Hothotレビュー
NEC PC「LAVIE Hybrid ZERO HZ330/DAS」
~世界最軽量約798gの11.6型着脱式2in1ノート
(2016/2/17 06:00)
NECパーソナルコンピュータ株式会社(NEC PC)は、超軽量モバイル「LAVIE Hybrid ZERO」シリーズの新モデルとして、11.6型液晶採用の着脱式モデルを今年(2016年)の1月13日に発表した。これまでのシリーズにはない、液晶部が着脱する仕様ながら、従来の13.3型液晶搭載モデル同様に、11.6型着脱式PCとして世界最軽量を実現する点が大きな特徴となっている。
今回は、この11.6型でLTE機能内蔵モデルの「LAVIE Hybrid Zero HZ330/DAS」を試用する機会を得たので、仕様面や使い勝手などをチェックしていきたい。
手にした瞬間、本体の軽さに驚く
「LAVIE Hybrid ZERO HZ330/DAS」(以下、HZ330)は、付属のモバイルパワーキーボードに装着してクラムシェルPCとして利用しつつ、液晶部を外すことでWindowsタブレットとしても利用できる着脱式2in1だ。最大の魅力はなんと言っても、その圧倒的な軽さだろう。そこでまず、本体の外観や重量からチェックしていく。
HZ330を手にしてまず感じるのは、やはりその軽さ。HZ330の本体重量は、モバイルパワーキーボード装着時で約798g。実測では790.5gと、公称値より7.5g軽かった。手にした人のほとんどが、その軽さに驚くはずだ。筆者も、HZ330を初めて手にした時には素直に驚いた。
【お詫びと訂正】初出時に公称重量を約789gとしておりましたが、798gの誤りです。お詫びして訂正させていただきます。
13.3型液晶搭載モデルでは、最軽量モデルが約779gとなっており、モバイルパワーキーボード装着時にはそちらより10g重くなるという点は少々残念に感じるかもしれない。ただ、着脱式ノートでは、液晶部とキーボード部の着脱を実現する仕組みを盛り込む必要があり、どうしても重量増が避けられない。そう考えると、着脱式ながら700g台の軽さを実現している点は、大きな魅力と言えるだろう。
そして、それ以上に驚くのが、液晶部のみの軽さだ。液晶部単体での重量は約410g。実測では407.5gだったが、11.6型液晶搭載タブレットとして考えると、驚異的な軽さと言える。軽さを売りにしているAndroidタブレットでも、10.1型液晶搭載モデルで400gをわずかに切る程度という中で、それよりも大型の11.6型液晶を搭載するとともに、プロセッサとしてWindows 10が問題なく動作するCore m3-6Y30を搭載しつつ、400gをわずかに上回る程度の重量でしかないという点は、驚愕に値する。
この軽さは、13.3型液晶搭載モデルでも採用されているマグネシウムリチウム合金を筐体の素材に採用している点はもちろん、13.3型モデルで採用されたフィルムタイプの超薄型タッチフィルムに比べて、重量を3分の1に軽量化するとともに薄型化も突き詰めた新型タッチフィルムの採用などによって実現している。
また、単純に軽さを追求すると堅牢性が失われてしまうが、HZ330では液晶パネルを固定するフレームにもマグネシウムリチウム合金を採用することで、軽さと堅牢性を両立。天板部の耐圧性能など、具体的な堅牢性の仕様は非公開だが、規定の試験をクリアする堅牢性は問題なく確保されているという。実際に液晶部本体をひねってみると、重量のある金属製ボディ採用のタブレットと比べてやや大きなしなりを感じるが、不安になるほどではなかったので、通常の持ち歩きなどで心配する必要はなさそうだ。
本体サイズは、モバイルパワーキーボード装着時で294×206.5×13.4~17.9mm(幅×奥行き×高さ)。13.3型モデルと比べると、高さは1mmほど上がっているが、幅は25mm、奥行きは10.5mm(13.3型タッチ対応モデルとの比較)小さくなっており、よりコンパクトに持ち運べる。また、液晶部のみのサイズは292×192.5×7.6mm(同)。液晶周囲のベゼル幅はやや広いと感じるが、11.6型Windowsタブレットとして考えるとほぼ標準的なサイズだ。
キーボードは軽快な着脱や安定した利用が可能
HZ330の液晶本体とモバイルパワーキーボードは、マグネットを利用して固定する仕様となっている。モバイルパワーキーボード後方のヒンジには、液晶下部の穴に合わせたガイドピンが2個と、中央部にコネクタ、そしてヒンジ前後に高さの異なる壁が用意されている。ヒンジ部の溝に合わせて液晶本体を挿入していくと、まずガイドピンで左右の装着位置が決まり、その後マグネットによってしっかりと固定されることになる。ガイドピンは先端の角が丸く削り取られているため、位置決めも簡単に行なえるように配慮されている。外す時には、液晶部を上に引き抜けばいい。なお、液晶部は液晶がキーボード側になる方向にのみ装着可能で、表裏逆には装着できない。
