Hothotレビュー

ソニー「VAIO Fit 13A」

〜天板の中央を軸として液晶が回転するモバイルノートPC

ソニー「VAIO Fit 13A」
11月30日 発売

価格:オープンプライス

 ソニーのVAIOシリーズ秋冬モデルで、VAIOシリーズ初のタブレットPC「VAIO Tap 11」に並ぶ、注目の製品が「VAIO Fit 15A/14A/13A」である。数字はそれぞれ液晶サイズを表しており、VAIO Fit 15AとVAIO Fit 14AがホームノートPC、VAIO Fit 13AがモバイルノートPCという位置付けになっているが、基本的な構造は3シリーズ共通である。

 VAIO Fit 15A/14A/13Aは、一見普通のクラムシェル型のノートPCに見えるが、天板の中央にヒンジがあり、液晶を回転させることで、タブレットPCとしても使える、いわゆる2-in-1タイプの製品だ(実際は、開いたまま液晶を回転させることで、ビューモードとしても使えるので、1台3役となる)。

 ここでは、13.3型液晶を搭載したVAIO Fit 13Aを試用する機会を得たので、早速、レビューしていきたい。ただし、今回試用したのは試作機であり、製品版とは細部や仕様、パフォーマンスなどが異なる可能性がある。

ラバー製ヒンジを採用し、使い勝手とデザイン性を両立

 VAIO Fit 13Aは、13.3型液晶を搭載したモバイルノートPCであり、普通のクラムシェル型製品に見えるが、天板の中央にラバー製ヒンジが搭載されており、天板の中央を軸として液晶を180度回転できるようになっていることが特徴だ。これまでにも、ヒンジに工夫を凝らしたり、液晶がスライドする構造を採用するなどして、1台でノートPCとしてもタブレットとしても使えるさまざまな製品が発表されてきたが、天板中央にラバー製ヒンジを採用した製品は、おそらく世界初であろう。

 通常のノートPCと同じように、ディスプレイ部分とキーボード部分を繋ぐ部分にもヒンジがあり、使わないときには、液晶をそのまま閉じれば、液晶面が剥き出しになることはない。1台2役以上を実現したノートPCとしては、レノボ・ジャパンの「IdeaPad Yoga 13」やパナソニックの「Let'snote AX3」のように、液晶のヒンジを360度近く回転するようなっており、液晶を本体の裏側まで回転させることでタブレットPCとしても使える製品があるが、この種の製品では、タブレットモードで使う場合、裏側にキーボードが剥き出しになってしまうことが気になる人もいるだろう。

 VAIO Fit 13Aと似たコンセプトの製品としては、デルの「XPS 12」があるが、こちらは、液晶の周りの額縁部分にヒンジがあり、額縁の中の液晶部分を回転させることで、タブレット形状になる。VAIO Fit 13Aは、液晶自体が回転するので、よりスマートだ。ラバー製ヒンジは、天板から見ると、幅2mmほどのスリットがあるだけなので、本製品を知らない人はまさかその線を軸として液晶が回転するとは思わないだろう。使い勝手とデザイン性を両立させた、素晴らしいデザインである。

 VAIO Fit 13Aのサイズは、約325.4×223.4×14.3〜17.9mm(幅×奥行き×高さ)であり、重量は約1.31kgである。13.3型液晶搭載モバイルノートPCとしては、特別軽いというわけではないが、気軽に携帯できる範囲に収まっている。VAIO Fit 13Aは、店頭モデルと直販モデルのVAIOオーナーメードモデルに大別できるが、店頭モデルの仕様は1種類に固定されている。今回は、VAIOオーナーメードモデルを試用した。

VAIO Fit 13Aの上面。天板中央に入っている横のラインがヒンジ部分である
VAIO Fit 13Aの底面。フラットですっきりしている。メモリ増設やバッテリ交換などはできない
「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。幅はVAIO Fit 13Aの方が48.4mm大きく、奥行きもVAIO Fit 13Aの方が14.4mm大きい
試用機の重量は、実測で1,303gであった

VAIOオーナーメードモデルでは高速なPCI Express x4接続のSSDを搭載可能

 VAIO Fit 13Aは、PCとしての基本性能も高い。店頭モデルは、CPUとして第4世代CoreプロセッサであるCore i5-4200Uを搭載し、メモリは4GB固定である。VAIOオーナーメードモデルでは、CPUをCore i7-4500U/Core i5-4200U/Core i3-4005Uの3種類から選択できるほか、メモリ容量も4GBまたは8GBから選べる。また、店頭モデルのボディカラーはシルバーのみだが、VAIOオーナーメードモデルでは、ブラックとシルバーを選択可能だ。

