Hothotレビュー
LG 「LG G Pad 8.3」
~TVリモコンやスマホ連携が魅力の8型Androidタブレット
(2013/12/7 06:00)
LG Electronics Japanの「LG G Pad 8.3」は、同社のAndroidスマートフォン向けブランド「G」シリーズを冠した初のAndroidタブレットだ。価格はオープンプライスで店頭予想価格は44,800円前後の見込み。すでに、12月6日より全国の量販店およびシネックスインフォテックの直販を通じて販売されている。
8.3型の液晶ディスプレイを搭載したハイスペックタブレット
LG G Pad 8.3最大の特徴は本体のディスプレイサイズ。Androidタブレットは大画面の10型、片手サイズの7型が主流だが、LG G Pad 8.3はその名が示す通り8.3型と、7型クラスよりも一回り大きな液晶ディスプレイを搭載している。
本体サイズは126.5×216.8×8.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量は338g。Googleの7型タブレット「Nexus 7(2013)」の114×200×8.65mm(同)と比べてやはり一回り大きい。とは言え、幅は成人男性であれば片手で持つことも可能なサイズで、厚みもNexus 7とさほど変わらない。重量はNexus 7の290gよりは重いものの、Nexus 7の旧モデル(2012)の340gとほぼ同程度。鞄の中に入れて持ち歩くのであれば、7型とさほど変わらない感覚で携帯できるだろう。
スペック面ではSoCに1.7GHzクアッドコアのSnapdragon 600、メモリは2GB、内蔵ストレージは16GBを搭載し、OSのバージョンはAndroid 4.2.2。ワイヤレス機能はIEEE 802.11a/b/g/nの無線LAN、Bluetoothは4.0+HS、GPSを搭載するほか、無線LANは無線ディスプレイのMiracastにも対応する。
本体前面には130万画素、背面には500万画素のカメラを搭載。右側面には電源ボタンと音量ボタン、本体上部にはキャップ付きのmicroSDXCカードスロット、本体下部に充電用途を兼ねるMicro USBポートが配されている。バッテリ容量は4,600mAhで、取り外しはできない一体型。このほか背面には、横置き時の左右にスピーカーを備えている。
ホーム画面は独自カスタマイズで操作性を向上
LG G Pad 8.3のホーム画面は少々特殊で、5画面が主流のAndroidホーム画面において、本製品は3画面プラスアルファという構成になっている。基本は3画面だが、一番右の画面にはLG G Pad 8.3のデザインやハードウェアスペック、LG G Pad 8.3の独自機能などを紹介するページが割り当てられているのだ。なお、この画面はインターネット接続が前提となっており、接続されていない時は表示されない。
メーカーが手を入れることができるAndroidでは、メーカーや機種ごとに独自の機能を搭載していることも多いが、設定画面からオン/オフするような機能では、せっかくの独自機能もその存在に気が付きにくい。独自機能の紹介にホーム画面を割り当てるというのは非常に面白いアイディアだと感じた。
ただし、現状はリンク先がすべてYouTube動画になっており、機能を確認するのに動画を見なければいけないのが惜しい。手軽に機能を知るために、テキストや画像を使って紹介して欲しいところだ。
ホーム画面下部は「戻る」、「ホーム」、「メニュー」の機能がソフトボタンとして割り当てられているが、設定の「表示」、「フロントボタン」からソフトボタンの表示を切り替えることが可能。配置の入れ替えだけでなく通知パネルを表示するショートカットや独自のメモ機能「Qメモ」を含めて最大5ボタンまで拡張できる。
通知パネルは無線LANやBluetoothなどのオン/オフ、アプリのショートカットが利用可能。画面の輝度や音量も通知パネルから直接変更可能だ。
ロック画面も独自カスタマイズが施されており、ロック画面下部にはカメラやギャラリーなどを直接起動できるショートカットを設置。初期状態では5つのアプリが設定されているが、設定から最大6つまで自由にアプリを入れ替えられる。ただし、同機能はセキュリティが「スワイプ」になっている時のみ利用でき、パターンやパスワードの設定時には利用できない。本体のセキュリティを考えると、パターンやパスワード設定時でもこれらの機能を利用できるようにして欲しい。
