ニュース

Cerevo、ミニ四駆をスマートフォンから操作可能にする電子工作キット

~“面白いプログラミング学習”を実現

MKZ4組み込み済みのニッサン テラノ ’93 パリダカ仕様 ワイルドミニ四駆

 株式会社Cerevoは、ハードウェア開発者向けブランド「Cerevo Maker series」より、改造ミニ四駆製作キット「MKZ4」を発売した。税別価格は5,980円。

 本製品は、ミニ四駆を改造しスマートフォンで操作可能にするキットで、同社とDMM.make AKIBAの共同開催で開かれたワークショップ「スマホで自由自在に操作できるIoTミニ四駆を作ろう!」から生まれた製品。株式会社タミヤ製「ワイルドミニ四駆」に組み付けることで、スマートフォンから前進後進と左右のステアリング操作を可能にする。

 MKZ4の内容は、SoC「ESP8266EX」搭載の無線LANモジュール「ESP-WROOM-02」と、ミニ四駆操作用の専用基板とステアリングパーツ、基板実装に必要な各パーツの一式セットとなる。改造元となるにミニ四駆ついては、別途用意が必要。

 対応ミニ四駆は、

  • ランチボックス Jr.
  • ワイルドザウルス
  • ニッサン キングキャブ Jr.
  • ブルヘッド Jr.
  • トヨタ ハイラックス モンスターレーサー Jr.
  • トヨタ ハイラックス サーフ
  • ニッサン テラノ ’93 パリダカ仕様(チーム NOK JATCO)
  • ダッシュCBW コマンドザウルス
  • マンモスダンプ

 の9モデルとなる。

 無線LANモジュールへ操作用のプログラムを書き込むためのキットは別売で、「MKZ4WK」として税別1,980円にて販売。加えて、電子工作ツールを所有していない購入者のため、テスター、はんだこて、こて台、はんだ吸い取り器、ニッパー、ドライバー、ピンバイス、ドリル、ピンセット、マスキングテープをセットにした、ツールセット「MKZ4TS」を税別9,980円にて発売する。

 発売記念の「スペシャルパック」として、ワイルドミニ四駆、MKZ4、MKZ4WKをセットにしたパックを、税別8,888円にて、「ニッサン テラノ ’93 パリダカ仕様(チーム NOK JATCO)」、「トヨタ ハイラックス モンスターレーサー Jr.」、「ランチボックス Jr.30」の各30台ずつ限定で発売。

 教育機関や自治体などを対象に、MKZ4×20セット+MKZ4WK×1セットをまとめた「アカデミアパック」も税別92,574円にて提供される。

 全ての製品、パックは7月中旬より順次出荷開始される予定。

 都内で開催された製品発表会には、株式会社Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏が登壇。製品化への経緯や製品の解説を行なった。

株式会社Cerevo代表取締役 岩佐琢磨氏

 岩佐氏は、元々ワークショップを開催したのは、面白い「プログラミング教育」を実現したかったと説明。いわゆる「プログラミング教育」が面白くないのは、ソフトウェアの面がフォーカスされており、結果として「画面の中で何かが変わるだけ」であると考え、ソフトウェアだけのプログラミング教育では得られない「現実世界で成果物が動く」という面白さから、ミニ四駆の改造というワークショップを開いたという。

 実際、ワークショップでは子供連れの参加者が多く、参加した非エンジニア社員の反応も良好だったとした。

プログラミング教育が面白くないのは画面の中で完結してしまうから
「成果物が動き回る」という面白さ

 ワークショップは参加枠が30名程度なこともあり、過去3度の実施では予約開始から30分程度で満員になってしまい、終了後には日本中から「次回開催はいつか」、「施設に出張して開催して欲しい」、「学校の授業に取り入れたい」、「キット販売はないのか」といった問い合わせを大量に受けたという。

