ニュース

【詳報】キングジム、ハード/ソフト両面から設計を見直したWi-Fi対応の「ポメラDM200」

~文章入力の集中力を阻害するブラウザやメール受信機能は非搭載

「ポメラDM200」

 株式会社キングジムは4日、テキスト入力端末「ポメラ」で初めてWi-Fiに対応するモデル「ポメラDM200」の発表会を開催した。発売は10月21日。税別価格は49,800円。

 ポメラはコンパクトな折りたたみ式筐体で、キーボードとディスプレイを備え、文章入力に特化したデジタル端末。同社常務取締役開発本部長の亀田登信氏によると、ポメラはこれまで累積30万台を発売。出張先などで打ち合わせのメモや記録を採ることを想定していたが、発売してみると、それ以外にも、記者や小説家などしっかりした文章を書く人から大きな支持を得たという。今回のDM200は、これまでのコンセプトを継承しつつ、ソフト/ハードの両面から設計を見直し、入力しやすさに磨きをかけた製品となる。

常務取締役開発本部長の亀田登信氏
DM200は入力のしやすさに、さらに磨きをかけた新製品
キーボード面
天板を閉じたところ。外観はマット系
左側面にMicro USBとSDカードスロット
右側面
液晶は160度まで開く
DM100との比較

 ハードウェア面の特徴の1つ目としては、これまで、Bluetooth対応モデルや、FlashAir対応SDカードを利用してWi-Fiを利用できる製品はあったが、DM200はシリーズで初めて標準でWi-Fiを内蔵する。これにより、Gmailを経由したメモ機能により、文章をiPhone/iPadおよびMacと同期する「ポメラSync」機能を搭載。同期した文章は、DM200およびiPhone/Macの相互から更新をかけられる(AndroidやWindowsは非対応)。

 また、メール機能を利用し、文章を送信したり、Evernoteにアップロードすることが可能。アップロード機能は、従来機+FlashAir機能でも実現できたが、Wi-Fi対応となったことで、無線LAN対応プリンタからの印刷もできるようになった。

 これらのWi-Fi機能は、利用した時だけWi-Fiがオンになるため、バッテリに与える影響は最小限に留めている。

シリーズで初めてWi-Fiに標準対応
Evernoteへのアップロードやプリンタからの印刷も可能に

 Wi-Fi対応としたことで、広範囲にインターネットを活用させることもできたと思うが、同社商品開発部の東山慎司氏は、文章入力に対する集中力を阻害するWeb閲覧やメール受信機能は敢えて搭載しなかったと説明した。

 従来機同様、Bluetoothにも対応し、DM200をiOS/Androidのスマートフォン/タブレット端末のBluetoothキーボードとして利用することも可能。筐体も新設計となっており、キーピッチは縦15.5mm、横17mmを確保。ストロークは1.2mm。キースイッチにキーのどこを押しても安定した打鍵ができるV字ギアリング構造を採用しつつ、筐体の剛性を上げることで、打ち心地を改善した。Fnキーのショートカット割り当ての変更や、親指シフト配列にも対応する。

 液晶は、従来機DM100から約4割大きくなった7型のTFTを採用。解像度は1,024×600ドットで、バックライトも搭載する。

Bluetoothキーボード機能、QRコード変換機能を踏襲
液晶は7型ワイド。キーピッチは17mmを確保

 もう1つハードウェア面で変更となったのがバッテリで、従来シリーズは乾電池駆動だったが、DM200は初めてリチウムイオンバッテリを採用した。リチウムイオンバッテリの採用の主な理由は、十分な駆動時間を確保するためだが、乾電池利用に伴うランニングコストがかからないというメリットや、昨今はスマートフォンの普及でモバイルバッテリを持ち歩く人も多いため、モバイルバッテリでの充電に対応させることで、ダウンタイムを減らす狙いもある。

 ソフトウェア面での改良は、本製品向けに最適化したATOK for pomera [Professional]の採用。PC版と同等性能という変換エンジンを搭載したことで、語彙数は従来機の約3倍となり、入力支援機能も搭載。誤入力しても、過去の正しい確定変換履歴や入力のクセから正しい変換を推測し、自動修復したり、修復候補の表示を行なう。ATOK Syncには非対応だが、ATOK搭載PCとUSBで接続し相互に登録した単語を取り込める。このほか、理工学や人文科学、法律経済など17種の補助辞書搭載により約10万語の専門用語をカバーし、各地域の方言にも対応した話し言葉変換にも対応する。

商品開発部の東山慎司氏
株式会社ジャストシステムCPS事業部開発部の下岡美由紀氏
文脈に応じた同音異義語を適切に選択肢、文節区切りが改善したATOKの変換エンジン
入力ミスも補正してくれる

 編集面では、見出しを付けて文章を作成できる「アウトライン」表示機能を搭載。最大10階層のツリー構造で文章を表示したり、見出し単位で階層の変更や位置の入れ替えが可能。また、これまでビットマップだったフォントから、アウトラインに対応したモリサワの「UD新ゴR」と「UD黎ミンR」に変更し、見やすさを向上。文字コードはShift_JISに加え、Unicode(UTF-8)にも対応し、JIS第3/4水準の漢字も使用可能となった。

10階層のツリー表示ができるアウトライン機能
フォントも変更された

 このほか、「明鏡国語辞典MX」、「ジーニアス英和辞典MX」、「ジーニアス和英辞典MX」に加え「角川類語新辞典.S」を新たに収録した。

 本体メモリは128MBで、1ファイルあたり最大5万字まで保存可能。入力した文章をQRコードに変換する機能も踏襲する。本体のサイズは約263×120×18mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約580g。インターフェイスは、SDカードスロット、Micro USB 2.0、IEEE 802.11n無線LAN、Bluetooth 4.0+EDR。バッテリ駆動時間は約18時間。バッテリは取り外しできないが、修理対応による交換は可能。

 オプションでパームレストにもなるケースなども発売する。DM100は併売されるが、在庫限りの販売となる。

オプションのカバー
手前に置くとパームレストになる