山田祥平のWindows 7 ユーザーズ・ワークベンチ

急いでいるときに限って見つからないファイルのありか



 Windows 7の検索機能は、わかりやすくなったといわれてはいるが、実際に使ってみると、Vistaの頃の方が使いやすかったと思われる点もある。詳細検索のようなインタラクティブな要素が少し希薄になっているからだ。今回は、Windows 7の検索がどのように使えるのかを考えてみる。

●キーワード文字列からファイルを探す

 Windows 7の個人用フォルダには、各種の目的別フォルダが用意されている。そのうち、データを自分で保存するとすれば、「マイドキュメント」、「マイピクチャ」、「マイビデオ」、「マイミュージック」といったところだろうか。ファイルの種類に応じてフォルダ分類するというのは、どうにも気に入らないところもあるのだが、ピクチャやビデオはサイズが大きくなりがちだし、ミュージックは基本的に自分が作るものを置くことが少ないので、バックアップなどのことを考えると、まあ、このくらいの緩やかな分類なら許せる範囲かもしれない。

 さて、PCを日常的に使っていると、どんどんファイルがディスクに蓄積されていく。それらのファイルのほとんどは、個人用フォルダ内に保存されることになるだろう。だから、存在するはずの何らかのファイルを探したいというときには、個人用フォルダ以下を探せばいい。いや、探せばいいようにするためにも、本来は、個人用フォルダの外にはファイルを保存すべきではないのかもしれない。

 ファイルの検索時には、ファイルデータ中に含まれる文字列やファイル名を対象としたい場合が多い。Windows 7のフォルダウィンドウには、ウィンドウ右上に検索ボックスが用意されているので、ここに探したい文字列を入力すれば、そのフォルダ以下のフォルダツリーに対して検索が実行されるようになっている。Googleなどの検索エンジンでの検索と同様、スペースで区切って複数のキーワードを入れれば、自動的にAND検索が行なわれる。

 もちろん、ANDだけでなく、OR検索もできる。ブールフィルタと呼ばれる仕組みを利用して、各種の検索ロジックを作ることができる。

・AND
Windows AND 7 「Windows」と「7」の両方が含まれる

・NOT
Windows NOT 7 「Windows」は含まれるが「7」は含まれない。

・OR
Windows OR 7 「Windows」または「7」のいずれかが含まれる。

・引用符
"Windows 7" 「Windows 7」に完全一致。

引用符つきの検索結果。Windows 7だけがヒットしている

・括弧
(Windows 7) 「Windows」と「7」が順序に関係なく含まれている。

引用符がないとファイル名に含まれる7も検索にヒットしていることがわかる

なお、これらのブールフィルタは大文字で入力する必要がある。ただ、記号を含めて1byte、2byte、どちらでも認識してくれるようだ。ちなみに、あるファイルが置かれたフォルダ名は、その中に保存されたファイルのプロパティの1つだ。

ファイルのプロパティを見ると、さまざまな情報が記録されていることがわかる。これらのデータを基に検索ができる
●タグ情報でファイルを探す

 探すファイルに文字列が含まれる場合は特に難しいことを考える必要はなく、適当にキーワードを入れるだけで、目的のファイルが見つかるだろう。だが、音楽や写真といったファイルになるとちょっとやっかいだ。Vista以降、ファイルにはタグがつけられるようになったので、こまめにファイルにタグを付加しておけば、それを基にファイルを探すこともできるのだが、そんなめんどうなことを、きちんとやっているとは限らない。それに、タグなどというものがWindowsで使えるようになる前のファイルだってあるだろう。

 だが、ファイルにはプロパティがある。そして、タグもまた、プロパティの中の1要素だ。

 フォルダウィンドウに表示されているファイルを右クリックして、プロパティを表示させてみよう。プロパティの詳細タブで確認すると、いろいろな情報が入っていることがわかる。たとえば、JPEGファイルであれば、撮影日時や、カメラの製造元、カメラのモデル、絞り値、露出時間など、EXIF情報などが記録されている。音楽ファイルなら、アルバム名や曲のタイトル、アルバムのアーティストといった情報が格納されている。

撮影日付を範囲で指定して検索する。

 これらを基に検索をすれば、フォルダ階層の深いところにあるファイルを含め、フォルダツリー内を根こそぎ調べて、該当するファイルを探し出すことができる。

 プロパティとしてファイルが持っている情報は、検索ボックスへのキーワード入力時に、「プロパティ名:~」という書式で入力すればいい。

 たとえば、撮影日時が2009年6月1日の写真を探したい場合は、

撮影日時:2009/06/01

とする。

 月と日は必ず2桁で入力する必要があるようだ。また、入力してみるとわかるが、「撮影日時:」と入力した時点でカレンダーコントロールが表示され、インタラクティブに日付を指定することもできる。

 日時を範囲で指定したい場合は、

撮影日時:2009/06/01 .. 2009/08/31

と、日付をピリオド2つで区切ればいい。また、不等号を使うことで、

撮影日時:< 2009/06/01
撮影日時:> 2009/06/01

といった記述もできる。「<」 は「~より前」、「>」は「~より後」となる。

 これまでデジカメをたくさん買い換えてきたユーザーなら、たくさんの写真の中から特定の機種で撮影したものだけを並べて見たいこともあるだろう。それも簡単だ。

カメラのモデル:D700

とすれば、ニコンのD700で撮影した写真だけが抽出される。

 通常、ファイル一覧の見出しは、そのフォルダの内容に応じて、適切だと思われるものが表示されているが、例にあげた「カメラのモデル」などは表示されないかもしれない。特定のプロパティを見出しとして表示したい場合は、見出しを右クリックしてショートカットメニューから「その他」をクリックし、「詳細表示の設定」で、表示させたい項目を選択すればいい。

フォルダ内のファイル一覧で確認する項目を指定することで見出しとして表示される

 なお、検索結果に目的のファイルを見つけたら、そのファイルを右クリックして「ファイルの場所を開く」を実行すれば、そのファイルの置かれたフォルダに移動することができる。

●あとで探せるから整理の必要はない

 Windows 7では、検索のスピードを上げるために、保存されたファイルに対してインデックスが作成されている。インデックスを利用して検索が行なわれるため、相当の数のファイルがあっても、待たされた感じはほとんどなく検索結果が得られる。

 コントロールパネルには、「インデックスのオプション」が用意されている。これを開くことでインデックスを作成する対象を確認することができる。既定値では、個人用フォルダ以下は含まれているが、複数のドライブがあって、個人用フォルダ以外にデータを保存しているような場合は、そのドライブもインデックスの作成対象に指定しておいたほうがいいかもしれない。

インデックスのオプションでインデックスを作成する対象を指定できる

 完璧なフォルダツリーを作り、しかるべきファイルはしかるべきフォルダへというのは理想だが、なかなかできるものではない。デスクトップでさえ、何が何だかわからないファイルが散乱していて、どうしようもない状態になっているユーザーは、少なくないはずだ。マイドキュメントとデスクトップ、そして別ドライブの特定フォルダなど、普段、ファイルの置き場所として使っているフォルダが分散している場合には、それらを対象とした自分専用のライブラリを作っておけば、それらのフォルダだけをまとめて串刺し検索することができる。いろいろな工夫で、検索機能を活かしてほしい。