西川和久の不定期コラム
マウスコンピューター「MB-W700X-SH」
~メモリを24GB搭載したハイスペックノートPC
(2013/8/22 00:00)
マウスコンピューターは8月1日、17.3型ノートPC「m-Book W」シリーズの新モデルを発表した。構成により下位、中位、上位と3タイプある中、編集部から上位モデルが送られて来たので、試用レポートをお届けする。
パワフルなパーツをふんだんに搭載したウルトラノートPC
今回発表された17.3型ノートPC「m-Book W」シリーズの新モデルは、プロセッサやメモリ、ストレージ、光学ドライブの構成によって、下位、中位、上位の3タイプあり、順に、Core i7-4700MQ/8GB/HDD 500GB/DVDスーパーマルチドライブの「MB-W700B」、Core i7-4700MQ/16GB/SSD 128GB+HDD 500GB/BDXLドライブの「MB-W700S-SH」、Core i7-4800MQ/24GB/SSD 128GB+HDD 500GB/BDXLドライブの「MB-W700X-SH」となる。
液晶パネルやグラフィックス、そのほかのインターフェイスは共通だ。手元に届いたのは、上位モデルの「MB-W700X-SH」。主な仕様は以下の通り。
マウスコンピューター「MB-W700X-SH」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-4800MQ(4コア/8スレッド、2.7GHz/Turbo Boost:3.7GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W) |
メモリ | 24GB(PC3-12800、8GB×3、空きスロットなし) |
チップセット | Intel HM87 Express |
SSD | 120GB(Samsung 840シリーズ) |
HDD | 500GB(期間限定で1TBに無償アップグレード) |
光学ドライブ | BDXLドライブ |
OS | Windows 8 Pro(64bit) |
ディスプレイ | 17.3型液晶ディスプレイ(非光沢)、フルHD/1,920×1,080ドット、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600+NVIDIA GeForce GTX 760M/2GB(NVIDIA Optimus対応) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE |
その他 | USB 3.0×2、USB 3.0/eSATA、USB 2.0、200万画素Webカメラ、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、音声入出力(音源「Sound Blaster Cinema」) |
サイズ/重量 | 約413×277.5×44mm(幅×奥行き×高さ)/約3.2kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約3.83時間 |
価格 | 159,600円 |
プロセッサはCore i7-4800MQ。4コア8スレッドで、クロックは2.7GHz。Turbo Boost時に3.7GHzまで上昇する。キャッシュは6MB。TDPは47Wとなる。チップセットはIntel HM87 Express。型番からも分かるように、第4世代CoreプロセッサのHaswellだ。メモリは8GB×3の計24GB。長年PCを試用しているが、標準でこれだけの容量を搭載しているのは非常に珍しい。
OSは64bit版のWindows 8 Pro。カスタマイズで64bit版のWindows 7 Professionalにすることもできる。
ストレージは、システム用としてSamsung 840シリーズのSSD 120GBと、データ用として500GBのHDDを搭載している。また期間限定キャンペーン中でHDD 1TBへの無償アップグレードを実施中だ。
ディスプレイは、非光沢の17.3型フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには対応していない。外部出力はミニD-Sub15ピンとHDMI出力を装備する。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600と、KeplerアーキテクチャでノートPC用としてはハイエンドに相当するNVIDIA GeForce GTX 760M(2GB)を搭載。NVIDIA Optimusに対応し、システムの状態やアプリケーションによってシームレスに切り替る。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0+LEにも対応している。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 3.0/eSATA、USB 2.0、200万画素Webカメラ、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、音声入出力。音源は「Sound Blaster Cinema」を採用している。
サイズは約413×277.5×44mm(幅×奥行き×高さ)、重量約3.2kg。17.3型だけにかなり大柄だ。バッテリ駆動時間は最大約3.83時間。価格は今回の構成で159,600円。冒頭に書いた下位モデル(MB-W700B)は109,830円、中位モデル(MB-W700S-SH)は129,990円。OSを64bit版のWindows 7 Professonalへ変更しても価格は変わらない。
なお、カスタマイズでプロセッサを上位のCore i7-4900MQ(2.8GHz/Turbo Boost:3.8GHz)へ、SSDを256GB Samsung 840 Proシリーズなどへ変更、セカンダリストレージをHDDからSSDへ乗せ替え、そしてIEEE 802.11ac/a/b/g/n無線LANなどへ変更し、さらなるハイスペックにすることも可能だ。
筐体は17.3型だけあって流石に大きく、重量は約3.2kgとズッシリ重い。バッテリ駆動できるとは言え、基本的にデスクトップPCの替わりで、必要に応じて移動可能なトランスポータブルとなるだろうか。
