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Cerevo、ミニ四駆をスマートフォンから操作可能にする電子工作キット
~“面白いプログラミング学習”を実現
2016年6月30日 20:34
株式会社Cerevoは、ハードウェア開発者向けブランド「Cerevo Maker series」より、改造ミニ四駆製作キット「MKZ4」を発売した。税別価格は5,980円。
本製品は、ミニ四駆を改造しスマートフォンで操作可能にするキットで、同社とDMM.make AKIBAの共同開催で開かれたワークショップ「スマホで自由自在に操作できるIoTミニ四駆を作ろう!」から生まれた製品。株式会社タミヤ製「ワイルドミニ四駆」に組み付けることで、スマートフォンから前進後進と左右のステアリング操作を可能にする。
MKZ4の内容は、SoC「ESP8266EX」搭載の無線LANモジュール「ESP-WROOM-02」と、ミニ四駆操作用の専用基板とステアリングパーツ、基板実装に必要な各パーツの一式セットとなる。改造元となるにミニ四駆ついては、別途用意が必要。
対応ミニ四駆は、
- ランチボックス Jr.
- ワイルドザウルス
- ニッサン キングキャブ Jr.
- ブルヘッド Jr.
- トヨタ ハイラックス モンスターレーサー Jr.
- トヨタ ハイラックス サーフ
- ニッサン テラノ ’93 パリダカ仕様(チーム NOK JATCO)
- ダッシュCBW コマンドザウルス
- マンモスダンプ
の9モデルとなる。
無線LANモジュールへ操作用のプログラムを書き込むためのキットは別売で、「MKZ4WK」として税別1,980円にて販売。加えて、電子工作ツールを所有していない購入者のため、テスター、はんだこて、こて台、はんだ吸い取り器、ニッパー、ドライバー、ピンバイス、ドリル、ピンセット、マスキングテープをセットにした、ツールセット「MKZ4TS」を税別9,980円にて発売する。
発売記念の「スペシャルパック」として、ワイルドミニ四駆、MKZ4、MKZ4WKをセットにしたパックを、税別8,888円にて、「ニッサン テラノ ’93 パリダカ仕様(チーム NOK JATCO)」、「トヨタ ハイラックス モンスターレーサー Jr.」、「ランチボックス Jr.30」の各30台ずつ限定で発売。
教育機関や自治体などを対象に、MKZ4×20セット+MKZ4WK×1セットをまとめた「アカデミアパック」も税別92,574円にて提供される。
全ての製品、パックは7月中旬より順次出荷開始される予定。
都内で開催された製品発表会には、株式会社Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏が登壇。製品化への経緯や製品の解説を行なった。
岩佐氏は、元々ワークショップを開催したのは、面白い「プログラミング教育」を実現したかったと説明。いわゆる「プログラミング教育」が面白くないのは、ソフトウェアの面がフォーカスされており、結果として「画面の中で何かが変わるだけ」であると考え、ソフトウェアだけのプログラミング教育では得られない「現実世界で成果物が動く」という面白さから、ミニ四駆の改造というワークショップを開いたという。
実際、ワークショップでは子供連れの参加者が多く、参加した非エンジニア社員の反応も良好だったとした。
ワークショップは参加枠が30名程度なこともあり、過去3度の実施では予約開始から30分程度で満員になってしまい、終了後には日本中から「次回開催はいつか」、「施設に出張して開催して欲しい」、「学校の授業に取り入れたい」、「キット販売はないのか」といった問い合わせを大量に受けたという。
しかし、同ワークショップは、マンツーマンに近い形でスタッフが手厚いサポートを行なうなど、かなり手間が掛かっている事もあり、開催を見合わせていたと述べた岩佐氏は、前述の需要の高さや、政府主導でのプログラミング教育義務化への流れなどを受け、自宅でも楽しめるようにキットとして製品化に至ったとした。
岩佐氏は、一般的な電子工作キットは1万円や2万円といった価格が標準的で、子供に与えるには少々値が張ると指摘。加えて、工作にある程度の前提知識が必要など、初心者お断わりというモノも多いと述べた。さらに通常はハードウェアかソフトウェアどちらか一方のキットのため、「どちらもちょっと触ってみたい」というニーズを満たせないとした。
MKZ4は、はんだ付けなどの電子工作から簡単なプログラミング、I2C経由の組み込みソフト書き込みなどが体験でき、税別5,980円と業界標準を大きく下回る価格を設定。
また、本当に初心者の場合、そもそも工作用具を揃える所から始めなくてはいけないが、ピンセット1つ取っても秋葉原のショップで探せば十種類以上並んでおり、どれを選ぶべきか分からないと述べ、MKZ4と同時に発売する、制作に必要な電子工作ツールを集めたキット「MKZ4TS」も紹介。なお、ツールキットに選ばれている製品はCerevoのエンジニアが選んだもので、約1万円と一見高価だが、白光製セラミックヒーターはんだこてなど、メーカーなどにこだわっており、実はコストパフォーマンスが高いとアピールした。
今回、無線LANモジュールへのプログラム書き込みキットは「MKZ4WK」としてMKZ4とは別売となっているが、岩佐氏は「プログラムの書き込み時にしか利用しないため、1つあれば友人や家族など複数人で共有でき、あえて別売とした」と説明。また、書き込み処理を行なうにはMKZ4WKである必要もないため、すでに別に書き込みキットを持っているのであれば、そちらを利用して完成させることも可能であるという。
MKZ4では、ワークショップで使用していたものと比較して、部品類を3Dプリンタによる樹脂成形部品ではなく、量産に適した金型から起こしたプラスチック製(ポリアセタール樹脂)パーツを採用。耐久性が向上しているという。また専用デカールが付属する。
ワークショップと異なり、組み立てのサポートなどを行なえないため、「超詳細に解説している」という解説本も、Kindleにて1,000円で販売する。解説本では、百枚を超える写真と共に組み立てを解説しているほか、空いているポートを利用してLEDを制御し、ブレーキランプを実装するといった活用方法も掲載するという。