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ソニー「VAIO Fit 15」

~タッチ対応フルHD液晶のスリムホームノートPC

ソニー「VAIO Fit 15」
発売中

価格:オープンプライス

 ソニーから登場した「VAIO Fit 15」は、タッチパネルを搭載した15.5型スリムノートPCである。ソニーは、2012年秋冬モデルから、製品名の命名ルールを変更している。従来は、VAIO EシリーズやVAIO Tシリーズといったように、「VAIO」と英字1文字という命名ルールだったが、2012年秋冬モデルから新たに登場した製品については、VAIO+製品の特徴を表す英単語というように命名ルールが変更され、よりわかりやすくなっている。

 VAIO Fitは、プレミアムモデルとして15.5型液晶を搭載したVAIO Fit 15と14型液晶を搭載したVAIO Fit 14、スタンダードモデルとして同じくVAIO Fit 15EとVAIO Fit 14Eの4モデルが用意されている。今回は、VAIO Fit 15を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。なお、今回試用したモデルは試作機であり、製品版とは細部やベンチマーク結果などが異なる可能性がある。

タッチ対応で厚さ22.5mmのスリムボディを実現

 VAIOシリーズの新製品である「VAIO Fit 15」は、プレミアムホームノートPCとして位置付けられる製品だ。Tシリーズの後継モデルというわけではないが、Tシリーズは夏モデルではなくなっており、ターゲットしては同じところを狙っているのであろう。VAIOシリーズは、筐体のデザインにもこだわっていることで定評があるが、VAIO Fit 15では、天板やパームレスト部にヘアライン加工済みのアルミ素材が採用されており、高級感がある。また、天板のVAIOロゴは、ダイヤモンドカットロゴと呼ばれるもので、斜めから見たときにエッジが光を反射して美しく光る。カラーバリエーションは、今回試用したシルバー以外に、ブラックとピンクが用意されている。

 ボディサイズは、379×255×22.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.6kgである。いわゆるUltrabookではないが、タッチ対応で22.5mmという厚さはかなりスリムであり、外観もすっきりしていて美しい。背面も、Ultrabookと同様にフラットであり、メモリ増設スロットカバーやバッテリ取り外し用ラッチなどは用意されていない。そのため、メモリ増設やバッテリ交換はできない。

VAIO Fit 15の前面。天板にはアルミ素材を採用。ヘアライン加工が施されており、高級感がある
VAIO Fit 15の背面。背面もフラットですっきりしているが、メモリ増設やバッテリ交換はできない

一体型ハイブリッドHDDを搭載

 VAIO Fit 15の店頭モデルは、搭載CPUの違いによって2つのラインナップが用意されているが、ここでは上位モデルとなる「SVF15A18CJS」を試用した。SVF15A18CJSは、CPUとしてCore i7-3557U(2GHz)を搭載し、メモリは8GBである。ストレージとしては、1TBのハイブリッドHDDを搭載する。このハイブリッドHDDは、8GBのフラッシュメモリがHDDに内蔵されているもので、通常のHDDに比べて約3倍速くデータを読み込めるという。

 液晶は15.5型で、解像度は1,920×1,080ドットのフルHD対応だ。ホームノートPCでは、15型クラスであっても、1,366×768ドット表示の液晶を搭載した製品が多いが、一度高解像度環境に慣れてしまうと、もはや元には戻れない。2013年から2014年にかけて、ノートPCの液晶の高解像度化が進むことが予想されるが、VAIO Fit 15のフルHD液晶搭載も、そのトレンドに沿ったものといえ、高く評価できる。グレアタイプの液晶なので、発色は鮮やかだが、外光の映り込みがやや気になることがある。なお、14型液晶搭載のVAIO Fit 14の液晶解像度は1,600×900ドットである。

 タッチパネルを搭載していることも特徴だ。Windows 8の新UIはタッチパネルに最適化されているため、Windows 8を直感的に使うにはやはりタッチパネルが欲しいところだ。こうしたクラムシェルタイプのノートPCでは、タッチ操作をする際に、液晶がグラグラしてしまうことが多いが、VAIO Fit 15では、液晶を開くと天板が床面に接地するようになっており、ぐらつきにくくなっている。ヒンジ軸から本体と天板のそれぞれに伸びるヒンジ構造板を通常より長くすることによっても、液晶のぐらつきを抑えており、安定したタッチ操作が可能になっている。また、液晶上部には、有効画素数約92万画素のWebカメラが内蔵されており、ビデオチャットなどに利用できる。

 インターフェイスとしては、USB 3.0×2(うち1つは電源オフ時でも給電可能)、USB 2.0、HDMI出力、Gigabit Ethernetなどを備えるほか、SDメモリーカードスロットも搭載する。ワイヤレス機能も充実しており、IEEE 802.11b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0+HSをサポートするほか、NFCにも対応する。さらに、光学ドライブとしてBDドライブ(BDXL対応)を搭載している。また、OSとしては、Windows 8 64bitが導入されている。

液晶は15.5型で、解像度は1,920×1,080ドットのフルHD対応である。タッチパネル搭載で、Windows 8の操作も快適だ
液晶を開くと天板が床面に接地するようになっているため、液晶がぐらつきにくく、安定したタッチ操作が可能だ
左側面には、Gigabit EthernetやHDMI出力、USB 3.0×2、USB 2.0、ヘッドフォン出力、SDメモリーカードスロットが用意されている
右側面には、BDドライブが用意されている
BDドライブのトレイを引き出したところ

