山田祥平のWindows 7 ユーザーズ・ワークベンチ

IE9が来る前に



 マイクロソフトが、これが最後になるというInternet Explorer 9のプラットフォームプレビューを公開、ベータのリリースまであと一歩のところまで来ている。Windows 7の標準ブラウザはIE8だが、IE9が来る前に、IE8の基本的な部分をおさらいしておくことにしよう。

●デフォルトの検索プロバイダーをいつものエンジンに

 RSSやTwitterの普及により、ポータルとしてのWebサイトの役割は、かつてほどの勢いがない。多くのユーザーは検索で記事を見つけ、そのURLをつぶやいたり、ブログに書く。そして、それを見たユーザーがリンクをクリックして記事を読む。検索エンジンのトップページでさえ見ることはあまりない。というのも、検索バーを使った検索で、一気に検索結果の一覧ページを開くことが多いからだ。

 IE8のウィンドウ右上には、検索ボックスが用意されていて、ここにキーワードを入力するだけで検索結果を得ることができる。また、サジェスチョン機能が働き、数文字入れるだけで、第三者による似通った過去の検索キーワードがリストアップされ、入力の手間が軽減されるようになっている。

 デフォルト検索プロバイダーはBingだが、もしGoogleがお好みなら、既定の検索プロバイダーを指定することで、そちらが使われるようになる。検索プロバイダーの指定は、検索ボックス右端の▼をクリックし、ショートカットメニューから「追加のプロバイダーを検索」をクリックすると、アドオンギャラリーのページが表示されるので、そこから任意のアドオンを選べばいい。

 アドオンには、さまざまなカテゴリがあり、左端のリンクからカテゴリを選べるようになっているので「検索」をクリックして、好きな検索プロバイダーを選ぶ。

 ただ、現時点では、アドオン言語を日本語に指定すると、Googleがリストアップされない問題が出ている。ただ、言語をEnglishにすると、Google Search Suggestionsがリストアップされるので、それを選べば問題ない。

たくさんのアドオンが公開されているアドオンギャラリー
アドオンギャラリーではEnglishを指定するとGoogle Search Suggestionsが見つかる

 「アドオンをインストール」ボタンをクリックすると、ダイアログボックスが表示され、追加の確認を求めてくる。このときに「既定の検索プロバイダーに設定する」にチェックをつけて追加することで、デフォルトでその検索プロバイダーが利用されることになる。

 検索プロバイダーは、任意のものをいくつでも追加でき、どんどん追加していくと、検索ボックスをクリックしたときに、追加した検索プロバイダーのアイコンが並ぶようになる。デフォルトのプロバイダーは左端にあって、キーワードを入れてそのままエンターキーを叩けば、そこで検索されるが、アイコンをクリックして、検索プロバイダーを選択することができる。入力するキーワードによって、wikipediaで調べたいとか、Amazonでの買い物がしたいとか、いろいろ目的に応じて検索プロバイダーを選べばいい。また、検索プロバイダーとしては、検索エンジン以外のカテゴリ、たとえば、アルク英語辞典など、リファレンス系のものもある。便利そうなプロバイダーをギャラリーから探してみよう。

検索ボックスのショートカットメニュー。さまざまな検索プロバイダーを追加しておき、用途によって切り替える
検索プロバイダーはアイコンをクリックしても切り替えられる

●アクセラレータは新しいタイプのハイパーリンク

 ギャラリーから探せるアドオンには、検索プロバイダーの他に「アクセラレータ」と呼ばれるものがある。

 アクセラレータは、表示されているページ内のテキストを選択すると、矢印アイコンを表示し、それをクリックすることで、任意のアクセラレータを使うことができる。たとえば、住所を選択してGoogle Mapで表示させるとか、外国語を日本語に翻訳させるなど、さまざまな種類のアクセラレータが用意されている。

