米NVIDIAと日本エイサー株式会社は21日、合同で世界初のIONプラットフォーム採用PCとなる「AspireRevo」の説明会を開催した。なお、今回は製品発表会ではなく、発売日や価格などの情報は、後日公開される。
NVIDIA細井洋一氏 |
まず、NVIDIA日本代表の細井洋一氏が、同社の低価格PC向けプラットフォームであるIONについて、小型で、消費電力が低く、価格も安いながらもミッドレンジレベルの性能を実現するものと紹介した。
IONは、IntelのAtomプロセッサとNVIDIAのGeForce 9400M Gチップセットを組み合わせたもの。ネットブックやネットトップなどの低価格でコンパクトなPC向けだが、チップセットに内蔵されたGPUは、Intel 945GSE Expressなどと比べ、約10倍の3D性能があるほか、1080pのHD動画の再生支援機能を搭載。加えて、CUDAにも対応することから、今後普及が見込まれる多様なCUDA対応アプリケーションで、GPUによるアクセラレーションを活用することができる。
こういった特徴から細井氏は「IONは、今後の家庭向けPCがもたらす体験を大きく変えるエポックメイキングな製品」だとした。
NVIDIAジェフリー・イエン氏 |
続いて、同社APACシニア・テクニカル・マーケティング・マネージャーのジェフリー・イエン氏が、AspireRevoの技術的側面をデモを交えながら解説した。
AspireRevoの主な仕様は、Atom 230(1.6GHz)、メモリ最大4GB(DDR2-800)、HDD最大250GB、GeForce 9400M Gチップセット(NVIDIAではION GPUと表記)、Windows Vista Home Premium/Home Basicを搭載。
本体サイズは180×180×30mm(幅×奥行き×高さ)で、容積は約1L。インターフェイスは、USB 2.0×6、eSATA、Ethernet、HDMI、ミニD-Sub15ピン、SDカード/MMC/メモリースティック/xD-Picture Cardスロット、音声入出力を備える。
イエン氏がデモで最初に紹介したのはEAのシミュレーションゲーム「SPORE」。このゲームの性格はカジュアルゲームに近いものの、3D性能はミドルレンジクラスを必要とするが、AspireRevoは、ストレスなく動かしていた。
このほか、イエン氏は、Google Earthや、Blu-ray Discビデオの再生、vRevealによる動画の高画質化、Badaboomによる動画トランスコードなどを実演した。いずれも、従来のAtom搭載PCでは満足に利用できなかったものだが、AspireRevoでは必要十分な性能を発揮していた。
イエン氏によると、今後ION採用機は、デスクトップ以外にもノートPCを含め、各社から40機種が登場予定だという。
Acer AspireRevo | 側面から見ると平行四辺形のデザイン | 本体正面 |
本体背面。HDMIにより1080pでの映像+音声が出力可能 | デモは実際にフルHD液晶TVに接続して行なわれた | 製品の主な仕様 |
SPOREのデモ。かなりスムーズに動いていた | Blu-ray Discビデオもコマ落ちなしで再生可能 | H.264動画のトランスコード。CPUでは20分かかるものが2分で終了した |
日本エイサー事業支援本部マーケティング部マーケティングコミュニケーション課マネージャーの瀬戸和信氏は、AspireRevoの用途について、ネットブックよりも一歩推し進めた使い方を提案していくという。
具体的には、携帯動画の編集や、SNSなどを使ったその共有、住所録や家計簿をつけるといった能動的なもの。ユーザーがそういったことをより簡単にできるよう、発売までに対応ゲームのリスト作成や、CUDA対応アプリケーションのバンドルなどを検討していくという。
マイクロソフト株式会社OEM統括本部マーケティング部マーケティングスペシャリストの轟昇太氏もゲストとして登壇。エイサーの新製品を歓迎するとともに、AspireRevoを大型液晶TVにつないで、Windows Home Serverとの連携による動画再生などをデモした。
質疑応答ではIONプラットフォームと、ULCPC OSの組み合わせなどについて質問が及んだものの、マイクロソフト轟氏は、IONでもULCPCライセンスが利用できるよう検討していきたいと答えるにとどまった。
IONにMXMなどを通じてGPUを拡張する計画はあるのかという問いに、イエン氏は「顧客からの要望があればそれに答えていく」と前向きな姿勢を示した。
日本エイサー瀬戸和信氏 | マイクロソフト轟昇太氏 |
(2009年 4月 21日)
[Reported by 若杉 紀彦]