液晶部を装着して開閉してみると、わずかにぐらつきは感じるものの、その割合は着脱式としては比較的小さい部類と言える。これは、ヒンジ部でのマグネットによる固定に加えて、前後の壁で液晶部を挟み込むことで、ぐらつきが抑えられているからだろう。また、このヒンジ部の前後の壁によって、装着時の一体感も高められている。装着時の見た目は、一般的なクラムシェルPCとほとんど変わらないほどだ。
ところで、液晶部にPCシステムを内蔵する着脱式PCでは、液晶部がどうしても重くなり、液晶を開いた時に後方に倒れる危険性が高まる。そこでHZ330では、ヒンジが約120度程度までしか開かないようになっている。また、ヒンジを開くと後方がリフトアップするとともに、ヒンジと床の接地部分がなるべく後方になるように、ゴム足部分の形状も工夫。これによって、最大限液晶を開いても後方に倒れにくいようになっている。
実際に液晶を最大限開いてデスクに置いた状態で、液晶部をタッチ操作してみても、後方に倒れそうになるような印象はほとんどなかった。こういった細かな部分までの配慮も、利用者にとって嬉しい部分と言えるだろう。
キーボード部分は、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは17.5mmと、13.3型モデルに比べると0.5mm狭くなっているが、実際に使ってみてもそれほど窮屈という印象はなく、十分にタッチタイプも可能だった。
キーストロークは約1.2mmと、こちらは13.3型モデルと同様。ストロークの短さはやや気になるが、クリック感はしっかりしていて、タッチも柔らかすぎることがないため、ストロークが短い割には打鍵感は悪くない。ストロークの深いキーボードを普段使っているなら、最初は違和感を感じるかもしれないが、慣れればそれほど気にならなくなるだろう。配列も大きな不満はないが、個人的にはカーソルキーが1段下がった位置に配置して欲しかった。
タッチパッドは、クリックボタン一体型のNXパッドを搭載。複数の指を使ったジェスチャ操作にも対応しており、利便性は申し分ないが、横幅に比べて縦幅がやや狭くなっている点は少々気になる。できれば、一回り大きなタッチパッドを搭載してもらいたかった。
なお、モバイルパワーキーボードには、その名称からも分かるようにバッテリを内蔵しているため、重量は約388gと少々重め。実測での重量は383gだった。
オプションのフラットカバーキーボードは使い勝手にやや難あり
次に、オプションとして用意されているフラットカバーキーボードをチェックしていこう。こちらは、液晶本体下部に装着することでカバーとして利用できるだけでなく、後方のスタンドを引き出すことで液晶部を立てかけられ、カバー内部のキーボードを利用した入力も可能となっている。モバイルパワーキーボードと異なりバッテリは内蔵しないため、駆動時間は短くなるが、より軽く本体を持ち歩きたい場合に重宝しそうだ。
フラットカバーキーボードの重量は、公称で約187g。実測では188.5gとわずかに上回っていたが、それでも液晶部本体と合わせて実測596gと、600gを切る軽さを実現できている。カバーを閉じると液晶部が保護される点と合わせ、携帯性もより高まると言えそうだ。
フラットカバーキーボードは、特殊な仕組みが採られている。キーに携帯電話などのボタン部に採用されているメタルドームスイッチを採用することで、薄さと軽さを失うことなく、クリック感を実現。また、キー部分にエンボス加工を施すことと合わせ、タッチセンサー採用のカバー型キーボードにはない、キーの触感やクリック感を実現することによって、薄型のカバーキーボードながら使いやすさを追求しているという。キーピッチは17.5mmと、モバイルパワーキーボードと同等だ。
加えて、フラットカバーキーボード後方の本体を支えるスタンドも、超薄型ながらしっかりと本体を支えられる強度を確保。液晶面の角度は調節できないが、クラムシェルPCに近い利便性を実現できるとしている。
ただし、実際にフラットカバーキーボードを装着して使ってみると、難ありと感じる部分も多かった。まず、キーボードはクリック感があるとは言っても、かなりペコペコとした感触で、お世辞にも打ちやすいとは言えない。また、タッチパッドが用意されない点も残念で、利便性を低下させる要因となっている。
