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Dell、世界初の無接点充電搭載2in1「Latitude 7285 2-in-1」を6月より発売

基調講演でLatitude 7285 2-in-1の発売日を明らかにするDellエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフマーケティングオフィサーのジェレミー・バートン氏

 米Dell Technologiesは、2017年5月8日~11日(現地時間)まで、米ネバダ州ラスベガスのサンズエキスポおよびザ・ベネチアン、ザ・パラッツォで、「Dell EMC World」を開催した。

 Dellエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフマーケティングオフィサーのジェレミー・バートン氏は、会期2日目の基調講演において、世界初のワイヤレス充電機能を搭載した2in1「Latitude 7285 2-in-1」を、2017年6月1日から、米国市場で発売することを明らかにした。

 Latitude 7285 2-in-1の価格は1,199ドル。Latitude 7285 2-in-1に対応した「Dell Wireless Charging Mat」は199ドル。日本での発売については現時点では未定となっている。

 Latitude 7285 2-in-1は、2017年1月に、米ラスベガスで開催されたCES 2017において発表された法人向けラップトップで、発売時期や価格などについては、Dell EMC Worldで明らかにするとしていた。

 エグゼクティブバイスプレジデントのバートン氏は、「もはやPCは、ケーブルに縛られたものではなく、いつでもどこでも仕事ができるようになっている。これを新たなレベルに引き上げるのがLatitude 7285 2-in-1。ワイヤレス無線技術を採用したことで、電源ケーブルを接続することなく、充電マットに置くだけで充電ができる」とした。

 さらに、「持ち運ぶ際にもケーブルの取り外し作業が不要になる。Dell Wireless Dockを通じて、外部ディスプレイへの無線接続が可能であり、一定の距離を離れると、外部ディスプレイへの接続が切断され、近づくと自動的に復帰することになる。ここでもケーブル接続をする必要がない」などとし、その様子をステージ上でデモストレーションしてみせた。

 また、展示会場では、27型のワークスペースを利用するクリエイター向けの「Dell Canvas」や、ALIENWAREの最新モデル、堅牢ノートPCなどが展示されていた。

デモストレーションでは43型のMulti-Client Monitor「P4317Q」を使用
Latitude 7285 2-in-1
Latitude 7285 2-in-1のディスプレイ部を取り外したところ
Dell Wireless Charging MatにLatitude 7285 2-in-1を置いて充電中
Dell Wireless Charging Mat
Dell Wireless Charging MatにはDellのロゴが入る
Dell Wireless Dock
Dell Wireless Dockを使用して、Dell UltraSharp 27 InfinityEdge MonitorにLatitude 7285 2-in-1の画像をワイヤレス接続で表示

新生Dellの戦略

Dellのマイケル・デル会長兼CEO

 一方、Dellのマイケル・デル会長兼CEOは、開催初日の基調講演やプレス関係者との質疑応答のなかで、EMCを統合した新生DellにおけるPC事業の考え方などについて言及した。

 「Dellにとって、PCは中心的なビジネスである。PCは我々にとって大切な事業である。今後のIoTの進展などによって求められる分散型環境において、あるいはVRやARの普及に伴って、PCの重要性はますます高まる。IoTにおける分散型環境への流れは、これまでのクライアントビジネスの経験から予測できる。ここに5Gという高帯域で、低遅延のネットワークが組み合わさることで、分散コンピューティングが現実的なものになる」。

 「とくに、ワークフォーストランスフォーメーションを実現するのがPCであると考えている。ワークフォーストランスフォーメーションとは、場所のことを指すのではなく、いろいろなところで、いろいろな時間に仕事をする働き方を指す。顧客の考え方は、低価格のPCを社員に配るというものではなくなってきた。会社に優秀な社員を集めるのであれば、最も優れたツールを与え、クリエイティビティを発揮してもらったり、生産性を高めることが必要である。そこに対して、Dellは、イノベーティブでデザイン性に優れたセキュアなデバイスを提供していくことになる」と述べた。

 また、「DellのPCは市場価値が下がっていない。17四半期連続で、PCのシェアは高まっており、ビジネスも拡大している。18四半期連続の達成も間違いないだろう。そして、顧客の意識が変化したことで、PCの平均単価も上昇している。1,780万ドルの市場規模を持つPC市場では統合が始まっており、生き残った会社は大きなスケールで成長している。PC事業はこの数年で立ち直りはじめている。台数シェアではナンバーワンではないが、PCの価値はナンバーワンである。収益率は最も優れている。これからもR&Dに投資をしていくことになる」とした。

