やじうまミニレビュー
“今どき腕時計なんて……”と思っている人におすすめしたい「チープカシオ」
(2016/4/7 06:00)
「携帯電話やPCなんて身の回りにいくらでも溢れているから、腕時計なんてしなくても時間を確認できる」。おそらく今の時代、多くの人はこの感想を持っているのではないだろうか。確かに、筆者も若い頃は同じ思いで、腕時計をしていなかった。そう、自分にピッタリ合う腕時計に出会ったまでは。
子供の頃から腕時計を嵌めていたこともあったのだが、いずれも三日坊主だったと記憶している。それが変わったのは以前、家電Watchでレビューされたカシオの「GULFMAN GW-9100-1JF」を、当時の編集長から譲り受けた時から。ボリュームがある筐体で、当時半袖Tシャツぐらいしか着なかった筆者にピッタリのデザインで、しかも錆びないチタン製だったので、お風呂に入る時や手を洗う時も気兼ねなく身に着けたままにしておける。この時から腕時計をする習慣がついてしまった。
そこからは、やっぱり針があるアナログのがいいだの、自動巻きも味わい深いだの、いっそうのことなら永く使えるグランドセイコーがいいだので色々買ってしまったのだが、今はその日の気分や服装によって着け替えている。今や腕時計を着けるのはもはや洋服を着るのと同じ感覚だと言っても良い。もっとも、グランドセイコーが一番無難なデザインで、時間調整の必要性がほぼないので、着ける日がもっとも多いのだが、25万円払っているので妥当な減価償却とも言う。
もちろん、1日に数回は腕時計で時間を確認するので、時計としての機能はちゃんと使っている。スマートフォンで何らかフルスクリーンのゲームをプレイしている場合、時間が表示されないし、ふと時間が気になった時でもスマートフォンならボタンを押さなければ確認できない。腕時計なら、腕を上げるだけで時間が見える。
グランドセイコーなんかは恐ろしく精度が高いため、購入してからは自身で時間調整を一度もしていない。電池交換時に他人の手によって行なわれたことはあるが、正確な時間を刻み続けていた。10時33分の電車に間に合うよう駅に着いたはずが目の前で行ってしまい、手元のグランドセイコーで確認してみたところまだ10時32分34秒だった場合、当然「おい、車掌の腕時計はいったいなんなんだよ!?」とツッコミたくなり舌を鳴らす。つまり、しなければ使わない腕時計だが、すれば必然的に使うようになるものである。
だが、さすがにいきなりグランドセイコーを勧めるわけにもいかない。腕時計をしていないユーザーは、まず着ける習慣から始めてみてはどうだろうか。そんな“初心者”におすすめなのだが、近年SNSなどで話題になっている安価なカシオの腕時計、通称「チープカシオ(略:チプカシ)」だ。Twitterで#チープカシオというハッシュタグがあるぐらいだし、Amazon.co.jpで「チプカシ」というカテゴリができているほど人気のあるジャンルでもある。
チプカシの最大の特徴は、G-SHOCKという強いデジタル腕時計ブランドを持つカシオの“安心感”、900円~4,000円台という“気兼ねなく買える価格”、防水やアラーム機能など腕時計として基本を抑えた“実用性”、さまざまなデザインによる“コレクション性”、そしてデジタル表示モデルが持つ、1980年代を彷彿とさせる強烈な“レトロフューチャー感”だろう。
今回はシンプルなデザインの「A168WA-1」を買ってみた。Amazonでの価格は2,515円だ。安価ながらステンレスバックとバンドを採用(ケースと風防は樹脂)しており、安っぽさを感じさせない作り。そして何よりも機能を説明している盤面が“レトロフューチャー”な感じだ。「ALARM CHRONO(アラーム機能)」、「ELECTRO LUMINESCENCE(ELバックライト)」、「ILLUMINATOR(照明)」、「WATER RESIST(防水)」などがデカデカと印刷されている。今どきのPCで言えば「メモリ1GB」、「HDD 500GB」、「USB 2.0付き」をわざわざ印刷で説明ぐらいの感覚だ。
いや、これが1970~1980年代だったら文句なしの神スペックなので、確かに筐体に印刷されてもおかしくない。だからこそレトロフューチャーなのだ。筆者みたいなレトロ好きにはたまらないデザインなのである。
ちなみに姉妹品に「A158WA-1JF」という970円の人気モデルもあるが、こちらはELバックライトではなくフロントLEDライトなので、夜の視認性はA168WA-1の方が上である。とは言え、機能に大差はない。盤面の印刷も若干異なるので、そこは好きなデザインで決めて欲しい。