フラットカバーキーボード自体はそれほど剛性がなく、後方スタンドも中央部分で支える構造となっているため、膝の上では非常に不安定となり、利用はほぼ不可能。そのため、フラットカバーキーボードを利用してキー入力を行なう場合には、必ずテーブルなどのしっかりした板の上に置いて使う必要がある。
加えて、後方スタンドを引き出すと、奥行きはモバイルパワーキーボード装着時よりも長くなってしまう。つまり、利用時に必要となる設置スペースは、モバイルパワーキーボード装着時よりも大きくなる。これはかなり大きな問題で、実際に普通電車のグリーン車座席のテーブルに置いて使ってみたところ、フラットカバーキーボードではテーブル前後にはみ出してしまった。しかも、フラットカバーキーボードのキーはカバー前方に配置されているので、キーボード手前にはパームレストになるようなスペースも確保できず、電車のテーブルでは安定したキー入力がかなり難しかった。おそらく、新幹線や旅客機のテーブルでも、ほぼ同様だろう。
こういった点から、フラットカバーキーボードは利便性にかなり難があると言わざるを得ない。もともと、フラットカバーキーボードは利便性よりも軽さを追求した、割り切った設計とのことで、そのチャレンジ精神には感服するが、キーボードとして使う場面での制約の多さはかなり残念な部分。カバーとしては十分使えるが、キーボードとしてはあまり使いたくないというのが正直なところだ。もしフラットカバーキーボードを利用しようと考えているなら、利便性に関してかなりの割り切りが必要ということを頭に入れておいた方がいいだろう。
液晶は非光沢仕様で、映り込みが少ない
液晶パネルは、1,920×1,080ドット表示に対応する11.6型IGZO液晶を採用している。広視野角でどの方向からも明るさや色合いのムラを感じることはない。パネル表面は非光沢処理となっているため、野外など明るい場所での利用時には、全体的に白っぽさが目立つものの、外光の映り込みは少ないため、特に文字入力時の快適性は優れる。発色は、光沢液晶に比べると鮮やかさやコントラストに劣るという印象だが、全体的には申し分なく、表示品質に大きな不満はない。
液晶パネル表面には、静電容量方式のタッチパネルを標準搭載。このタッチパネルは、冒頭でも紹介しているように、薄型軽量のフィルムタイプとなっているが、13.3型モデルで採用された3層構造のタッチフィルムを2層構造にすることで重量を3分の1に軽減するとともに薄さも極めたものとなっている。もちろん、薄型軽量化を突き詰めてはいるが、タッチの操作性に不満はなく、軽快なタッチ操作が可能だ。
また、タッチパネル搭載ながら、液晶面とベゼル部に段差のある仕様となっているが、Windows 10ではエッジスワイプなど、液晶側面付近でのタッチ操作の重要度が下がっているため、この仕様でも特に不満なくタッチ操作が可能だった。
SIMロックフリーのLTE対応ワイヤレスWAN機能を搭載
HZ330は、11.6型LAVIE Hybrid ZEROの最上位モデルで、SIMロックフリーのLTE通信に対応するワイヤレスWAN機能を標準搭載する点が大きな特徴となっている。
このLTE通信機能は、通信速度が受信時最大150Mbps、送信時最大50Mbps。LTE対応バンドは、1(2GHz)、3(1.7GHz)、19(800MHz)、21(1.5GHz)の4種類、3Gの対応バンドは、1(2GHz)、6(800MHz)、19(800MHz)の3種類。基本的に、NTTドコモやNTTドコモのMVNOなどのSIMを装着して利用可能。なお、対応するSIMカードはNano SIMとなる。
実際にNTTドコモのSIMを装着してみたところ、もちろん問題なくLTE通信が可能だった。通信速度は、環境によって大きく左右するため、今回はあえて計測しなかったが、Webアクセスなどで不満を感じる場面はなかった。また、SIMカードを装着した状態では、Wi-FiとLTEが自動的に切り替わり、常に最適なネットワークに接続した状態で利用できるという点も大きな魅力。MVNO SIMなら通信料金も比較的安価に抑えられることもあり、HZ330を入手したら、装着するSIMも必ず同時に用意したい。
では、そのほかのHZ330のスペックもチェックしておこう。プロセッサはCore m3-6Y30を採用しており、メインメモリは4GB(増設は不可能)。内蔵ストレージは128GBのeMMC。
通信機能は、先ほど紹介したSIMロックフリーのLTE対応ワイヤレスWAN機能に加え、IEEE 802.11ac/a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0に対応。センサー類は、加速度センサー、地磁気センサー、ジャイロセンサー、照度センサー、GPSを搭載する。
