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日本マイクロソフト、Windows 10へのアップグレードの重要性を説明
~6月中旬からWindows 7 RTM/8にも通知を表示。キャンセルする方法も解説
2016年6月10日 17:40
日本マイクロソフト株式会社は10日、“Windows 10の日”に合わせて記者会見を開催し、同社が強力に推進しているWindows 10への無償アップグレードの必要性、およびWindows 10へのアップグレード画面について解説した。
広がりつつあるWindows 10の採用
冒頭では、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 Windows & デバイス本部 本部長の三上智子氏が、Windows 10のアップグレードの動向について説明した。
日本マイクロソフトはこれまで、「Windows 10体験キャラバン」を全国6都市で展開してきたが、体験者数は13,458人にも上った。体験者の声を聞いてみたところ、全体的に使いやすい、起動/再開の速さ、スタートメニューの復活などが評価されたという。また、Windows 10体験前は20%のユーザーがほかの人に勧めないと答えた多くのユーザーが、体験後には勧めたいという考えを改めるに至ったという。
また、同社は毎月10日を“Windows 10の日”とし、Windows 7 SP1/8.1から10への無償アップグレードを強く推進するとしているが、この賛同パートナーに新たにジャストシステムなどが加わり、広がりを見せている。
一方、法人向け導入に関しては、新たに三井住友銀行がWindows 10搭載2in1デバイスの導入やWindows 10 Mobile搭載スマートフォンの導入を決めたほか、松阪市でも約1,000台のPCを運用開始し、業務効率化やセキュリティの強化を図ったという。
また、現在、大塚商会やダイワボウ情報システム、ソフトバンクC&Sなどと協力し、法人向けに最大15,000円の下取りキャンペーンを展開するなど、Windows 10搭載デバイスへの買い替えを推進しているとした。
Windows 10を搭載したSurfaceシリーズについても、社会で広く使われていることや、持ち運びやすさや性能の両立、ペンを使った書き込みが可能などの特徴が評価され、教育機関での導入が進んでいるという。特に、広島大学では学生自らSurfaceを選定しているほか、甲南大学 マネジメント創造学部ではWindows Helloによる顔認証やOffice 365も活用されているとした。
Windows 10アップグレードへの必要性
続いて、Windows 10アップグレードへの必要性について三上氏が説明した。同氏は、近年悪意のあるプログラムが、プログラマの技術を披露するための技術的なものから、ユーザーの金銭を直接狙った犯罪用のものに変わっていることを挙げ、ユーザーをこうした被害から守るためにも、OSを最新の状態にしておくことが望ましいとした。
それとともに、6月9日時点での全世界のセキュリティの脅威を可視化した地図を見せ、未だWindows XPを対象とした「Conficker」が5位に挙げられるほど脅威を振るっていることを挙げ、「セキュリティに対する意識が低いユーザーがこうした脅威に晒されているとともに、犯罪の踏み台にされている恐れがある」とした。
その上でMicrosoftは、Windowsユーザーをこうしたセキュリティ脅威から保護する企業責任があるとし、前代未聞となるWindows 7/8からの期間限定無償アップグレードを推進するに至ったという。Windows 10では、セキュリティソフトがインストールされていない場合、Windows Defenderという自社のセキュリティ機能がオンになるほか、常に最新版が提供されるというメリットがあり、Windows 7に対してもセキュリティリスクを抑制する効果が高いとした。
その一方で、Windows 7のスタートボタンと8のスタートメニューの両方を持ち合わせた使い勝手、およびブラッシュアップした操作感やUIを備えており、旧OSユーザーも移行後の違和感が少なく、さらに快適に使えるようになっているとした。
7月29日無償アップグレード期間終了後は、アップグレード専用製品の提供がなく、市販されているパッケージやダウンロード製品、もしくは企業向けボリュームライセンスの購入が必要になる。こうした導入コストをかけないためにも、三上氏は今ある無償アップグレードを利用すべきだと語った。
なお現在、Windows 10へのアップグレードは「Windows 7 SP1」および「Windows 8.1」を導入したユーザーのみとなっているが、6月中旬からは新たにSP1が適用されていないWindows 7、およびWindows 8.1にアップデートされていない無印のWindows 8ユーザーにも、OSへのサインイン時に通知がされるようになった。