バックライト付きキーボードを採用

 キーボードは、テンキー付きの全108キーで、キーピッチは約19mmと余裕がある。キーストロークは約1.2mmとやや浅めだが、タイピングしていても底付き感はあまりなく、快適に入力が可能であった。また、キーボードにはバックライトが搭載されており、暗い機内などでもミスタイプを防げる。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを搭載する。タッチパッドのサイズは、VAIO Tシリーズ15と比べて約20%大きくなっており、細かな操作もやりやすい。また、タッチパッドにはNFCデバイスが内蔵されており、NFC機器を上に置くことでNFC通信が可能になる。

 デザインへのこだわりについては、スピーカーの配置にも注目したい。通常、パームレストの手前やキーボード奥などにスピーカーが配置されることが多いが、VAIO Fit 15ではデザインを邪魔しないように、ヒンジ部にスピーカーが配置されている。

 公称バッテリ駆動時間は約5時間とされている。そこで、実際にバッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、4時間17分という結果になった(電源プランは「バランス」、輝度は「中」で計測)。持ち歩いて使うモバイルノートPCではないので、これだけ持てば十分であろう。ACアダプタも、15.5型ノートPC用としてはコンパクトで軽い。

 アプリが充実していることも魅力であり、Office Home and Business 2013、Imagination Studio Suite、Photoshop Elements 11などがプリインストールされている。

キーボードはテンキー付きの全108キー。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mm。配列も標準的で快適にタイピングが可能だ
キーボードにはバックライトが搭載されており、暗い場所でもミスタイプを防げる
ポインティングデバイスとしてタッチパッドを搭載。タッチパッドのサイズは105×66mmで、VAIO Tシリーズ15に比べて、約20%大きくなっている。タッチパッドにはNFCデバイスが内蔵されている
デザインの妨げにならないように、スピーカーはヒンジ部に配置されている
ACアダプタも比較的コンパクトで軽い
CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

ホームノートPCとしては十分なパフォーマンス

 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark05」、「PCMark Vantage」、「PCMark 7 v1.4.0」、「3DMark03」、「3DMark」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark 2.2」である。比較用として、ASUS「TransAiO P1801」のスコアも掲載した。

 結果は下の表の通りで、Ultrabook向けの超低電圧版Core i7を搭載しているVAIO Fit 15は、デスクトップ用Core i7と単体GPU「GeForce GT 730M」を搭載するTransAiOに比べると、CPU周りやGPU周りのスコアは低いが、ハイブリッドHDDを搭載しているため、3.5インチHDDを搭載したTransAiOよりも、PCMark 05のHDD ScoreやPCMark VantageのHDD Score、PCMark 7のSystem storage scoreなどのスコアは高い。

 VAIO Fit 15TransAiO P1801
CPUCore i7-3537U(2GHz)Core i7-3770(3.4GHz)
ビデオチップIntel HD Graphics 4000GeForce GT 730M
PCMark05
PCMarksN/AN/A
CPU Score945314047
Memory Score808211721
Graphics Score2777N/A
HDD Score99398844
PCMark Vantage 64bit
PCMark Score903811323
Memories Score56667165
TV and Movie ScoreFailedFailed
Gaming Score834810339
Music Score120518585
Communications Score1230015585
Productivity Score72237891
HDD Score114314424
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score880910190
Memories Score50297050
TV and Movie ScoreFailedFailed
Gaming Score71219252
Music Score106098012
Communications Score1061114139
Productivity Score69157075
HDD Score107114407
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score39713708
Lightweight score22762573
Productivity score17852031
Entertainment score29103467
Creativity score76147109
Computation score1577311906
System storage score32512182
Raw system storage score1192670
3DMark03
1,024×768ドット32bitカラー(3Dmarks)1348629062
CPU Score1980計測不可
3DMark
Ice Storm3743663692
Cloud Gate41848120
Fire Strike5871143
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH45656687
LOW6760計測不可
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP10099.73
HP100100
SP/LP10099.97
LLP10099.97
DP(CPU負荷)124
HP(CPU負荷)41
SP/LP(CPU負荷)31
LLP(CPU負荷)10
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード146.0MB/s171.4MB/s
シーケンシャルライト87.86MB/s167.9MB/s
512Kランダムリード114.6MB/s62.95MB/s
512Kランダムライト78.06MB/s52.86MB/s
4Kランダムリード11.22MB/s0.951MB/s
4Kランダムライト19.64MB/s0.894MB/s
BBench
標準バッテリ4時間17分N/A

 総合的にみて、ホームノートPCとしては十分なパフォーマンスを持っているといえるだろう。SSD搭載Ultrabookに比べると、さすがにOSやアプリケーションの起動時間やレスポンスは見劣りするが、HDD搭載ノートPCと比べると、明らかに快適である。

快適に使えるホームノートPCが欲しい人にお勧め

 VAIO Fit 15は、Core i7とハイブリッドHDD、タッチパネル対応フルHD液晶を搭載するなど、基本性能が高いホームノートPCである。NFCやBluetoothもサポートしており、機能的にも充実している。CPUはHaswellではないが、一般的な利用なら性能的に不満を感じることは少ないであろう。筐体の質感も高く、作りもしっかりしているので、デスクトップPC代わりに家族みんなで使うノートPCが欲しいという人に最適だ。タッチ操作が可能なので、マウスが苦手な人にもお勧めできる。また、Office Home and Business 2013もプリインストールされているので、レポートを書いたり、プレゼン資料を作ったりする機会が多い人にも向いている。

(石井 英男)