多和田新也のニューアイテム診断室

アーキテクチャ刷新で登場するハイミドルGPU「GeForce GTX 460」



 NVIDIAは12日、ミッドレンジGPUの新製品となる「GeForce GTX 460」を発表。Fermiアーキテクチャを採用したGeForce GTX 480などの下位モデルにラインナップされるが、グラフィックス描画における電力効率を上げるために、アーキテクチャの見直しを行なっている。メモリ容量の違う2モデルがラインナップされる本製品のパフォーマンスをチェックしてみたい。

●SM構成の見直しとパワーゲーティングの追加がポイント

 今回発表された「GeForce GTX 460」は、今年3月に発表されたGeForce GTX 480/470、6月に発表されたGeForce GTX 465に続く、GeForce GTX 400シリーズの廉価モデルとなる。ミッドレンジGPUに位置付けられているものの、モデル名がGTX 400番台であることから分かるとおり、ハイミドルレンジという表現するのが、より適切な位置付けといえる。

 製品の主な仕様は表1にまとめたとおり。1GBモデルと765MBモデルの2つがラインナップされ、メモリコントローラに付随するスペックが一部異なる。

【表1】各GPUの主な仕様
  GeForce GTX 460 1GB GeForce GTX 460 768MB
プロセスルール 40nm
GPUクロック 675MHz
CUDA Coreクロック 1,350MHz
CUDA Core数(SM数) 336基(7基)
テクスチャユニット数 56基
メモリ容量 1,024MB GDDR5 768MB GDDR5
メモリクロック(データレート) 3,600MHz相当
メモリインターフェイス 256bit 192bit
メモリ帯域幅 115.2GB/sec 86.4GB/sec
ROPユニット数 32基 24基
ボード消費電力(ピーク) 160W 150W
  GeForce GTX 480 GeForce GTX 470 GeForce GTX 465
プロセスルール 40nm
GPUクロック 700MHz 607MHz 607MHz
CUDA Coreクロック 1,401MHz 1,215MHz 1,215MHz
CUDA Core数(SM数) 480基(15基) 448基(14基) 352基(11基)
テクスチャユニット数 60基 56基 44基
メモリ容量 1,536MB GDDR5 1,280MB GDDR5 1024MB GDDR5
メモリクロック(データレート) 3,696MHz相当 3,348MHz相当 3,206MHz相当
メモリインターフェイス 384bit 320bit 256bit
メモリ帯域幅 177.4GB/sec 133.9GB/sec 102.6GB/sec
ROPユニット数 48基 40基 32基
ボード消費電力(ピーク) 250W 215W 200W
  GeForce GTX 285 GeForce GTX 260
プロセスルール 55nm
GPUクロック 648MHz 576MHz
CUDA Coreクロック 1,476MHz 1,242MHz
CUDA Core数(SM数) 240基(30基) 216/192基(27/24基)
テクスチャユニット数 80基 72/64基
メモリ容量 1,024MB GDDR3 896MB GDDR3
メモリクロック(データレート) 2,484MHz相当 1,998MHz相当
メモリインターフェイス 512bit 448bit
メモリ帯域幅 159.0GB/sec 111.9GB/sec
ROPユニット数 32基 28基
ボード消費電力(ピーク) 183W 182W

 とくに注目すべきは、表からも分かるように、アーキテクチャが変更されたことだ。例えば、GeForce GTX 480が使用するチップ(コードネーム:GF100)は、最大16基のSM(Streaming Multiprocessor)を持ち、GeForce GTX 480はこのうち15基、GeForce GTX 465は11基を有効にしている。各SMは32基のCUDA Core、4基のテクスチャユニットを持っており、GeForce GTX 465では、352基のCUDA Core、44基のテクスチャユニットという構成になっている。

 これに対して、GeForce GTX 460はSM数が7ユニット、336基のCUDA Core、56基のテクスチャユニットと、その比率が異なっていることが分かる。ダイサイズや消費電力抑制のために、SMの構成に変化が起きていることが分かる。

 このGeForce GTX 460で使われるチップ(コードネーム:GF104)のブロックダイヤグラムを示したのが図1である。見ての通り、SM内に48基のCUDA Core、8基のテクスチャユニットを有しており、1ユニットのジオメトリ処理(テッセレーション)エンジンであるPolyMorph Engineを備える。このSMを4基単位としてラスタライズエンジン(Raster Engine)を加えてGPC(Graphics Processing Cluster)を構成する点は、GF100に似ている。