 ストレージはすべてSSDだが、店頭モデルは128GBのSATA 6Gbps接続なのに対し、VAIOオーナーメードモデルでは、512GB/256GB/128GBから選べ、512GBと256GBに関しては、SATA接続だけでなく、より高速な転送が可能なPCI Express x4接続のSSDも選択できる。今回の試用機のスペックは、CPUとしてCore i7-4500Uを搭載、メモリは4GB、ストレージはPCI Express x4接続の256GB SSDである。なお、OSはWindows 8がプリインストールされており、8.1へのアップグレードはユーザーの手によって行なうことになる(VAIOオーナーメードモデルではWindows 8 Proの選択も可能)。

 日本語配列のキーボードは、全87キーで、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mmである。キー配列も標準的で、不等キーピッチもなく、快適にタイピングが可能だ。なお、VAIOオーナーメードモデルでは、英語配列キーボードも選択できる。キーボードにはバックライトが搭載されており、暗い場所でもミスタイプを減らせる。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが搭載されている。タッチパッドは、最近のUltrabookなどで一般的な、クリックボタンとパッドが一体化したタイプだ。

キーボードは全87キーで、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mm。配列も標準的だ
キーボードにはバックライトが搭載されており、暗い場所でも快適にタイピングが可能だ
ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが搭載されている

オプションのペンも利用できる

 ディスプレイとして、13.3型IPS液晶を採用。解像度は1,920×1,080ドットのフルHDで、色鮮やかな表示が可能な「トリルミナスディスプレイ for mobile」と、コントラストが高く、デザイン性も優れている「オプティコントラストパネル」技術を採用。もちろん、タッチパネル搭載だが、さらにデジタイザーペンによる手書きにも対応する。デジタイザーペンは、「VAIO Duo 13」や「VAIO Tap 11」に付属するものと同じで、256段階の筆圧検知にも対応する。なお、店頭モデルのVAIO Fit 13Aにはペンは付属しておらず、別途購入する必要があるが、VAIOオーナーメードモデルでは、CTOによってペンを追加することが可能だ。

 カメラは、背面には有効画素数799万画素の「Exmor RS for PC」CMOSセンサーを、前面には有効画素数92万画素の「Exmor R for PC」CMOSセンサーを採用している。インターフェイスとしては、USB 3.0×2(うち1つは電源オフでも給電が可能)とHDMI出力、ヘッドフォン端子を備えているほか、SDメモリーカードスロットも用意されている。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0+HSをサポートするほか、NFCにも対応。加速度センサーやジャイロセンサー、地磁気センサーも搭載している。

視野角の広いIPS液晶を採用。解像度は1,920×1,080ドットである。
背面カメラとして有効画素数799万画素の「Exmor RS for PC」CMOSセンサーを搭載する
左側面には、排気口とヘッドフォン端子が用意されている
左側面の排気口とヘッドフォン端子部分のアップ
右側面には、USB 3.0×2とSDメモリーカードスロット、HDMI出力が用意されている
右側面の端子部分のアップ
底面の中央手前には、NFCが用意されている

キーボードモード、タブレットモード、ビューモードで利用可能

 VAIO Fit 13Aの最大の特徴は、天板の中央にラバー製ヒンジが用意されており、そのヒンジを中心にして液晶が180度回転するようになっていることだ。もちろん、通常のノートPCと同じように、キーボードの奥にもヒンジがあるので、その2つのヒンジを組み合わせることで、いわゆるクラムシェル型ノートPCとして使うキーボードモードと、液晶を180度天板の中央で回転させて、キーボードの上に折りたたんで使うタブレットモード、さらに液晶を180度天板の中央で回転させた状態で、液晶側を手前にして利用するビューモードの3つのモードで利用できる。

 天板中央のヒンジには、ロック機構が用意されており、キーボード奥にあるディスプレイロックスイッチによって、ロック状態とリリース状態を切り替えることができる。ディスプレイロックスイッチをリリース状態にすれば、天板中央のヒンジを軸として、液晶を回転できるようになる。変形の際に力を入れる必要はあまりなく、スムーズにモードの切り替えが可能だ。ラバー製ヒンジということで、耐久性が気になるところだが、入念な耐久テストが行なわれたということで、その心配はないだろう。

