西川和久の不定期コラム
iiyama「STYLE-17FH052-i7-FES」
~Core i7搭載の17.3型2スピンドルノートPCが9万円代!
2017年3月7日 06:00
ノートPCのレビューは10型から15型程度のものがほとんど。それ以上の多くはゲーミングノートPCとなる。そのような中、編集部から17型で2スピンドルの“普通の”ノートPCが送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
4コア/8スレッドのCore i7搭載で90,980円!
パソコン工房サイトにある、STYLE by iiyamaのページをみると、11型/Celeronから、今回ご紹介する17型/Core i7までいろいろなラインナップが揃っている。
執筆時の売れ筋ランキングは、1位がこの17型/第6世代Core i7-6700HQ/税別90,980円、2位が15型/第7世代Core i3-7100U/同67,980円、3位が17型/Celeron N3160/同58,980円。搭載しているプロセッサとパネルサイズを考えると、どれもコストパフォーマンスが高く、なるほどといった感じだ。
そして今回ご紹介するiiyama「STYLE-17FH052-i7-FES」は、プロセッサこそ1世代前のSkylakeだが、17型、メモリ8GB、ストレージ SSD 240GB、そして光学ドライブ搭載で、税別90,980円となかなか頑張った内容となっている。主な仕様は以下の通り。
仕様 | iiyama「STYLE-17FH052-i7-FES」 |
---|---|
プロセッサ | Core i7-6700HQ(4コア/8スレッド、クロック2.6GHz/3.5GHz、キャッシュ6MB、TDP 45W) |
メモリ | 8GB(4GB×2)/DDR3L-1600 SODIMM |
ストレージ | SSD 240GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 10 Home 64bit |
ディスプレイ | 非光沢17.3型フルHD(1,920×1,080ドット)、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 530/ミニD-Sub15ピン×1、HDMI×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB 3.0×3、USB 2.0×1、200万画素Webカメラ、メディアカードリーダ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約2.9時間 |
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 | 約413×273×37mm/約3.01kg |
税別価格 | 90,980円 |
プロセッサはCore i7-6700HQ。4コア8スレッドで、クロックは2.6GHzから最大3.5GHz。キャッシュは6MBでTDPは45W。Skylake世代とは言え、SKUとしてはかなり上位に相当する。
メモリはDDR3L-1600 4GB×2の計8GB。ストレージは240GBのSSDと、光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載している。最近めっきり光学ドライブ搭載機を見かけなくなったので、必要なユーザーにとっては嬉しいポイントとなるだろう。OSは64bit版のWindows 10 Homeだ。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 530。外部出力端子として、ミニD-Sub15ピン×1とHDMI×1を備えている。ディスプレイは非光沢17.3型のフルHD(1,920x1,080ドット)。タッチには対応していない。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.2も内蔵している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3、USB 2.0×1、200万画素Webカメラ、メディアカードリーダ、音声入出力と標準的だ。
サイズは約413×273×37mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約3.01kg。バッテリ駆動時間は約2.9時間。そして、これだけのスペックにも関わらず、価格は税別で90,980円と、10万円を切っているのが最大の魅力と言える。
カスタマイズは、Windows 10 Pro、メモリ8GB×2の16GB、ストレージはSamsung SSD 850 EVO/850 PROの256~512GB、液晶保護フィルム、ドッキングステーションなどとなる。また10万円を少し超えてしまうが、上位にGeForce GTX 965M(4GB)を搭載したモデルも用意されている。
トップカバーとキーボード周辺は、真鍮色のヘアライン仕上げ。ほかはツヤなしブラック。落ち着いた雰囲気で、ビジネス用途でもホビー用途でもマッチする。17型で光学ドライブを搭載していることもあり、重量は約3kgと、カバンへ入れて持ち運ぶには大きさも含め少々無理があるが、屋内の移動程度であれば問題ないだろう。
前面はパネル中央上に200万画素Webカメラ。正面側面左に各種LED、右にメディアカードリーダ。左側面に電源入力、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、HDMI。右側面にロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、USB 3.0、USB 2.0、音声入出力を配置。