 しかし、同ワークショップは、マンツーマンに近い形でスタッフが手厚いサポートを行なうなど、かなり手間が掛かっている事もあり、開催を見合わせていたと述べた岩佐氏は、前述の需要の高さや、政府主導でのプログラミング教育義務化への流れなどを受け、自宅でも楽しめるようにキットとして製品化に至ったとした。

ワークショップは即日満員
家族連れが多数
全国から問い合わせ
政府主導でのプログラミング教育義務化への流れ

 岩佐氏は、一般的な電子工作キットは1万円や2万円といった価格が標準的で、子供に与えるには少々値が張ると指摘。加えて、工作にある程度の前提知識が必要など、初心者お断わりというモノも多いと述べた。さらに通常はハードウェアかソフトウェアどちらか一方のキットのため、「どちらもちょっと触ってみたい」というニーズを満たせないとした。

 MKZ4は、はんだ付けなどの電子工作から簡単なプログラミング、I2C経由の組み込みソフト書き込みなどが体験でき、税別5,980円と業界標準を大きく下回る価格を設定。

電子工作キットは高い
工具も持っていなければ、どれを買えば良いのか分からない
ハードもソフトもやりたい
子供も楽しめるモノ
MKZ4。ちなみにMKZは、正式名称はそのままMKZ4だが、「ミニ四駆を改造」や「魔改造」といったワードから取っているとのこと
ワークショップと同等以上の内容を自宅で楽しめる
はんだ付けなどの電子工作から簡単なプログラミング、I2C経由の組み込みソフト書き込みなどが体験できる、業界初の製品で、価格も安いとアピール
台数限定のスペシャルキット

 また、本当に初心者の場合、そもそも工作用具を揃える所から始めなくてはいけないが、ピンセット1つ取っても秋葉原のショップで探せば十種類以上並んでおり、どれを選ぶべきか分からないと述べ、MKZ4と同時に発売する、制作に必要な電子工作ツールを集めたキット「MKZ4TS」も紹介。なお、ツールキットに選ばれている製品はCerevoのエンジニアが選んだもので、約1万円と一見高価だが、白光製セラミックヒーターはんだこてなど、メーカーなどにこだわっており、実はコストパフォーマンスが高いとアピールした。

 今回、無線LANモジュールへのプログラム書き込みキットは「MKZ4WK」としてMKZ4とは別売となっているが、岩佐氏は「プログラムの書き込み時にしか利用しないため、1つあれば友人や家族など複数人で共有でき、あえて別売とした」と説明。また、書き込み処理を行なうにはMKZ4WKである必要もないため、すでに別に書き込みキットを持っているのであれば、そちらを利用して完成させることも可能であるという。

こだわりのチョイスが光るツールキット
書き込みキット

 MKZ4では、ワークショップで使用していたものと比較して、部品類を3Dプリンタによる樹脂成形部品ではなく、量産に適した金型から起こしたプラスチック製(ポリアセタール樹脂)パーツを採用。耐久性が向上しているという。また専用デカールが付属する。

 ワークショップと異なり、組み立てのサポートなどを行なえないため、「超詳細に解説している」という解説本も、Kindleにて1,000円で販売する。解説本では、百枚を超える写真と共に組み立てを解説しているほか、空いているポートを利用してLEDを制御し、ブレーキランプを実装するといった活用方法も掲載するという。

解説本は1,000円で発売予定
ポイント
MKZ4の内容
基盤
サーボモーター
無線LANモジュールとコンデンサなど
MKZ4TS
白光製はんだこてと台
ピンバイスと精密ピンセット
テスター
バッテリボックスを底面に搭載。中身は乾電池
前輪のステアリングが切られている状態
Wi-Fiで接続したスマートフォンでブラウザを開き、スワイプで操作を行なう
スタッフが持っていたのはカスタムされたファームウェアのモデルで、スマートフォンのジャイロセンサーを利用して、傾きで操作するという仕様。これは中々操作が難しい
書き込みキット
走っている様子