5月20日 開催
本稿では、5月20日にマイクロソフト株式会社が開催した、Windows 7 RCの説明会におけるコンシューマ向け機能について紹介する。Windows 7で追加された主なコンシューマ向け機能としては、「ホームネットワーキング」、「デジタルTV」、「Windows Touch」の3つがある。
各種ネットワークへの接続は1画面で完結する |
まず、ホームネットワーキングを見てみよう。Vistaでは、無線LANなど各種ネットワークに接続するとき、通知領域のネットワークアイコンから、「接続または切断」を選び、プロパティ画面でパスワードを入力してと、いくつかの画面を遷移する必要があったが、7では、ネットワークアイコンをクリックして表示される画面内でこれらを完結できる。また、「Windows Connect Now」により、WPSに対応した無線LANルーターに関する設定を簡略化できる。
ホームネットワーキングの目玉機能は「ホームグループ」と呼ばれる新しいネットワーク機能。これは、すでにホームグループを使用しているPCが家庭内にある場合、ホームグループの設定画面で「今すぐ参加」ボタンを押し、共有するコンテンツなどの種類を選び、ホームグループのパスワードを入れるだけで利用可能になる。ホームグループを使うと、Windowsエクスプローラーに登録されるので、ネットワークを意識することなく、目的のファイルを検索したり、表示、再生することができる。
ちなみに、Professionalエディションの場合、職場ではドメインに参加し、家庭ではホームグループに参加することができる。この場合、ドメイン参加PCからホームグループ共有ファイルにはアクセスできるが、その逆はできないようになっている。
ネットワークの種類に「ホームグループ」が追加された | すでにホームグループがある場合、参加ボタンを押して | 共有するファイルの種類を選び |
パスワードを入力すると | 共有ファイルをWindowsエクスプローラーからローカルファイルのように扱えるようになる |
デジタルTVというのは、Windows 7がOSの基本機能として日本の地上デジタルTVやCS/BSにネイティブ対応したことを意味する。ダビング10やHDMI、S/PDIFによるデジタル出力も標準対応となっている。ただし、その提供形態はまだ決定していないので、実際にどのように利用できるのかはもう少し情報を待つ必要がある。
メディアファイルについては、新たに3GPP、AAC、AVCHD、MPEG-4、HDVに対応。Windowsエクスプローラーではこれらのサムネールが表示されるようになり、そのままWindows Media Playerで再生できる。
また、7はDLNA 1.5に準拠したサーバー/クライアント機能を持つ。これを利用し、メディアファイルを右クリックして「リモート再生」を選ぶと、ネットワーク内のDLNAクライアントが表示され、それを選ぶと、ストリーミング送信される。例えばDLNA 1.5に対応したオーディオシステムがある場合、PCのスピーカーではなくそれらから高品位な音楽を楽しむといった使い方が想定されている。なお、DTCP-IPへの対応は見送られたが、パートナーとの協業を通じて、プラグインのような形で実装する予定はあるという。
これとは別に、インターネット経由で自宅のWindows 7 PCにアクセスして、メディアをストリーミング再生する「リモートメディアストリーミング」機能もある。Windows Media Playerで、Windows Live IDなどのオンラインIDをメディアファイルにひも付けするだけで利用できる。ネット回線の速度が遅い場合は、解像度や品質などを自動的に絞る調整機能もある。
OSの標準機能として地デジにも対応 | 3GPPなど対応メディアフォーマットも拡充された | DLNA 1.5対応クライアントがいる環境では、ストリーミング配信もできる |
これはDLNAクライアント経由でTVに動画を表示させているところ | Windows Media Playerを使ってメディアファイルととオンラインIDをひも付けると | インターネット経由で自宅のPC内のメディアにアクセスできる |
なお、7ではVistaに標準搭載されていたフォトギャラリー、ムービーメーカー、メールなどのソフトが標準機能から外された。代わりに、Windows Liveファミリーとして提供されているものをダウンロードするなどして利用することになる。ダウンロードの手間はかかるものの、OSのフットプリントが小さくなるので、HDD容量の少ないネットブックでは必要最低限のものだけを選択してインストールできる。また、Windows Live各種ソフトは、OSよりも早いサイクルで新バージョンが投入されることになるといったメリットがある。
各種デバイスの使い勝手も高められている。デバイス側での対応が前提となるが、例えばUSBメモリの場合、Vistaではドライブレターなどの文字でデバイスを区別していたが、それぞれ専用のアイコンを表示できるようになった。
プリンタやデジカメのような高機能なデバイスについては、「デバイスとプリンター」からアイコンをダブルクリックすると、「デバイスステージ」と呼ばれる画面が表示される。ここも各デバイスメーカーが作り込みを行なうことになるが、プリンタであれば、印刷の設定から、添付ソフトの起動、果てはオンラインプリントやサポートの利用にいたるまで、関連機能の入り口を1つの画面に盛り込むことができる。
デバイスとプリンターの画面を開くとこのように各種デバイスが表示される | デバイスステージを活用すると、高機能なデバイスの各種機能に1つの画面からアクセスできる |
Windows Touchは、指を使ってポイントしたり、ジェスチャーによりコマンドを実行できる機能。複数の指の同時タッチにも対応し、例えばInternet Explorerでは、指で画面をなぞって上下スクロールしたり、文字列を選択したりといったポインティングデバイス的な使い方のほか、左右になぞって画面の進む/戻る操作をしたり、2つの指の間の距離を変えて、画面の拡大/縮小を行なったりできる。このほか、Media Centerでも、動画再生時にスライドバーを指でなぞると、それに合わせてサムネールが表示されるので、頭出しが簡単にできる。
なお、Windows Touchはタッチスクリーンのみを想定したものではなく、タッチパッドでも利用できる。
【動画】デスクトップでのTouchの動作例 | 【動画】Internet ExplorerでのTouchの動作例 |
【動画】Media CenterでのTouchの動作例 | 【動画】画像編集ソフトでのTouchの動作例 |
(2009年 5月 22日)
[Reported by 若杉 紀彦]