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東芝「dynabook N51/NG」

〜デザインを一新し薄型軽量化を実現

東芝「dynabook N51/NG」

 東芝は、低価格ノートPC“ネットノート”の新モデル「dynabook N51/NG」を11月14日に発売する。従来モデルから本体デザインを一新し、上位のdynabookシリーズに近い質感を実現。また、本体の薄型軽量化も実現し、携帯性も高まっている。店頭予想価格は税別90,000円前後。

 この製品をいち早く試用する機会を得たのでレポートをお届けする。なお、今回試用したのは試作機のため、製品版とは細部や性能が異なる可能性があることをお断りしておく。

従来より薄く軽くなって携帯性が向上

 「dynabook N51/NG」(以下、N51/NG)は、性能こそやや抑え気味ながら、Webアクセスやメール送受信、Officeなどのビジネス系アプリケーションが十分快適に利用できる、“ネットノート”と呼ばれるジャンルの製品だ。以前日本でも大いに話題となった“ネットブック”に近い位置付けの製品だが、プロセッサの進化などによって性能が底上げされ、ネットブックのような性能面への不満が少なくなっている点が特徴だ。

 従来モデルは、天板やパームレスト部がシルバーだったものの、本体底面はブラックで、素材のプラスチックが直接伝わってくるデザインだったこともあり、やや安っぽい印象が強かった。それに対しN51/NGでは、天板やキーボード面だけでな底面もdynabookシリーズで広く採用されているサテンゴールドとなった。従来のようなプラスチックの素材感が弱まり、見た目の安っぽさが解消されている。エントリー向けの製品ではあるが、見た目で安っぽさが感じにくくなっているのは嬉しい改良点だ。

 本体サイズは、289×199×21.9mm(幅×奥行き×高さ)となっている。11.6型液晶を搭載する点は従来と同じだが、幅は5mm大きくなっている。それに対し、奥行きは約9.6mm短くなり、高さも約1.6mm薄くなった。従来より薄くコンパクトになったことで、鞄などへの収納性が高まっている。

 また、重量は公称で約1.3kg、実測では1,264.5gだった。従来モデルは約1.5kgだったため、200gほど軽くなっている。実際に手にしても、従来モデルほど重いと感じることはなくなり、軽快に持ち運べるようになった。2-in-1モバイルなどでも、より薄く軽い製品は存在し、それらに敵わないとしても、薄く軽くなって携帯性が向上した点は大きな魅力と言っていいだろう。

本体天板部分。カラーがdynabookシリーズでおなじみのサテンゴールドに変更。フットプリントは289×199mm(幅×奥行き)と十分にコンパクトだ
本体正面。高さは21.9mmと従来モデルより約1.6mm薄くなった
左側面。前方は底面が切り込まれ薄くなっているが、前方から後方まで高さはほぼ均一だ
背面
右側面。側面もカラーはサテンゴールドとなっている
底面。筐体素材は樹脂だが、底面カラーもサテンゴールドとなり、従来モデルまでの安っぽさは解消されている
重量は実測で1,264.5g。従来モデルよりも約200g軽くなり、携帯性が向上している

11.6型WXGA液晶を搭載

 液晶には、1,366×768ドット表示対応の11.6型パネルを採用している。表示解像度は必要最低限といった感じではあるが、11.6型と比較的コンパクトなこともあり、映像や文字など荒さを感じることはほとんどない。フルHD液晶と比べると、さすがに表示領域の狭さを感じるものの、特別使いにくいと感じることもなく、利便性はまずまず納得できる範囲内だ。

 輝度は十分に明るく、発色はまずまず鮮やかではあるが、全体的にやや淡い色合いで、もう少しメリハリが欲しいところ。表面が光沢処理で、外光の映り込みがやや激しい点と、TNパネルを採用していることもあって、視野角の狭さも気になる。このあたりは、コストダウンの影響が色濃く出ている部分と言える。ただ、N51/NGは2-in-1仕様ではないのでタブレットのような使い方は想定されておらず、視野角の狭さが気になる場面はそれほど多くないと思われる。

 液晶表面には、静電容量方式のタッチパネルを搭載。10点マルチタッチに対応しており、タッチによる操作性は非常に軽快だ。エントリー向け製品ではあるが、操作性に優れるタッチパネルを搭載する点は競合製品に対する優位点となるだろう。

1,366×768ドット表示対応の11.6型パネルを採用。輝度は十分に明るいが、TNパネルのため視野角はやや狭い
1,366×768ドット表示とやや表示領域が狭く、複数アプリの同時利用はやや厳しいが、文字や映像などの荒さは感じない
発色は全体的にやや淡い印象で、もう少しメリハリが欲しい。表面は光沢処理で外光の映り込みも気になる
液晶部は140度ほどまで開く
静電容量方式のタッチパネルを標準搭載。10点マルチタッチ対応で軽快なタッチ操作が行なえる