図1 GF100とGF104のブロックダイヤグラム。単純な換算ではGF100が1.6倍な高速ということを示している

 NVIDIAでは、このGF104をミッドレンジのグラフィックスパフォーマンスに注力した設計であるとしている。SM数を8基へ減らしつつも、シェーダやテクスチャ処理に必要なリソースを確保することで、ダイサイズと性能のバランスをとっているのである。GeForce GTX 460では、この最大8基のSMのうち、7基のみを有効にさせている。

 L2キャッシュ、ROP、メモリコントローラ周りは、GF100の768KB L2、ROP 48基、384bitインターフェイスに対して、512KB L2、ROP 32基、256bitインターフェイスと、削減はされているが比率は変わっていない。L2キャッシュはGF100と同じく、リード/ライトが可能だ。GeForce GTX 460では1GBメモリモデルがフルスペック、768MBメモリモデルは384KB L2、ROP 24基、192bitインターフェイスとなる。

 動作クロックはコアが675MHz、シェーダユニットが1,350MHzとなっており、GeForce GTX 465を上回る。メモリクロックもデータレートベースで3,600MHz(実クロック900MHz)。メモリ帯域幅は1GBメモリモデルが115.2GB/sec、768MBメモリモデルが86.4GB/secと、1GBメモリモデルではGeForce GTX 465の102.6GB/sec以上の広帯域を確保している。

 そのほかの面では、パワーゲーティングを追加することで消費電力の抑制も図っており、とくにアイドル時の消費電力低下に期待が持てる。一方で、GPUコンピューティング用途でニーズが高いということで、GF100(Fermi)で採用されたECCメモリサポートは削除されている。

【画面1】GPU Caps Viewerの結果によると、GeForce GTX 465のCompute Capabilityは「2.1」となっており、GF100の「2.0」とは異なるバージョンになっている

 CUDA周りの仕様を規定するCompute Capability(CC)は「2.1」となっている(画面1)。GeForce GTX 480/470/465(つまりGF100)はCC2.0である。CC2.1についてNVIDIAに問い合わせたところ、

The compute capability is indeed called 2.1 (versus 2.0 in GF100), but it’s the same program functionality as Compute 2.0 spec. The newer version number simply tells the complier to optimize for GF104 SM design.

という回答をもらった。要するに「GF100のCC2.0と同じ機能を持つが、SMのCUDA Core数などが変化したことによるコンパイラの最適化に適応させたもの」ということで、プログラムモデルとしての変更はないという解釈でよいだろう。

●ボード長が短縮されたリファレンスボード

 今回のテストにあたっては、NVIDIAから1GBモデル、768MBモデルのリファレンスボードを借用。さらに、MSIコンピュータジャパンからも768MB版の搭載製品を借用している。まずはリファレンスデザインを中心に、搭載ボードの特徴をまとめておきたい。

 まず、1GBモデルと768MBモデルのリファレンスデザインは外観上に大きな違いはなく、裏面にも目立った違いは見られない(写真1、2)。

【写真1】GeForce GTX 460のリファレンスボード。左が1GBモデル、右が768MBモデルだが、ファンに貼られたシール以外に見た目に違いはない 【写真2】裏面も目立った違いはなく、768MBの実際にはメモリ実装がない部分にもコンデンサなどが実装されている

 ボード末端部には6ピンの電源端子を2基備えている(写真3)。先掲の表のとおり、ピーク消費電力は1GBモデルが160W、768MBモデルが150Wとなる。150WならばPCI Expressからの75Wに6ピン1系統から供給できる75Wで十分な計算となるが、この点についてはNVIDIAは、オーバークロック用途を想定して、リファレンスデザインレベルで6ピン×2の構成になっていると説明している。

 ブラケット部はDVI-I×2とMini HDMIの構成で、上位のGeForce GTX 480などと同じ(写真4)。同時出力が2系統までとなる点も同様だ。

 ボード長は8.5インチ(約216mm)となっている。上位モデルのGeForce GTX 465や、前世代の同価格帯製品であるGeForce GTX 260などと比べても短めだ(写真5)。AMDの同価格帯製品となるRadeon HD 5830はGeForce GTX 465と同程度であり、GeForce GTX 460のボードの短さは、このクラスにおける本製品の特徴といっていいだろう。

【写真3】電源端子は両モデルとも6ピン×2の構成 【写真4】ブラケット部も両モデル共通。DVI-I×2とMini HDMIの構成になっている 【写真5】左からGeForce GTX 460、GTX 465、GTX 260、GTX 285。8.5インチ(約216mm)のGeForce GTX 260のボード長の短さが分かる

