西川和久の不定期コラム

エプソンダイレクト「Endeavor S TB01S」

~Officeとデジタイザペン標準搭載で税別3万円を切る8型タブレット!

エプソンダイレクト「Endeavor S TB01S」

 エプソンダイレクトは、Officeとデジタイザペンを標準搭載する8型Windowsタブレットを発表、同日から受注を開始する。Atom Z3735F、メモリ2GB/ストレージ32GB、IPS式WXGA(1,280×800ドット)と8型としては全部入りの仕様であるのに加え、重量を約350gに抑えた意欲的なモデルだ。発表に先駆け、編集部から試作機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

1,024段階筆圧感知デジタイザペン標準搭載の8型タブレット

 ここのところAtom Z3735Fを搭載した8型Windowsタブレットが目白押し。流石に食傷気味なので、たまには特色のある製品も見たいところ。今回ご紹介するのは、“1,024段階筆圧感知デジタイザペン”を標準搭載と、これまでとは少し違った特徴を持つ。個人的には(絵は描けず字も汚いので)それほど使わない機能だが、欲しい人には「待ってました!」のデバイスだろう。

 加えて冒頭に書いたように、メモリ2GB/ストレージ32GB、8型WXGAのIPS式パネル、microSDカードスロット、Micro HDMI出力、InstantGo対応、そしてOffice Home and Business 2013を搭載と全部入りと言える仕様で、なおかつ税別価格は3万円を切る、できることは全てやりきった8型タブレットだ。主な仕様は以下の通り。

エプソンダイレクト「Endeavor S TB01S」の仕様
SoCAtom Z3735F(4コア4スレッド、クロック1.33GHz/1.83GHz、キャッシュ2MB、SDP 2.2W)
メモリ2GB(DDR3L-RS-1333)
ストレージ32GB(eMMC)
OSWindows 8.1 with Bing(32bit)、InstantGo対応
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics、Micro HDMI出力
ディスプレイ8型光沢WXGA(1,280×800ドット)IPS式液晶、5点タッチ対応
ネットワークIEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0+EDR
インターフェイスMicro USB 2.0、microSDカードスロット、音声入出力、前面200万画素/背面カメラ500万画素カメラ
センサー地磁気、ジャイロ、加速度
その他1,024段階筆圧感知デジタイザペン標準搭載、Microsoft Office Home and Business 2013
サイズ/重量124×211×10mm(幅×奥行き×高さ)/約350g
バッテリ駆動時間約5.8/10.1時間(JEITA測定法2.0/1.0)
直販価格32,130円

 SoCはAtom Z3735F。4コア4スレッドでクロックは1.33GHzから最大1.83GHz。キャッシュ2MB、SDP 2.2Wと、ここ最近出ている8型Windowsタブレットの定番とも言えるSKUだ。メモリは2GB、ストレージはeMMCで32GB搭載している。OSは32bit版のWindows 8.1 with Bing。InstantGoにも対応している。

 グラフィックスはSoC内蔵Intel HD Graphics。外部出力用として、Micro HDMIを装備している。ディスプレイは、8型でIPS式の光沢WXGA(1,280×800ドット)。

 ネットワークは、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0+EDR。そのほかのインターフェイスは、Micro USB 2.0、microSDカードスロット、音声入出力、前面200万画素/背面カメラ500万画素カメラ。USBポートは充電も兼ねているタイプだ。センサーは地磁気、ジャイロ、加速度を搭載している。

 サイズは124×211×10mm(幅×奥行き×高さ)、重量約350g。8型として若干厚みがあるものの、重量は軽量級。バッテリ駆動時間は、JEITA測定法2.0で約5.8時間、JEITA測定法1.0で約10.1時間となる。

 と、ここまでは多くの8型Windowsタブレットとほとんど同じであるが、本機の特徴として、1,024段階筆圧感知デジタイザペン標準搭載していることが挙げられる。必要な人にとってはポイントが高いだろう。

 価格は、Microsoft Office Home and Business 2013プリインストールで32,130円。内容を考えるとリーズナブルだ。

 このほか、「コンパクトBluetooth キーボード」(3,240円)、「本体カバー(TB01S用)」 (2,160円)、「液晶保護フィルム(TB01S用)」 (1,080円)、「マイクロUSB-USB(メス)変換ケーブル」(1,080円)、「Bluetooth マウス」(2,160円)、「マイクロHDMI-HDMI変換ケーブル」(1,944円)、「USB3.0対応有線LANアダプター」(4,320円)、「USB3.0ハブ 4ポートタイプ」(4,752円)、「外付けポータブルDVDドライブ」(7,128円)、「Bluetoothステレオヘッドセット」(5,400円)といった、数多くのオプションが用意されている。

 さらに、印の付いた4つがセットになった「TB01S用オプションパック(5,400円)」が用意されており、個別に購入するより2,160円お得となる。

前面。液晶パネル中央上に200万画素Webカメラ、中央下にWindowsボタン
左側面、下側面にはポート類は無い
右/上側面。右側面に電源ボタンと音量±ボタン。上側面にMicro USB 2.0、microSDカードスロット、音声入出力
背面。左上に500万画素カメラ。上と下はある程度の幅で白く、それ以外はシルバー。下のメッシュ部分にスピーカー
ACアダプタとデジタイザペン。USB式のACアダプタ。100~240Vの海外対応で出力は5V/2A
重量は実測で351g