左側面には、ロックポート、USB 2.0、音声入出力、BDXLドライブ。右側面には、Gigabit Ethernet、HDMI出力、USB 3.0/eSATA、USB 3.0×2、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ。また裏側面に電源入力とミニD-Sub15ピンがある。多くのコネクタが中央より後ろ側にあるので、ケーブルを接続してもあまり邪魔にならない。
裏は小さいパネルがネジ1本、大きいパネルがネジ3本で簡単に外れ、SSDやHDD、メモリへ容易にアクセスでき、メンテナンス性は高い。ACアダプタのサイズは約14.5×7.5×2.5cm(同)、重量469gと結構大型だ。
液晶パネルは非光沢で映り込みが少なく操作しやすい。最大輝度は十分明るく、発色も良好でコントラストも高い。視野角も比較的広い方だ。ただWindows 8の画面を見ると、ついついタッチしてしまうが、タッチ非対応なのは残念なところ。
キーボードは、アイソレーションタイプでテンキー付き。キーピッチは主要キーで約19mm確保されている。たわみも少なく快適に入力可能だ。右上の[VGA]キーでGPUを明示的に切り替え可能となっている。タッチパッドはパームレストと同じ素材で段差があり、ボタンは物理的に2つあるタイプとなる。
振動は特に感じられないが、熱やノイズに関しては、ベンチマークテスト中、後ろのスリットから暖かいエアーが出て、それに伴いファンの音がしていた。ノートPCとしては、少し気になるレベルだ。
サウンドはSound Blaster Cinemaを搭載しているだけに好みに応じて自由にコントロールできる。ただ最大出力は、画面のサイズを考慮するともう少し欲しいところ。
予想通りのハイスコアをマーク
OSは64bit版のWindows 8 Pro。メモリを24GB搭載しているので何をしても余裕がある。加えて、SSDとNVIDIA GeForce GTX 760Mのコンビネーションも強力だ。
初期起動時のスタート画面は、フルHD解像度と言うこともあり1画面に収まる。「楽天gateway」以降がプリインストールアプリとなる。デスクトップは、同社お馴染みの壁紙に、いくつかのショートカットが並ぶシンプルなもの。
SSDはSamsungのSSD 840シリーズが使われ(PROやEVOではない)、C:ドライブのみの1パーティション。約96GBが割り当てられ空きは52.5GB。D:ドライブは、1TB/5,400rpm/キャッシュ8MBのWDC「WD10JPVX-00JC3T0」で、空き約931GBとなる。通常これだけあれば十分だが、USB 3.0やeSATAもあるので増設するのも容易だ。
BDXLドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT30N」。無線LANとGigabit EthernetはRealtek製だ。Optimus特有の項目として、デバイスマネージャにIntel HD Graphics 4600とGeForce GTX 760Mの2つともが見えている。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVITIME」、「Skype」、「SUUMO」、「ヤフオク」、「クックパッド」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ポンパレ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」などの定番だ。
他社も含め、このパターンは非常に多く、そろそろ違うアプリも入れて欲しいところだが、変わり映えしないのはWindowsストアアプリの層の薄さを現しているのかも知れない。
デスクトップアプリは、「Sound Blaster Cinema」、「CyberLink Media Suite」、Intel系ツール、「HD VDeck」、「マカフィーインターネットセキュリティ」など。CyberLink Media Suiteにはいろいろなアプリが含まれているものの、それ以外は基本的にシンプルな構成となる。
本機固有のものとしては、パワー制御やその他デバイスなどの設定を行なえるControl Centerが挙げられる。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、「PCMark 7」と「BBench」の結果を見たい。また、「CrystalMark」の結果も掲載した(4コア8スレッドで条件的に問題があるので参考まで)。なお全てのベンチマークテストはNVIDIA Optimusの設定を自動のまま測定している。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 6.8。プロセッサ 7.9、メモリ 7.9、グラフィックス 6.8、ゲーム用グラフィックス 6.8、プライマリハードディスク 7.8。PCMark 7は5759 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 77483、FPU 69662、MEM 68007、HDD 34346、GDI 22208、D2D n/a、OGL 44916。D2Dに関しては数値は表示しているものの、実際描画はしていない。
プロセッサ、メモリ、ストレージ、グラフィックス、どれもノートPCとしてはかなりのハイスコアだ。しかもメモリを24GBも搭載しているので、ゲームに限らず、動画編集や仮想PCを何本も起動するなど、いろいろジャンルを問わずストレスなく操作可能だろう。
BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で16,236秒/4.5時間。スペック上は最大約3.83時間なので、少し長く動いている。ただ用途的にあまりバッテリ駆動は重視されないと思われる。
以上のように、マウスコンピューターの「MB-W700X-SH」は、Core i7、メモリ24GB、SSD+HDD+BDXLドライブ、GeForce GTX 760Mなど、現在考えられるハイスペックのパーツを惜しみもなく投入した17.3型ノートPCだ。パネルが非光沢なので長時間の作業もしやすい。
バッテリ駆動時間は短いものの、この構成を欲しい人にとっては特に問題にならないだろう。トランスポータブルでハイパワーなデスクトップPC替わりのノートPCが欲しいユーザーにお勧めしたい1台だ。