キーボードは十分扱いやすい

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを搭載する。配列はdynabookシリーズで採用されているものとほぼ同じで、「Esc」と「半角/全角」が横に並んで配置されている点がやや気になるものの、無理な配列は特に見当たらない。主要キーのキーピッチは縦方向がわずかに狭い。横方向のキーピッチは19mmとゆったりしており、Enterキー付近の一部キーのピッチが狭くなっているが、それも大幅に狭くなっているわけではなく、タッチタイプも問題なく可能だ。ストロークは1.2mmと薄型ノートPC同様にやや浅いが、しっかりとしたクリック感があり打鍵感は悪くない。キーボードに関しては、上位のdynabookとほぼ同等の感覚で利用できると考えていいだろう。

 タッチパッドは、最近では珍しいクリックボタンが独立している点が特徴。クリックボタンがある分、縦の幅が狭くなってはいるが、確実なクリック操作が行なえるのはクリックボタン一体型タッチパッドにはない魅力。ユーザーによって好みは別れると思うが、個人的にはこの仕様は大きな魅力と感じる。

キーボードはdynabookシリーズでおなじみのアイソレーションタイプのキーボードを採用。配列もほかのdynabookシリーズのものとほぼ同じだ
主要キーのピッチは、縦はわずかに狭いが横は19mmとフルサイズで、タッチタイプも余裕だ
Enterキー付近の一部キーはピッチが狭くなっているが、それほど使いにくいとは感じない
ストロークは1.2mmと浅いが、クリック感はしっかりし、キーボード面のたわみも少ないため、打鍵感は悪くない
独立したクリックボタンを備えるタッチパッドを搭載。縦の幅がやや狭いが、利便性は悪くない

11ac準拠の無線LANを標準搭載

 CPUはCeleron N2840を採用する。低価格ノートPCなどを中心に採用例の多いCPUで、性能的にはCoreプロセッサに及ばないものの、WebブラウザやOfficeなどを利用するうえで大きな不満を感じない性能を発揮する。メモリはDDR3L-1333を4GB搭載し、デュアルチャネル動作もサポート。これによって、プロセッサや内蔵グラフィックス機能の性能も最大限に引き出せる。内蔵ストレージは500GBのHDDを採用。SSDに比べるとアクセス速度が遅く、OSやアプリ起動でややもたつきを感じる場面がある。

 無線機能は、IEEE 802.11ac/a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0を標準搭載する。11ac時の通信速度は最大433Mbpsだが、エントリーモデルながら11ac準拠の無線LANを搭載する点は魅力的な部分だ。カメラは液晶面上部に約92万画素のWebカメラを搭載している。

 側面のポート類は、左側面に電源コネクタ、D-Sub15ピン(アナログRGB出力)、HDMI出力、USB 3.0ポート×1、SDカードスロット、右側面にヘッドフォン/マイク共用ジャック、USB 2.0ポート×1、100BASE-TX準拠のEthernetポートをそれぞれ備える。電源ボタンは左側面に配置している。USB 3.0が1ポートのみとなっている点と有線LANが100BASE-TX準拠となる点は少々残念だが、ポートは必要十分で拡張性に大きな不満はないだろう。

 付属アプリは「Office Home and Business PremiumプラスOffice 365サービス」や、写真、動画、TVなどを楽しめる独自アプリを豊富に搭載。こういった部分は、dynabookシリーズらしい特徴と言える。

左側面に電源コネクタ、アナログRGB出力、HDMI出力、USB 3.0ポート×1、SDカードスロットを配置。電源ボタンもある
右側面には、ヘッドフォン/マイク共用ジャック、USB 2.0ポート×1、100BASE-TX準拠のEthernetポートを配置。拡張性はまずまず
液晶上部に約92万画素のWebカメラを搭載
底面にステレオスピーカーを搭載。音質は標準的だ
写真管理ソフト「思い出フォトビューア」は、デジカメ写真の管理が簡単に行なえる。位置情報を利用して地図上で撮影場所を表示することも可能だ
「TVコネクトスイート」を利用すれば、DLNA対応映像機器と連携し、録画番組や放送中のTV番組をLAN経由で視聴可能
nasneとの連携も可能で、録画番組や放送中番組が視聴できた
「おたすけナビ」アプリで使い方をサポート。初心者でも安心して活用できる

性能は価格相応

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.0.282」、「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.4.778」の4種類。比較として、レノボの「ThinkPad 10 20C1002PJP」と、マイクロソフトの「Surface Pro 3」の結果も加えてある。なお、一部ベンチマークテストのバージョンが異なるものがあるため、結果は参考値として見てもらいたい。

 結果を見ると、プロセッサにCore i5-4300Uを搭載するSurface Pro 3に大きく劣るのは仕方がないが、Atom Z3795搭載のThinkPad 10にも多くのスコアが劣っている。CPUコアの動作クロック自体はN51/NG搭載のAtom N2840の方が上回っているが、2コア2スレッドとなっている点が大きく足を引っ張っていると考えられる。

