2014年11月26日

2014年11月25日

2014年11月22日


瀬文茶のヒートシンクグラフィック

Thermalright「Archon SB-E」
メモリとの干渉を抑えたハイエンドヒートシンク



 ハイエンドCPUクーラーブランドとして知られるThermalrightからサンプル提供の打診があったため、今回は同社のハイエンドCPUクーラー「Archon SB-E」を紹介する。


●8本のヒートパイプを備えたハイエンド薄型サイドフロー

 Thermalright Archon SB-Eは、2009年に発売されたArchonの後継にあたる製品である。多数のハイエンドCPUクーラーをリリースしているThermalrightブランドにおけるArchonシリーズは、放熱ユニットの厚みを抑えることによりメモリスロットとのクリアランスを確保するというデザインコンセプトのCPUクーラーシリーズだ。

 ヒートシンク自体のサイズは初代Archonとほぼ同等だが、ヒートパイプは初代より2本多い8本の6mm径ヒートパイプを備えており、熱輸送部分の強化が図られている。製品名に付与された「SB-E」という文字からも伺えるが、Archon SB-EについてはLGA2011対応CPU(Sandy Bridge-E)に最適化した製品であると明文化されており、熱輸送の増強は発熱量の大きいLGA2011対応CPUでの使用を想定してのものだろう。

 Archon SB-Eには標準ファンとして、Thermalrightブランドのオリジナル150mm径ファン「TY-150」が同梱されている。PWM制御に対応し回転数を500〜1,100rpmの範囲で調整可能なこのファンは、専用のファンクリップを用いてヒートシンクに固定する。なお、Archon SB-Eにはファンクリップが2セット分同梱されているのだが、このファンクリップはTY-150専用となっており、市販の120mmファンや140mmファンを取り付けることはできない。

 メモリとのクリアランス確保に重きを置いたArchon SB-Eだが、メモリとの干渉を回避しつつ性能を追求した結果、メモリ以外のパーツとのクリアランスに問題を抱えている。

 1つは拡張スロットとのクリアランスだ。Archon SB-Eをメモリとの干渉を回避する方向で取り付けた場合、最上段の拡張スロットに放熱ユニットが被さってしまう。本連載で使用しているMAXIMUS V GENEのように、最上段にPCI Express x16スロットを備えたマザーボードでは、そのスロットにビデオカードなどを取り付けることができなくなってしまう。

 もう1点はヒートシンクの高さの問題だ。Archon SB-Eはヒートシンクのみでも170mmという背の高いヒートシンクであり、ファンを搭載すると全高は175mmに達する。これほどの高さになると、ミドルタワータイプのPCケースであっても側面パネルとの干渉が発生するものが多い。よってArchon SB-Eはかなりケースを選ぶCPUクーラーと言えるだろう。


●冷却性能テスト結果

 それでは冷却性能テストの結果を紹介する。今回は付属ファンのPWM制御を無効にしたフル回転時と、PWM制御で20%に設定した際の温度をそれぞれ取得した。

テスト結果

 3.4GHz動作時の結果をみると、Archon SB-Eは付属ファンのフル回転時に57℃、約515rpmで動作する20%制御時に64℃を記録し、CPU付属クーラーに比べ21℃〜28℃低い結果となった。一方、オーバークロック動作時の結果をみていくと、4.4GHz動作時にはフル回転時に69℃、20%制御時には77℃を記録し、4.6GHz動作時にはそれぞれ79℃と90℃を記録した。この結果が静音志向のTY-150を1基搭載した際の結果であることを考えれば、大変優れた結果であると言えるだろう。

 ファンの動作音については、同回転数の120mmファンに比べれば風切り音が大きい印象があるものの、フル回転時の約1,025rpm動作時でも比較的静かに動作しているように感じた。20%制御時の515rpm動作時にはほとんど音が気にならないレベルであり、静音性についてはかなり優秀な部類だろう。

●優れた冷却性能を誇る薄型サイドフローCPUクーラー。高さや横幅に要注意

 静音志向のファンとの組み合わせでありながら、冷却性能に関しては申し分ないパフォーマンスを発揮したArchon SB-Eは、LGA 2011環境でCPUをオーバークロックしつつ、ハイクロックメモリを合わせて利用したいというパフォーマンス志向のユーザーにとって非常に魅力的な製品である。

 しかしながら、ファン搭載時に175mmに達する全高や、最上段の拡張スロットが使用不能になる点については注意が必要だ。両方の条件をクリアできる組み合わせとなると、マザーボードもケースも選択肢が限られてしまう。また、付属のファンクリップが付属ファンのTY-150にしか対応していないのも惜しい。高い冷却性能とメモリとのクリアランスという大きな魅力がある一方で、このような無視できない問題を抱えていることが残念でならない。

 しかし、使えさえすれば優秀なCPUクーラーであることは確かなので、Archon SB-Eのコンセプトと自身の要求が合致するのであれば、Archon SB-Eを使うことを前提としたパーツ選定を行なってみるのも良いだろう。

Thermalright「Archon SB-E」製品スペック
メーカー Thermalright
フロータイプ サイドフロー型
ヒートパイプ 6mm径×8本
放熱フィン 44枚
サイズ 155×53×170mm (幅×奥行き×高さ)
重量 760g
付属ファン 150mm径ファン TY-150
電源:4pin
回転数:500〜1,100rpm
風量:38〜84CFM
ノイズ:19〜23dBA
サイズ:170×150×26.5mm
対応ソケット Intel:LGA 775/1155/1156/1366/2011
AMD:Socket AM2系/AM3系、Socket FM1