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MSI、世界最速でGeForce GTX 10搭載ノートの発表会を開催

 エムエスアイコンピュータージャパン株式会社(MSI)は16日、Pascal世代のGeForce GTX 10シリーズ搭載ゲーミングノートを発表。これに合わせて都内で製品発表会を開催した。

 モバイル版GeForce GTX 10は日本時間の13時に全世界で一斉発表されたが、搭載製品の発表はそれと同時、そして発表会はそのわずか1時間後の14時に開催されたこともあり、“GeForce GTX 10搭載ノートPCとしては世界最速の発表会”と豪語する。

 「世界最速の発表会はそんなに重要なことなのか」と思う読者もいるかも知れないが、実はMSIはこの数年、ゲーミングノートPC市場でシェアを伸ばし続け、今では19%のトップシェアを誇るようになった(続くASUSは15%、Dellは9%。DIGITIMES調べ)。つまりMSIは、NVIDIAにとってモバイルGPUの最大でかつ重要な顧客となったわけだ。

ゲーミングノートでNo.1シェアとなったMSI

 そして往々にして、製品発表から実際に製品が入手できるようになるまでかなり遅延が発生していたが、MSIの製品は明日17日にも店頭に並ぶ。つまり単なるペーパーローンチではなく、製品ローンチのための発表会となったわけだ。また、MSI設立からちょうど今年(2016年)で30年経つこともあり、それをも祝う会と兼ねた。

Steven Chen氏

 冒頭では、MSI本社から来日したNB Channel Sales Division Senior Regional Sales DirectorのSteven Chen氏が挨拶。「タブレットやスマートフォンによりPC市場が侵食され縮小しているが、ゲーミング市場は年々盛り上がりを見せており、これにより我々のPCへの需要も高まり、おかげさまで2桁の成長を実現し、今やトップシェアを獲得している。今後もタイムトゥマーケットで製品を提供し、革新的な製品によりユーザーの支持を得続けたい」と語った。

村中恒夫氏

 ゲストとして招かれた、代理店を務めるキヤノンマーケティングジャパン株式会社 ITプロダクト推進本部 ナショナルアカウント営業部の村中恒夫氏は、「MSIは設立から30年が経つ。30周年と一言で言うが、この業界では決して簡単ではない。第一人者とも言えるIBMのPC事業はLenovoに買収されたほか、HPやDellもPC事業は続いているものの一筋縄では行かなかった。その中でもMSIは独自の進化により、PCハードウェア一筋30年を達成している点は凄い」と述べた。

 そして「不況と言われる中、オリンピックによる4K TV特需や猛暑によるエアコン特需、そしてPokémon GOによるモバイルバッテリ特需など、ビジネスチャンスはまだある。その中でもゲーミングPC市場は全世界的に伸びており、日本はかなり遅れを取っている。しかし国内BTOメーカーなどの話によると、ゲーミングPC市場は伸びており、中でも期待されるのがVRであるという。今年はVR元年と言われており、2020年には今年度末と比較して10倍の市場になるという予測もある。今回MSIが投入するVR ReadyのノートPCにより、ゲーミングPC市場をリードし、拡大していくことに期待したい」と語った。

谷口純也氏

 エヌビディアジャパン コンスーマー マーケティング マネージャーの谷口純也氏は、新たに発表されたモバイル版のGeForce GTX 10シリーズについて解説。世界的に見ると、Xbox Oneは-4%、PlayStation 4は+4%の成長率でしかないが、ゲーミングPCは30%の成長を遂げている。この背景には、オープンなプラットフォームや高性能なハードウェア、そして今回MSIが投入するような、持ち運び可能な形態を実現していることを挙げた。

 新たなGeForce GTX 10シリーズによって、ゲーミングノートは厚さ18mm、重量は約2kg前後という可搬性、そしてVR Readyを実現した。また、Pascal世代が持つ高性能により、多くの最新ゲームタイトルでも120fpsを超える性能が実現できるため、120Hzの液晶パネルの搭載が現実味を帯びてきたとした。

