ニュース

ASUSやHTCを支援したTAITRAが全世界で展開する「TAIWAN EXCELLENCE」、そのロゴの意味とは

TAITRAはCOMPUTEX TAIPEIの主催者としても知られている

 中華民国(台湾)政府経済部と民間の半官半民で運営されているTAITRA(タイトラ、台湾貿易センター)は23日(現地時間)、日本の報道向けに台北市内にある同団体本部で記者説明会を行ない、TAITRAの事業の概要、TAITRAが世界的に展開している「TAIWAN EXCELLENCE」と呼ばれる取り組みなどについて説明した。

 日本で販売されている製品にも、TAIWAN EXCELLENCEのロゴが外箱についている台湾製品は少なくないが、それが何を意味しているかを知っている人はあまり多くないのではないだろうか。TAITRAによれば、TAIWAN EXCELLENCEは台湾製品の中でもデザイン、品質、マーケティング、研究開発などに優れた製品に贈られる賞で、上位のゴールドは年間で10製品にしか与えられないという。

台湾企業のブランド認知度向上、輸出増を目指すTAITRA、IoTソリューションに政府を上げて取り組む

 TAITRA 戦略マーケティング部門上級部長のレイモンド・チャン氏によれば「TAITRAは台湾政府の経済部が半分、産業界の組合などが半分という半官半民の組織。台湾のメーカーが海外のトレードショーに出展する場合にコストを安く抑えて出展することを手伝ったり、国内のスタートアップ企業がそうしたイベントが出展するお手伝いをしている組織」になる。TAITRAは日本で言えば、JETRO(ジェトロ)に相当する組織だが、JETROは専門の展示会組織を持っていないのに対して、TAITRAではCOMPUTEX TAIPEIのような展示会を開催する部門を持っていること、さらには人材育成部門を備えているところが大きな違いになるという。人材育成部門では、卒業前にインターシップとして横浜、福岡に人材を派遣して、実際台湾の企業の東京支社に採用されているという例も多数ある。

TAITRA 戦略マーケティング部門 上級部長 レイモンド・チャン氏
COMPUTEX TAIPEIの主催者としても知られているTAITRA
TAITRAの目的と目標

 現在TAITRAが力を入れているのは、TAIWAN EXCELLENCEと呼ばれる台湾ブランドの訴求、そしてスタートアップ企業の支援、そしてICTの分野ではIoT(Internet of Things)で知られる、ネットワーク機能を備えた機器向けのプラットフォーム創成など。

 TAIWAN EXCELLENCEは1993年から24年間に渡って継続しされている取り組みで、台湾発のブランドを増やそうというプロジェクトだという。このTAIWAN EXCELLENCEは、日本で言えば「グッドデザイン賞」に近いいわゆるアワードだが、グッドデザイン賞との大きな違いは、受賞することで、その企業はTAITRAが海外で行なう共同PRイベントなどに、2~3年は自由に参加出来ることなどがある。

 実際、筆者もIT関連の各種展示会(例えばCESやIFA)などに参加するが、TAITRAのブースや記者会見などで、TAIWAN EXCELLENCEのロゴを見かけることが多々ある。そうした場をもうけて、受賞した企業と一緒にマーケティングをする。受賞する製品や企業は、台湾という地域柄、やはりITが多いとのことだったが、近年では自転車関連、医療関係などの応募が多い。

TAIWAN EXCELLENCEは台湾産業のイメージアップを狙う

 実際、その取り組みにより、世界的なブランドに育ったブランドもある。ITの世界で言えば、PCやスマートフォンのメーカーとして認知されているASUSやAcer、スマートフォンのブランドとして知られ、現在はVR用HMDメーカーとしても知られるHTCなどだ。さらに、台湾の高級自転車のメーカーとして知られているGIANT、ロボット向けとしてはHighWinなどがTAIWAN EXCELLENCEの成功例と言えるという。

 現在TAITRAが力を入れているのが、IoTへの取り組み。チャン氏は「IoTの競争は激しい。台湾の強みであるハードウェアだけでは実現することが難しく、ハードウェア、ソフトウェア、クラウドそれらすべてが連携して初めて強みを発揮できる。現在は政府を上げたプロジェクトとして、ソフトウェアソリューションの充実などを図っていることで、ソリューションごと海外に輸出できるようにしたい」と述べ、IoTをソリューションごと輸出できるようにすることが重要だと強調した。

TAIWAN EXCELLENCEにはゴールド、シルバーが上位賞としてあり、ゴールドは年10件まで

 TAITRA戦略マーケティング部門IEP部門2プロジェクトマネージャのグロリア・ワン氏は、TAIWAN EXCELLENCEのプログラム詳細を説明した。

TAITRA 戦略マーケティング部門 IEP部門2 プロジェクトマネージャ グロリア・ワン氏

 台湾は人口2,340万人で、面積は36,192平方kmと九州とほぼ同じ面積。GDP(国内総生産)は5,236億米ドル(2015年)で、1人あたりのGDPは22,317ドル。よく知られているとおり、台湾は日本と同じように加工貿易立国で、2015年の輸入総額は2,290億ドル、輸出総額は2,800億ドルとなっている。

台湾は人口2340万人と日本の約4分の1、面積は九州と同じぐらい
2015年の輸入総額は2,290億ドル、輸出総額は2,800億ドル

 言うまでもなく、台湾の強みはIT業界にあり、ハードウェアの設計製造能力が高いこと、それに物流システムが充実していること、さたには優れた労働力、グローバルなニーズの変化に素早く対応できることが台湾のIT業界のメリットだとワン氏は説明した。実際、輸出全体に電子部品が占める割合は42%と高いという。

台湾の産業の特徴
台湾のIT産業の長所
台湾のIT産業は電子部品の輸出が輸入全体の42%を占めている
台湾のメジャーなブランドと言えば、ASUS、Acer、HTC、トレンドマイクロなど
TAIWAN EXCELLENCEではデザイン以外の要素も重要視される
ターゲットとなる市場と産業

 ワン氏によればTAIWAN EXCELLENCEでは単にデザインという1つの側面だけでなく、研究開発、品質、マーケティング、台湾製であることなども含め評価され、授与される。現在TAIWAN EXCELLENCEは、アメリカ、日本、ヨーロッパ、トルコなどの9つの市場と、自動車、情報通信、自転車、スポーツレジャー、ホームリビング、医療用品の6つの製品分野にフォーカスを当てている。

 このほか、TAIWAN EXCELLENCEには、ゴールド、シルバーなどのいくつかレベルがあり、最上級がゴールドで、ゴールドは毎年10製品にしか適用されないなどのルールがあることなどが説明された。

TAIWAN EXCELLENCEにはゴールド、シルバーなどの上位グレードがあり、ゴールドは毎年10製品のみに限定されている