瀬文茶のヒートシンクグラフィック

Noctua NH-D15

〜約4年半ぶりの登場となるNoctuaブランドの旗艦モデル

 今回は、NoctuaのハイエンドCPUクーラー「NH-D15」を紹介する。購入金額は15,854円だった。

NH-D14の後継となる新フラッグシップ

 Noctua NH-D15は、2009年12月に登場以来、長らくNoctua製CPUクーラーのフラッグシップモデルであった「NH-D14」の後継となる製品である。約4年半ぶりのモデルチェンジとなるNH-D15は、NH-D14と同じく、2ブロックの放熱ユニット間にファンを配置する、ミッドシップレイアウトのサイドフローCPUクーラーであり、2基の140mm径ファンを備える大型CPUクーラーである。

 ヒートシンク本体は、銅製ベースプレートを備えたベースユニットと、1ブロックあたり45枚、2ブロック合計90枚の放熱フィンからなる放熱ユニット。そして、両ユニット間の熱輸送を担う6本の6mm径ヒートパイプで構成されている。それぞれのユニットの接続部は、熱を伝えやすいよう、ロウ付けされている。また、ヒートシンク全体にニッケルめっきが施されており、銀色で統一感のある外観となっている。

 NH-D15が備える2基のファンは、Noctuaブランドの140mmファンNF-A15 PWM。PWM制御によって300rpm(±20%)〜1,500rpm(±10%)の範囲で調整可能となっている。ちなみに、NoctuaはケースファンとしてNF-A15 PWMを単品販売しているが、PWM制御で調整可能な回転数が300rpm(±20%)〜1,200rpm(±10%)となっており、NH-D15の付属品とはスペックが異なっている。

 ファンの取り付けは、専用の金属製ファンクリップを用いて行なう。140mm径ファンであるNH-A15 PWMのフレームは、120mm角ファンと同じ位置にねじ穴を備えている。25mm厚タイプの120mm角ファンや、120mm角ファンと同じ位置にねじ穴のある140mm径ファンであれば、市販のケースファンも取り付けることができる。ただし、ファンクリップの形状が、NF-A15 PWM向けに最適化されているため、140mm径ファンの場合、フレームの形状によっては取り付けられない場合もある。

NH-D15本体
リテンションキット
その他の付属品。ファン用のアクセサリとして、電源分岐ケーブル、静音化アダプタのほか、2基のファンのうち1基をケースファンとして利用するためのスクリューナットとゴムブッシュまで同梱されている
付属ファン Noctua NF-A15 PWM。単品販売されているものとは多少スペックが異なる
ファンの固定には金属製のファンクリップを用いる
ヒートシンク正面。シンメトリー形状となっており、特にベースユニットの位置調整は行なわれていない
ヒートシンク側面。放熱ユニット下方のフィンを削っており、メモリスロット上空に大きなクリアランスを作っている
メモリスロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)

 NH-D15では、メモリスロット上空に140mm径の大口径ファンが被るため、標準のデュアルファン構成では、大型ヒートスプレッダ搭載メモリとの組み合わせは厳しい。ファンの取り付け位置は上下に調整可能だが、よほど横幅に余裕のあるPCケースでない限り、ファンの取り付け位置を上にずらしてメモリとの干渉を回避するという手段は使えない。

 大型ヒートシンク搭載のメモリと組み合わせるのであれば、シングルファンで運用するというのが、NH-D15の設計だ。ヒートシンク中央部のファンのみで運用すれば、相当に大型のヒートシンクを搭載したメモリであっても取り付けることができる。

 拡張スロットとのクリアランスについては、ASUS MAXIMUS V GENEとの組み合わせでは、最上段の拡張スロットにヒートシンクが被る結果となった。以前紹介した、Thermalright Silver Arrow IB-Eのような回避策は取られていないため、組み合わせるマザーボードのレイアウトには注意したい。

冷却性能テスト結果

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定し、それぞれ負荷テストを実行した際の温度を測定した。

 定格動作クロック相当の3.4GHz動作時の結果は50〜64℃となっており、CPU付属クーラーより21〜35℃低い結果となった。オーバークロック動作時については、4.4GHz動作時に64〜85℃を記録し、4.6GHz動作時はPWM制御50%設定で78℃、100%設定で73℃を記録した。なお、4.6GHz動作時のPWM制御20%設定については、CPU温度が94℃を超えたためテストを中止している。

 全ての設定でテスト完走とはならなかったが、完走できなかったPWM制御20%設定時のファン回転数は、約350rpmと非常に低い。この回転数を考慮すれば、4.6GHzという高発熱な設定で冷やしきれないことは大きな問題ではない。50%設定と100%設定の結果を見れば、Noctuaのフラッグシップモデルとして、他社のフラッグシップモデルと張り合えるだけの冷却性能を持っていることは明らかだ。

 動作音については、PWM制御20%設定時は、耳を近づけても軸音や風切り音は気にならず、ほぼ無音と言って良いレベルだった。50%設定時は多少風切り音がするようになるが、ケースに収めてしまえば気にならない程度だ。100%設定時は流石に風切り音が大きくなるため、よほど高発熱なCPUを利用しない限り、50%制御以下での利用がおすすめだ。

【お詫びと訂正 14:40】初出時、グラフ内の製品名とファンの回転数が誤っておりました。お詫びして訂正いたします。

静粛性に優れたNoctuaらしいハイエンドCPUクーラー

 2009年に登場した製品としては、非常に完成度の高い製品であったNH-D14。その後継製品として、高いレベルが期待されるNH-D15だが、冷却性能や使い勝手の面で、期待を裏切らない製品に仕上がっている。純粋に冷却性能だけで評価するのであれば、最高の選択肢というわけではないが、静粛性という面において、他社のフラッグシップモデルを一歩リードしており、Noctuaのフラッグシップモデルに相応しい製品であると感じた。

 オーバークロックなどで発熱が増したCPUを、より静かに冷やしたいという要求に対する、最上級の解となる製品と言えるNH-D15だが、導入にあたってもっとも大きな壁となるのは、約16,000円という実売価格だろう。ここまでの価格となると、もはや、実用性やコストパフォーマンスを考慮して選ぶ製品ではない。ブランドの旗艦モデルとして、最高を求めるユーザーのための製品なのである。

Noctua「NH-D15」製品スペック
メーカー Noctua
フロータイプ サイドフロー
ヒートパイプ 6mm径6本
放熱フィン 90枚 [45枚×2ブロック]
サイズ(ヒートシンクのみ) 150×135×165mm(幅×奥行き×高さ)
重量(ヒートシンクのみ) 1,000g
付属ファン 140mm径ファン NF-A15 PWM
電源:4ピン (PWM制御対応)
回転数:300(±20%)〜1,500(±10%)rpm
ノイズ(最大):24.6dBA
サイズ:140×150×25mm(同)
対応ソケット Intel:LGA 1150/1155/1156/2011
AMD:Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+

(瀬文茶)