 360度回転ヒンジを採用した製品では、タブレットモード時に裏側にキーボードが剥き出しになってしまうが、VAIO Fit 13Aなら、通常のピュアタブレットと同じ感覚で利用できるので快適だ。ただし、重量がやや重いので、片手で持って操作するというのは現実的ではない。机の上に置いて使うことになるだろう。

この中央部のスリットがヒンジになっている
ヒンジはラバー製だが、耐久テストをクリアしており、耐久性についても心配はない
キーボード奥に、ディスプレイロックスイッチが用意されている。スイッチを左にスライドすることで、天板中央のヒンジのロックが外れる
通常のノートPCとして使う状態をキーボードモードと呼ぶ
ディスプレイロックスイッチを左のリリース側にすると、天板中央を軸として液晶を回転できる
液晶を180度回転させて折りたたむと、タブレットモードになる。液晶の手前側の下に隙間ができるが、剛性は高く、快適だ
タブレットモードでは、通常のピュアタブレットと同じ感覚で利用できる
【動画】キーボードモードからタブレットモードへ変形させているところ

USBポートを備えた新型ACアダプタを採用

 VAIO Fit 13Aは、ほとんどのUltrabookと同じく、バッテリの交換はできない。公称バッテリ駆動時間は約10〜12時間とされている。モバイルノートPCはバッテリ駆動時間が重要だが、合格ラインをクリアしているといえる。ACアダプタは、VAIO Tap 11に付属するのと同じ新型のもので、USBポートが用意されており、PCへの給電とUSB給電を同時に行なえることが特徴だ。また、オプションのワイヤレスルーター「VGP-WAR100」をACアダプタと一体化して利用できるようになっている。ACアダプタはコンパクトで軽く、携帯性は優れている。

ACアダプタは、VAIO Tap 11と同じ新型が付属する
USBポートが用意されており、PCへの給電とUSB給電を同時に行なえる
CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark05」、「PCMark Vantage」、「PCMark 7 v1.4.0」、「3DMark03」、「3DMark」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark 2.2」である。比較用として、パナソニック「Let'snote LX3」、ソニー「VAIO Tap 11」、「VAIO Pro 11」、「VAIO Pro 13 | red edition」「VAIO Duo 13」のスコアも掲載した。

 結果は下の表に示したとおりだが、試作機のせいか、ベンチマークプログラムの動作が不安定で、完走せずリセットがかかってしまうことがあった。そのため、PCMark 7や3DMark03のスコアは計測できなかった。パフォーマンスについてはあくまで参考程度にしてほしい。目をひくのは、ディスク周りのスコアが優秀なことだ。特に差が大きいのは、CrystalDiskMarkで、シーケンシャルリードは979.3MB/sec、シーケンシャルライトは828.6MB/secという非常に高速な結果となっている。SATA 6Gbpsの転送速度である600MB/secを大きく上回っており、PCI Express x4接続SSDの優位性がはっきりと現れている。Core i7を搭載していることもあり、Windows 8の操作感は快適であった。

