瀬文茶のヒートシンクグラフィック

ZALMAN「FX100」

~キューブ形状のファンレス製品

 今回は、キューブ形状が特徴のZALMAN製ファンレスCPUクーラー「FX100」を紹介する。購入金額は8,980円だった。

ファンレスでTDP 95Wの発熱に対応

 ZALMANのFX100は、ファンレスでの運用を想定して設計されたCPUクーラーだ。自然対流による空気流動に最適化したというヒートシンクは、直方体形状のユニークなデザインを採用している。このレイアウトの採用により、FX100はファンレス動作でTDP 95WまでのCPUに対応している。

 FX100のヒートシンクは、合計10本の6mm径ヒートシンクを備えているのだが、CPUに接するベースユニットに接続されているヒートパイプは4本のみで、残りの6本はキューブ形状の放熱ユニット内に配置されている。ベースユニットから伸びるヒートパイプと放熱ユニットが備えるヒートパイプを接続することにより、外周部への熱輸送を補助するという設計だ。ヒートシンクの形状もさることながら、ヒートパイプ同士を直接接続して熱の拡散を促進するという設計も大変珍しい。

 キューブ状の放熱ユニットの中心部は空洞になっており、その部分には2ブロックの放熱ユニットが、小型のサイドフローヒートシンクのような形で配置されている。FX100はファンレスでの運用を想定して設計されたヒートシンクだが、この箇所に92mmファンを搭載することにより、TDP 130W以上の発熱に対応する。なお、搭載可能なファンは、リブなしフレーム採用の92mm角25mm厚ファンで、専用の金属クリップを用いてヒートシンクに固定する。

オプションで92mmファン(別売り)を搭載可能
ファンは本体中央部に埋め込む形で配置する

 周辺パーツとの干渉については、拡張スロットとの干渉を回避することを目的として、ベースユニットがオフセット配置されているため、約156mm四方という占有面積にも関わらず、拡張スロットとの干渉問題は起こりにくい。今回、検証を行なったASUS MAXIMUS V GENEとの組み合わせでも、拡張スロットとの干渉は発生しなかった。

 もっとも、拡張スロットとのクリアランスが確保されている一方で、メモリスロットの上空にヒートシンク本体が被るなど、周辺パーツとの物理的な制約が存在しないわけではない。拡張スロットとの干渉を回避するためにベースユニットをオフセットした結果、マザーボードのレイアウト次第では、ヒートシンクがマザーボードから大きくはみ出す格好になってしまう。周辺パーツだけでなく、組み合わせるケースやマザーボードのレイアウトにも注意したい。

冷却性能テスト結果

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回の検証では、Core i7-2600Kの定格動作に近い3.4GHz動作時のファンレス動作検証に加え、X-FANの92mmファン「RDL9025S-PWM」を搭載した際のデータを取得した。

 テストの結果、今回の条件では、ファンレス状態のFX100で、3.4GHz動作のCore i7-2600Kを94℃以下の温度に抑えることはできなかった。動作中の温度を見ていると、98℃前後で温度上昇は止まっていたので、ストレステストほど極端な高負荷を掛けるわけでなければ、自然対流のみという状況でもファンレス動作を狙える可能性はありそうだ。

 ファン搭載時の結果に目を移すと、3.4GHz動作時は65~75℃と、CPU付属クーラーより10~20℃低い温度を記録している。また、発熱量の増大するオーバークロック動作では、4.4GHz動作時に76~93℃を記録してテストを無事完走し、4.6GHz動作時も約2,100rpm動作となるフル回転時に93℃を記録するという結果となった。さほど優秀なパフォーマンスとは言えないが、ファンレス動作が達成できなかった際の逃げ道としては十分な性能と言ったところだろう。

保険つきでファンレスの夢を追えるヒートシンク

 TDP 95W級のCPUを搭載しながら、完全ファンレスPCを目指すのはなかなか困難である。CPU単体では問題がなくても、ケースに収めてみると、ビデオカードやHDDなどによってケース内温度が上昇し、上手く放熱が行なえないことも起こり得る。そのような場合でも、92mmファンを搭載することでCPU付属クーラーより高い冷却能力を発揮できるFX100は、保険付きで完全ファンレスの夢を見ることができるヒートシンクだ。

 単にPCの静音動作を目指すのであれば、冷却性能の高いヒートシンクに低速回転の120mmファンを搭載するのが手っ取り早く確実だが、静音を超えて無音を目指すと言うのであれば、FX100は候補に加えたいヒートシンクの1つだ。

 ファンの搭載を前提としてFX100を選ぶというのは、コストや冷却性能面では推奨できないが、趣味として自作PCを愉しむのであれば、FX100のユニークな外観を活かして、見て愉しむPCを目指してみるのも面白い。FX100は、冷却パーツとしての実用一辺倒なヒートシンクとは対極にある、自作PCを趣味として愉しむためのヒートシンクなのである。

ZALMAN「FX100」製品スペック
メーカーZALMAN
フロータイプファンレス/サイドフロー
ヒートパイプ6mm径×10本
サイズ(ヒートシンクのみ)156×156×157mm(幅×奥行き×高さ)
重量770g
対応ファン92mm角25mm厚ファン(リブなしフレーム)
対応ソケットIntel:LGA 775/1155/1156/1366/2011 AMD:Socket AM2系/AM3系、Socket FM1/FM2

(瀬文茶)