 先述のとおり外観の違いが小さい1GBモデルと768MBモデルだが、メモリインターフェイスの仕様が異なることから分かるとおり、メモリ枚数は異なる。前者が8枚(32bit×8)、後者が6枚(32bit×6枚)となる(写真6、7)。メモリはいずれもSamsungの0.5ns品が使用されていた(写真8)。

【写真6】リファレンスデザインの1GBモデル。メモリチップを8枚実装するのが特徴。GF104チップ上には「GF104-325-A1」とプリントされている 【写真7】こちらは768MBモデルのリファレンスデザイン。メモリチップは6枚。GF104チップ上は「GF104-300-KC-A1」とプリントされており、1GBモデルと異なっている 【写真8】メモリは両者とも共通で、Samsungの0.5ns/1Gbitチップ「K4G10325FE-HC05」が採用されていた

 リファレンスデザインのクーラーは、銅ベースが埋め込まれたアルミダイキャストのヒートシンクを中心に、そこから伸びるヒートパイプとアルミファンを組み合わせたもので、新たなデザインのものだ(写真9)。

 ファンは80mm角ファンの軸流ファンとなっており、2スロット占有タイプの化粧カバーを備えてはいるものの、ブロアタイプのファンではないことに注意を要する。

 MSIコンピュータジャパンから借用した768MBモデル「N460GTX CYCLONE 768MB」は、オリジナルクーラーを採用したモデルとなるが、ヒートシンクはダイキャストとフィンを組み合わせたリファレンスにデザインに近い構造で、それを一回り大きくしたようなデザインのGPUクーラーとなっている(写真10)。

 このN460GTX CYCLONE 768MBのメモリも、8枚分のパターンのうち2枚を省く格好で768MBを実現しているが、リファレンスデザインとは異なる位置のメモリが省略されている(写真11)。

【写真9】GPUクーラーも新開発のもので、銅ベースとアルミダイキャストを一体化した部分、銅ベースから伸びるヒートシンクとアルミフィンという構造になっている 【写真10】MSIの「N460GTX CYCLONE 768MB」のオリジナルクーラーを採用したOCモデル。クーラーがリファレンスデザインを大型にしたような構造 【写真11】省略されるメモリの位置がリファレンスデザインとは異なっていることが分かる

 テストに当たっては、1GBモデルのテストはリファレンスデザイン、768MB版のテストはMSIのN460GTX CYCLONE 768MBを用いることとした。1GBモデルは当然定格クロックで動作している(画面2)。N460GTX CYCLONE 768MBはコアクロックとシェーダクロックがオーバークロックされたものであるため、MSIのオーバークロックツール「Afterburner」を用いて定格クロックに下げた状態でもテストを行なっている(画面3、4)。

【画面2】1GB版リファレンスボードにおけるNVIDIA Control Panelの表示。定格動作であることを確認できる 【画面3】MSIのN460GTX CYCLONE 768MBは、コアクロックと、それに同期するシェーダクロックがオーバークロック状態になっており、コア727MHz、シェーダ1,455MHzで動作している 【画面4】テストでは定格クロックへ引き下げた状態でもテストを行なう

●2万円前後の製品を中心に比較

 それではベンチマーク結果の紹介に移りたい。テスト環境は表2に示したとおり。GeForce GTX 460は768MBが199ドル、1GBモデルが229ドルとされており、おおよそ2万〜3万円あたりでの登場が予想されるので、比較対象もこの価格帯を中心に揃えた。GeForce GTX 285やRadeon HD 5850は若干上のクラスの製品といえるが、性能面での差を見る参考に加えている。

 テストに使用した製品は、MSIコンピュータジャパンから借用した、写真12〜16の製品である。一部にオーバークロックモデルが混じっているが、比較対象製品については、いずれも定格へとダウンクロックして使用している。GeForce GTX 460 768MBモデルについては先述のとおり、N460GTX CYCLONE 768MBのデフォルトクロック(つまりOC状態)と、定格へダウンクロックした2パターンを測定した。

 ドライバは、NVIDIA製品についてはGeForce GTX 460のテスト用に配布されたβドライバを使用。AMD製品についてはテスト時点で最新の公式ドライバであるCATALYST 10.6を使用している。

 テストについては、今回よりDirectX 11対応タイトルを多めに採用した。代わりにDirectX 10/9世代のベンチマークは以前より減らしている。DirectX 11対応タイトルについては、DirectX 11対応製品でのみテストしている。