 さらに、「10年前に買収したALIENWAREは、しばらく私は放置をしておいた。それにより、彼らのイノベーションを増幅させることにした。ALIENWAREは、没入型の体験においては最先端を行っており、VRやARの革命を起こしている」としたほか、「VRやARを進化させると、まるでテレポートしたような状況が目の前に生まれる。想像を超えるような世界が実現できる。VRやARには大きな可能性がある。エンターテイメントだけでなく、ビジネスやトレーニングにも活用できる」などと語った。

 一方で、Dell EMC 北米コマーシャルセールスのプレジデントを務めるデビッド・シュモック氏は、「2017年1月に終了した2017年度は、PC事業にとって、非常にいい1年であった。第4四半期は前年同期比17%増という高い成長を遂げ、成長が加速している。ノートPCもデスクトップPC、コマーシャルもコンシューマも競合よりも高い成長を達成している。2in1は、3桁の成長率になっている。これを今年度も続けたい。Dellは、2013年2月に新たな戦略を立てて、事業を推進してきた結果、市場よりも1,000ポイントも高い成長を遂げ、北米、欧州、アジアのあらゆる地域で他社の成長率を上回っている。また、PC市場はトップ3社に集約され、この3社で市場の6割を占めている。2020年には75%を占めることになるだろう」などと述べた。

 「PCは最も生産性が高いツールである。データセンターのエンドポイントとしても活用されるツールである。新たなクライアントデバイスの3分の2がPCである。また、DellのPCを使ってもらえると、Dellファミリのさまざまな製品や技術を利用できるようになる」とも語った。

 また、クライアントPC事業を担当するDellクライアントプロダクトグループのサム・バード エグゼクティブバイスプレジデントは、「Dellは、PC市場で勝つために顧客の声を聞き、なにが求められているのかをしっかりと理解すること、そして、その要件を反映した製品を届けることにこだわっている。この2つを実現することで、成長を遂げることができる。CES 2017で受賞したアワードの数は競合他社の2倍。ディスプレイでも業界初の8Kモデルを投入した。DellのPC事業がイノベーションを続けていることが、ここからも理解してもらえるだろう」などとした。

 さらに、海に浮遊している1万t以上のプラスチックを回収し、これを再生して、PCに利用している取り組みについても説明した。

 今回のDell EMC Worldで、新たなクラウド型の販売モデルも発表。ハイパーコンバージドインフラ向けの「Cloud Flex for HCI」や、ストレージソリューションで利用可能な「Flex on Demand」に加えて、PCにおける月額制サービスモデル「PC as a Service」を用意。グローバルで提供を開始する考えを示した。日本でも、仕組みや体制を整えて導入することになるという。

 バートン氏は、「IDCによると、今後1年以内に、40%の企業がPCをサービスとして購入することになると予測している。最新の技術がより速く提供でき、管理もDellに任せることができる。また、システムへの侵害の95%を占めるエンドポイントのセキュリティにおいても、Digital Guardian、RSA、AirWatchといった機能を、最新の状態で利用できるようになる。保護も、管理も、モニタリングも可能になり、データ漏洩を防ぐことができ、包括的な保護ができる」と述べた。

 「最新のPCハードウェア、ソフトウェア、導入、管理、セキュリティ、サポートなどのエンド・トゥ・エンドのサービスを組み合わせて、DellのPCソリューションを、月額サービスとして提供するものになる。CAPEXをOPEXにすることができ、テクノロジーの隠れたコストを洗い出し、コストの透明性が可能になる。PCのライフサイクル全体にわたって、IT管理の負担とコストを削減し、エンドユーザーに新しいテクノロジーを、迅速に、使いやすい価格帯で提供することができる」としている。

 価格などの詳細は今後発表されることになるが、PC as a Serviceでも、初期導入費用を不要にし、月額での支払い、時間の経過に伴う価格の引き下げ、最低1年間の契約などが盛り込まれることになりそうだ。

会場に展示された「Dell Canvas」
ALIENWAREの最新モデルも展示されていた