西川和久の不定期コラム

デザインにこだわった実力派!
ASUSTeK「Eee PC 1008KR」



Eee PC 1008KR

 ネットブックはIntelとMicrosoftからの制限があり、機能的に差別化することは難しく、若干のファンクションの有無とデザイン勝負となる。このような状況の中、それを逆手に取り、デザイン勝負のモデルがASUSTeKから登場した。当初「デザインだけか……」と思っていたものの、意外な実力を持ったモデルだということが判明した。早速使用レポートをお届けする。


●お洒落なネットブック

 ネットブックが登場してからもう3年近く経っているが、1台目のPC、2台目3台目などのサブマシン、家族に1人1台など、その使われ方はさまざまだ。1台目のPCであれば、出来るだけ高機能もしくは多機能を望むだろうし、サブマシンなら機能よりもサイズや重量、そしてデザインなどを重視するケースもあるだろう。いずれにしてもビューア的なライトな用途であれば特に不満も無く扱えるノートPCだ。

 加えて今年、メモリコントローラとGPUを内蔵した新型Atomプロセッサとチップセットが登場。去年までのネットブックと比較して、GPUで共有するメモリも含めメモリアクセスが速くなり、ベンチマークテストだけでなく体感速度もアップ、構成するコンポーネントが減った事もあり、より省エネ化が可能になった。

 今回ご紹介するASUS「Eee PC 1008KR」は、ネットブックとしては標準的なスペックであるものの、デザインにこだわった製品だ。主な仕様は下記の通りだ。

ASUS「Eee PC 1008KR」仕様
CPU Intel Atom N450プロセッサ(1Core/1.66GHz/cache 512KB)
チップセット Intel NM10 Express
メモリ 2GB/SO-DIMM(最大2GB/1スロット空き0)
HDD 320GB
OS Windows 7 Home Premium(32bit)
ディスプレイ 10.1型ワイドTFTカラー液晶、1,024×600ドット
GPU CPU内蔵GMA 3150、アナログRGB出力
ネットワーク Ethernet(10BASE-T/100BASE-TX)、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR
その他 USB2.0×2、SDカードリーダ、Webカメラ、オーディオIN/OUT、ステレオスピーカー、マイク
サイズ/重量 262×180×18〜26.2mm(幅×奥行き×高さ)/約1.1kg
バッテリ駆動時間 最長約5.0時間/3セルリチウムポリマーバッテリ(2本標準)
価格 59,800円(税込)

 主要なコンポーネントは、CPU Intel Atom N450プロセッサ(シングルコア/1.66GHz/キャッシュ512KB)、Intel NM10 Expressチップセット、GPUは内蔵GMA3150、1,024×600ドットの10.1型液晶パネル(ミニD-Sub15ピン出力あり)、メモリスロットは1つ最大2GBで装着済み、Ethernet、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRなど、Atom N450プロセッサを搭載したネットブックとしては一般的なものとなっている。有線LANがGbEではないものの、ほぼ全部入りのスペックだ。

 特筆すべきは、HDDは320GB、そして3セルリチウムポリマーバッテリが標準で2本、OSはWindows 7 StarterでなくHome Premiumというところだ。

 ネットブックでHDDは160GBになっていることが多く、320GBは倍の容量。デジカメのRAWデータや動画データを大量に扱わない限り、容量不足になることはまずない。バッテリが標準で2本は、筆者がレビューした中では初めてのパターンとなる。最大約5.0時間×2なので、かなりの長時間、バッテリのみで運用可能だ。また言うまでもなく、Windows 7 Starterは、Aeroが使えなかったり壁紙が変更できないなど、いろいろ機能制限があり、ユーザーとしては購入時からHome Premiumが入っているのは嬉しいところ。32bit版になっているが、メモリ最大2GBなので十分だ。ネットブックとして59,800円は高めな価格設定であるものの、この3つのポイントを考慮すると、十分リーズナブルな価格と言える。

