西川和久の不定期コラム

iPhone 4を約1カ月間使って……。Apple「iPhone 4」



 あと少しでiPhone 4が発売開始になってから2カ月経つ。相変わらず入手困難だが、最近は街中でも使っている人をちらほら見掛けるようになった。その間、アンテナ問題が発覚するなど、マイナス面はあるものの、大人気のスマートフォンだ。筆者は諸事情で遅れて入手。約1カ月間使ってのレポートをお届けする。

●6月15日「予約開始」

 iPhone 4の予約受付は6月15日からと発表された。実はこの日、1泊2日のロケが入っていたが、昼集合だったので朝一に予約すれば間に合う計算だった。しかし前日に詳細が発表され「17時から受付開始」。ロケ先はソフトバンクショップどころかネットすら危うい陸の孤島だ。ロケ車に乗ったら最後、戻ってくるまで予約は不可能。結局東京へ戻った翌日の17日朝一に予約した。

 またこの時、数カ月残っている3Gの残金清算と、3GSの時必須(ショップによって対応は異なっていた)だったダブルホワイトプランを解約する手続きも行なった。結果として「3Gの残を払いつつ3GSを持つ」のと「3GSを残を払いつつ4を持つ」のとでは、実質の本体価格が安くなっている分、後者の方が月々の基本料金部分は少なくなる。1万円越えと、1万円を切るのとでは気分的に随分印象が違う。

 いずれにしてもこのたった1日半の遅れが大きく、発売当日に入手出来なかったのは言うまでもない。予約した時に準備ができたら連絡しますと言われたものの、6月一杯全く連絡は無し。ショップの近くに行った時、直接聞いたところ、「17日に予約」と言った瞬間に「16日の予約分も未だ」と即答だった。そして予約したのを忘れかけてた7月10日に連絡があり、翌日に受け取る段取りとなった。

●7月11日「iPhone 4ゲット!」

 3GSから4への機種変(買い増し)手続きは簡単で、予約時の書類とIDカードを提示、パッケージを自分で開封、3GSのSIMから4用のMicro SIMにデータを移行、初期不良などが無いか軽くチェックし受け取る。この時、無効になった3GSのSIMは3GSに入ったまま。返却や破棄する必要は無い。

 この件、3GSを電話機能が無いiPod touchとして使うのに実は非常に重要。本体をリセットしたり、ファームウェアをアップデートした時にSIMが無いとアクティベートできないからだ。3Gから3GSの時はSIMの形状が同じなので(面倒だが)入れ替えるだけで済んだが、3GSから4へは形状が違うので入れ替えができず、もとのSIMが無いとアクティベートができなくなってしまう。同社はこのことを把握しており、現状の対応となっているそうだ。

 余談になるが、筆者の場合、3G→3GS→4と買い増ししている関係で、手元には3台のiPhoneがある。さすがに1番古い3Gは、iPod touchとして使うにも3GSがあるので不要。例えば知り合いなどにiPod touchとして譲ろうにもSIMは3GSが使っているので、3GはNO SIMとなってしまい先の問題が発生する。レアケースかも知れないが、このような(忠実な/笑)ユーザーに無効のSIM(現3GSに入っているSIMのコピー)を1枚配布して欲しいところだ。

3GのSIM無し表示 3GSのSIMはあっても電話として機能しないので圏外となる 左から3G、3GS、4。デザインが変わり3GSよりさらに箱が小さくなっている

 データ移行に少し時間がかかるので、その間、担当者と世間話をしていたのだが、そこでわかったのは「使わなくなった3Gや3GSに新規契約してSIMを入れても割引対象外なので逆に高くなる。4で新規にした方が明らかに安上がり。手元に残った旧機種はiPod touchとして使うしかない」、「既に使っているiPhoneへはMNPできない、新規契約する必要がある」の2点。前者は既にiPhone 4/16GBで2年契約だと本体価格は実質0円になるので仕方ないとして、後者はちょっと考え物だ。

 例えば筆者はNTTドコモとiPhoneの2台持ち。ドコモから既に使っているiPhoneへMNPできないことになる。エリアとバッテリ駆動時間さえ納得できる範囲になればMNPしたいと思っているだけに(MNPとしては当たり前かも知れないが)、ちょっと意外な話だった。しばらく2台持ちにしてiPhone 1台でも大丈夫なのを確認してからMNPしたい人も多いだろう。しかし、MNPしたければ別途iPhoneを新規で追加するか、使っているiPhoneが2年経つ(もしくは残金を払う)必要がある。せっかくユーザーが移りたいと思っているのに、これでは容易にできなくなる。持っているiPhoneを形式上、一旦仮解約、そしてMNPして契約継続など、何か対策して欲しいところだ。

●7月11日「ファーストインプレッション」

 やっとゲットしたiPhone 4。わくわくしながら早速事務所で充電しつつ環境設定。少し使ったファーストインプレッションは……「これならiPhone 3GSのままでもいいかな!?」という意外な感想だった。