裏は手前左右のスリットにスピーカー。バッテリは着脱式だ。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはないものの、全体の約3分の2を覆っているパネルを外せば内部にアクセスできそうだ。
付属のACアダプタは、サイズ約123×48×28mm(同)、重量334g。おそらく本機を持ち運ぶ時、バッテリ駆動時間が短いこともあり、このACアダプタが必要となるが、サイズ/重量共に(本体と比較して相対的に)かさばる程ではない。
17.3型のパネルは、非光沢なので映り込みが少なく見やすい。明るさは最大にするとかなり明るく、コントラストは良好。発色は少し地味だが、落ち着いた感じだ。視野角は広くはないものの、通常のポジションで見る限り問題ないレベル。安価なマシンは総じて液晶パネルにしわ寄せがいくケースが多いが、本機に関しては大丈夫だ。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプで、主要キーのキーピッチは約19mm。スペースキーの右側が若干狭くなっているが、17型とフットプリントが広く、面積が十分確保されている分、歪な並びなどはない。強く押すと若干たわむが、これは許容範囲だろう。タッチパッドは1枚プレート型で、パームレストも広く扱いやすい。
振動やノイズに関しては、試用した範囲では気にならなかった。発熱も時期的なものもあると思うが、ベンチマーク中、負荷がかかるシーンで、写真に掲載した左の裏、ヒートシンクが見えている部分から、生温い空気とファンの音、そしてパームレスト左側も若干暖かくなる程度だった。
サウンドは、構造上机に反射して音が出るタイプだ。左右の幅がそれなりに確保されているため、ステレオ感がありパワーもそこそこ。カマボコレンジだが、本体のみで結構楽しめる。
バッテリ駆動時間は短いものの、Core i7で十分なパフォーマンス
OSは64bit版のWindows 10 Home。Core i7、8GB、SSD 240GBなので、基本的な性能は十分。何をしてもストレスを感じない。初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はWindows 10標準のまま、デスクトップは壁紙のみの変更とシンプル。
SSDは「Crucial CT275MX300SSD1」。3D TLC NANDフラッシュを搭載した2.5インチタイプだ。非フォーマット時で275GBと、仕様上は240GBだが、実際はそれを上回っている珍しいケースと言える。Cドライブのみの1パーティションで、約255.18GBが割り当てられ、空きは235GB。
DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GTC0N」。GbEはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
プリインストールソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは「ノートンセキュリティ(90日間無料版)」、「Sound Blaster Cinema 2」、Intelなどのシステム系と、素のWindowsに近い状態だ。コントロールパネルのプログラムと機能を見ても、ほぼ全てドライバー系となっていた。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMarkの結果も見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 5.3。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 5.3、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は28,219.57856MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは2,898。グラフィックス以外8を超えているので、ノートPCとしては結構速い部類だ。メモリのバンド幅も十分。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 533.7/Write 490.3、4K Q32T1 Read 246.6/Write 271.2、Seq Read 469.8/Write 466.4、4K Read 25.28/Write 113.5(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 76,344、FPU 64,283、MEM 64,328、HDD 41,548、GDI 15,609、D2D 2,458、OGL 7,423。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で16,773秒/4.7時間。
仕様上は約2.9時間なので、2時間近く上回っている。ただ、実際使用していると、見る見るバッテリが減っていくのが分かる。とはいえ、長時間バッテリ運用するとは本機の性質上考えにくく、特に問題はないだろう。
以上のように、iiyama「STYLE-17FH052-i7-FES」は、17型で4コア8スレッドのCore i7を搭載した2スピンドルノートPCだ。一世代前のSkylakeだが、性能は十分。標準構成でメモリ8GB、SSD 240GBと基本を押さえて、税別90,980円という価格は、かなりハイコストパフォーマンスだ。光学ドライブ搭載も、用途によってはポイントが高い。
試用した範囲で特に気になる部分もなく、17型で高性能、そして安価なノートPCを求めているユーザーにお勧めできる1台だ。