外部ポートは、液晶本体側には、右側面側にワイヤレスWAN機能用のNano SIMスロット、microSDカードスロット、ヘッドフォン/マイク共用ジャック、USB 3.0対応USB Type-Cポート、電源コネクタを用意。このうち、microSDカードスロットはUHS-IIに対応。筆者の知る限りでは、UHS-II対応microSDカードスロットを備えるWindows PCは、11.6型LAVIE Hybrid ZEROシリーズが初と思われる。左側面には電源ボタンとボリュームボタンを備える。
モバイルパワーキーボードは、右側面にUSB 3.0ポート×2とHDMI出力、電源コネクタを用意している。
付属のACアダプタは十分にコンパクトで、携帯性に優れる。重量も電源ケーブル込みで実測199gと軽いので、本体との同時携帯も苦にならないだろう。なお、ACアダプタのコネクタは角形だが、13.3型モデルのACアダプタのコネクタよりも小型となっており、双方のACアダプタに互換性はない。また、電源コネクタはタブレット本体とモバイルパワーキーボードの双方に用意されており、どちらに接続してもタブレット本体とモバイルパワーキーボードに内蔵するバッテリ双方を充電できる。
実利用時の性能に大きな不満は感じない
では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.6.512」、「PCMark 7 v1.4.0」、「3DMark Professional Edition v1.5.915」、Maxonの「CINEBENCH R15」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」の5種類。比較用として、同世代13.3型の「LAVIE Hybrid ZERO HZ750/DAB」の結果も加えてあるが、一部ベンチマークソフトのバージョンが異なるので、参考値として見てもらいたい。
LAVIE Hybrid ZERO HZ330/DAS | LAVIE Hybrid ZERO HZ750/DAB | |
---|---|---|
CPU | Core m3-6Y30(0.9~2.2GHz) | Core i7-6500U(2.5~3.1GHz) |
チップセット | ― | |
ビデオチップ | Intel HD Graphics 515 | Intel HD Graphics 520 |
メモリ | LPDDR3 SDRAM 4GB | LPDDR3 SDRAM 8GB |
ストレージ | 128GB eMMC | 256GB SSD |
OS | Windows 10 Home | |
PCMark 8 | v2.6.512 | v2.5.419 |
Home Accelarated 3.0 | 2467 | 3347 |
Creative accelarated 3.0 | 2813 | 4132 |
Work accelarated 2.0 | 3594 | 4262 |
Storage | 4115 | 4866 |
PCMark 7 v1.4.0 | ||
PCMark score | 3487 | 5299 |
Lightweight score | 2008 | 3272 |
Productivity score | 1491 | 2519 |
Entertainment score | 2602 | 3906 |
Creativity score | 6246 | 9244 |
Computation score | 9670 | 15462 |
System storage score | 3741 | 5136 |
Raw system storage score | 1362 | 4493 |
CINEBENCH R15.0 | ||
OpenGL (fps) | 21.96 | 43.11 |
CPU | 159 | 322 |
CPU (Single Core) | 58 | 129 |
3DMark Professional Edition v1.5.915 | ||
Cloud Gate | 3130 | 6068 |
Graphics Score | 3867 | 7692 |
Physics Score | 1878 | 3490 |
Sky Diver | 1868 | 3623 |
Graphics Score | 1806 | 3451 |
Physics Score | 2420 | 4910 |
