マウスコンピューター「LuvBook LB-L450S」
~外部GPU搭載のUltrabook



マウスコンピューター「LuvBook LB-L450S」

発売中
価格:89,800円



 マウスコンピューターは、Ultrabookの新モデル「LuvBook LB-L450」シリーズを発表した。14型液晶を搭載するLuvBook Lシリーズの最新モデルで、見た目は従来モデルとなるLuvBook LB-L400シリーズとほぼ同じだが、外部GPUを搭載することで、一般的なUltrabookを大きく凌駕する3D描画能力を実現している点が大きな特徴。今回は、シリーズの上位モデルとなる「LuvBook LB-L450S」を取り上げる。本モデルの直販価格は89,880円。

●本体デザインは従来モデルとほぼ同じ

 Ultrabookでは、13.3型液晶を搭載する製品が多いが、LuvBook LB-L450S(以下、LB-L450S)は、14型液晶を搭載する一回り大きな製品だ。本体サイズは、344×240×21.0mm(幅×奥行き×高さ)と、従来モデルのLuvBook LB-L400シリーズと全く同じ。14型液晶を搭載するため、高さが21mmでもUltrabookの要件をぎりぎり満たしている。フットプリントが比較的大きいこともあり、高さが21mmでもそれほど厚いとは感じない。

 筐体カラーが、天板部分とキーボード面がシルバー、液晶面と底面がブラックで、天板に細かな幾何学模様が入っている点も前機種同様だ。筐体は強化プラスチックを採用しており、特に底面部などは、高級感は感じられない。LB-L450シリーズは安価な製品ということもあり、コストのかかる金属筐体の利用は難しく、このあたりは価格相応といった雰囲気だ。ちなみに、今回は従来モデルとの比較は行なえなかったが、おそらく横に並べると、ほぼ見分けが付かないものと思われる。

 重量は、公称で約1.83kgと、従来モデルより70gほど重くなっている。また、実測では1,805gであった。この重量増は、後ほど紹介するように、外部GPUを搭載していることが大きな要因だ。

本体前面。高さは21mmと、14型液晶搭載Ultrabookの要件をギリギリ満たしている。前方から見ると、数字以上に薄く見える左側面。高さは、前方から後方までほぼ一定となっている背面。背面部分にはバッテリが搭載されている
右側面。上部がシルバー、下部がブラックと、カラーは従来モデルと同じだ天板部分。細かな幾何学模様が施されているが、素材のプラスチックがそのまま感じられ、高級感はないフットプリントは344×240mm(幅×奥行き)。14型液晶搭載モデルということもあり、やや大きい
底面。こちらも素材のプラスチックがそのまま感じられる重量は実測で1,805gと、公称値より若干軽かった

●外部GPU搭載で優れた3D描画能力を実現

 LB-L450Sは、見た目こそ従来モデルとほぼ同じだが、スペック面が進化している。中でも、最も大きな進化点は、標準で外部GPUを搭載している点。LB-L450シリーズでは、NVIDIAのディスクリートGPUであるGeForce GT 640Mを標準搭載している。

 GeForce GT 640Mは、Keplerアーキテクチャを採用する、モバイル向けGPUのエントリーモデルだ。384個のCUDAコアを内蔵し、動作クロックは625MHz。製造プロセスは28nmで、3D描画能力と省電力性を両立するGPUとされる。もちろん、ゲーミングPCなどに搭載される上位のGPUに比べると3D描画能力は低いものの、CPU内蔵グラフィックス機能よりは優れており、最新3Dゲームのプレイも十分視野に入れられる。

 そこで今回は、ここでベンチマークテストの結果を紹介しよう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.0.4」、「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」、セガの「ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版」の6種類。比較用として、日本HPの「HP ENVY SPECTRE XT 13-2014TU」、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X1 Carbon」、NECの「LaVie Z PC-LZ750HS」、日本エイサーの「Aspire S5」の結果も加えてある。また、試用機のLB-L450Sの基本スペックは、表1にまとめたとおりだ。

【表1】LuvBook LB-L450Sの基本スペック
CPUCore i7-3517U(1.90GHz)
チップセットInte HM77 Express
ビデオチップIntel HD Graphics 4000/GeForce GT 640M(ビデオメモリ1GB)
メモリPC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB
ストレージ240GB SSD(Intel SSD 520)
OSWindows 7 Home Premium SP1 64bit

