Hothotレビュー

日本エイサー「Aspire S7-391-F74Q」

〜タッチパネル搭載で世界最薄のUltrabook

「Aspire S7-391-F74Q」
発売中

価格:オープンプライス

 日本エイサーは、13.3型タッチパネル液晶を搭載するUltrabook新モデル「Aspire S7-391-F74Q」を発売した。Aspireシリーズは、Ultrabookの中でも特に薄さを追求したモデルとしておなじみだが、今回登場したAspire S7-391は、タッチパネルを搭載しつつ、12mmを切る圧倒的な薄さを実現。この薄さは、13.3型液晶搭載Ultrabookとして世界最薄だ。今回、本製品を試用する機会を得たので、ハード面を中心に見ていきたいと思う。価格はオープンプライスで、実売価格は139,800円前後だ。

タッチパネル搭載で驚異的な薄さを実現

 「Aspire S7-391-F74Q」(以下、S7-391)の特徴は、なんと言ってもその圧倒的な薄さにある。今年夏までに登場したUltrabookでは、最薄のものでも15mmほどの厚さがある。例えば、日本エイサーが7月に発売した「Aspire S5」が約15mm。NECの「LaVie Z」は最厚部で14.9mm。

 ただ、これらのUltrabookは、タッチパネル液晶は搭載していない。通常、タッチパネルを搭載すると、どうしても厚さが増してしまう。これを基準で考えると、タッチパネル液晶を搭載して15mmを切るのは、かなり厳しいことになる。

 しかし、S7-391は、タッチパネル液晶を採用しながらも、11.9mmという薄さを実現している。これは、タッチパネル液晶を搭載しないものも含め、13.3型液晶搭載Ultrabookとして世界最薄だ。この薄さは驚異的と言ってもいいだろう。この薄さなら、カバンに入れて持ち歩く場合でも、全くかさばらない。薄めのブリーフケースにも余裕で収納できるはずだ。

 S7-391のフットプリントは、323×224mm(幅×奥行き)と、こちらは13.3型Ultrabookとして標準的なサイズとなっている。

本体正面。薄さが際立っていることがよくわかる
左側面。前方にかけて、底面部が斜めに切り取られているが、高さは後方までほぼ平らだ
背面。背面側には冷却ファンの排気口が用意されている
右側面。横から見ると、液晶部はそれほど極端に薄くないことがわかる
VAIO Z SVZ13との比較。VAIO Zも高さは16.65mmと十分薄いが、それと比較してもS7-391の薄さは際立っている
フットプリントは323×224mm(幅×奥行き)と、13.3型液晶搭載Ultrabookとしてほぼ標準的な大きさだ
底面。内部にアクセスするフタなどはなく、メモリ増設やバッテリ交換は不可能。空冷ファンは底面後方の吸気口から吸気し、背面側に排気する

天板にゴリラガラス2を配置して強度を確保

 ここまで薄いと、筐体剛性に不安を感じてしまうが、S7-391は、十分な剛性が確保されている。実際に本体を持って力を入れて握ってみても、ペコペコと筐体が凹む感じはしない。また、液晶を開いて液晶の端を持って本体を持ち上げてみても、液晶部が大きく歪むこともなく、不安は無い。

 薄型ながら十分な強度を確保できているのは、天板にこれまでにはない素材を採用していることが大きく寄与していると考えられる。通常、薄型ノートでは、天板の強度を高めるため、マグネシウム合金やカーボン素材など、強度に優れる素材を採用することが多い。それに対しS7-391では、天板部分にCorning製の強化ガラス「ゴリラガラス2」を採用している。ゴリラガラス2は、スマートフォンやタブレットデバイスなどでおなじみの、強度の高いガラスだ。ただ、液晶面に採用することはあっても、S7-391のように天板に採用するのはかなり珍しい。このおかげで天板部分の強度はかなり強く、ひねっても歪みはかなり少ない。

 また、筐体側と液晶のフレーム部はアルミニウム素材を採用するとともに、液晶部はヒンジを一体構造として成型。これらの工夫によって、世界最薄と十分な強度を兼ね備えているわけだ。

 そして、天板にゴリラガラスを配置するという独特な仕様によって、デザイン性も高まっている。カラーは天板がホワイト、フレームおよび本体はシルバーで、清潔感がある。また、天板のゴリラガラスによって強い光沢が備わるることで高級感も感じられる。細部までしっかり作り込まれており、満足感の高い製品に仕上がっている。