  VAIO Fit 13A Let'snote LX3 VAIO Tap 11 VAIO Pro 11 VAIO Pro 13 | red edition VAIO Duo 13
CPU Core i7-4500U (1.8GHz) Core i7-4500U (1.8GHz) Pentium 3560Y (1.2GHz) Core i5-4200U (1.6GHz) Core i7-4500U (1.8GHz) Core i5-4200U (1.6GHz)
ビデオチップ Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics 4400
PCMark05
PCMarks N/A N/A N/A N/A N/A N/A
CPU Score 8815 9379 3709 7864 8293 8203
Memory Score 8190 8599 3762 9978 6708 7302
Graphics Score 2057 3302 1834 2144 2722 2590
HDD Score 70848 56040 47532 55122 63337 36043
PCMark Vantage 64bit
PCMark Score 12144 15540 5687 12881 15722 13238
Memories Score 6976 8493 4814 7106 7637 7758
TV and Movie Score Failed Failed Failed Failed Failed Failed
Gaming Score 8465 11030 5483 7025 9549 10782
Music Score 13560 18077 7092 15744 18049 13969
Communications Score 12633 17972 6546 14934 19798 15330
Productivity Score 16852 21503 8563 16209 24448 17391
HDD Score 55788 47907 48228 50784 62248 40338
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score 11065 14111 5371 11944 13652 12335
Memories Score 6919 8104 4581 6994 7324 7517
TV and Movie Score Failed Failed Failed Failed Failed Failed
Gaming Score 7220 9699 4588 7554 8514 9670
Music Score 10658 16543 6817 14962 16885 13198
Communications Score 11154 16043 5995 13508 17580 11095
Productivity Score 15146 19719 8336 15325 21896 15487
HDD Score 55496 48117 49186 51157 63355 40919
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score 計測不可 5310 3006 4016 4500 4468
Lightweight score 計測不可 5789 2102 4892 3520 3145
Productivity score 計測不可 4724 1506 3835 2624 2418
Entertainment score 計測不可 3816 1934 2645 3097 3316
Creativity score 計測不可 9986 4323 8312 8456 8039
Computation score 計測不可 16901 4513 9970 10444 11219
System storage score 計測不可 5491 5183 5317 5466 5075
Raw system storage score 計測不可 6121 4886 5679 6367 4387
3DMark03
1,024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks) 計測不可 12856 6549 10128 13605 8677
CPU Score 計測不可 2072 1127 1655 2018 1560
3DMark
Ice Storm 17950 44155 15527 27312 34294 15150
Cloud Gate 2040 4900 1707 3461 3923 4399
Fire Strike 202 721 237 469 501 654
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH 7677 7598 3652 6732 7424 6397
LOW 10121 10899 6062 9938 10862 8882
FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1,280×720ドット 最高品質 1325 1580 695 未計測 未計測 未計測
1,280×720ドット 高品質(デスクトップPC) 1191 1598 716 未計測 未計測 未計測
1,280×720ドット 高品質(ノートPC) 1793 1894 1031 未計測 未計測 未計測
1,280×720ドット 標準品質(デスクトップPC) 1597 3350 1445 未計測 未計測 未計測
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) 1677 3279 1448 未計測 未計測 未計測
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP 99.97 100 99.9 99.97 99.97 99.97
HP 100 100 100 100 100 99.97
SP/LP 100 100 100 99.97 100 99.97
LLP 100 100 100 100 100 99.97
DP(CPU負荷) 16 42 53 12 42 21
HP(CPU負荷) 4 34 24 6 32 15
SP/LP(CPU負荷) 2 28 16 4 30 10
LLP(CPU負荷) 1 27 6 3 28 7
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード 979.3MB/s 513.8MB/s 487.2MB/s 481.2MB/s 987.8MB/s 477.9MB/s
シーケンシャルライト 828.6MB/s 455.1MB/s 156.4MB/s 139.3MB/s 434.1MB/s 134.3MB/s
512Kランダムリード 617.1MB/s 454.6MB/s 366.9MB/s 419.4MB/s 604MB/s 418.7MB/s
512Kランダムライト 763.5MB/s 444.9MB/s 142.3MB/s 140.7MB/s 416.2MB/s 132.4MB/s
4Kランダムリード 30.14MB/s 24.57MB/s 20.53MB/s 33.36MB/s 28.42MB/s 22.47MB/s
4Kランダムライト 80.04MB/s 56.09MB/s 54.06MB/s 99.30MB/s 69.71MB/s 48.69MB/s
BBench
標準バッテリ 7時間45分 19時間16分 6時間13分 8時間5分 10時間18分 12時間58分
標準バッテリ+シートバッテリ なし なし なし 未計測 21時間 なし

 また、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、7時間45分の駆動が可能であった(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)。無線LAN常時オンで、これだけ持てば満足できる。

キーボード重視だが、たまにはタブレットとして使いたい人にお勧め

 VAIO Fit 13Aは、天板中央にラバー製ヒンジを搭載することで、キーボードモード、タブレットモード、ビューモードの3種類のモードで利用できることが特徴のモバイルノートPCである。10〜12型クラスのピュアタブレットに比べると、液晶サイズが大きく、キーボードも搭載しているため、重量的には不利だが、やはりキーボードモードでの使い勝手は、ピュアタブレット+外付けキーボードよりも優れている。普段は、キーボードを使って長文を入力することが多いが、リラックスしてコンテンツを楽しむときにはタブレットとして使いたいという人には、魅力的な製品であろう。

(石井 英男)