 カラーバリエーションは「グロッシーホットピンク」、「マットコーヒーブラウン」の2種類。冒頭に書いたように本機最大の特徴である「カリム・ラシッド氏」がデザインしたものだ。色的に前者が女性用、後者が男性用なのだろうか。個人的には加えてブルー系が欲しかった。いずれにしてもネットブックの場合、主要部分であまり差別化ができないため、このようにデザインにこだわり、差別化するのもマーケティング的にはありだろう。

天板。ノートPCとしてはあまり馴染みのないデザインだが、実物は質感なども良い。ピンクモデルも見てみたい 正面。右側は電源スイッチ、中央液晶パネルの下にHDDアクセスランプなど。左側はパワーモード替えと、タッチパッドON/OFFスイッチ 本体底面。ミニD-Sub15ピンポート変換ケーブル収納、バッテリ収納パネル、ステレオスピーカー
左側面。コネクタが細い電源入力、ミニD-Sub15ピン、USB 2.0×1、SDカードリーダ アイソレーション・タイプのキーボード。主キー以外は小さめのキートップとなるが、筆者が触った限り特に問題は無い 右側面。Ethernet、音声入出力、USB 2.0×1。カバーが付いているので防塵にもなる
キーピッチは実測で約18mm 重量は実測で1,156g ACアダプタ、バッテリなど。ACアダプタのコネクタはメガネタイプ。バッテリは233g。かなり薄型だ
ミニD-Sub15ピン変換ケーブルをつけたところ。普段はパネルで目立たなくなっている分、パネルを開けるとデザインが崩れるのは仕方ないところか 凸凹になっているデザイン ブロックが連なっているような立体感。光の当て方によってグラデーションが変化する
バッテリと普段使わないミニD-Sub15ピン変換ケーブルは、ご覧のように本体内に収納する。裏も同じデザインでまとまっているのが印象的だ

まず第一印象は「仕上げが綺麗!」だ。天板はもちろん、USBポートなど周囲のポートは見えないよう、小さなパネル付き。これは防塵効果もある。更に裏側も天板と同じデザインそして材質で統一。バッテリは、ありがちなボディ後部の脱付式でなく、薄い板状の3セルリチウムポリマーを本体内部へ収納し、カバーを付けるといった凝りようだ。手触りも文字では表現し難いのだが、ちょっとヌメっとしたマットな雰囲気。そしてゴムのブロックが連なっているような立体感があり、指紋あとも付かない。ネットブックにありがちなチープさは皆無で(好みもあるだろうが)非常にお洒落に仕上がっている。

 蓋を開けるとオールブラック。液晶パネルの周囲は光沢ブラック、キーボードとパームレストなどは非光沢ブラックでメリハリが付いている。10.1型の光沢パネルの発色は、コントラストも高く鮮やか。特に原色系が綺麗だ。視野角もこのクラスとしては広い方だろう。サイズ262×180×18〜26.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.1kg。フットプリントは小さく、軽量なので片手で持ち上げても軽々上がる。

 ちょっと驚いたのはキーボードだ。これまで同社のキーボードは、強めに押すとけっこうたわみ、キータッチも軽めのものが多かったのだが、同じアイソレーション・タイプでも割とガッチリしており、たわみもほぼ無く、キータッチは少し硬めで心地よい。パームレストとタッチパッドは一体化しており、タッチパッドの部分に細かい凹凸がある。ボタンはバー1本のシーソー型。クリック感が少し重いのが惜しいところか。なお、このタッチパッドは、2本指でスクロールなどジャスチャー機能に対応している。

 ノイズや熱に関しては、パームレストで若干振動を感じるが、平均的なレベル。裏側に付いているステレオスピーカーは、音色・音量共十分だ。コンテンツプレイヤーとして十分楽しめる。

 当初デザインだけかと思っていた「Eee PC 1008KR」であるが、全体的な仕上げ、キーボードや液晶パネルのクオリティ、HDDの容量、バッテリ2本付き、そしてWindows 7 Home Premium搭載など、ハードウェア面、ソフトウェア面、いろいろな部分にこだわったモデルとなっている。