 解像度やフィルタの条件は、原則として1,680×1,050/1,920×1,200ドット、それぞれに4xアンチエイリアス(AA)、16x異方性フィルタリング(AF)を適用した、計4パターンを測定。基本的には各タイトルで設定可能な最高クオリティを指定しているが、AA/AFの適用が反映されないタイトルや、ミッドレンジGPUにおいて極端にスコアが落ち込むようなテストについては例外を設けており、そのあたりは各テストのコメントで補足する。

【表2】テスト環境
ビデオカード GeForce GTX 460(1GB)
GeForce GTX 460(768MB)
GeForce GTX 465(1GB)
GeForce GTX 285(1GB)
GeForce GTX 260(896MB)
Radeon HD 5850(1GB)
Radeon HD 5830(1GB)
グラフィックドライバ GeForce Driver 258.80β Catalyst 10.6
CPU Core i7-860(TurboBoost無効)
マザーボード ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55 Express)
メモリ DDR3-1333 2GB×2(9-9-9-24)
ストレージ Seagete Barracuda 7200.12 (ST3500418AS)
電源 KEIAN KT-1200GTS
OS Windows 7 Ultimate x64

【写真12】GeForce GTX 465を搭載する「N465GTX-M2D1G 【写真13】GeForce GTX 285を搭載する「N285GTX-T2D1G 【写真14】GeForce GTX 260を搭載する「N260GTX-T2D896J-OC」。216SPのOCモデルで、定格へダウンクロックして使用
【写真15】Radeon HD 5850を搭載する「R5850-PM2D1G 【写真16】Radeon HD 5830を搭載する「R5830 Twin Frozr II

 ではDirect X11対応タイトルのベンチマークから結果を紹介していきたい。まずは「Alien vs. Predator DirectX 11 Benchmark」(グラフ1)である。本アプリケーションは設定ファイルをアレンジすることでクオリティ設定が可能で、最高クオリティになるようファイルに記述。テッセレーションも有効にしている。

 結果は、Radeon勢が良好な結果になった。AA/AFを適用しない状態はとくにRadeon勢の優位性が出ているが、AA/AFを適用した場合には、GeForce GTX 460がRadeon HD 5830を上回る結果となったのはポイントになるだろう。

 GeForce GTX 460とGTX 465の比較でも、AA/AFを適用しないときはGTX 465に対して分が悪い結果だが、AA/AFを適用した場合は互角のフレームレートを出している。とくにAA/AF時に1GB版の性能が良好でOC状態の768MB版をも上回る結果となっているが、これはメモリ帯域幅、ROPの性能差と見ていいだろう。

【グラフ1】Alien vs. Predator DX11 Benchmark

 「BattleForge」(グラフ2)はDirectX 11タイトルではあるが、テッセレーションは使われていない。比較対象GPUに対しての性能差は、程度に違いはあるものの、大局的にはAlien vs. Predator DirectX 11 Benchmarkに近い。ただし、GTX 460間の差では、オーバークロックされた768MBが良好な結果となっている。

【グラフ2】BattleForge

 「Colin McRae: DiRT 2」(グラフ3)の結果は、GeForce GTX 460の良さが発揮された結果となった。上位モデルになるGeForce GTX 465やRadeon HD 5850をも上回る結果を見せているのは好印象だ。

 GTX 460同士の比較では、定格クロック同士では1GB版と768MB版の差が大きいが、768MBのOCモデルと1GB版の比較ではAA/AF非適用時にほぼ同等いう結果が出ており、メモリ帯域幅などの差を相殺できている。

【グラフ3】Colin McRae: DiRT 2

 「Stone Giant DirectX 11 Benchmark」(グラフ4)は、アプリケーション側にAAの設定がなく、ドライバによる指定でもAAが適用されなかった。参考までにアプリケーションのテッセレーションクオリティを変えることで4パターンのテストを実施している。

 ここはGeForce勢が良好な結果を見せている。GeForce GTX 460とGTX 465の比較では、テッセレーションクオリティを高めた際に、GTX 465に優位性のある結果が出ている。PolyMorph EngineやRaster Engineが充実しているGTX 465の良さが出たのだろう。

【グラフ4】Stone Giant DX11 Benchmark

 「Unigine Heaven Benchmark 2.1」(グラフ5)はテッセレーションクオリティを最高クオリティのExtremeから一段落として、Normalに指定してテストを行なっている。

