やじうまミニレビュー

バッファロー“SAVIOR”「BSKBC02BK」

~1,500円を切る質実剛健なゲーミングキーボード

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
BSKBC02BK

 バッファローの“SAVIOR”「BSKBC02BK」は、Amazon.co.jpで1,327円という低価格で販売されているゲーミングキーボードだ。ゲーミングキーボードのカテゴリではベストセラーとなっており、なかなかの人気ぶりが伺える。今回は実際に試してみることにしよう。

 筆者は会社でも自宅でも、キーボードやマウスに関しては、基本的にゲーミング向けとされるものを使用している。ゲーミング向けのキーボードやマウスは、特徴的な外観を持っているだけでなく、操作性や耐久性に優れたデザインや部品を採用していることが多く、優先的に購入することにしている。

 特にキーボードやマウスに“慣れるかどうか”は、PCを操作する上でストレスになるかどうかを左右すると筆者は考えている。操作性が良ければすぐに慣れることができるし、耐久性が良ければそれだけ慣れ続けることができ、PCを操作する上でのストレスを大きく軽減できる。よって、筆者はゲーミング向けの製品を積極的に選んでいる。

 その分“価格が高い”のが、ゲーミングデバイスの宿命である。よくデザインされた形状や耐久性に優れた部品を使用しているのだから、それは当然なのだ。

 だが、今回購入したバッファローのSAVIORはわずか1,327円と、5,000円どころか1万円、2万円も珍しくないゲーミングキーボードカテゴリの中では、かなり破格なモデルと言っても過言ではないだろう。

 低価格なのには簡単な理由がある。本製品はキースイッチに、一般的な低価格キーボードと同じメンブレンを採用しているからだ。高価なゲーミングキーボードの多くは、キー各々がメカニカルスイッチとして独立しているものを採用しているため、高価になりがちだが、メンブレン式は製造しやすく、低価格化がしやすい。

 ではどこがゲーミングなのか。まずキートップとハウジングフレームの間に独立したプランジャーを搭載している点が挙げられる。プランジャーによりキートップ一体型の製品と比較して軸の面積が広くなり、ブレが少ない安定した押下が可能となった。このプランジャーには耐摩耗性や摺動性に優れたポリアセタール樹脂を採用しており、500万回打鍵の耐久性を謳っているのも、ゲーミング向けらしい特徴である。

 ゲーミングの機能面では、FPSゲームで使用する左手のキーエリアの一部が、複数キー同時認識に対応している点が挙げられる。一般的なキーボードはマトリックス配列でキーのスキャンを行なうため、縦一列または横一列の複数キー同時押しができず、例えばW/A/S/Dを移動に割り当てている場合、WとDの同時入力ができず右斜前への移動ができない、という状況に陥る可能性もあるのだが、本製品はエリア限定ながらも4キー以上の同時押しが保証されており、ゲームにおいてこういった状況に陥らずに済むわけだ。

 また、専用の「ゲームモード」を備えているのもユニーク。本体右上に「Mode」と書かれボタンがあり、これを押すと3つのゲームモードに入ることができる。左側のLEDが付いた場合はWindowsキーとアプリケーションキーが無効になる。フルスクリーンのゲームをプレイしていて、誤ってWindowsキーを押下してしまい、デスクトップに戻った経験を持つのは、筆者だけではないだろう。

 真ん中と右側のLEDはPS/2接続時のみ有効で、先述のキー無効に加えて、キーリピート速度がそれぞれ1秒あたり50回、120回に向上させる(通常は10回)。連射に割り当てる場合、有効なモードだと言えるだろう。

今回購入したのはAmazonのフラストレーションフリーパッケージ(茶箱)。内容物は本体と説明書、PS/2変換アダプタのみ
キーボードの標準インターフェイスはUSBで、PS/2は変換アダプタを介して接続する
SAVIORのロゴ
プランジャー構造のキースイッチ
ModeボタンでWindows/アプリケーションキーの無効化が可能だ。また、PS/2接続時はキーリピート速度を50/120回に向上させられるモードを持つ
ゴム足は小さいが安定してタイピングできる

 キーピッチは19mm、キーストロークは4mmと一般的だが、キー荷重(押下圧)は公称仕様上62±15gとされておりやや重い。しかし実際タイピングしてみると数値ほど重くないのが印象的で、かなり高速に入力できる。タイピング音は、メカニカルキーが「カチャカチャ」と言った感じなのに対し、本製品は「サクッサクッ」と言った感じで、小気味良い印象だ。この辺りはゲーミングと呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。

 製品情報では特に謳われていないのだが、底面には9カ所の水抜き穴があり、液体がこぼれても本体内には残らないようになっていて、ある程度の耐水性能は備えていると見られる。まあ、本体が安いので、万が一液体をこぼして壊しても痛い出費ではないのだが、歓迎できる仕様ではないのだろうか。

 また、スタンダードなキーボードと比較して上下/左右ともにベゼルが狭く、コンパクトなサイズに収まっており、机の上をより広く使えるのもポイントだ。

 一方で価格相応だと思える部分もある。まずキートップだが、高価なキーボードで一般的なステップスカルプチャ構造を採用していない。このためステップスカルプチャ構造採用のキーボードと比較すると、数字キーやファンクションキーがわずかながら遠い印象だ。特にスタンドを立てない状態だとさらに気になる。ステップスカルプチャ構造を実現するためには、列ごとにキートップを成型する必要があるため高価になるのは必至で、この辺りは致し方ないところだ。

 もう1つは底面に鉄板などが入っていないため、高剛性の鉄板の装備を謳ったキーボードと比較すると「キーの底打ち感」がやや薄い。と言っても鉄板は入っており、よほど強くタイピングしない限りは本体がたわむことはなく、剛性は確保されている。あくまでも価格相応だと感じる要素のうちの1つである。

 そして個人的には、キートップがやや低いのが気になった。製品写真を見るとそこそこ高いキートップで、「Realforceほどあるのかなぁ」と期待していたのだが、実際に届いたものを見ると、確かに上面から覗くとキートップに高さがあるように見えるのだが、側面から見ると「予想より1~2mmほど低いかな?」という印象だ。とは言えストロークは確保されているので、あくまでも見た目の問題である。

 そんなわけで簡単に試用レポートをお届けしたのだが、この原稿を含めて約1週間執筆で使ってみた感じでは、普段Realforceを使い続けている筆者からしても特に不満ない印象。ゲーミング向けではあるものの派手さはなく、純粋に文字入力をするキーボードとしてなんら支障はない。「キーボードを買い換えたいが、予算があまりない」というユーザーには、胸を張ってオススメできる製品だと言えるだろう。

キーは手前から奥まで同一の高さと形状であり、ステップスカルプチャ構造ではないため奥のキーがやや遠く感じる
スタンドを内蔵しており、チルトが可能。チルト時は奥のキーの遠さが多少軽減される
底面に水抜き用の穴が用意されている
上部から見るとキーはそれなりの高さに見えるのだが、実際は思ったより高くない印象

(劉 尭)