●OSはWindows 7 Home Premium

 OSは32bit版のWindows 7 Home Premiumがインストールされている。従って、Starterのような機能制限は無く、快適に操作可能だ。HDDは日立GSTのHTS545032Bが使われている。パーティションは、Cドライブが約100GB、Dドライブに188GB。Dドライブ側には何も入っていない。タッチパッドのドライバは、Synaptics TouchPad V7.2。ズームイン/アウト、回転、ページUp/Down、スクロールなどマルチタッチ機能にも対応している。

 CPUがAtom N450、そしてGPUに内蔵GMA3150と言うこともあり、体感速度は快適とまでは行かないものの、Windows 7マシンとしては特に問題無い範囲だろう。視覚効果の調整で出来るだけアニメーション系をOFFにすれば、割とサクサク動くようになる。

 結構便利なのが、キーボード左上側にあるパワーモード変更ボタンと、タッチパッドON/OFFスイッチだ。ファンクションキーとのコンビネーションではなく、完全に独立した形になってる。特にパワーモードは、スーパーパフォーマンスからパワーセービングモードへサックっとワンタッチで切り替えでき、用途や状況に応じて作動モードをコントロールできる。

マシンのデザインがそのまま使われているデスクトップ。この他にも5種類のオリジナル壁紙が入っている デバイスドライバ/主要なデバイス・HDDは日立GSTのHTS545032Bが使われている。BluetoothはBroadcom Bluetooth BT-270 HDDのパーテーション。リカバリーなど4パーティションになっている。実際はCドライブの100GB、Dドライブ約188GB

 プリインストールされているソフトウェアは、「ASUS Update For Eee PC」、「Super Hybrid Engine」、「ASUS WebStorage」、「Eee Docking」といった、同社お馴染みのユーティリティ、そして「ウイルスバスター 2010 60日間対応版」、「i-フィルター 5.0 30日間対応版」、「StarSuite 9」、「Windows Live」、「Skype」などとなる。

ASUS Update For Eee PC Eee Docking StarSuite 9

 ベンチマークテストは、Windows エクスペリエンス インデックス、CrystalMark、そしてBBenchの結果を見たい。まずWindows エクスペリエンス インデックスの総合は2.3。内訳は、プロセッサ2.3、メモリ4.6、グラフィックス3.1、ゲーム用グラフィックス3.0、プライマリハードディスク5.7。新型Atomプロセッサ搭載機としては平均的なスコアだ。バランス的にはCPUがせめて3.0程度は欲しいものの、そこはシングルコアのAtomプロセッサなので仕方ないところだ。CrystalMarkは、ほぼ同じアーキテクチャである前回のHP「Mini 5102」と7,200rpmのHDD以外は瓜二つと言っても過言ではない。

 BBenchは、Power Savingモードで、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残6%で12,507秒(3.4時間)。仕様上最大約5.0時間なのでそれなりなのだが、バックライトOFFだと暗過ぎて何も見えないため、実用上としてはもう少し短くなりそうだ。従って2本のバッテリで6時間程度か。バッテリ1本の重量は233g。本体と一緒に持ち歩いても合計1.5kgを下回っている上、かなり薄いので、苦にならないだろう。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合2.3。プロセッサ2.3、メモリ4.6、グラフィックス3.1、ゲーム用グラフィックス3.0、プライマリハードディスク5.7 CrystalMark。CPUがAtom N450、そしてGMA3150なので、スコア的には他のネットブックとあまり変わらない BBench。Power Savingモードで、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでのBBenchの結果。バッテリの残6%で12,507秒(3.4時間)

 編集部から今回のレビューの話があった時は「ネットブックのちょっと変わったデザインものか」と思っていたのだが、実際物が届いて見ると、デザインだけでなく、キーボードや他の部分の作り込みもしっかりしており、全部入りのネットワーク、3セルバッテリが標準で2本、しかもWindows 7 StarterではなくWindows 7 Home Premiumと、非常にまとまり感があり、完成度も高い。

 ちょっとお洒落にネットブックを使いたいユーザーはもちろん、真面目にネットブックを使いたいユーザーにもお勧めの逸品だ。