西川和久の不定期コラム
パナソニック「レッツノートRZ5」(CF-RZ5BFUQP)
~Core m7/16GB/512GB/LTEを搭載したハイエンドモバイル
(2016/1/28 06:00)
パナソニックは1月14日、レッツノートSZ5/RZ5/MX5/LX5シリーズの春モデルを発表した。今回はその中から、10.1型の液晶パネルを搭載し、タブレットにも変形できるRZ5(CF-RZ5BFUQP)が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
プレミアムエディションの最上位モデル
今回ご紹介するレッツノートRZ5は、RZ5と一言で言っても、実は量販店モデルとカスタマイズモデルがあり、プロセッサなどの違いを含め仕様の幅はかなり広い。
量販店モデルは4機種。パネルやインターフェイスなどは同じだが、カラーバリエーション シルバー/ウォームゴールド&カッパー、プロセッサはCore m3-6Y30/m5-6Y54、メモリ4GB/8GB、SSD 128GB/256GB、LTEの有無の違いがある。
さらにカスタマイズモデルは、プレミアムエディションと普通のモデルがあり、プレミアムエディションでは、Core m7-6Y75、メモリ16GB、SSD 512GBの構成を選ぶことが可能だ。カラーバリエーションも5種類から選択できる(プレミアムエディションと普通のモデルで一部違う色がある)。
この中で「CF-RZ5BFUQP」は、プレミアムエディションでも最上位モデルに相当する。主な仕様は以下の通り。
パナソニック レッツノートRZ5「CF-RZ5BFUQP」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core m7-6Y75(2コア/4スレッド、クロック 1.2GHz/3.1GHz、キャッシュ4MB、TDP 4.5W) |
メモリ | 16GB(LPDDR3 SDRAM/拡張スロット無し) |
ストレージ | SSD 512GB |
OS | Windows 10 Pro(64bit) |
ディスプレイ | IPS式10.1型(非光沢)、1,920×1,200ドット、10点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 515、ミニDsub-15ピン、HDMI出力 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1、ワイヤレスWANモジュール |
インターフェイス | USB 3.0×3(内1つはPowered USB)、SDカードリーダ、フルHD対応Webカメラ、音声入出力 |
センサー | 照度、地磁気、ジャイロ、加速度 |
バッテリ駆動時間 | 最大約10.5時間 |
サイズ/重量 | 250×180.8×19.5mm(幅×奥行き×高さ)/約0.77kg |
税別価格 | 328,828円 |
プロセッサはCore m7-6Y75。2コア4スレッドでクロックは1.2GHzから最大3.1GHz。キャッシュ4MBでTDPは4.5W。先に書いた通り、量販店モデル/カスタマイズモデルの中でも最上位になる。メモリは16GB/LPDDR3 SDRAM。拡張スロット無しなので固定だ。ストレージは512GBのSSD。OSは64bit版のWindows 10 Proを搭載。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 515。外部出力用に、ミニDsub-15ピンとHDMI出力を装備している。これだけ小さい筐体に2種類あるのは、プロジェクタなどに接続しやすいようにするというレッツノートのこだわりと言えよう。ディスプレイは、非光沢のIPS式、10.1型1,920×1,200ドット、10点タッチ対応だ。
ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1に加え、LTE対応のワイヤレスWANモジュールを搭載。ただしドコモUIMカード=標準サイズのSIMなので、Micro SIMやNano SIMはそのままでは使えない。
一応サイズを合わせる下駄を付ければ使えなくはないものの、スロットイン式の場合、下駄の溝に引っかかって外れなくなることもあり、個人的にはお勧めしない(手持ちのSIM全てがNano SIMなのでこれが理由で今回は試していない)。上からSIMをロックする機構の場合は安心なのだが……。今時のスマートフォンやタブレットで標準サイズは珍しく、MVNOのSIMを使いまわすことを考えると、少し考慮して頂きたかった部分ではある。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3(内1つはPowered USB)、SDカードリーダ、フルHD対応Webカメラ、音声入出力。センサーは、照度、地磁気、ジャイロ、加速度を搭載している。
サイズは250×180.8×19.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1kgをはるかに切り、約0.77kgの超軽量級だ。バッテリ駆動時間は最大約10.5時間。
カラーバリエーションは、シルバーダイヤモンド(標準色)、プレミアム限定ライジングレッド、タンジェリンオレンジ、ウォームゴールド、ジェットブラック、サンダーブルー、ハーモニックブルー。今回届いたのはブルー&カッパーだ。またキートップの色なども変更可能になっている。
価格は328,828円(税抜)。カスタマイズモデル/プレミアムエディションの最上位で、Core m7、16GB、512GB、LTE対応のレッツノートなので、名前の通りプレミアム価格となっている。
実は初代RZシリーズRZ4も筆者がレビューしている(2014年11月)。1年少し前の記事となるが、読み直してみると印象がほぼ同じなのが面白い。
まず、宅配便で届いて受け取った時に「軽い!」と思った事。とにかく中身が空なのではと勘違いするほど軽い。パッケージの状態でこれなのだから、パッケージから筐体を取り出した時は感動するほど。これはほかの機種ではまず体験できない重量だ。筐体も(多分)同じ。当時の写真と現在の写真を比較してもSIMの部分以外は変わらない。若干重くなっているのはLTEモジュールの重量だ。