 結果はやはりGeForce勢が良好だ。Stone Giantもそうだが、テッセレーションの比重が大きめのタイトルでは、ジオメトリ処理のパフォーマンスに優れるFermiアーキテクチャの優位性が出るといえるだろう。

 一方でGeForce同士の結果はAA/AF非適用時はGeForce GTX 465が良好だが、AA/AFを適用するとその優位性がなくなる傾向となった。このあたりは、AA/AFを適用することでテクスチャユニットやMSAAの適用によるROPへの負担が高まり、PolyMorph Engineの優位性が薄まったものとみられる。

【グラフ5】Unigine Heaven Benchmark 2.1

 ここからはDirectX 10/9世代のベンチマークである。まずは「3DMark Vantage」(グラフ6、7)の結果だ。この世代のタイトルだと、ハードウェア面ではジオメトリ性能の差は小さく、ピクセルシェーディングやテクスチャ処理、ROPやメモリコントローラ周りの仕様差などが色濃くなる。GraphicsテストにおいてはRadeon勢が良好な結果となっているが、Radeon HD 5830に対してはAA/AF適用時にGeForce GTX 460が差を逆転する結果となっている。

 GeForce間の差では、GeForce GTX 460が良好な結果で、GeForce GTX 200世代からの差はもとより、アーキテクチャ改良によるテクスチャ処理性能向上などが貢献してGeForce GTX 465に対しても優位に立った。

 Feature Testの結果はピクセルシェーダ処理を中心にRadeon勢の良さが光るが、ジオメトリ処理やメモリアクセス速度の影響が強いテストではGeForce GTX 400勢が健闘する、善し悪しがはっきり分かれる結果となっている。

【グラフ6】3DMark Vantage Build 1.0.2 (Graphics Score)
【グラフ7】3DMark Vantage Build 1.0.2 (Feature Test)

 「BIOHAZZARD 5 ベンチマーク」(グラフ8)は、CPUによるボトルネックも発生しているが、GeForce GTX 260とRadeon HD 5830は、テスト対象GPUの中でははっきり劣る結果が出ている。

 解像度が高まるとGeForce GTX 285やRadeon HD 5850が良好な結果を見せており、このタイトルにおけるGPUの適性という面では、これらのGPUが良好だ。ただ、GeForce GTX 465に対しては、GTX 460の1GBモデルや768MBのOCモデルがまずまず健闘している。768MB版の定格動作時はそれらに比べるとやや劣る結果となっている。

【グラフ8】BIOHAZZARD 5 ベンチマーク

 「Crysis Warhead (Patch v1.1)」(グラフ9)はRadeon HD 5850が頭一つ抜け出した格好であることが目立つ。逆にGeForce GTX 260はワンランク落ちる結果だ。

 GeForce GTX 460は1GB版の結果がまずまずで、GeForce GTX 465やGTX 285を上回る結果を見せている。768MBはOCモデルこそ1GB版に迫る結果であるが、AA/AFを適用すると差が開いており、メモリ/ROPの仕様差の影響が出ている。

【グラフ9】Crysis Warhead (Patch v1.1)

 「Far Cry 2 (Patch v1.03)」(グラフ10)は、GeForce GTX 460がかなり良い結果を見せた。768MB版の定格動作こそGeForce GTX 465を下回る結果が出ているものの、1GB版や768MB版のOCモデルが好結果。とくに興味深いのは768MBのOCモデルがAA/AF非適用時に1GB版を上回る結果を見せたことで、シェーダとテクスチャ処理のバランス次第では、こうした結果が生まれる場合があることを示す一例になっている。

【グラフ10】Far Cry 2 (Patch v1.03)

 「Tom Clancy's H.A.W.X」(グラフ11)の結果もGeForce GTX 460がまずまずの結果となった。AA/AF非適用時こそ比較対象製品と同等レベルにあるが、AA/AFを適用した場合には優位性が際立つ。ここでは、AA/AF適用の有無にかかわらず、768MB版のOCモデルが良好な結果を見せた。

【グラフ11】Tom Clancy's H.A.W.X

 「Unreal Tournament 3 (Patch v2.1)」(グラフ12)は、ほかとちょっと異なる傾向の結果が出ており、ここはGeForce GTX 285が良好な結果を見せている。GeForce GTX 460は1GBモデルがRadeon HD 5850と同等か、やや良い傾向にある。全体としてはメモリ帯域幅、テクスチャ処理の性能差が出た格好となっており、DX9世代のアプリケーションを楽しむ際の1つの参考になるのではないかと思う。