 ただし、優れた強度を実現している反面、重量はやや重く、公称で約1.3kg、実測でも1,272gであった。実際にS7-391を持ってみると、数字以上に重く感じてしまう。液晶面を開いた状態で持つと、さらに重く感じる。これは、天板にゴリラガラス2を採用したことで、液晶部がかなり重くなってしまい、一般的なノートPCと重量バランスが異なるためと思われる。強度を取るか重量を取るかは難しい判断だとは思うが、少なくとも常に持ち歩くことを考えるとある程度の強度は不可欠で、重量を妥協したのだろう。それでも、実測で1.3kgを切る重量は、13.3型液晶搭載Ultrabookとして特別重いわけではなく、まずまず満足できるはずだ。

天板にゴリラガラス2を採用することで、薄型ながら強度を確保。天板カラーはホワイトで、光沢感もあって清潔感や高級感がある
液晶部の外周フレーム部や本体側筐体には、強度に優れるアルミニウム素材を採用。天板のホワイトとフレーム部のシルバーのコントラストが鮮やかで、デザイン性に優れる。また細部の仕上げも申し分ない
重量は実測で1,272gと1.3kgを切っている。ただ、天板にゴリラガラス2を採用したためか液晶側がやや重く、液晶を開いて本体を持つと数字以上に重く感じる

13.3型のフルHD液晶を採用

 液晶ディスプレイは、1,920×1,080ドット表示に対応した13.3型パネルを採用。広大なデスクトップ領域で快適な作業環境を確保できる点は嬉しい。パネルの種類はIPSで、視野角が広く、多少視点を移動しても明るさや色合いはほとんど変化しない。表面は光沢処理となっており、発色も非常に鮮やか。表示品質は十分満足できるレベルだ。ただし、外光の映り込みがやや激しい点は気になった。

 表面のタッチパネルは、静電容量方式で、10点マルチタッチに対応。操作性は申し分なく、Windows 8スタイルUIも快適に操作できる。ただ、液晶面は指紋の痕が残りやすく、タッチ操作を繰り返すことで表面のよごれが気になってしまう。そのため、定期的な清掃は不可欠だろう。

 ところで、液晶パネル部は180度開く構造となっているが、約110度まで開いたところでいったんヒンジが堅くなる仕様になっている。さらに液晶を開くには、やや強い力を入れないといけないが、この仕様のため、タッチ操作を行なう際に、液晶が不意に奥に倒れる心配がない。このような、スペックとして現れない細かな配慮は嬉しい。

1,920×1,080ドット表示対応の13.3型液晶を搭載。また、10点マルチタッチ対応タッチパネルも搭載しており、タッチ操作に最適化されたWindows 8スタイルUIの操作も快適だ
液晶パネルはIPSパネルで、視野角が広く輝度も高い。また表面は光沢処理で発色も鮮やかだが、外光の映り込みはやや激しい
液晶パネル部は180度まで開くが、110度付近でヒンジが堅くなり、さらに開くにはやや強い力が必要となっている。これによって、タッチ操作時でも液晶が後方に倒れることがなく、快適な操作が可能
液晶上部には、HD対応のWebカメラを搭載する

キーボードは配列にかなりクセがある

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのものを採用している。キーピッチは19mmのフルサイズでゆったりしており、タッチタイプも余裕。また、この薄型筐体にもかかわらず、バックライトを内蔵する点もポイントが高い。

 ただし、ストロークが非常に短く、またクリック感もあまり感じられない点は、使っていてかなり気になった。S7-391で本体の薄型化による影響を最も大きく受けているのがこの部分だろう。ペコペコとした感触の打鍵感の少ないキーは、慣れるまでは使いにくく感じるかもしれない。

 それ以上に気になるのが、非常にクセのあるキー配列だ。近年のエイサー製ノートPCのキーボードは、英語キーボードをベースとして、キーの一部を分離するなどして無理やり日本語化したものが広く採用されている。それはこのS7-391も同様なのだが、S7-391のキーボードはファンクションキーの列が省略された5列キーボードとなっていることもあって、これまで以上に配列にクセがある。

 例えば、Aキー左のCaps Lockキーが2分割され、一方が半角/全角キーとして割り当てられていたり、Delキーがカーソルキーの左側に配置されている。また、ファンクションキーの列がないため、ファンクションキーは全て数字キーとFnキーとの併用になっている。ほかにも、よく使う「\」キーが非常に小さく、Backspaceと並べて置かれているなど、慣れないとかなり苦労する。