 筐体はいわゆる8型タブレットで競合機種とほとんど同じだ。ただ少し違うのは、周囲と背面の上下は白く、それ以外(中央付近)はシルバーのパネルになっていること。これによって若干高級感を醸し出している。重量は実測で351gだった。

 液晶パネル中央上に200万画素Webカメラ、中央下にWindowsボタン。右側面に電源ボタンと音量±ボタン。上側面にMicro USB 2.0、microSDカードスロット、音声入出力。背面は左上に500万画素カメラ、下のメッシュ部分にスピーカー。左側面、下側面にはポート類はない。

 上側面にコネクタ類が集中し、割とスッキリまとまっているものの、Micro USBポートは充電を兼ねているので、できれば下側面に欲しかったところか。付属のACアダプタはUSBタイプで、100~240Vの海外対応、出力は5V/2Aだ。

 8型光沢WXGA対応IPS式液晶パネルは、IPS式だけあって視野角は広い。発色や明るさコントラストなどは、十分なクオリティだ。10点ではなく、5点タッチ対応だが、このクラスの製品の用途には特に問題にはならないだろう。

 発熱や振動、ノイズは試用している範囲では気にならなかった。サウンドは、パワーこそないものの、音量を上げるとリアのパネルごと振動し、少し迫力が増す。ただ机の上などに置いた場合、振動が止まる上にメッシュを塞いでしまうので、音量ががたっと下がってしまうのは残念なところ。

 500万画素の背面カメラに関しては、結構いい線まで画質は向上してきている。合焦速度は速くないもののAF対応で、数cmまで寄れるのでマクロ撮影にも強い。もう一歩画質が上がれば作例を掲載する価値が出るだろう。

Atom Z3735F搭載機としては平均的な性能

 初期起動時のスタート画面は(縦位置で)2面。ほぼWindows標準の状態で、最後にMicrosoftのタイルがあるのみだ。デスクトップは、壁紙の変更だけであり、左側にアプリなどへのショートカットはない。

 SSDは、eMMC/32GBの「SAMSUNG MBG4GC」。C:ドライブのみの1パーティションで約20.9GBが割り当てられ空きは17.1GB。BitLockerで暗号化されている。暗号化に関しては、同じ8型でも機種によって状態が異なり、メーカー色が出ているとも言える。回復パーティションは8GB。

 Wi-FiとBluetoothはRealtek製が使われている。またTPM 2.0に対応していることが分かる。いずれにしてもドライバレベルで調整が必要なInstantGoに対応しているので、多くの部分は、競合機種と同じ構成となる。

スタート画面1。Windows 8.1 Update標準
スタート画面2。最後にMicrosoft Officeのタイルのみ追加
起動時のデスクトップ。壁紙の変更のみで、他は標準のまま
デバイスマネージャ/主要なデバイス。eMMCは32GBのSAMSUNG MBG4GC。Wi-FiとBluetoothモジュールはRealtek製。TPM 2.0も搭載。InstantGo対応と言うこともあり競合機種とほとんど同じ
SSDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティション。約20.9GBが割り当てられている
1,024段階筆圧感知デジタイザペン。筆圧により線の太さを表現できる

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし、デスクトップアプリは、Microsoft Officeのみと非常にシンプルで、素のWindowsに近い状態だ。先に書いた通り空き容量が17GBほどしかないため、それを考慮したのだろう。

 用途にもよるだろうが、後のアプリをインストールすることを考えると、データはmicroSDカードへ逃がした方が無難そうだ。

アプリ画面1
アプリ画面2

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コア4スレッドで条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 4.0。プロセッサ 5.9、メモリ 5.5、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 4、プライマリハードディスク 7.05。PCMark 8 バージョン2は1138、CrystalMarkは、ALU 16689、FPU 13791、MEM 15490、HDD 15492、GDI 3187、D2D 2383、OGL 2040。参考までにGoogle Octane(デスクトップ版IE)は3292。多少の善し悪しはあるものの、Atom Z3735F搭載機としては平均的な速度だ。

 BBenchはバックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で30,485秒/8.5時間。ただしバックライト最少だとかなり暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。

winsat formalコマンドの実行結果。総合 4.0。プロセッサ 5.9、メモリ 5.5、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 4、プライマリハードディスク 7.05
PCMark 8 バージョン2のスコアは1138
BBench。バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で30,485秒/8.5時間
CrystalMarkの結果。ALU 16689、FPU 13791、MEM 15490、HDD 15492、GDI 3187、D2D 2383、OGL 2040

 以上のようにエプソンダイレクト「Endeavor S TB01S」は、税別ではあるが3万円を切る価格で、スペック的にはAtom Z3735F、2GB/32GB、IPS式WXGA+Micro HDMI出力に加え、Officeとデジタイザペンを標準搭載し約350gの軽量級。8型Windowsタブレットとしては決定版とも言えそうな内容となっている。

 サウンドやカメラ面は競合機種でも大差無く、それ以外は特に欠点らしい欠点は見当たらない。デジタイザペンが必要な人はもちろん、8型のWindowsタブレットを検討している全てのユーザーにお勧めしたい。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/