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「Minecraft: Education Edition」が11月より提供開始

~日本マイクロソフトの教育機関向け施策の一環、AzureとSINET5の直接接続も提供

 日本マイクロソフト株式会社は25日、同社の教育機関向け施策について記者発表会を開催した。

 発表会には、同社執行役員常務パブリックセクター担当で、Windowsクラスルーム協議会理事長の織田浩義氏が登壇。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員常務パブリックセクター担当 Windowsクラスルーム協議会理事長 織田浩義氏

 政府では「第4次産業革命に向けた人材育成」として、学習指導要領の改訂や、プログラミング教育の必修化といった「情報活用能力の育成」、産学官連携コンソーシアムの設立、ICT教育の教員研修提供といった「教育環境の整備」、ビッグデータを戦略的に利活用するプラットフォーム構築といった、AI/IoT/ビッグデータ等を牽引する「ハイレベル人材育成」の3点を掲げている。

 日本マイクロソフトでは、それらについて、情報活用能力の育成では「Minecraft: Education Edition」の提供、IEスクール(情報教育推進校)の支援を通じたプログラミング教育の普及推進、「教育環境整備」では、プログラミング教育を含めた新教員研修プログラム、「ICT教育研修モデルルーム」の提供、「ハイレベル人材育成」では、SINET5とAzureの直接接続を提供することで、第4次産業革命に向けた人材育成に対する戦略とする。

第4次産業革命に向けた人材育成
第4次産業革命に向けた人材育成に対する日本マイクロソフトの戦略

 織田氏は、日本マイクロソフトでは、企業向けに打ち出している注力ポイントと同じく、教育分野でもデジタルトランスフォーメーションを推進すると述べ、ICT教育の教員研修では、19日に発足した「全国ICT教育首長協議会」より、産学官連携での研修機会・研修環境整備の要望を受け、新教員研修プログラムおよび、ICT教育研修モデルルームの提供を行なうとした。

 作成された研修プログラムは無償で提供され、2020年までに5万人(全国の教員の約5%)へ研修を行なう予定だという。内容としては、世界の先進的な事例や研究をまとめたコンテンツなどベストプラクティスの提供、教員資格を持つ講師などのプロフェッショナルによる研修実施のほか、機材などの準備不要で全国各地の希望地で提供を行なう。

 ICT教育研修モデルルームは、デジタル教科書や教材、無線LAN、電子黒板のほか、可動可能な机と椅子、学習者用タブレットなどが設置され、アクティブラーニングの実施に適した形となる。まずは佐賀大学を皮切りに、インテルや内田洋行、NEC、NTTドコモなどが理事を務める「Windowsクラスルーム協議会」の下、全国ICT教育首長協議会と連携しながら、奈良教育大学、信州大学、宮城教育大学など、地域毎に設置を検討しているという。

教育分野での注力ポイント
教育のデジタルトランスフォーメーションを加速
全国ICT教育首長協議会発足
要望を受けた
教員研修
モデルルーム

 プログラミング教育の観点では、初等中等教育でのプログラミング教育向けに、「Minecraft: Education Edition」を11月1日(米国時間)より提供開始する。価格は教員あたり月額120円で、児童/生徒は無償で利用可能となる。

 通常のMinecraftと異なり、教員用の授業進行コンソールや、学習者の活動範囲の指定、ブロックの一斉配布、カメラとポートフォリオによる記録など、授業での利用をサポートする機能が多数備えているという。

 サービスの提供開始を記念し、25日より教員2,500名(児童生徒約38,000人相当)を対象に、1年間のライセンス無償提供を行なう「はじめよう 教育用Minecraft活用キャンペーン」も行なわれる。教育委員会や学校などの教育機関が対象で、教育活用の実践と内容公開が条件となる。応募期間受付は12月23日まで。

 また、小学4年生~中学3年生までのグループを対象に、2030年に住みたい街というテーマで、「サステナブル(持続可能)な街の作成」を課題とした、スウェーデン大使館主催のMinecraftコンペティションも開催される。応募期間は11月24日まで。

Minecraft: Education Edition
はじめよう 教育用Minecraft活用キャンペーン
コンペティション

 ハイレベル人材育成に向けて実施するSINETのAzure接続サービスは、2017年1月から開始する予定。SINETは日本全国の大学、研究機関などの学術情報基盤として国立情報学研究所(NII)が運用している情報通信ネットワークで、5月に開通した現行のSINET5は、100Gbpsの高速/低遅延を特徴とする。

 今回のSINET5とAzureの直接接続サービスにより、全国800以上の大学や研究機関が、インターネットを経由せずにSINET5経由でEnd-to-Endの閉塞接続でAzureへのアクセスが可能となる。日本マイクロソフトでは、機械学習やHPC、ビッグデータなど、大容量データを扱う研究分野でのさらなる利用促進に繋いでいき、2020年までに400以上の大学や研究機関でSINET5との直接接続によるAzure利用を目指す。

SINET5とAzureの接続サービス