■西川和久の不定期コラム■
株式会社Project Whiteは7月13日、TSUKUMOプライベートブランドPC“eX.computer”において、15.6型のノートPC「N156J」を発表した。BTOでカスタマイズ可能であるが、3タイプある基本構成の中、ミドルクラスのモデルが編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。
TSUKUMO eX.computerブランドのノートPCは2006年~2007年頃にかけて、「Caderna」(カデルナ)シリーズで展開していたが、今回のモデルの投入で久しぶりに復活したことになる。
●15.6型フルHDにNVIDIA Optimusテクノロジー対応
「N156J」は基本構成が3タイプあるが、基本部分は共通で、CPUにIvy Bridge、チップセットにIntel HM76 Express、GPUにGeForce GT 650M(2GB)、液晶に1,920×1,080ドット(フルHD)表示対応非光沢パネルを搭載した2スピンドルノートPCだ。下位モデルは、Core i5-3210M、メモリ8GB、500GB HDD、DVDスーパーマルチドライブ、Windows 7 Home Premium(64bit/SP1)で価格は79,980円。
上位の「N156J-820A/S」は、CPUがCore i7-3610QM、ストレージがIntel 520 SSD 120GB、そしてOSをWindows 7 Professional(64bit/SP1)に変更し、価格は99,980円となる。
そして今回送られて来たのはちょうどこの間に相当する中位の「N156J-710A/S」だ。主な仕様は以下の通り。
【表】「N156J-710A/S」の仕様CPU | Intel Core i7-3610QM(4コア/8スレッド、2.3GHz/Turbo Boost時3.3GHz、キャッシュ6MB、TDP 45W) |
チップセット | Intel HM76 Express |
メモリ | 8GB(2スロット/空き0)最大16GB |
HDD | 500GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit)SP1 |
ディスプレイ | 15.6型液晶ディスプレイ(非光沢)、1,920×1,080ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000/GeForce GT 650M(2GB)、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×2、マルチカードリーダー、音声入出力、HD Webカメラ、サブウーファ付きステレオスピーカー内蔵 |
サイズ/重量 | 380×262×35.5~36.6mm(幅×奥行き×高さ)/約2.8kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約4時間 |
価格 | 84,980円 |
CPUはIntel Core i7-3610QM。4コア8スレッドでクロック2.3GHz、Turbo Boost時3.3GHzまで上昇する。クアッドコアの標準電圧版のため、TDPはUltrabookなどで使われている17Wではなく45Wだ。メモリスロットは2つあり、4GB×2の計8GB実装済。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。ストレージはHDDは5,400rpmの500GB、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載する。
GPUは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000に加え、GeForce GT 650M(2GB)も装備。NVIDIAのノートPC用GeForceの中ではローエンド~ミドルレンジをカバーする。NVIDIA Optimusテクノロジーによって用途に応じ内蔵グラフィックスとシームレスに切り替わる。
液晶パネルはフルHD解像度の15.6型非光沢パネルを採用。一見派手さは無いものの、映り込みが少ないので快適に操作できる。外部ディスプレイ出力はHDMI出力とミニD-Sub15ピンの2系統となっている。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。そしてBluetooth 4.0にも対応している。
その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、音声入出力、HD Webカメラなど。サブウーファ付きステレオスピーカーも内蔵する。
サイズは380×262×35.5~36.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.8kg。バッテリ駆動時間は最大4時間。価格は84,980円。上位モデルと下位モデルの価格を見ると、かなり下位モデルに近い価格帯でプロセッサがCore i5とCore i7の差となる。
なおBTOでは、プロセッサ Core i7-3610QM/Core i7-3820QM(2コア/4スレッド、2.70GHz/TB 3.70GHz)、メモリ 8GB/16GB、HDD 500GB/750GB/1TB、光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ/BDドライブ、64bit版Windows 7各種、Office製品の各エディション、セキュリティー対策ソフトなどの選択が可能になっている。