 アクセラレータの多くは新たにページを開くことなく、マウスポインタを重ねるだけで、情報をその場にポップアップする。

 また、アクセラレータはページ全体に対しても有効なものがあり、その場合は、ページ内の空白部分を右クリックして、ショートカットメニューから呼び出せばいい。

アクセラレータを追加し、ページ内の文字列を選択して、さまざまな情報が得られる

 アクセラレータにも、いくつかのカテゴリがあり、それぞれのカテゴリごとに既定のものを指定することができ、ショートカットメニュー直下に表示されるようになる。

 こうして、多くの検索プロバイダやアクセラレータを登録していくと、追加したはいいものの、たいして便利ではないから削除したいとか、既定のものを変更したくなったりするものだ。検索ボックスのショートカットメニューから「検索プロバイダーの管理」を選ぶか、アクセラレータアイコンのクリックですべてのアクセラレータを選び「アクセラレータの管理」をクリックすると、アドオンの管理画面が表示される。ここでツールバーや拡張機能、検索プロバイダー、アクセラレータなどを管理することができるので、取捨選択、既定アドオンなどを決めて、自分で使いやすい状態にしておこう。

アドオンの表示と管理画面。検索プロバイダーやアクセラレータの優先順位を変更したり、削除などが行なえる

●超・お気に入りとしてのお気に入りバー

 IE8が紹介されたとき、鳴り物入りでデビューしたのがWebスライスだ。この機能は、Webページの一部を切り取っておき、現在のページから遷移することなく、個別のページ情報をワンタッチで見ることができるというもので、ギャラリーを探せば、けっこうな量のWebスライスアドオンが見つかる。

 Webスライスを追加すると、ウィンドウ上部のお気に入りバーの一項目として表示されるようになり、それをクリックすると情報が表示されるというものだ。

 IE8の公開後、ずいぶん時間が経過したが、残念ながら、個人的に魅力を感じるWebスライスは登場していない。毎日の生活の中で眺めるWebサイトも、それほど積極的に、この機能をサポートしているところはなく、ちょっと残念な結果になってしまっている。ただ、オークションなど、常に、経過を気にしていたいサイトでは、重宝しているユーザーも多いのかもしれない。

 ちなみに、このWebスライスが登録される「お気に入りバー」もIE8で新しく紹介された要素だ。

 IE8のお気に入りは、従来通り、Favoritesというフォルダー名で個人用フォルダーに格納されているが、その中にLinksというフォルダーがある。このフォルダーはシェルフォルダーの一種で、実際には「お気に入りバー」というフォルダーのように見える。

 このフォルダーは、IEのウィンドウ上部に「お気に入りバー」として表示される。IEのお気に入りは、お気に入りセンターとしてウィンドウ左端に固定して表示するか、その都度開いて登録済み項目にアクセスする必要があるが、お気に入りバーは常にウィンドウ上部に表示され、ワンタッチで各項目にアクセスすることができる。日常的に訪問することが多いサイトをここに登録しておけば、いわば「超・お気に入り」として便利に使えるはずだ。

お気に入りバーは超・お気に入り。WebスライスでWebページの一部を切り取って情報を表示することもできるが魅力的な対応サイトが少ない

 お気に入りバーにサイトを登録するには、バーにリンクやアドレスバー先頭のアイコンをドラッグすればいいし、フォルダー階層を作ることもできる。整理するには、個人用フォルダーからお気に入りフォルダーを開き、エクスプローラーで操作したほうがてっとりばやいかもしれない。個人的には、お気に入りバーを使うようになって、本家のお気に入りは、ほとんど使わなくなってしまった。たいていの用事は、検索とお気に入りバーだけですむようになったからだ。

 最後に1つTipsを。IE8では、新規の空タブを開くと、「閉じたタブを開く」「最後に閲覧したセッションを再度開く」というリンクが利用できる。ポータルを開いてリンクをたどる方法でブラウズすることが少なくなると、どうやって行き着いたかよく覚えていないページもあり、それをついうっかり閉じてしまうと、もう一度そのページを開くのに、たいへんな苦労をする。そんなときに、この機能を使えば、比較的容易にさっきのページにたどり着くことができる。覚えておいて損はないはずだ。