 まず動作速度は3GSより速くなっているが、3Gから3GSになった時のように劇的な変化は無く、ネットやAppを使うなら3GSの速度で十分。同じサイズの液晶パネルに4倍のドットが詰まっている「Retinaディスプレイ」は、確かに綺麗だが感激する程でも無い……など、3GSと比較して圧倒的な雰囲気が無い(と思っていた)。唯一良かったのはボディが薄くなったので、NTTドコモのケータイとiPhoneを重ねてジーンズのポケットに入れた時、明らかにかさばらなくなったこと程度だった。

 ところが1週間ほど使った後「たまには3GSもメンテしなければ」と、久々に3GSを触ったところ、初日の感想は一気に逆転。ディスプレイはドットが荒くスカスカに、色が薄く見え、ネットをしてもAppを使っても妙に遅く感じられる。加えて3G/3GSと2年間見慣れたデザインはモッサリ(古っぽく)して見えるなど、もう3GSに戻れなくなってしまった。

 3Gから3GSは即効性のある違いだったが、3GSから4へはジワジワ浸透するといった感じだろうか。いずれにしても今となっては「絶対iPhone 4がいい」と断言できる。

iPhone 3GS、iPhone 4/表 iPhone 3GS、iPhone 4/裏。iPhone 4の方が薄く、全体的にクールな感じだ
iPhone 3GSの画面キャプチャ iPhone 4の画面キャプチャ。サムネイルでは同じに見えるが、実際はこんなに解像度が違う。これが同サイズの液晶パネルに表示されるのだから、当然4の方が高密度だ
【動画】3GS/4の速度比較。一呼吸+α、iPhone 4の方がレンダリングが速い

●アンテナ問題

 iPhone 4は、外部をアンテナで覆っている構造上、手で触れると感度が低下すると騒がれている。試したところ、電波状況が微妙な場所で問題の左下にあるスリットを塞ぐと、スッと電波状態を示すバーが落ち込んで行く場合もある。手は抵抗体なのでこの部分を持つとアンテナの利得に変化を与えやすく、結果、感度が下がるのだ。これを防ぐにはケースを絶縁体替りとして使い、物理的に手が触れないようにしなければならない。

 既に4専用のケースは数多く売られているが、ネットで検索したところ、このアンテナ問題対策としてケースではなく、“ばんそうこう”のようなシールまで売られていたのは面白かった。シールの色やデザインにもよるだろうが、確かにiPhone 4のデザインを損なわず、ワンポイントとしてなら1番いいかも知れない。

【動画】スリットを塞ぐと減衰する電波。左下のスリットを指で塞ぐと、少し間をおいてご覧のようにじわじわアンテナが減る

 そして7月24日、同社は、この問題の対策として、Bumperなどのケースを無償配布(もしくは既に購入した人には返金)、受付開始となった。注文方法が少し変わっていて、「iPhone 4 Case Program」というAppをApp Storeからダウンロード、実行し、申し込む形式になっている。純正のBumper以外にも他社のケースも何種類か並び(今はもっと種類が増えている)、好みに応じて選択できる。ただし、Bumperに関しては黒しかなく、白か青が欲しかっただけにちょっと残念ではあった。

iPhone 4 Case Program 無償配布されるケース一覧 注文終了

 7月24日中に申し込み、8月2日「iPhone 4 Bumper黒」が到着。もっとかかると思っていただけに、意外と早くて驚いた。このBumper、単に周りを囲むだけではなく、もともと押しボタンになっている電源スイッチ、ボリュームは、同じ位置にメタリックなスイッチが付いていて、そのスイッチを押すように、またスライドスイッチになっている消音スイッチに関しては穴が開いている。

 さすがに純正だけにボディから浮くような部分は皆無でピッタリ張り付き、iPhone 4にジャストフィット。表と裏の強化ガラス部分以外は保護できる。もちろん問題になっているスリットを物理的に手から絶縁するためアンテナ問題を回避可能だ。

iPhone 4 Bumper黒 Bumper自体にスイッチがある/電源 Bumper自体にスイッチがある/ボリューム

●Goodなところ

 日頃使う機能として3GSより明らかに良くなった部分は、両面強化ガラス仕上げで薄くなった新デザイン、IPSで視野角が広くドットが見えず色も濃く表現できるRetinaディスプレイ、500万画素/LEDフラッシュなど高性能化したデジカメ、3GSより長持ちなバッテリなどが挙げられる。

 デザインは後述する「Badなところ」で触れるのでご覧頂くとして、Retinaディスプレイに関しては先に書いた通り。あの高密度感は慣れれば慣れるほど3GSには戻れなくなる。さらにIPSパネルの効果も歴然で、例えば机の上に少し離れて置き画面を見ても(つまり角度が付く)普通に見える。一方同じ場所に置いた3GSは白っぽくなって見れる状態では無くなってしまう。これも普段iPhone 4を使っていれば当たり前に思っているが、たまに3GSを使うと「こんなに差があるんだ!」と気付く部分だ。