トップカバーは光沢ブラック。細かい模様が入っている。ほぼ中央にはロゴの入ったシルバーのラインがありアクセントになっている。筐体もブラックが基調で場所によって光沢の有無が使い分けられ飽きの来ないデザインだ。
左サイドにはケンジントンロックポート、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 3.0×2。右サイドには電源入力、DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、音声入出力。正面側面は左側にマルチカードリーダがある。ミニD-Sub15ピンとHDMI出力が、真ん中より手前にあるので、外部ディスプレイ接続時、取り回しによってはケーブルが邪魔になるかも知れないが、概ねうまくまとめられていると言えるだろう。
15.6型のフルHD非光沢液晶パネルは、映り込みも少なく非常に見やすい。発色は派手過ぎず地味過ぎず、明るくコントラストも高い。ただ若干青い(色温度が高い)感じがする。明るさ最小でもそれなりに操作可能だ。視野角はIPSパネルではない割に少し広めな印象だ。
キーボードは最近では珍しくなった、アイソレーションでは無い普通のタイプ。テンキー部分の幅が狭いものの、その分、主キーはゆったり配置されている。押した感じ若干たわみはあるが、あまり気にならないレベルだろう。
15.6型と言うこともありパームレストも面積は十分。タッチパッドはパームレストと段差が無く、手触りは前者がザラザラで後者がツルツルとわかるようになっている。ボタンは物理的に2つあり、クリック感がしっかりしているタイプだ。
発熱や振動、ノイズに関しては試用した限り特に問題の無いレベル。スピーカーは液晶パネルの下(キーボードの上)のメッシュの部分に納められている。従って音が直接耳に届くので結構クリア。サブウーファ内蔵だが、あまり誇張することなく、味付け程度に鳴らしているため不自然さは全くない印象だ。
●Core i7とディスクリートGPUでパワフルOSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1。ただしInternet Explorerは9ではなく8のままになっている。メモリを8GB搭載しているため余裕のある動きだ。初期起動時のデスクトップも非常にシンプル。ある意味玄人好みと言えよう。
HDDは500GB/5,400rpmの「WD5000BPVT」。C:ドライブのみの1パーティションで約465GBが割当てられ空きは436GBとなる。光学ドライブは「Optiarc DVD RW AD-7760H」。BluetoothとWi-FiモジュールはAtheros製だ。つまりディスクリートGPUのGeForce GT 650M(2GB)以外は、ほぼ一般的なIvy BridgeアーキテクチャのノートPCというわけだ。
起動時のデスクトップ。左側のショートカットも少なくシンプル。IEは8のままだ | HDDは500GB/5400rpm/キャッシュ8MBの「WD5000BPVT」。光学ドライブは「Optiarc DVD RW AD-7760H」。BluetoothとWi-FiモジュールはAtheros製だ | HDDはC:ドライブのみの1パーティション。約465GBが割当てられている |
プリインストール済みのソフトウェアは、「マカフィー インターネットセキュリティ」、「Nero MedhiaHub 10」、「Nero StartSmart 10」以外は、ドライバやユーティリティなど、ほぼ素のWindows 7に近い状態だ。
「N156J」固有のものとしてあえて挙げれば、画面キャプチャを掲載した、[Fn]キーを押して離すと表示されるファンクションキーガイド、ピークシフトなどに対応した「電源管理ユーティリティー」となるだろうか。
NVIDIAコントロールパネル/システム情報 | [Fn]キーを押して離すと表示されるファンクションキーガイド | 電源管理ユーティリティー/電源プラン |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.6、メモリ 7.6、グラフィックス 6.8、ゲーム用グラフィックス 6.8、プライマリハードディスク 5.9。ストレージが5,400rpmのHDDだけに気になるものの、他の部分のパフォーマンスは普段使いには十分以上だ。またHDDへは簡単にアクセスできるため、後からSSDへ交換する手も考えられる。
CrystalMarkは、ALU 70959、FPU 57802、MEM 52844、HDD 10635、GDI 17098、D2D n/a、OGL 30661。今回もNVIDIA Optimusテクノロジーとの相性でD2Dだけがブラックアウトして正常に計れなかった。先のWindows エクスペリエンス インデックス同様、HDD以外はなかなかのスコアとなる。
BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で12,483秒/3.4時間。最大約4時間なのでかなり迫った値となった。用途的にこれだけ動けば問題にならないだろう。
以上のようにTSUKUMO「N156J-710A/S」は、Core i7プロセッサそしてGeForce GT 650M(2GB)を搭載したパワフルな2スピンドルノートPCだ。液晶パネルが非光沢なのでビジネス用途としてもポイントが高い。
ストレージが5,400rpmのHDDなので、ベンチマークテスト各項目の中では遅めなのが目立っているものの、全体としてはハイパフォーマンス。この構成で価格84,980円は魅力的だ。安価でパワフルな15.6型フルHDノートPCを探しているユーザーの候補になりえる1台と言えよう。