セキュリティに「パターン」を設定した場合、画面の好きなところをタッチするとパターンドットが現れるように設定することも可能。画面が大きなLG G Pad 8.3だが、画面のどこに触れてもパターンを入力できるのは便利だ。
このほかにも、画面中央を2回タップしてバックライトのオン/オフを切り替えられる機能、インカメラが顔を検知している間はバックライトを点灯するスマートスクリーン、逆に顔を検知できない時に動画再生を止めるスマートビデオといった機能も搭載。画面表示周りはカスタマイズ性が非常に高く使いやすい。
ベンチマーク結果は良好。バッテリは物足りない結果に
ベンチマークの測定は「Quadrant Professional Edition」、「AnTuTu Benchmark」、「MOBILE GPUMARK」の3アプリで実施。1.7GHzクアッドコアのSnapdragon 600を搭載していることもあり結果は良好で、Quadrantは1万超えと好成績を残した一方、GPUのベンチマークはNexus 7を下回った。実際の操作感としてはホーム画面はもちろんアプリもキビキビと動作して使いやすい。スペック面で不満に思うことはほぼないだろう。
LG G Pad 8.3 | Nexus 7(2013) | |
---|---|---|
Quadrant Professional 2.1.1 | ||
Overall | 11418 | 5148 |
AnTuTu 4.1.1 | ||
Overall | 25697 | 20232 |
Multitask | 4995 | 3293 |
Dalvik | 2755 | 1468 |
CPU integer | 2612 | 2257 |
CPU float-point | 3035 | 2040 |
RAM Operation | 1296 | 1123 |
RAM Speed | 1539 | 1566 |
2D graphics | 1231 | 1621 |
3d graphics | 6244 | 5065 |
StorageI/O | 1330 | 1194 |
Databese I/O | 660 | 605 |
MOBILE GPUMARK Version 2 | ||
Overall | 63498 | 74442 |
バッテリは4,600mAhで、駆動時間は製品サイトやニュースリリースを見る限り公表されていないが、輝度を最低にし、無線LANとBluetoothはオンにした状態でフルHD動画を再生し続けたところ、4時間20分でバッテリが空になった。4,000mAh以上のバッテリを搭載している割にはかなり駆動時間が短く、長時間持ち歩く場合は、別途モバイルバッテリを用意しておいたほうがいいかもしれない。
TVリモコンになる「Qリモート」、スマホ連携する「Qペア」
タブレットとしてだけでなく、LG G Pad 8.3をTVのリモコンとして利用できる「Qリモート」、手持ちのスマートフォンと連携できる「Qペア」など、他の機器との連携機能が充実しているのもLG G Pad 8.3の特徴だ。
Qリモートは、「TV」、「DVD」、「Blu-ray」という製品カテゴリとメーカーを選ぶだけで簡単にリモコンの設定が可能。それらの機器の電源オン/オフや音量変更、チャンネル変更に加え、入力切り替えも行なえる。メーカーはLGのほか、ソニー、パナソニック、東芝、日立など国内メーカーにも対応しており、複数の機器を登録して「リビングルーム」、「ベッドルーム」などと部屋ごとに登録/管理することもできる。TVリモコンがよく家の中で行方不明になる、という経験があるユーザーには非常に嬉しい機能だろう。
Qペアは手持ちのスマートフォンとBluetoothでペアリングし、スマートフォンの着信やSMSをLG G Pad 8.3で確認できる機能。スマートフォンはLG製でなくてもGoogle Playから対応アプリをインストールすれば利用可能だ。なお、Qペアの説明画面では「Qペア」という名称のアプリを検索するよう指示されるが、試用時はまだ発売前のためか日本語では検索できず、「Qpair」と英語表記にすることでインストールできた。
Qペアで接続したスマートフォンは、着信、SMSのほか、SNSの通知を受け取ることも可能。Qペアをインストールしたスマートフォンの「ユーザー補助」からQペア連携をオンにすることで、スマートフォンの通知をそのままLG G Pad 8.3で確認できる。
