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【詳報】Samsungの新SSD 960 PRO/EVOは10月発売。価格も明らかに

新コントローラ「Polaris」は、従来までの3コアではなく、5つのコアを搭載している

 こちらの速報記事に掲載した通り、Samsung Electronicsは最新世代のSSDD「960 PRO」と「960 EVO」と発表した。ここでは、Samsungのエリック・ブレエル氏による講演の中で明かされた詳細をお伝えする。

5コア搭載の新コントローラ「Polaris」により高い性能を実現

 エリック氏は、まず、新製品の950 PROと960 EVOの性能を、前世代のハイエンドモデルである950 PROと比較した。直接的な後継である960 PROが950 PROの性能を上回るのは当然だが、メインストリームモデルである960 EVOも、950 PROの性能を上回っていることを示した。

 価格については最後に触れるが、960 EVOのコストパフォーマンスは非常に高いと言える。特に、ランダムライト性能が大きく向上しており、これは新コントローラ「Polaris」によるところが大きい。Samsungは、自社でコントローラを開発していることも特徴だが、これまでのコントローラは3つのCPUコアを搭載していたのに対し、PolarisではCPUコアが2つ増え、合計5つものCPUコアを内蔵している。コアを増やしたことで、書き込み処理のさらなる分散が可能になり、ランダムライト性能が向上した。

960 PROと前世代の950 PROの性能比較。512GBモデル同士の比較では、シーケンシャルリードが40%高速化されている
シーケンシャルライトは40%高速化
ランダムリードは10%高速化
ランダムライトは200%も高速化されている
960 EVOと950 PROの性能比較。前世代とは言え、ハイエンドモデルであった950 PROと比べても、シーケンシャルリードが250GBモデル同士の比較で45%、500GBモデル同士の比較で28%高速化されている
前世代のハイエンドモデルであった950 PROと比べても、960 EVOはシーケンシャルライトが250GBモデル同士の比較で67%、500GBモデル同士の比較で20%高速化されている
950 PROと比べてランダムリードが250GBモデル同士の比較で22%、500GBモデル同士の比較で10%高速化されている
950 PROと比べても、ランダムライトが250GBモデル同士の比較で253%、500GBモデル同士の比較で200%高速化されている

960 EVOでは進化した「Intelligent TurboWrite」を搭載

 850 EVOでは、TurboWriteと呼ばれる高速化技術が搭載されていた。これは、MLC SSDの一部の領域をSLCとして扱い、その領域が空いている時にはそこに優先的に書き込むことでバッファとして機能させ、性能を向上させる技術である。960 EVOでは、TurboWriteをさらに進化させた「Intelligent TurboWrite」を搭載。Intelligento TurboWriteでは、TurboWrite用として確保される領域を従来よりも増やし、アルゴリズムを改良することで、さらに性能が向上しているという。

960 EVOでは、TurboWriteを進化させたIntelligent TurboWriteを搭載。TurboWrite領域も、それぞれ増加している

960 PROではラベルに銅箔を積層することで、冷却効果をアップ

 960 PROでは、新たに「Heat Spreading Label」と呼ばれる技術が採用されている。これはチップの上に貼られる製品ラベルに熱伝導性に優れた銅箔を積層することで、発生した熱を効率良く冷却するものだ。消費電力自体も従来の950 PROに比べて、960 PROや960 EVOは軽減されており、シーケンシャルリードテストにおいて、Dynamic Thermal Guard Trigger Pointに達するまでの時間が、950 PROでは63秒だったのに対し、960 EVOでは79秒、960 PROでは95秒に伸びている。

960 PROでは、ラベルに銅箔を積層したHeat Spreading Labelが採用されている
消費電力自体も従来の950 PROに比べて、960 EVOや960 PROは軽減されている
シーケンシャルリードテストでの温度向上の様子。Dynamic Thermal Guard Trigger Pointに達するまでの時間が、950 PROでは63秒だったのに対し、960 EVOでは79秒、960 PROでは95秒に伸びている

960 PROでは16枚のダイを積層したHDPを採用

 さらにパッケージングにも新技術が採用されている。960 PROでは、M.2フォームファクタとして最大容量となる2TBを実現しているが、そのために新たに採用された技術が16枚のダイを1つのパッケージに積層した「Hexadecimal Die Package(HDP)」である。

 これは、3D V-NANDとは別レベルの話で、第3世代のV-NANDでは、もともと1枚のダイに48層のNANDフラッシュが積層されているのだが、そのダイをさらにパッケージの中で16枚積層しているのだ。ダイ1枚あたり32GBを実現しているので、16枚積層すれば1パッケージで512GBとなる。2TBモデルでは、それを4チップ実装している。さらに、コントローラのPolarisとバッファ用のDRAMの2つのパッケージを1つに重ねて実装することで、M.2フォームファクタで2TBのSSDを実現したのだ。

1つのダイで32GBを実現している
そのダイを16枚積層して1つのパッケージとしたHDPを採用
HDPにより4チップで2TBを実現
さらに、Polarisコントローラとバッファ用のDRAMを重ねて実装するPackage on Packageを採用
M.2フォームファクタの限られたスペースで2TBが可能に

出荷開始は全世界で10月、価格は960 PROが329.99ドル、960 EVOが129.99ドルから

 960 PROおよび960 EVOは、書き換え可能な容量も増加している。960 PROの書き換え可能容量は512GBモデルが400TB、1TBモデルが800TB、2TBモデルが1,200TB、960 EVOの書き換え可能容量は250GBモデルが100TB、500GBモデルが200TB、1TBモデルが400TBとなっており、保証期間は960 PROが5年、960 EVOは3年となる。

960 PROと960 EVOの書き換え可能容量。前世代に比べて増加している

 960 PROと960 EVOの出荷は全世界で2016年10月を予定しており、価格は960 PROの512GBモデルが329.99ドル、1TBモデルが629.99ドル、2TBモデルが1,299.99ドル、960 EVOの250GBモデルが129.99ドル、500GBモデルが249.99ドル、1TBモデルが479.99ドルとなる予定だ(北米での予想小売価格)。