 エイサー製ノートPCは品質や仕様に問題がなくとも、キーボードの配列が特殊という部分でかなり損をしている印象がある。投入地域に合わせてキーボードを複数用意するのは確かにコストがかかる。S7-391のような埋め込み型のキーボードではなおさらだ。とはいえ、この点のコストを惜しむようでは、日本で広く受け入れられるのは難しい。個人的には、ここまで特殊な配列にして無理やり日本語化するよりも、英語仕様のまま投入した方が、まだ印象がいい。製品の品質の高さを考えると、非常に惜しい部分であり、今後きちんと日本語化したキーボードの採用を強く希望する。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。こちらは、一般的なUltrabookと同等のものだが、面積が広く十分扱いやすい。ちなみに、標準でBluetooth接続のワイヤレスマウスが付属するため、操作性重視ならそちらを利用すればいいだろう。

アイソレーションタイプのキーボードを採用。近年のエイサー製ノートPC同様、英語キーボードをベースに日本語化したキーボードとなっている
非常に薄い筐体ながら、キーボードバックライトを搭載しており、暗い場所でも快適に利用できる
主要キーのキーピッチは19mmフルピッチで、タッチタイプも容易だ
ストロークはかなり浅く、クリック感もあまり感じられず、打鍵感はいまいち
キーボードの配列は非常に特殊。ファンクションキーの列がなく、半角/全角キーは「A」キーの左に配置されている
右側も、「\」キーの小ささ、やDelキーがカーソルキー左に配置されるというように、かなり特殊。慣れるには時間がかかりそうだ
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。こちらの使用感は申し分ない
標準でBluetoothマウスが付属

RAID 0仕様の高速SSDを搭載

 S7-391の基本スペックは、Ultrabookの中でも上位に位置付けられるものとなっている。CPUはCore i7-3517U(1.9GHz)、チップセットはIntel HM77 Expressを採用。メインメモリは標準でDDR3-10600準拠の省電力DDR3L SDRAMを4GBオンボード搭載し、増設は不可能。グラフィックス機能はCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000。

 ストレージは容量128GBのSSDを搭載するが、このSSDは64GBのSSDを2台RAID 0構成としており、高速なアクセス速度が特徴となっている。無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANおよびBluetooth 4.0を標準搭載する。

 側面のポート類は、左側面に電源コネクタとMicro HDMI出力、ヘッドフォン/マイク共用ジャックが、右側面にSDカードスロットとUSB 3.0ポート×2がそれぞれ用意される。また、左側面には電源ボタンを配置。このほか、Micro HDMI→ミニD-SUB15ピン変換アダプタと、USB接続の有線LANアダプタ(100BASE-TX対応)が付属。USB 3.0ポートのうち一方(電池マークの付き)は、電源オフUSB充電に対応する。

左側面には、電源コネクタ、Micro HDMI出力、ヘッドフォン/マイク共用ジャックを配置。また電源ボタンもこちらに用意されている
右側面には、SDカードスロットとUSB 3.0×2ポートを配置。電池マークのあるUSB 3.0ポート(右側のポート)は電源オフ充電に対応する
Micro HDMI端子に接続して利用する、ミニD-Sub15ピン変換アダプタが付属
100BASE-TX対応のUSB-LANアダプタも標準で付属している
専用ケースが付属する点も、従来までのAspireシリーズ同様だ
ドルビーホームシアターv4に対応するとともに、底面左右には大型のステレオスピーカを搭載。薄型のUltrabookとしては高音質なサウンドが再生される

キーボードの操作性を確認したうえでの購入がおすすめ

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.0.4」、「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」、セガの「ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版」の6種類。比較用として、東芝の「dynabook R822」とパナソニックの「Let'snote AX2」の結果も加えてある。PCMark Vantageは一部テストが正常に計測できなかったため、計測できたスコアのみを掲載している。

 結果を見ると、Core i5-3317U搭載の比較機種と比べて、ほとんどの項目で結果が上回っており、スペック相当のパフォーマンスが発揮されていることがわかる。上位のCPUを登載しているため当然ではあるが、パフォーマンスが優れる点は嬉しい。

 ちなみに、ベンチマークテスト実行中のような高負荷時には、空冷ファンの動作音がかなり大きくなり、若干耳障りに感じる。通常動作中など低負荷時にはほぼ聞こえないレベルにまで低減し、十分に静かではあるが、図書館など静かな場所で利用する場合には、高負荷がかかる作業は控えたほうが良さそうだ。