着信は電話を受けることはできないが、応答拒否や応答拒否メッセージを選択することが可能。SNS連携の対応サービスはFacebook、Twitter、LINE、FourSquareなど豊富で、個別に設定することが可能。あくまで通知であって返信や詳細の確認はスマートフォンで行なう必要があるが、通知に含まれているメッセージ本文は確認可能だ。スマートフォンとの2台持ちには便利な機能だろう。
このほかQペアからはスマートフォンのテザリングをオン/オフする機能、LG G Pad 8.3の画面メモ機能「Qメモ」で保存したデータをスマートフォンへ送る「Qメモ転送」機能などが利用可能。LG G Pad 8.3はSIM非対応のため外出先ではテザリングを使う機会も多く、わざわざポケットや鞄からスマートフォンを取り出さなくてもテザリングをオンにできるこの機能は地味ながらなかなか便利。Qメモ転送もLG G Pad 8.3の大画面を使って地図やWebサイトのキャプチャに手書きメモを加え、それをスマートフォンで送るなど、いろいろと活用できそうだ。
シンプルながら機能充実のカメラ
カメラはシンプルな操作インターフェイスながら機能は充実。露出やISO、ホワイトバランスの調整に加え、「チーズ」、「スマイル」、「LG」、「撮ります」といった声に反応してシャッターを切るボイスシャッター、モノクロやセピアで写真を撮れる色調補正といった機能も搭載する。画面解像度は2,560×1,920ドット(4:3)、2,560×1,600ドット(16:10)、1,280×960ドット(4:3)の3種類で、初期設定では2,560×1,600ドットに設定されている。オートフォーカスも対応しており、タッチした部分にピントを合わせてシャッターを切ることが可能だ。
写真は500万画素ながら十分で、夜景も綺麗に撮れる。ただし、シャッターを押してから実際に画像が保存されるまで若干のタイムラグがあり、しっかり手で固定していないと手ぶれすることもあった。とはいえタブレットとしては十分実用的な画質だろう。
プリインストールアプリも必要十分なアプリを用意
プリインストールアプリはQペアやQリモート、Qメモに加え、動画編集アプリ「ビデオエディタ」、録音アプリ「ボイスレコーダ」、ファイラーアプリ「ファイルマネージャー」、Officeアプリ「POLARIS Office 5」、オンラインストレージ「box」のほか、辞書アプリや電卓アプリなど充実。使用中のアプリを個別に管理できるタスクマネージャーアプリも用意されている。
文字入力はiWnnを標準搭載。QWERTYキーボードのほか10キーのトグル入力、フリック入力も可能だ。標準ではQWERTYキーボードが設定されているが、「文字」ボタン長押しで10キーとQWERTYキーを自由に切り替えられる。
複数アプリを素早く切り替えられる「スライドウィンドウ」機能も搭載。アプリを利用中に3本指で左側に向かってスワイプするとそのアプリを保存し、逆に右側へスワイプすることで保存したアプリを呼び出せる。アプリは最大3つまで保存が可能で、ブラウザやFacebook、Twitterなどをすばやく切り替えるのに便利だ。
ハイスペックかつ機器連携が魅力。自宅内で使うタブレットとして最適
Nexus 7を初めとする7型サイズが主流のAndroidタブレットにおいて、一回り大きいディスプレイを搭載したLG G Pad 8.3。スペック面ではNexus 7を上回っており、microSDXCカードにも対応するなど拡張性は高い。ホーム画面のカスタマイズ性も高く、プリインストールアプリも充実しているのも嬉しい。
独自のQペアやQリモートも魅力。本体のサイズゆえにメインの端末にはなりにくいタブレットとして、スマートフォンとの連携機能やリモコンの代用など、2台目端末ならではの機能を有している。個人的にはリビングでついついリモコンを見失う経験が多いだけに、Qリモートは魅力的に感じた。
一方、気になるのは価格帯とバッテリ。Nexus 7よりもスペックは上とはいえ、容量16GBのNexus 7が27,800円、32GBのLTEモデルが39,800円に対し、4万円を超える実売価格はどうしても高く感じてしまう。また、製品版でも今回の検証通りなら、7型クラスのタブレットとしてはバッテリの駆動時間も短く、長時間の外出には不向きだろう。Qリモートのような家電連携機能を考えると、自宅の中で使える取り回しの良いタブレット、としての使い方がLG G Pad 8.3に適していると感じた。