筐体のカラーは、ブルー&カッパー。天板のみブルーで、他は全てカッパー(銅色)になっている。フロントはパネル中央上にフルHD対応Webカメラ、その横に[Windows]ボタン、正面側面右に電源スイッチ。裏は、多くの部分がバッテリスペースに使われ、バッテリの裏にドコモUIMカード(SIM)を入れるソケットがある。
左側面にロックポート、ミニDsub-15ピン、音声入出力、USB 3.0、音量±ボタン、無線オン/オフボタン。右側面に電源入力、HDMI、SDカードリーダ、Ethernet、USB 3.0×2を配置。手前がPoweredとなる。10.1型なのでフットプリントが狭い割にポート類は満載の上、シュリンクされず標準サイズのものが使われているのはありがたい。
ACアダプタはサイズ88×37×27mm(幅×奥行き×高さ)、重量172g。コンセントへダイレクトに接続できるアダプタ付きだ。
ディスプレイは非光沢のIPS式10.1型。サイズの割に1,920×1,200ドットと解像度が高く、人によっては文字などが小さく思えるだろう。明るさコントラストは十分確保され、視野角も広い。発色は派手でもなく地味でもなく、いたってニュートラル。ビジネス用途にチューンした感じとなる。10点タッチもスムーズだ。
キーボードは10キー無しのアイソレーションタイプ。レッツノート固有のリーフキーボードとなっている。主要キーのキーピッチが仕様上、16.8mm(横)/14.2mm(縦)なので、一般的なノートPCと比較すると狭いものの、これはすぐに慣れるだろう。タッチパッドはHOLD付で物理的なボタンが2つあるタイプだ。十分な広さとは言えないが、実際操作しても使いにくい感じは無かった。この辺りのまとめ方もさすが長年モバイルノートを作ってきたパナソニックだと言えよう。
ノイズや振動、発熱に関しては試用した範囲では全く気にならなかった。サウンドはRZ4同様、か細く取り敢えず鳴る程度。基本的にビジネス向けなので仕方ないと割り切る部分だ。
筆者は年間いろいろなPCを試用しているが、とにかくレッツノートだけはいろいろな意味で別格な感じがする。良い意味でThe国産と言ったところか。昨今、各メーカー/ブランドが右往左往している中、このレッツノートだけは我が道を行く的であり、それに共感するユーザーが数多くいるのが最大の強みでかつ魅力。このまま突き進んで欲しいと思う。
Core m7とSSD、メモリ16GBで快適な作動
OSは64bit版Windows 10 Pro。Windows 7 Professionalへのダウングレードも可能だ。起動時のスタート画面は1.5画面。Panasonic以降がプリインストールとなる。デスクトップは、壁紙が変更され、ショートカットを6つ追加。大手国産製としては比較的シンプルな方だろう。Core mでもm7、そしてSSDとメモリ16GBということもあり作動は快適。このサイズにしておくのはもったない感じがするぐらいだ。
SSDは512GBの「SAMSUNG MZNLN512」。C:ドライブのみの1パーティションで約461.2GBが割り当てられ空きは空き433GB。
GbEは「Intel Ethernet Connection I219-LM」、Wi-Fiは「Intel Dual Band Wireless-AC8260」。BluetoothもIntel製だ。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「NAVITIME」、「Duolingo|英語を無料で学ぶ」(ストアへのショートカット)と少ない。
デスクトップアプリは、Panasonicフォルダに、「PC情報ビューアー」、「画面共有アシストユーティリティ」、「手書きツール2」、「ネットセレクタLite」、「バッテリー残量表示」、「パナソニックPC設定ユーティリティ」、「マニュアル選択ユーティリティ」、「無線ツールボックス」、「リカバリーディスク作成ユーティリティ」。このほか「マカフィーリブセーフ(60日間 無料体験版)」、「i-フィルター6.0(30日間無料お試し版)」、「VIP Access」、「Intel WiDi」などIntelのツール系が用意されている。
思ったほどいろいろ入っておらず、オリジナルアプリもツール系が中心だ。またパナソニックPC設定ユーティリティは、基本設定/拡張設定/ユーティリティと3つのタブで分かれており、拡張設定の中にはかなりの項目がある。基本的な設定であればこれ1つでOK的なツールだ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 6。プロセッサ 7.3、メモリ 7.9、グラフィックス 6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.2。PCMark 8 バージョン2は2944。CrystalMarkは、ALU 41283、FPU 38733、MEM 48485、HDD 39663、GDI 15152、D2D 5765、OGL 10062。一般的にCore mを搭載した製品は各項目でバラつきがあるのが特徴(?)だが、さすがにm7になると高スコアでまとまっておりバランスがいい。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で36,977秒/10.3時間。仕様上の10.5時間とほぼ同等の結果となった。ただバックライト最小は暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。
以上のように「CF-RZ5BFUQP」は、770gと超軽量級の筐体へ、最大3.1GHz駆動のCore m7-6Y75、メモリ16GB、512GB SSD搭載。タブレットにも変形できる10.1型ノートPCだ。仕様の範囲内で気になる部分もなく、完成度が非常に高いモバイルノートに仕上がっている。
少々高価なのは仕方ないが、パワフルで高速作動なのはもちろん、コンパクトでどこにでも持ち運べ、長時間のバッテリ駆動を実現している。RZ4から性能面でも向上しており、モバイル性能を妥協したくないユーザーに胸を張ってお勧めできる1台だと言えるだろう。