 また、PCMark8やPCMark7などの総合スコアが低くなっているのは、内蔵ストレージが速度の遅いHDDとなっているからだろう。この結果を見る限り、性能的には価格相応と言っていいだろう。

dynabook N51 ThinkPad 10 20C1002PJP Surface Pro 3
CPU Atom N2840(2.16/2.58GHz) Atom Z3795(1.59/2.39GHz) Core i5-4300U(1.90/2.90GHz)
ビデオチップ Intel HD Graphics Intel HD Graphics Inte HD Graphics 4400
メモリ DDR3L-1333 4GB LPDDR3-1066 4GB PC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GB
ストレージ 500GB HDD 64GB eMMC 256GB SSD
OS Windows 8.1 Update 64bit Windows 8.1 Pro Update 64bit Windows 8.1 Pro Update 64bit
PCMark 8 v2.0.282(Surface Pro 3はv2.0.228を使用)
Home Accelarated 3.0 1299 N/A 2190
Creative accelarated 3.0 N/A N/A 2540
Work 2.0 N/A N/A 3282
Storage 1873 N/A 4882
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score 1760 2300 4816
Lightweight score 901 1392 3209
Productivity score 481 1041 2428
Entertainment score 1497 1548 3107
Creativity score 4176 4266 8691
Computation score 8258 5631 14289
System storage score 1530 3860 5135
Raw system storage score 324 1501 4015
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A N/A N/A
CPU Score 4124 4632 9081
Memory Score 3941 2983 8446
Graphics Score 1389 807 N/A
HDD Score 4873 13259 38847
3DMark Professional Edition v1.4.778(ThinkPad 10/Surface Pro 3はv1.3.708を使用)
Ice Storm 17190 10605 29479
Graphics Score 19739 10207 32413
Physics Score 11841 12284 22387
Ice Storm Extreme 10925 N/A N/A
Graphics Score 10705 N/A N/A
Physics Score 11772 N/A N/A
Cloud Gate 1329 N/A 2791
Graphics Score 1520 N/A 3254
Physics Score 925 N/A 1864
Sky Diver 534 N/A N/A
Graphics Score 479 N/A N/A
Physics Score 1207 N/A N/A
Combined score 557 N/A N/A
Fire Strike 152 N/A 1679
Graphics Score 170 N/A 1589
Physics Score 1172 N/A 2672
Combined score 50 N/A 1478

 次にバッテリ駆動時間だ。N51/NGの公称のバッテリ駆動時間は、JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0で約4.6時間、同測定法Ver1.0で約5.4時間とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を40%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約5時間46分だった。駆動時間自体は特別長いというわけではなく、1日外出して利用する場合などは、ACアダプタも同時携帯したいところではあるが、実測で公称を上回る駆動時間が記録された点は好印象。従来モデルより本体重量が約200g軽量化されていることと合わせ、モバイル性能はまずまず満足できるレベルと言えるだろう。

 なお、付属のACアダプタは十分にコンパクトで、重量も付属電源ケーブル込みで実測194gと軽量なため、本体との同時携帯も苦にならないはずだ。

付属のACアダプタはコンパクトで本体との同時携帯も苦にならない
ACアダプタの重量は電源ケーブル込みで実測194gとまずまずの軽さだ

もう少し価格面での頑張りがほしい

 N51/NGは、スペックを抑えつつ安価な価格を実現した、エントリー向けのノートPCだ。ベンチマークテストの結果からも分かるように、性能面はあまり高くなく、ミドルレンジ以上のノートPCと比較すると、OSやアプリの起動の遅さや、重い処理の実行に時間がかかるなど、性能面で不満を感じる場面が少なからず存在する。それでも、Webブラウザを利用してWebアクセスやWeb動画の視聴を行なったり、メールの送受信、Officeを利用した文書ファイルなどの作成や編集など、比較的軽い作業であれば、あまり不満を感じることなく利用できる。そう考えると、この製品がターゲットとする価格重視のエントリーユーザーや、サブマシンとして利用する場合には、まずまず満足できそうだ。

 ただ、予想実売価格の税別90,000円前後という価格は、マシンのスペックを考えると少々高く感じる。店舗での割引やポイントなどを考慮すると、実質80,000円前後が実際の価格帯になると思われるが、N51/NGに近いスペックで5万円を切る価格で販売されるノートPCが存在することを考えると、それでもまだ高いと感じる。

 N51/NGでは、「Office Home and Business PremiumプラスOffice 365サービス」をはじめ各種プリインストールアプリが付属し、国内での手厚いサポートが受けられるなど、競合製品に対する利点があり、そのあたりが安価な製品との差別化になっているのも事実だ。そして、これら豊富な付属アプリやサポートに魅力を感じるかどうかで、この製品に対する印象も大きく変わるだろう。製品としてのコンセプトは悪くなく、従来モデルからの進化も十分に魅力的なので、今後は価格面での頑張りに期待したいところだ。

(平澤 寿康)