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Scratchプログラミング教室も併催「富士通パソコン組み立て教室」
2017年7月31日 06:00
富士通および富士通アイソテックは29日、福島県伊達市の富士通アイソテックで、「富士通パソコン組み立て教室」を開催した。富士通アイソテックは、富士通製デスクトップPCの生産拠点で、年間100万台の生産能力を持つ。伊達氏発祥の地であり、また全国有数の桃の産地として知られる伊達市で生産されていることから、同社で生産したPCを「伊達モデル」と呼んでいる。
14回目となる今回のイベントは、小学校4年生から中学校3年生までの18組の親子が参加。PCの組み立てだけに留まらず、昨年(2016年)に引き続き、2020年から小学校の授業に盛り込まれるプログラミングの学習や工場見学を行なったりと、半日間に渡ってPCに触れあう機会となった。
同社では、「次代を担う小中学生を対象に社会学習の機会を提供し、ものづくりの楽しさと、ICT技術への興味を持っていただくことを目的としている」と説明。富士通アイソテックの岩渕敦社長は、「今回の組み立て教室を通じて、PCを好きになってもらうこと、富士通のファンになってもらうこと、プログラミング教室の体験によって、PCの楽しさや素晴らしさを感じてもらいたい」と語った。
今回、組み立てたのは、富士通アイソテックで生産している狭額縁デザインの大画面デスクトップPC「ESPRIMO WF1/B1」。23.8型のフルHDワイドスーパーファインLH IPS液晶を搭載し、CPUには、Celeron 3865U(2コア/2スレッド/1.8GHz)を搭載。4GBのメモリと1TBのHDD、DVDスーパーマルチドライブを搭載している。本体カラーは、オーシャンブラックおよびスノーホワイトから選択できた。
組み立てたPCは持ち帰ることができ、TVチューナありの場合には、99,000円、TVチューナなしの場合には、89,000円の特別価格で提供。また、組み立てだけの参加の場合には無料で参加できた。
参加者の内訳は、小学4年生が7人、5年生が4人、中学1年生が1人、2年生が4人、3年生が2人の18組。男子14人、女子4人の参加比率となった。伊達市内からの参加が4組。伊達市以外の福島県からの参加が14組。福島県外からの参加はなかった。PCを購入する形で参加したのは3組で、残りの15組は組み立てのみの参加となった。
また、伊達市教育委員会、国見町教育委員会などの地元教育関係者も視察。岩渕社長は、「教育委員会や参加者の両親には、2020年から開始される予定のプログラミング学習のポイントや課題をみつけるヒントにもしてほしい」とした。
なお、富士通アイソテックでは、9月27日、29日の2日間、小学校1~6年生までを対象にしたプログラミングスクールを初めて開催する予定だという。参加費は無料。
午後1時からスタートした組みて立て教室では、富士通アイソテックの岩渕社長が挨拶。「自分で、組み立て教室に参加したいと思って申し込んだ人?」と子供に挙手を求めたところ、数人が手を挙げただけに留まり、その様子に岩渕社長も苦笑。一方で、「お父さんやお母さんに行きなさいと言われて参加した人は?」という問いかけには、何人かの参加者が正直に手をあげ、会場は大きな笑い声に包まれた。
岩渕社長は、「仕方なく参加したという人もいるかもしれないが、楽しい教室であり、絶対に後悔させない」と宣言して、組み立て教室はスタートした。ちなみに、組み立て教室終了後の閉会式では、参加者全員が「楽しかった」と手を挙げた。
実際の組み立ては、PCの生産ラインがあるE棟で行なわれ、組み立てに関する注意などの説明のあと、午後1時50分頃からスタートした。組み立てでは、小学生には1人に1人のスタッフがサポート。中学生には2人に1人のスタッフがついた。今回の組み立て教室では、初めて小学生と中学生が組み立てる内容を変えており、小学生は3種類23本のネジを使って組み立てたのに対して、中学生はメインボードの取り付け作業や、ファンや無線LANボードの取り付けなどの作業が加わり、4種類32本のネジを使って組み立てた。なかには、予定時間の半分となる約30分間で組み立てあげる子供もいた。
では、組み立ての様子を写真で見てみよう。
PCを組み立てた後は、午後3時15分から、プログラミング教室をスタートした。
昨年同様に、「小学生から始めるわくわくプログラミング2」(日経BP社刊)の著者である倉本大資氏が講師となり、プログラミング言語学習環境「Scratch」を使い、プログラミングの学習を行なった。
「Scratchの利用者は全世界で約1,987万人に達しており、東京都と大阪府の人口をあわせた規模に近い」と説明。スプライトと呼ぶキャラクターを使ったネコスピンのプログミングにより、スプライトを回転させたり、サイズを大きくしたり、回転させるスピードを変えたりといったプログラミング学習を行なった。スプライトのサイズが大きくなると、子供たちの間からは、思わず「わぁ」という驚きの声があがり、高速で回転すると思わず笑い声が漏れていた。続いて、自分たちでの実際に操作を行ない、楽しみながら、約1時間に渡って、プログラミングを学んだ。
視察した伊達市教育委員会教育部学校教育課参事兼指導係長兼管理主事の福地淳一氏は、「Scratchは、子供たちがプログラミングに入りやすい要素を持っており、今回のプログラミング教室でも子供たちが強い興味を持って学習していることが理解できた。富士通アイソテックという企業が地元にあることは有意義であり、子供たちや教員とともに訪れる機会を設け、社会学習やプログラミング学習などに協力をお願いしたい」と語った。
また、国見町教育委員会学校教育課指導主事の宍戸正幸氏は、「子供たちが、新たな技術に対して、強い関心を持ち、前向きに取り組んでいることを理解できた。今後、教員がなんのためにプログラミング教育をやるのかということを理解する必要があると考えており、そうした観点からも、富士通アイソテックに協力を得たい」などと述べた。
富士通アイソテックの岩渕社長は、「2017年度からは、小学生向けのプログラミング教室を無料で開始するが、今後は、教員向けのプログラミング教室を開催するといったことも視野に入れたい。地元への貢献の1つになると考えており、これ以外にも、企業側から提供できるものがあればやっていきたい。体験を通じて、教育現場での課題を顕在化し、フィードバックする形にしたい」と語った。