 結果を見ると、3D描画能力で他のUltrabookを圧倒していることがわかる。3DMark06で2倍以上、ゲームベンチマークでは3~6倍となっており、これなら最新3Dゲームも十分快適にプレーできそうだ。もちろん、PCMark VantageやPCMark 05などの総合ベンチマークの結果も申し分ない。

 ただ、PCMark 7の結果は逆に他のUltrabookの結果を下回っている。これは、どうやらPCMark 7実行時に、GPUの動作を切り替えるOptimusテクノロジーが正常に動作していないためと思われる。PCMark 7以外のテストでは、ほぼ正常に動作していることを考えると、PCMark 7の結果についてはそれほど気にせずとも問題ないと言っていいだろう。

 ちなみに、ベンチマークテスト実行時など、CPUやGPUが高負荷で動作している状態では、空冷ファンの動作音がかなり大きくなり、ややうるさく感じてしまう。また、底面なども比較的高温になる。LB-L450Sでは、底面のスリットから吸気し、右側面の排気口から排気するようになっているので、利用時には底面のスリットを塞がないように注意したい。

【表2】ベンチマーク結果
 LB-L450BLaVie Z PC-LZ750HSAspire S5LuvBook X LB-X200SLESANCE NB S3431/L
CPUCore i7-3517U
(1.90/3.00GHz)
Core i7-3517U
(1.90/3.00GHz)
Core i7-3517U
(1.90/3.00GHz)
Core i5-2467M
(1.60/2.30GHz)
Core i5-2467M
(1.60/2.30GHz)
チップセットInte HM77 ExpressInte UM77 ExpressInte HM77 ExpressInte HM65 ExpressInte HM65 Express
ビデオチップIntel HD Graphics 4000/GeForce GT 640MIntel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 3000Intel HD Graphics 3000
メモリPC3-12800 DDR3 SDRAM 8GBPC3-12800 DDR3 SDRAM 4GBPC3-12800 DDR3 SDRAM 4GBPC3-10600 DDR3 SDRAM 4GBPC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB
ストレージ240GB SSD256GB SSD256GB SSD120GB SSD64GB SSD+500GB HDD
OSWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Home Premium SP1 64bit
PCMark 7 v1.0.4
PCMark score34275159597733553066
Lightweight score41814223456936483008
Productivity score35273503371227122583
Creativity score3599102411170866715264
Entertainment score26394006472324832356
Computation score2262209672282583187736
System storage score53155093541552494052
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite124521170212042104317869
Memories Suite82576876803562434036
TV and Movies Suite37744962546643093599
Gaming Suite122837694911878426278
Music Suite161791559814892131098629
Communications Suite133021297113483105028708
Productivity Suite182661486815932143799272
HDD Test Suite5052739029433465550715053
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/AN/AN/A
CPU Score91189113888760286362
Memory Score84457055780358215027
Graphics Score65014571549239943815
HDD Score6213953427671336199921376
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score101074322506036993529
SM2.0 Score46081359183612591184
HDR/SM3.0 Score48261821196715281445
CPU Score22343426318922782427
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ7.17.17.16.26.3
メモリ7.45.95.97.25.9
グラフィックス6.94.95.85.64.7
ゲーム用グラフィックス6.96.36.46.16.1
プライマリハードディスク7.97.97.97.97.3
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット52691787214015821512
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版
横1,280ドットフルスクリーン2220273339

●1,366×768ドット表示対応の14型液晶を搭載

 LB-L450Sに搭載される液晶は、1,366×768ドット表示対応の14型液晶と、こちらも従来モデルと同じだ。液晶表面は光沢処理が施されており、発色は比較的鮮やかだが、上下の視野角の狭さと外光の映り込みは気になった。表示品質は価格相応といったところだ。

 表示解像度が1,366×768ドットにとどまっている点は、安価な価格を考えると当然とも言えるが、1,600×900ドットなど、より高解像度の液晶を搭載する上位モデルも用意してもらいたかったように思う。特にLB-L450シリーズは、外部GPUを搭載しており、高解像度の液晶パネルを搭載した方がGPUの描画能力をより活かせるはずなので、今後の展開に期待したい。

1,366×768ドット表示対応の14型液晶を搭載。表面が光沢処理のため発色は鮮やかだが、上下の視野角の狭さと外光の映り込みは気になる液晶上部には、100万画素のWebカメラを搭載している

