山田祥平のWindows 7 ユーザーズ・ワークベンチ

SP1 RCを入れてみる



 マイクロソフトがWindows 7 Service Pack 1(SP1)のRCを公開した。いくつかの環境に導入してみたので、今回は、その様子を紹介することにしよう。

●Windows Update経由でSP1を導入

 SP1の導入には、いくつかの方法がある。マイクロソフトが用意したSP1のダウンロードページには「ダウンロードおよびガイド付き評価プログラムのためのユーザー登録」と、「登録を行なわずにダウンロードする(ガイド付きプログラムを利用しない)」という2つのリンクが用意されているが、公開初日から現在に至るまで、前者はうまく機能しない状況が続いている。

 また、このページにはFAQも用意されているので、導入するのであれば、目を通しておくといいだろう。このFAQによれば、SP1は更新プログラムとしてのみ提供され、Windows 7 RTMと合体した「with SP1 パッケージ」は用意されないということだ。さらに、2011年8月30日から通知を開始し、11月30日にはSP1 RCの使用期限が切れる点にも留意したい。

 前者の方法はうまくいかないが、後者の方法なら、ダウンロードセンターから直接バイナリファイルをダウンロードできる。ただし、ダウンロードのためには、正規の Microsoft Windowsを実行中であるかの確認をパスしなければならない。

 ダウンロード用に提供されているファイルは5種類ある。

1. 7601.17105.100929-1730-3_Update_Sp_Wave1-RC1SP1.1_DVD.iso(1875.2 MB)
すべてのSP1リソースを含むDVDイメージのISOファイル
2. windows6.1-KB976932-X64.exe(865.4 MB)
64bit Windows 7用バイナリ
3. windows6.1-KB976932-X86.exe(514.7 MB)
32bit Windows 7用バイナリ
4. WUSignUpTool_x64.exe(397 KB)
64bit Windows 7のためのWindows Update経由導入準備プログラム
5. WUSignUpTool_x86.exe(402 KB)
32bit Windows 7のためのWindows Update経由導入準備プログラム

 今回は、4と5を使い、手元の32bit環境1台と、64bit環境2台にSP1を導入してみた。32bitはデスクトップ、64bitはノートPCだ。

 ダウンロードした4または5のファイルを実行すると、Windows UpdateでSP1が検出されるようになる。ただし、そのためには、あらかじめ、Windows 7を最新の状態にしておく必要がある。未適用の更新プログラムがある場合には、SP1を検出しないようになっているようだ。

Windows Updateで最新の状態にしてからSP1を導入しよう

 ご存じのように、SPは、過去にリリースされたすべての更新やHotfixが含まれる。だから、2や3のファイルは、サイズ的にもかなり大きくなっている。

 一方、4や5の準備プログラムはサイズも小さいのに加え、SP1を検出しても、必要なファイルだけをダウンロードするようで、ダウンロード容量は、100MBに満たないことに気がつく。つまり、すでに適用されている更新内容については必要ないため、本当に必要な新しい更新のみがダウンロードされて適用されるようだ。

 こうして手元の環境では約70MBのバイナリをダウンロードして更新が始まった。理由はわからないが、32bit版で異様に長時間を要し、1時間近くかかったが、64bit版は20分程度で終了した。

●変更点はわずか

 今回公開されたRCは、文字通り、リリース・キャンディデイト、すなわち、出荷候補版だ。過去のRCがそうであったように、製品版のSP1がリリースされた場合の上書き更新はできない。製品版導入時には、いったん、RCをアンインストールする必要がある。

 SP1を導入すると、Windows Updateの更新履歴に、

・Windows 7 Service Pack 1 Release Candidate Wave 0 (KB976932)

がリストアップされる。このウィンドウ上部のキャプションにあるように、コマンドリンク「インストールされた更新プログラム」をクリックすると、更新プログラムのアンインストール画面に遷移し、ここからRCをアンインストールすることができる。

更新履歴の中にSP1 Wave 0が見つかる
インストールされた更新プログラムの一覧からアンインストールする

 なお、SP1 RC導入時には、一度だけ再起動が必要だった。再起動後のWindows 7は、デスクトップの右下に、「Windows 7 評価コピー。ビルド7601」の文字列が表示されるようになったが、それ以外には、何が変わったのかよくわからない。

デスクトップには評価コピーの文字列が表示されるようになる

ドキュメントによれば、Windows 7においての変更点は、

・サードパーティ製のサーチフェデレーションサービスの強化
・HDMIオーディオデバイスのパフォーマンス改善
・XPSドキュメントのプリント問題改善
・フォルダーオプションにおける「ログオン時に以前のフォルダーウィンドウを表示する」機能のウィンドウ位置、サイズ等の正確な復元
・RRASとIPSecのサポート拡張
・AVXのサポート

となっている。これらに加え、Dynamic MemoryとRemote FXのサポートも追加されるが、これらは、Windows Server 2008 R2 SP1との組み合わせ時に有効になるものだ。なお、変更点等のドキュメントは、英語版ではあるが、こちらに公開されている。

 これらの変更点を見てもわかるように、目に見える変化はほとんどないといっていい。修正してほしいとかすかな希望を持っていたバグもそのままだ。

 例えば、Windows Searchでの検索において、「マウスデバイス」を「デバイス」で検索できない。もちろん「ポインティングデバイス」も見つからない。「マウス・デバイス」と区切り記号を入れたり「マウス デバイス」のようにスペースで区切ったり、あるいは「携帯デバイス」と漢字とカタカナなら分離してくれて大丈夫なのにと、未だに日本語特有のハンディキャップを背負わされている。カタカナ複合語の分かち書きをすることがない日本語では致命的な不具合だが放置されたままなのは残念だ。

「デバイス」という単語を含む4つのファイルがあるフォルダ
このフォルダで「デバイス」をキーワードに検索しても「マウスデバイス」が見つからない

●製品版を待つのがおすすめ

 結論として、今回のSP1に関しては、Windows Updateでの更新をきちんと適用しているのであれば、特に急いで入れる必要はなさそうだ。入れてしまうと、アンインストールなどの手間も必要になるし、それが果たして成功するかどうかも保証の限りではない。マイクロソフトでは2011年第1四半期の製品版提供を目指しているそうなので、おとなしく製品版のリリースを待つのがいいかもしれない。

 ちなみに、手元の3種類の環境に導入して約10日間になるが、特に問題らしい問題は発生していない。