これらを使用している個人ユーザーは、アップデートを適用していない、特にセキュリティに対する意識が低いユーザー層であるのだが、日本マイクロソフトとしては「数はさほど多くないだろう」と予測している。ただし、Windows Updateによる10へのアップグレードはできず、ダウンロードページへの案内となる。
ちなみに、Windows 10へのアップグレードを促すダイアログは、7月29日以降表示されなくなる。また、アップグレードする日付もユーザーがスケジュールして実行できるようになっているのだが、7月29日以降は選択できないようになっているという。
無償アップグレードの通知でのキャンセル方法も解説
発表会の後半は、日本マイクロソフトでカスタマーサービスアンドサポート コンシューマーサポート アジア サービスデリバリーチーム マネージャーの水澤玲氏が、Windows 10無償アップグレードのダイアログの操作方法などについて解説した。
今や色々“物議を醸し出している”Windows 10への無償アップグレードのダイアログ。もはや筆者が説明するまでもないのだが、この画面で「今すぐアップグレード」、「OK」、「×」のいずれを押しても、Windows 10へのアップグレードが行なわれるようになっている。
「今すぐアップグレード」については解説する必要はないと思うが、「OK」を押した場合は、そのままダイアログに表示されているスケジュールに沿ってアップグレードがされ、「×」を押した場合は、タスクトレイのポップアップで再度スケジュールについての確認があった後、「×」ボタンで閉じるとやはりそのスケジュール通りにアップグレードがされる。
アップグレードスケジュールの変更、またはキャンセルを行なうためには、ダイアログボックスやポップアップで「ここをクリックすると、アップグレード スケジュールを変更、またはアップグレードの予定をキャンセルできます」のメッセージの「ここ」を押して行なう。つまり、「ここ」を押さない限り、アップグレードは行なわれることになる。
ちなみにアップグレードが行なわれる15分前にも、再度確認のメッセージが表示されるほか、アップグレード中に表示される「Windows 10へようこそ」画面で、ソフトウェアライセンス条項(EULA)の画面で「拒否」を選択することで、元のOSに戻ることが可能である。また、アップグレード作業が例え全て完了したとしても、インストール後30日間は旧OSのイメージを保持しているため、いつでも戻れる状態になっているとした。
さて、この挙動について、半ば「強制的ではないか」という意見が多く、最近よくSNS上で「朝、PC起動したらWindows 10へのアップグレードが“勝手に”始まっていた」という投稿を見かける。三上氏は「アップグレードを行なう前、必ず1回は無償アップグレードのスケジュール確認のダイアログを出してユーザーの確認を取るようにしている」と答える。
しかしユーザーからしてみれば、「急いでいる時にそんなダイアログの内容をいちいち詳しく確認してないから×ボタンを押してとりあえず閉じた」、「よく読んではいないけど×ボタンを押して閉じておけばアップグレードはされないだろう」の方が大多数ではないだろうか。
「×ボタンで閉じればプログラムは終了してバックグラウンドで動作しない」という、本来Windowsユーザーが予測する常識的な動作とは異なる動作をWindows 10アップグレードのダイアログで行なっている点が、ユーザーの物議を醸し出す原因だろう。そうでなければ、今回のようにわざわざ説明会を開いて、ダイアログの操作方法を解説して周知させなければならない事態には至らなかったはずである。
また、Windows 7など回線を認識できないWindowsでは、モバイル回線を利用していても容赦なくWindows 10のイメージがダウンロードされるし、アップグレードのスケジュールに関しても、ユーザーが忘れてしまうと、次回起動時に“勝手に”行なわれることになり、そのアップグレード作業中、PCを使った作業が一切できないことになる。
ただ水澤氏は、こうしたWindows 10へアップグレードする前の諸々の問題よりも、Windows 10にアップグレードした後にユーザーが発生した疑問を解決し、Windows 10でのユーザー体験を高めることこそが最善の解決策だとする。現在、電話サポート要員は既に2倍までに増強しているが、6月末までには4倍に増やす。さらに、動画やSwayを駆使した日本独自のサポートページも展開していることを紹介した。
また、三上氏は、「全世界のユーザーのフィードバックを元にWindows 10を作り上げたため、使いやすさはもとより、アメリカの開発エンジニアを日本に1カ月間呼び、日本独自のアプリケーション互換性についても改善をした」という。全世界ユーザーからのフィードバックを得て製品開発をしているとは言え、現在のダイアログの表記や挙動については変更する予定は特にないようで、“アップグレードをキャンセルする”ボタンを押してもらうよりも、あくまでWindows 10への移行を推進したい意向だ。
なお、7月29日以降は無償アップグレードが終了するため、日本マイクロソフトとしてはWindows 10を搭載したデバイスについてアピールしていくとした。