●キーボードは十分扱いやすい

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプとなっている。キーピッチは19mmとゆったりしており、配列も自然でなかなか扱いやすい。タッチは柔らかめだが、ストロークもUltrabook搭載キーボードとしてはまずまず深く、クリック感がしっかり感じられるのもポイントが高い。Enterキーの右側にキーが配置されている点は少々気になるものの、全体的には十分に扱いやすいキーボードと言える。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。独立したクリックボタンはないが、パッド面の面積が広く、2本指でのスクロール操作などジェスチャー操作にも対応しており、操作性はまずまず。パッド表面は摩擦係数を下げる加工が施され、常になめらかな感触で操作できる。

アイソレーションタイプのキーボードを搭載。配列は比較的自然で、クリック感もしっかりしており、なかなか扱いやすいEnterキーの右にもキーが置かれている点は少々気になるストロークはUltrabookとしては比較的深い
キーピッチは約19mmとゆったりしているクリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。面積が広くジェスチャー操作にも対応するが、クリックボタンは独立していない

●側面ポート類はまずまず充実

 では、LB-L450Sのスペック面を確認していこう。

 CPUなどの基本スペックは、先ほど表1でまとめたように、CPUがCore i7-3517U(1.90GHz)、チップセットがInte HM77 Expressとなる。メインメモリは標準で8GB搭載(最大8GB)。グラフィックス機能は、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4000と外部GPUのNVIDIA GeForce GT 640Mのハイブリッド仕様で、NVIDIA Optimusテクノロジーにより自動的に動作が切り替わる。

 ストレージデバイスは、240GBのSSDを搭載しているが、mSATA仕様のものではなく、性能面で人気の高い、Intel製SSD 520シリーズを採用しているのは魅力だ。下位モデルでは500GBのHDDと32GBのSSDの同時搭載となる。無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANと、Bluetooth 4.0+LEを標準搭載する。

 Ultrabookでは、バッテリの着脱はもちろん、メインメモリやストレージなどの内蔵デバイスへのアクセスができない製品がほとんどだが、LB-L450Sでは、従来モデル同様、バッテリは着脱式で、底面にはメモリスロットや内蔵SSDに簡単にアクセスできるフタが用意されている。もちろん保証外ではあるが、購入後にSSDを換装するなど、比較的自由に構成を変更できる点は、他のUltrabookにはない魅力と言える。

 着脱式のバッテリは、容量が2,950mAhと、それほど大容量ではない。駆動時間も公称で約5.5時間と、Ultrabookとしては短い方だ。Windowsの省電力設定を「省電力」に設定し、バックライト輝度を40%、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測してみたところ、約4時間49分と、5時間に届かなかった。ただ、LB-L450Sはややサイズが大きく重量も重いため、13.3型液晶のUltrabookのようなモバイル用途はそれほど重要視されないはずだ。そう考えると、このバッテリ駆動時間でも特に大きな問題はないだろう。

左側面には、ミニD-Sub15ピンピン、Gigabit Ethernet、HDMI出力、USB 3.0を配置。ヒンジ部には電源コネクタがある右側面には、ヘッドフォン/マイク共用ジャック、USB 2.0×2ポートを配置前面左側には、SDXCカードなどに対応するマルチカードリーダーを用意
底面から、メインメモリ用のSO-DIMMスロットや内蔵ストレージデバイスに容易にアクセス可能ストレージデバイスは、Intel SSD 520の240GBモデルを搭載背面のバッテリは着脱可能。容量は2,950mAh
ACアダプタは、このクラスのノートPCとしてはコンパクトだが、Ultrabookに付属するものとしてはやや大きい電源ケーブルがやや太いこともあり、ACアダプタの重量は電源ケーブル込みで実測330.5gだった

●家庭内・オフィス内モバイルPCとしておすすめ

 LB-L450Sは、従来モデルをベースとして、外部GPU搭載によるパワーアップを実現することで、製品としての魅力が高まっている。もちろん、サイズが大きく重いため、どちらかというとデスクに置いて利用するのがメインになると思うが、15型クラスの液晶を搭載するメインストリームノートPCよりもパフォーマンス面では有利で、なかなか魅力のある製品に仕上がっているように思う。

 Ultrabookとして見ると、デザイン面での高級感のなさやモバイル性の低さなど、気になる点があるのは事実。ただ、スペック面はそれを十分補ってくれる。特に、最新3Dゲームを気楽に楽しめる3D描画能力は、他のUltrabookにはない魅力だ。従来モデルより価格は高くなっているが、それもスペック面の向上を考えると納得できる。通常はデスクに置いて利用しつつ、室内やオフィス内での移動を楽々できる、家庭/オフィス内モバイルPCを探しているなら、選択肢として十分な魅力を備える製品と言える。

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(2012年 9月 21日)

[Text by 平澤 寿康]