ニュース

ASUS、世界初の「Google Tango」と「Daydream」のAR/VR両対応スマホ「ZenFone AR」

ZenFone AR

 ASUSは、「CES 2017」の開幕に先立ってプレスカンファレンスを開催し、「ZenFone AR」を発表した。

 この製品はAR(拡張現実)とVR(仮想現実)に対応し、「Google Tango」と「Daydream-ready」の両方が謳われた、世界初のスマートフォンとなる。

 Google Tangoは、スマートフォンに赤外線、魚眼、RGBといった異なるカメラを実装することで、現実世界を仮想世界に取り込む技術だ。LenovoがCES 2016で開発を表明し、2016年夏に、モトローラブランドではなくLenovoブランドで「Lenovo Phab 2 Pro」として発売、日本でも2016年末から発売が開始されている。

 ZenFone ARも、「ASUS TriCam System」と呼ばれる機能によって、3種類の情報をTangoに入力することで、スマートフォンでのAR体験を可能にする点では、先行するPhab 2 Proと同様だ。ただ、Tangoには高いプロセッサパワーが必要であるということで、Qualcommと協業し、1チップにあらゆる機能を集約したSoC「Snapdragon 821」を採用し、8GBのRAMと256GBのストレージを持つなど、PCと見紛うほどの処理系を実装する。また、画面は5.7型のSuper AMOLED(有機EL)で、ARとVRのユーザー体験に最適化されている。

 また、Daydreamは、2016年のGoogle I/Oで発表されたスマートフォン用VRのためのプロットフォームだ。当然Googleの主導によるもので、Andorid 7.0以降での実装が予定され、そのための装備を持つハードウェアはDaydream Readyを名乗ることができる。ZenFone ARは、TangoとDaydreamの双方に初めて対応するデバイスになるわけだ。

 同社によれば、カメラによるモーショントラッキングや深度センシングを使うことで、さまざまなAR体験をこの製品1台で実現し、現実の世界に新しい可能性をもたらすという。

 発表会場のステージには、GoogleからJohnny Lee氏や、GAPのJeff Kirwan氏(Global President)、QualcommからはCristiano Amon氏(Executive Vice President Qualcomm Technology and President QCT)などが登壇し、ASUSとコラボレーションできる喜びを語った。

 特に、Qualcommとのコラボによって開発されたSoC「Snapdragon 821 for Tango」は、カスタムソフトウェア最適化が行われた、シングルSoCにあらゆる機能を集約した特別なSoCで、ヘテロジニアスコンピューティングプラットフォームによる処理を可能にするという。常にすべてのセンサーがオンの状態で、快適なAR体験が可能になるとしている。

 OSはAndroid 7.0(Nougat)で、Tango対応デバイスとしては、3,300mAものバッテリを実装しながら、世界最薄最軽量の製品となるそうだが、正式な寸法や重量についてはまだ発表されていない。

 そのほか、ソニー製IMX318センサーを使った2,300万画素全面カメラ、カテゴリー13のLTE、指紋センサー付きホームボタン、ハイレゾオーディオといった、現在におけるあらゆる機能が満載だ。

 もっとも、Googleお墨付きでありながら、QuickCharge 3.0対応といった矛盾もあり、開発背景におけるGoogleとQualcommへの気の使いようなどが想像できる。

 発売は2017年第2四半期の予定だ。半年も先のことになるが、これはLenovoとGoogleとの契約で、Lenovoが1年間のアドバンテージを持って製品開発ができることになっているためと思われる。ほかのメーカーはその間、製品を出すことができないが、その1年間が解禁となるのが第2四半期のタイミングということなのだろう。

本体背面
左側面
右側面
下部
上部
ZenFone ARを掲げるASUS会長のJonney Shih氏
ステージ上でデモンストレーションしていることを忘れたかのようにARゲームに熱中してしまうGoogleのJohnny Lee氏