 このほか、デュアルFETパワーサプライやマルチフェーズ電源コントローラによる安定動作や、メーカーオーバークロックが可能な点、Maxwell世代と比較してバッテリ駆動時のゲームで30%以上バッテリ寿命が伸びた点、そしてBattery Boostによるフレームレート固定時でフレームレートがより安定し、カクつきが減った点などを挙げ、ノートPCでもデスクトップと遜色なくゲームができることをアピールした。

ゲーミングプラットフォームの比較
ゲーミングPCの優位性
モバイル向けGeForce GTX 10シリーズ
薄型軽量筐体でVRを可能にする
最新のタイトルでも120fpsでのゲーミングも可能になったので、120Hzの液晶搭載も現実的に
モバイル版GeForce GTX 10の特徴
Battery Boost利用時のフレームレートが安定化した
Anselも利用可能
三好正行氏

 製品の詳細については、MSI 営業部 システム営業課の三好正行氏が解説した。各製品の詳細については別記事を参照されたいが、いずれの製品も放熱のギミックについて焦点が当てられ、最上位の「GT83VR」は薄型ブレード「Whirlwind Blade」採用の3基のファンと15本のヒートパイプによる「Cooler Boost Titan」、「GT72VR」と「GE62VR」にはシステム全体の冷却を考慮した「Cooler Boost 4」、そして薄型の「GS73VR」と「GS63VR」には薄型ヒートパイプと薄型ファンを組み合わせることで薄型筐体を実現した「Cooler Boost Trinity」を搭載していることを明らかにした。

今回投入する新製品の一覧と搭載GPU
最上位の「GT83VR」
GT83VRの各インターフェイス
安定動作およびオーバークロックを可能にするため、2つのACアダプタを1つにまとめる
シリーズで唯一SLIを搭載
2基の29枚羽ファンと1基のブレード厚0.8mmの23枚羽ファン、そして15本のヒートパイプを採用したCooler Boost Titan
Cooler Boost Titanの特徴
新開発のWhirlwind Bladeでエアフローが向上し、冷却性が30%向上
Tobii Eye-Xを搭載した「GT72VR」
アイトラッキング技術のTobiiではWindows Helloにも対応する
各インターフェイスや仕様など
G-Sync対応ディスプレイを搭載
Cooler Boost 4を採用
従来よりさらに薄型化した「GS73VR」
ヘアラインのような「ダイアモンドカット」表面処理
120Hz液晶を搭載する
高リフレッシュレートではゲームにおけるレイテンシも削減される
NTSC比94%の広色域パネルを採用
15.6型薄型の「GS63VR」
他社製品、および従来製品との比較
GeForce GTX 1060搭載で従来より性能が40%向上
薄型の冷却システムCooler Boost Trinity
Cooler Boost Trinityの詳細
こちらもWhirlwind Bladeファンを採用する
下位の「GE62VR」にもCooler Boost 4を搭載する
統合ユーティリティ「ドラゴンセンター」
クイックランチャーやシステムの各種設定およびモニタリング、キーボードバックライトの色などをカスタマイズする機能を持つ
新たに加わった「VR Ready」ボタンHTC VIVEとOculus Riftに対応し、ワンクリックで自動認識
USBの転送速度をこうそくかする「X-Boost」
用途に応じてすぐに電源プランを変更できる「SHIFT」。KシリーズCPU搭載モデルは自動でオーバークロックするTurboモードを備える
Turboモードでは最高10%性能を向上させる(AC接続時のみ有効)
リモートでスマートフォンやタブレットからも操作可能
各種ツールやヘルプ機能も備えるが、新たにバッテリキャリブレーションツールを備え、定期的に実行することでバッテリの駆動時間を伸ばせる
発表会に展示された最上位の「GT83VR」
GT83VRの左側面
GT83VRの右側面
テンキーはタッチパッドを兼ねている
本格メカニカルキーボードを備え、デスクトップさながらの操作感が得られる
ACアダプタは2基
DualPower Boxによって1つの端子に集約する
ACアダプタは19.5V/16.9A出力対応。つまり約330Wだ
GT83VRの天板
GT83 VRの背面
120Hz液晶を備えた「GS73VR」
アイトラッキングTobiiを搭載した「GT72VR」
14型の「GS43VR」