Aspire S7 dynabook R822 Let'snote AX2
CPU Core i7-3517U(1.90/3.00GHz) Core i5-3317U(1.70/2.60GHz) Core i5-3427U(1.80/2.80GHz)
チップセット Inte HM77 Express Inte HM76 Express Inte QM77 Express
ビデオチップ Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000
メモリ PC3-10600 DDR3L SDRAM 4GB PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB PC3-10600 DDR3L SDRAM 4GB
ストレージ 128GB SSD 256GB SSD 128GB SSD
OS Windows 8 Windows 8 Windows 8 Pro
PCMark 7 v1.0.4
PCMark score 4879 4421 4915
Lightweight score 3048 2823 3216
Productivity score 2177 2034 2326
Creativity score 9609 8612 9362
Entertainment score 3445 2983 3526
Computation score 18061 14451 17982
System storage score 4955 5214 5158
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite N/A N/A N/A
Memories Suite 7147 7025 7707
TV and Movies Suite N/A N/A N/A
Gaming Suite 9352 7786 10130
Music Suite 12664 13577 15823
Communications Suite N/A N/A N/A
Productivity Suite N/A N/A N/A
HDD Test Suite 40386 41122 38270
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A N/A N/A
CPU Score 9150 7809 8389
Memory Score 7802 6367 7323
Graphics Score 2793 2416 2752
HDD Score 47585 49568 44636
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score 5102 4511 5159
SM2.0 Score 1665 1435 1776
HDR/SM3.0 Score 2142 1931 2095
CPU Score 3451 3051 3298
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ 7.1 6.9 7
メモリ 5.9 5.9 5.9
グラフィックス 5.4 4.8 5.5
ゲーム用グラフィックス 6.4 6.2 6.4
プライマリハードディスク 8.1 8.1 8.1
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット 2392 1869 2280
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版
横1,280ドットフルスクリーン 283 451 571

 次に、内蔵SSDの速度をCrystalDiskMark v3.0.1cでチェックしてみたところ、シーケンシャルリードは716MB/secと非常に高速だったが、シーケンシャルライトは296.6MB/secと思ったほど速くなかった。ランダムライトの結果もふるわず、ちょっと期待外れといった印象だ。

 ただ、テストデータを0Fillに設定して再度テストしてみたところ、シーケンシャルリードが861MB/sec、シーケンシャルライトが803.5MB/secとなり、ランダムリード、ランダムライトも大幅にスコアが上昇した。このことから、通常利用時には、ランダムの結果と0Fillの結果の中間程度のパフォーマンスが発揮されると考えられる。ちなみに、実際にS7-391の使用感は、OSの起動はもちろんアプリの起動も非常に高速で、非常に快適。ランダムアクセスのテスト結果はふるわなかったが、実利用時の速度は申し分ない。

CrystalDiskMark 3.0.1の結果
0fillでの結果

 最後に、バッテリ駆動時間のチェックだ。S7-391では、容量2,340mAhのリチウムポリマーバッテリが内蔵され、公称で約6時間の駆動が可能とされている。Windowsの省電力設定を「省電力」に設定し、バックライト輝度を40%、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測してみたところ、約4時間30分の駆動時間を確認した。モバイル向けUltrabookとしては物足りないが、この薄型筐体では大容量バッテリを搭載するのは難しく、致し方ない。ちなみに、付属のACアダプタは若干大きいが薄型で、かさばらず持ち歩ける。

付属のACアダプタ。サイズはやや大きいが、薄型のためかさばらず持ち運べる
やや太い電源ケーブルが付属し、トータルの重量が314.5gとやや重いのは残念

 S7-391の最大の魅力は、やはりタッチパネル液晶を搭載しながら、圧倒的な薄型筐体を活かした優れた携帯性だ。それでいて、スペック面にも優れるなど、かなり魅力のある製品だ。それだけに、変則な配列のキーボードは非常に残念で、この点があるために手放しでおすすめするのは難しい。もし購入を考えているなら、購入前に量販店などで実際にキーボードの操作感をチェックするべきだ。その上で、キーボードに納得できるなら、十分満足できる機種となるだろう。

 繰り返しになるが、せっかくここまで優れた仕様を実現した製品なのだから、キーボードだけで評価が変わってしまうのは非常にもったいない。きちんとした配列の日本語キーボードを搭載する製品の投入を期待したい。

(平澤 寿康)