に立って複数の生徒が学ぶスタイルが多いが、ヤマダ電機のパソコン教室はDVDを使って受講者が自習する方式のものと、遠隔地にいる講師と受講生をインターネットで結ぶ「ライブネット講座」であることが特徴となっている。
「東京・秋葉原や、大阪・日本橋に近い地域に住んでいる人であれば、近隣に複数のパソコン教室があるが、郊外や地方に住んでいる人は自分が行きたい教室が近くにないので困っているという声がある。当社は郊外にも店舗を持っているので、自分の居住地に近い場所に行けば、インターネットを介して優秀な講師の講座を受講できる」(小暮室長)
提供する教材については、全てヤマダ電機用にオリジナルなものを用意。DVD講座はPCの使い方といった反復練習が必要な基本的な内容とするなど、受講者のレベルに合わせてDVD、ライブネットを使い分けている。講座の内容もメーカーと関係の深いヤマダ電機の特色を生かし、発売前の製品の情報や発売直後の製品の講座を開設している。
「例えば、ホームページビルダーの新バージョン発売直後に講座を開設した実績がある。通常のパソコン教室は、新バージョン用教材を発売直後に用意するのは難しい。当社の場合、メーカーとのパイプが強いので、発売直後に新バージョン用教材を用意できる環境にある。現在、提供を予定しているのがWindows 7講座。発売前から特徴的な機能などを紹介する講座を実施する予定としている」(小暮室長)という。
メーカーがパソコン教室に協力的な背景として、教室での講習がある製品は店頭の売れ行きが伸びているという実績があるため。パソコン教室が購入後のユーザーサポートとしても機能している。Macintoshを初めとしたアップル製品の講座を2008年4月に開始したのも、「ヤマダ電機でのアップル製品の売り上げが好調のため」だという。
「正確な数字は明らかに出来ないが、当社のMacintoshの売れ行きはかなり好調となっている。以前は、Macはデザイナーなど専門家のもので、日常利用するマシンという意識がなかったようだが、最近になってそれが変わってきた。売り場の拡充、専門販売員の育成などがその要因で、パソコン教室の必要性も売れ行きに比例して実施するべきとの声があがった」(小暮室長)2009年4月からニーズ調査の狙いからMacintoshの無料講座を開始。利用者の声を反映した講座内容が完成した。
教材を作成したヤマダパソコン教室の柿岡歩氏によれば、「ヤマダ電機のパソコン教室にいらっしゃるお客様は、比較的高齢の方が多い。しかし、Macintoshに限っては若い女性など通常の客層とは異なる受講者の方が多く、講座の1センテンスをどの程度の時間にするべきかといったボリューム的な部分を決めることが、Windowsとは違い苦労が多かった」という。
現在開設しているMacintosh講座は、「一からはじめるMac」と、「Macで写真を最大限に楽しもう! ~iPhoto編~」の2コース。受講者の反響を見て、今後のコース拡大も検討している。
ヤマダ電機LABI品川大井町店 | ヤマダ電機LABI品川大井町店のBTO Macintosh売り場 | ヤマダパソコン教室の柿岡歩氏 |
(2009年 7月 31日)
[Reported by 三浦 優子]