 デジカメは500万画素に画素数が増えたことより「裏面照射型CMOSセンサー」を採用した方が大きく、通常用途はもちろん、暗い場所での高感度撮影でも明らかにノイズが減り、色も良くなっている。ケータイに搭載しているデジカメとしてはかなり上位ランクだろう。一眼レフクラスが必要な状況以外ならiPhone 4でまかなえそうだ。

 バッテリに関してはベンチマークテストを行なったわけでは無いので、あくまでも感覚的だが、筆者の使い方だと3GSと比較して1日以上は持つようになった。これもたまに3GSを使うとバッテリの減りが早いことに気付く。

 いずれもiPhone 4だけを使っていれば何も思わない部分であるが、旧機種と比較すると明らかに進化している。派手さは無いものの、大人の魅力を感じる。

写真サンプル1(屋外) 写真サンプル2(室内) 3GSと4(IPS)の視野角差

 筆者の用途的に使っていない新機能は、HD動画録画/iMovie、3軸ジャイロセンサー、Wi-Fi経由で使えるテレビ電話「FaceTime」、そして通話時のノイズキャンセラーとなるだろうか。

 HD動画録画とiPhone 4本体で編集できるiMovieは是非使ってみたいのだが、可愛い被写体がいないと気合を入れて撮る気にならず(笑)ペンディング中。3軸ジャイロセンサーとFaceTimeは個人的にはあまり興味が無い部分、そしてネット端末が主な用途なので、通話することがほとんど無く、ノイズキャンセラーの出番が無い。この辺りは使い方にもよるので、感想は人それぞれだと思われる。

 ソフトウェア面としては、マルチタスクなどに対応したiOS 4も大きな魅力の1つであるものの、3GSでも同等に動くため、iPhone 4固有の機能では無い。現在、筆者がiOS 4のレポートを掲載した時より、Skypeやradiko.jpなどマルチタスク対応のAppが大幅に増え、非常に便利になっている。

●Badなところ

 アンテナ問題に関しては先に書いた通りであるが、それより明らかにおかしいのは、自宅の無線ルーター、バッファロー「WZR-HP-G300NH」との相性が悪く「メールをチェックするのに3G回線の方が速い」、「ネットラジオがブチブチ音切れする」と言う問題が発生している。もちろん事務所やカフェなど他の無線ルーターや、手持ちのiPhone 3G/3GS、iPadで同じAppを使ってチェックしても大丈夫。ルーター側の問題とは考え難く、iPhone 4のファームウェアが原因だろう。記憶が定かではないのだが、確か4.0.0の時は問題無く、4.0.1にアップデートした時からこの現象が発生。最新の4.0.2でも相変わらずだ。

 念のため編集部から最新のバッファロー「WZR-HP-AG300H」と、プラネックス「Simple Access Point/MZK-SA150N」を送って頂きテストしたところ、どちらも問題無く接続できている。特に後者は、コンパクト(75×23×60mm/幅×高さ×奥行き)で価格も安価(4,000円以下)なので、ルーターごと交換するよりもiPhone 4専用アクセスポイントとして増設するのもありだろう。

 そしてもう1つ、これはBadなところと言うのには洒落になってしまうが、「ボディが美し過ぎて似合うケースが無い」ことだ。例えば、無償で送られて来た純正の「iPhone 4 Bumper黒」、試しに買ったバッファロー「光沢ポリウレタンフルケース/黒」。確かに本体の保護はできるのだが、美しいデザインが完全にスポイルされてしまう。ショップに行っていろいろ試しても同じ。結論は「iPhone 4は裸のまま使うのが美しい」と言うことだった。

 これは裏も表もフラット、表だけでなく裏側まで強化ガラス、そして周囲がメタリックなクールなデザイン上から来る問題(?)で、どこか一部を覆ってしまうと、それによって全体のバランスが崩れてしまう。もちろん、素のままで使うと道などに落とした時に間違いなく壊れてしまうが、これまで3G/3GS共、落下させたことは無く無傷のまま。「多分大丈夫だろう……。」と、そのまま使っている。

iPhone 4 Bumper黒を付けたところ 光沢ポリウレタンフルケース/黒を付けたところ


 以上のようにiPhone 4は、アンテナ問題と言ったクリティカルな面もあるが、満足度は非常に高い。加えて相変わらず品薄で、未だに予約してから1カ月程度はかかるようだ。現状のブラックモデルにするか、発売が伸び伸びになっているホワイトモデルを待つか、欠点などをクリアした次モデルに期待か……。迷っている人には悩ましい1台と言えるだろう。