やじうまミニレビュー
3,000円を切っても100音色! カシオのミニ電子キーボード「SA-46」
(2016/5/9 06:00)
最近ミニレビューでカシオ製品ばかり書いていて自分でも「メーカーの回し者か?」と思うのだが、今回もカシオの製品のレビューをお届けする。今回取り上げるのは(音楽用)のミニ電子キーボード「SA-46」だ。Amazon.co.jpでの価格は2,778円だ。
SA-46は多くの機能を備えていない、シンプルな電子キーボードである。鍵盤数は32鍵と、キーボードとしては一般的な61鍵の半分程度しかない。同時発音数も8だ。しかし内蔵音色は100種類と比較的豊富で、リズム/パターンも50種類内蔵。10曲のデモソングも内蔵されている。
筐体はプラスチック製だが、全体的な質感や、鍵盤の作りは悪くなく、この辺りはさすが長年電子楽器を手がけたカシオならではといった感じだ。電源は別売りの9.5V ACアダプタ、または単3電池6本を使用する。6分間使わないと電源が自動的のオフになるオートパワーオフ機能も備えている。
使い方は簡単で、「トーン」ボタンは音色、「パターン」ボタンはリズム/パターン、「ソングバンク」ボタンはデモソングをそれぞれ選択するボタンで、それらを押してから、右側のテンキーパッドないしは±ボタンで選ぶ。
具体的な音色一覧は説明書を参照されたいが、ピアノ系からオルガン、ギター、ベース、ストリングス、ブラス、リード、シンセ、エスニック、パーカッションなどを幅広くカバーしている。音質はさすがに電子音っぽく、ピアノの音などはリアル感に欠け、FM音源の域を出ない印象だが、これはこれでなかなか味わい深い。
デモソングのメロディをオフにして、自分でそのメロディを弾くボタンも用意されている。デモソングのメロディは楽譜として添付されているので、それを見て弾けるわけだ。リズム/パターン/デモソングのスタート/ストップをするボタン、テンポ調節ボタンは説明不要だろう。それからピアノとオルガンを1発で切り替えられるボタンと、5つのドラムパッドが用意されている点もユニークである。
音を出す「楽器」として見れば、なかなかの完成度だ。機能面や価格面はおもちゃに近いレベルだが、立派な電子楽器である。ちなみに内蔵スピーカーは0.5W+0.5Wとスペック上は貧弱だが、ステレオのおかげで、家で1人で使う分には十分な音量が取れる。
もちろん子供の楽器入門用として購入するのもいいのだが、豊富でユニークな音色を駆使して「作曲用」に購入するものアリだろう。以前、PC WatchでiOS版の「GarageBand」を使った作曲を紹介したが、SA-46にはGarageBandにはない音色を備えているし、本物の鍵盤も備えている。さすがにMIDIは非対応だが、本体背面にはステレオミニジャックが付いているので、iPadなどに出力して録音し、GarageBandをシーケンサとして使い、(アナログとなってしまうが)音を重ねて音楽を作れるのが面白い。
音楽は音を楽しむと書いて音楽なわけだから、本格的な作曲はできなくても、いろいろいじって出てくる音を楽しめればそれで音楽なのだ。SA-46はそんな音楽の本質を教えてくれるキーボードである。
なお、鍵盤があるからと言っても、バイエルのようなピアノ練習曲には向いていない。本製品には押す強さによって音に強弱を付けることはできないし、32鍵という数も練習曲用には少なすぎる。ピアノの練習をするのであれば、強弱が付けられる88鍵の製品をオススメする。あくまでもこの製品のスペックでカバーできる用途に限った使い方に徹した方が良いだろう。