Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ
間近に迫るth2リリースを待ちながら一般向けRTMの問題点をおさらい
(2015/11/11 06:00)
Insider向けプレビューがビルド10586まで達したWindows 10。このビルドはリリースされて4日後にSlow ringのユーザーにも配布されている。デスクトップからはInsider Buildの表記も消え、いよいよ7月29日リリースのRTM(製品版)ビルド10240を置き換える一般向けアップデートに向かって秒読み段階に入っているようだ。
まだまだ課題が多い新ブラウザ Edge
以前のWindowsからWindows 10に移行したことで、もっとも戸惑うのがデフォルトブラウザの変更だろう。ご存知の通り、これまでのInternet Explorer 11は、現役を退き、Edgeが新ブラウザとして使われるようになっている。
プレビュービルドを重ねるごとに新機能が追加され、ようやくまともに使えるようになってきたようにも感じている。ようやくリーディングリストやお気に入りのデバイス間同期がサポートされたり、WiDiによるキャストもできるようになった。
とは言え、IE11でできていたことのうち、できなくなってしまったことも散見される。
なかでも、文字列等を選択した状態でのショートカットメニューの貧しさは実用ブラウザとしては物足りなさを否めない。細かいところでは、「対象をファイルに保存」、「名前を付けて画像を保存」といったこともできなくなっている。いくらなんでもこれはひどいと思っていたが、大丈夫、新しいビルドではちゃんとできるようになっている。これについてはあまりにも要望が多かったに違いない。
それでも何よりも「お気に入り」の整理については致命的なものを感じる。そもそも、OSのファイルシステム内での「お気に入り」は、その場所が隠ぺいされているのに近い状態だ。個人用フォルダには以前通り「お気に入り」があるのだが、それはIEの「お気に入り」であって、Edgeのものではない。
実際には、Edgeのお気に入りは、
<個人用フォルダ>\appdata\Local\Packages\Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe\AC\MicrosoftEdge\User\Default\Favorites
にファイルとして格納されている。appdataは隠しフォルダだから、通常は見えないから大変だ。そのうえ、その表示順序はレジストリデータベースに記述されているという状況だ。しかも、このフォルダに新たに別のお気に入りをコピーしてもEdgeのお気に入りとしては認識されないのだ。これでは、一般的なユーザーには保守させないと言っているのに等しい。
おそらくは、ブラウザというアプリケーションの役割を変えようとしているのではないか。つまり、お気に入りを使ってサイトにアクセスするという行為そのものが、クラシカルなものになりつつあるという点で、良くも悪くもEdgeはモダンブラウザであるということだ。
まだまだ様子見のコルタナ
検索については「コルタナ」に期待を寄せている方も多いかもしれない。一般向けRTM以降、すでにInsider Buildでは日本語版のコルタナも実装され準備は整いつつあるようだ。
Windows 10では、スタートボタンの右側に検索ボックスが用意されている。検索ボックスはデフォルトで表示され、タスクバー上で大きな幅を占有する。画面が狭くて邪魔な場合はこれをボタンとしてのアイコンにすることもできるようになっている。右クリックしてショートカットメニューから変更すればいい。
検索ボックス内に入れたキーワードは、WebとWindows内での検索に使われる。なお、Web検索についてはEdgeに設定したデフォルト検索エンジンにかかわらず、Bingでの検索になるようだ。
コルタナについては、まだ海のものとも山のものとも分からない。日本語版での利用ができるようになり、Insider Previewでは、タスクバーの検索ボタンはコルタナボタンになっている。音声による問いかけも可能で、
「明日の天気は?」
「明日の予定は?」
「来週の予定は?」
といったシンプルなキーワードに対しては、その場で音声付きで回答してくれる。だが、ちょっと複雑な用件、たとえば、
「東京から新宿まで何分?」
と聞いたような場合は、そのキーワードをそのままBingに渡し、Edgeがその検索結果を開くだけだ。これはまだまだ進化の途中で、現時点でつっこんだ評価をするのは時期尚早だ。
ユニバーサルアプリも少しずつ充実
Edgeでは、Webアプリをピン留めもできない。だからこそ期待したいのは各サイトが専用のアプリを出してくれることだ。ちなみに、Windows 10に向けたユニバーサルアプリだが、少しずつ整い始めている。Windows 8時代には箸にも棒にも掛からぬひどい仕上がりだったTwitterの公式アプリも、それなりに使えるようになって登場している。もちろんユニバーサルアプリで、ウィンドウのサイズによってコンテンツ内容の表示レイアウトがレスポンシブに変化するようになっている。ストリームにも対応していて新規のツイートがあるとどんどんスクロールしていく。まだまだ機能が足りないと思うユーザーも多いとは思うが、とりあえずは、ここが出発点ではないだろうか。
Facebook公式アプリもずいぶん変わった。いまだに日本語化されていないのはどうかと思うが、これなら使えるという印象だ。
もっとも、この2つのアプリについては、Windows 10環境でなくても使えるのだが、Windows 10ではフルスクリーンはもちろん、デスクトップで小さなウィンドウにして使うこともできる点で、ユニバーサル化がうれしい。
願わくばフォントの汚さをなんとかしてほしいところで、Windows 7のメイリオに慣れたユーザーには、游ゴシックに慣れるのに時間がかかるかもしれない。もう1つ願わくばフォントサイズの変更にも対応してほしいところだ。もっとも、フォントサイズについては、基本的にシステムに依存する。ところが、Windows 10でも、その柔軟性については改良されていない。多彩なディスプレイサイズ、解像度が乱立するプラットフォームであるだけに、本当なら、このあたりを真っ先に立て直してほしいものだ。
これらサードパーティ製アプリのほか、RTM以降に新たに追加されたアプリとして、メッセージングがある。今のところ「SIM」と「Skype」に対応していて、WAN対応機におけるSMSの送受信と、Skypeの送受信を担っている。いったんはデスクトップアプリのみになったSkypeだが、今後はこのアプリが担うことになるのかどうかも気になる。
少なくとも現時点では、Windows 10 Mobile 用にMessaging Skype Betaが入手できるのだが、Phoneにしかインストールできない。これでは「1つのストア」という公約と違うじゃないかと文句も言いたくなる。
とまあ、いろいろと不満はあるにしても、Windows 8よりは圧倒的にリーズナブルなOSに仕上がっているのがWindows 10だ。3カ月ちょっと常用してきて、目立ったトラブルもなく今日にいたっている。比較のためにメインのデスクトップマシンだけを一般向けRTMのままにしているが、新しいビルドが出るたびに他のマシンを更新し、成長していく様子はけっこう頼もしくもある。だからこそ、もうすぐリリースされそうな通称「th2」と呼ばれる大規模更新には期待を寄せたい。