【グラフ12】Unreal Tournament 3 (Patch v2.1)

 「World in Conflict」(グラフ13)は、AA/AFを適用しない状態では、ややCPUボトルネックが出ているが、WUXGAの結果から見られるとおり、Radeon HD 5850が良好な結果となっている。

 AA/AFを適用した場合は、ROPおよびメモリ帯域幅の善し悪しが色濃くなっており、GeForce GTX 460 1GB版、GTX 285、Radeon HD 5850の三つ巴といった雰囲気になる。GTX 460の768版はメモリ帯域幅の狭さが響いて、やや劣る形勢になっている。

【グラフ13】World in Conflict (Patch v1.011)

 最後に消費電力の測定結果である(グラフ14)。DirectX 11対応タイトルのテストを増やしたこともあり、消費電力テストの対象タイトルもこれまでの記事とは変えている。

 結果は、負荷をかけた場合はRadeon HD 5850を上回る消費電力となるが、アイドル時は逆にRadeon HD 5850を下回っている。他のGeForceと比べてもアイドル時の消費電力の低さは目立っており、パワーゲーティング追加が功を奏したと見ていいだろう。さらに、GeForce GTX 465に対しては、高負荷時の消費電力も差が非常に大きく、GF104という新チップの良さが出ている。

 1GB版と768版では定格動作同士では前者が多少高い電力となるが、OC版では同程度。定格とOC時の差はそれほど大きくなく、おそらくGPUにかける電圧は上げずにOCモデルを実現しているのだろう。

 GeForce GTX 460についてはOCモデルの話をいくつか耳にしている。あくまでMSI製品の結果ではあるものの、OCモデルでも消費電力の極端な上昇がないことには好印象を受ける。

【グラフ14】各ビデオカード使用時のシステム消費電力

●G92の再来を思い出させる下剋上チップ

 以上のとおり、ベンチマークテストを実施した。定格動作に関しては、1GB版と768MB版の間には目立って性能差が出ており、両者は異なる性能傾向を持つ製品と捉えて良い。もちろん性能重視であれば1GB版を狙うべきだ。

 他製品との比較においては得手不得手があるものの、GeForce GTX 465に対しては1GB版は同等以上だが、768MBはGTX 465をやや下回る当たりの性能といえる。GeForce GTX 285に対しては、GTX 460優勢の結果も多く、優劣はタイトル次第といった印象だ。

 一方、価格面で前世代に当たるGeForce GTX 260に対しては、かなり優位性ある結果となっており、1GB版、768MB版ともに差は大きい。この価格帯の製品を渡り歩くことを考えるなら、魅力的なアップグレードパスといえる。

 Radeon勢に対してはさらに得手不得手があるが、Radeon HD 5830に対しては優位性ある結果が多い。すべてのゲームタイトルに当てはまるとは言えないが、大局的には1GB版、768MB版ともにこれを上回るといっても差し支えないだろう。

 むしろ文中でも多く言及したRadeon HD 5850との比較で、勝る結果もあったことが大きな意味を持つと思う。とくに1GB版はRadeon HD 5850を上回る結果が少なくない。GeForce GTX 460は1GB版が229ドルとされており、国内相場は25,000円前後が予想される。3万円前後のRadeon HD 5850を上回る結果が少なくないことは、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとって魅力になるのではないだろうか。

 Fermi世代のGeForceとしては、先にGeForce GTX 465というミッドレンジモデルが登場し、新チップでGeForce GTX 460というモデルが登場したわけだが、この新チップが今回のテストにあるようなグラフィックスのテストにおいて好結果をもたらしたことになる。消費電力の面でも、GTX 465に対して優位性がある。

 この構図は、G80が登場したのちに、マイナーチェンジ版といえるG92が出たことを思い出させる。G92もG80に対して良好な素行だったことで、G80は終息し、G92を採用した多くの製品が登場。長期に渡って使われる、NVIDIAにとっては孝行息子といえるチップになった。

 最大で8SMということで、G92のように上位モデルであるGF100を完全に凌駕できる仕様ではないものの、GF100を使ったミッドレンジであるGTX 465に対しては、このクラスで重視されるダイサイズ(≒コスト)、性能、消費電力のバランスにおいてGTX 460の良さが光っており、GTX 465は立場を失った格好だ。その点では1つの下剋上が達成されたといって差し支えない。

 何かと消費電力の大きさが話題になることが多いGF100採用製品に対し、電力効率が改善されたミッドレンジGPUとして、GeForce GTX 460は存在感のある製品になりそうだ。