Combined score | 1728 | 3555 |
Fire Strike | 418 | 825 |
Graphics Score | 457 | 882 |
Physics Score | 2797 | 4976 |
Combined score | 144 | 302 |
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク | ||
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) DirextX 9 | 2288 | 5047 |
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC) DirectX 9 | 1382 | 2804 |
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) DirextX 11 | 1393 | 3393 |
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC) DirectX 11 | 747 | 1875 |
結果を見ると、Core i7-6500U搭載のHZ750/DABに比べて全ての項目で結果が下回っている。これは、CPUの性能差が素直に結果に表れた形で、スペック相応の結果と言っていいだろう。内蔵ストレージにSSDよりもやや速度の遅いeMMCが採用されている点も、PCMarkでスコアを引き下げる要因となっているはずだ。
また、3D描画能力もCore i7-6500U内蔵のIntel HD Graphics 520に比べて半分程度と考えられる。おそらく、動作が軽めのものでも3D描画のゲームなどは快適なプレイは難しそうだ。
ただし、実際にMicrosoft OfficeやWebブラウザなどを使ってみた印象では、特に動作に不満を感じる場面はなかった。画像処理ソフトなどでは、処理の重さを感じる場面が出てくる可能性が高そうだが、文字入力中心のビジネスソフトを利用する場面であれば、大きな不満を感じることなく利用できるはず。そのため、ビジネスモバイルというHZ330がメインターゲットとしている用途であれば、ほぼ不満なく活用できると言って良さそうだ。
次に、バッテリ駆動時間だ。HZ330の公称のバッテリ駆動時間は、液晶部本体単体で約5.5時間、モバイルパワーキーボード装着時で約10.3時間(いずれもJEITAバッテリ動作時間測定法Ver2.0)とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を40%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、液晶部本体単体で約4時間25分、モバイルパワーキーボード装着時で約7時間45分だった。
公称に比べてやや短く、特に液晶部単体では4時間少々という駆動時間は、少し物足りない印象だ。この辺りは、軽さを優先した設計の影響だろう。外出時の利用が比較的短時間なら大きな問題はないと思うが、長時間の利用を考えると、ACアダプタの同時携帯も必須だろう。ただ、ACアダプタ同時携帯でも全重量は実測で1kgを切るため、携帯性が損なわれることがない点は嬉しい。
携帯性重視のビジネス2in1として魅力的な存在
HZ330は、着脱式ではなく、13.3型モデル同様の液晶回転型2in1仕様を採用していれば、より軽量化を突き詰められたと思う。しかし、あえて着脱式で11.6型液晶搭載2in1として世界最軽量を実現しているという点からは、開発者の強いこだわりが伝わってくる。
そして、付属のモバイルパワーキーボードとの併用でクラムシェルPCとしても高い利便性が確保されている点、SIMロックフリーLTE通信対応のワイヤレスWAN機能を搭載する点、タッチパネル搭載ながら液晶表面を非光沢仕様としている点などは、ビジネスモバイルとして大きな魅力となるだろう。13.3型に比べてフットプリントが小さくなり、より小さな鞄にも余裕で収納できるようになったこともあり、携帯性重視のビジネスモバイルとして、非常に魅力的な存在の製品と言っていいだろう。
なお、11.6型LAVIE Hybrid ZEROには、今回取り上げたHZ330以外に、LTE機能の代わりにIntelの「RealSense 3Dカメラ」を内蔵する「HZ300/DA」シリーズ、タブレットPC単体の「HZ100/DA」シリーズなどもラインナップしている。個人的には、LTE機能搭載のHZ330シリーズをお勧めしたいが、用途や予算に応じて最適のモデルを選択してもらいたい。