日本HP「HP Pavilion Notebook PC dm3i ハイパフォーマンスモデル」
~Core 2 Duo SP9300、GeForce搭載で10万円を切る13.3型ノート



HP Pavilion Notebook PC dm3i

発売中

直販価格:99,750円~



 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)から登場した「HP Pavilion Notebook PC dm3i」は、13.3型ワイド液晶搭載ノートPCだ。

 HP Pavilion Notebook PC dm3i(以下、dm3i)は、フォームファクターは最近増えてきたCULVノートと似ているが、上位モデルと下位モデルではスペックがかなり異なり、下位モデルはCULVノートの範疇に入るが、上位モデルは通常電圧版のCore 2 Duoと外付けGPUを搭載するなど、20万円前後のモバイルノートに匹敵するパフォーマンスを実現していることが魅力だ。今回は、dm3iの上位モデルである「dm3i ハイパフォーマンスモデル」を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。

●傷が付きにくく高級感のあるフルメタルボディを採用

 dm3iは、日本HPの直販サイト「HP Directplus」でのみ販売される製品であり、CPUやGPUのスペック、Office Personal 2007の有無などによって、全部で4モデルが用意されている。液晶サイズは13.3型ワイド、重量は約1.9kgであり、常に携帯するにはやや重いが、部屋からは部屋への移動は苦にならない。日本HPがフルメタルノートとうたっていることからもわかるように、dm3iはボディに金属素材が多用されており、高級感と堅牢性を両立させている。トップカバーには、アルマイト処理とヘアライン加工が施されたアルミニウムが使われており、傷が付きにくい。また、底面には軽くて剛性の高いマグネシウム合金が採用されている。

 今回試用したdm3i ハイパフォーマンスモデルは、CPUとしてCore 2 Duo SP9300(2.26GHz)を搭載する。Core 2 Duo SP9300は、通常電圧版のCPUであり、ノートPCに搭載されるCPUの中でも高性能な部類となる。なお、下位のベーシックモデルでは、Celeron SU2300(1.2GHz)が搭載されており、こちらはいわゆるCULV CPUである。

 チップセットとしては、グラフィックス統合型のIntel GS45 Expressが採用されているが、上位のハイパフォーマンスモデルでは、GPUとしてNVIDIA GeForce G 105Mが搭載されており、チップセット内蔵のグラフィックス機能は利用されていない(下位モデルではGPU非搭載)。GeForce G 105Mは、NVIDIAのノートPC向けGPUの中では下位に位置する製品だが、チップセット内蔵グラフィックス機能に比べれば、格段に描画性能は高い。512MBの専用ビデオメモリも搭載しており、Windows 7のAeroも快適に動作する。

 メインメモリは、BTOによって2GB/3GB/4GBから選択でき、試用機には2GBのメモリが実装されていた。OSは、Windows 7 Home Premium 32bit版である。なお、SO-DIMMスロットは2基用意されており、メモリは最大8GBまで増設が可能だ。ストレージとして2.5インチ320GB HDDを搭載する。容量は標準的だが、7,200rpmの高速タイプが搭載されており、パフォーマンスは高い。

dm3iの上面。トップカバーには、アルマイト処理とヘアライン加工が施されたアルミニウムが使われており、質感は高い「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。奥行きはほぼ同じだが、横幅はdm3iのほうがかなり長い
dm3iの底面。底面には剛性の高いマグネシウム合金が採用されている。右下にメモリスロットカバーが、左下にHDDベイカバーがある。メモリスロットカバーとHDDベイカバーを外したところ。SO-DIMMスロットが2基用意されている。HDDの上にはMini PCI Expressスロットの空きがある

●アイソレーションタイプの使いやすいキーボードを搭載

 dm3iの液晶のサイズは、13.3型ワイドで、解像度は1,366×768ドットの16:9仕様だ。解像度は、最近のノートPCではよく見られる仕様であり、1,024×600ドット液晶が主流のネットブックに比べると余裕がある。ウルトラクリアビューカラー液晶と名付けられた光沢タイプの液晶であり、発色は鮮やかで、コントラストも高いが、外光がやや映り込みやすい。液晶上部には、640×480ドット(VGA)のWebカメラとマイクが用意されており、ビデオチャットなどに利用できる。

 キーボードは全87キーで、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.7mmだ。最近流行のキートップとキートップが離れているアイソレーションタイプのキーボードで、配列も標準的だ。不等キーピッチもなく、タイピングはしやすいが、上下カーソルキーがやや小さいことが気になった。また、Fnキーと最上段のキーの扱いが一般的なノートPCとは異なり、単独で最上段のキーを押すことで、バックライトの輝度や音量調整などが行なえ、Fnキーを押しながら最上段のキーを押すことで、F1~F12キーとして利用できる。

 ポインティングデバイスとしてはマルチタッチ操作に対応したタッチパッドを採用。タッチパッドの表面がツルツルの鏡面仕上げになっているため、指がパッドに吸い付く感じがする。パッドの上部に、パッドの有効/無効を切り替えるボタンが用意されているのは便利だ。

液晶は13.3型ワイドで、解像度は1,366×768ドットの16:9仕様だ。光沢タイプの液晶なので、外光の映り込みが気になることがある液晶上部にはVGA解像度のWebカメラが用意されている
dm3iのキーボードは全87キーで、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.7mmである。アイソレーションタイプのキーボードで、不等キーピッチもなく、配列も標準的だが、上下カーソルキーがやや小さいポインティングデバイスとしてタッチパッドを採用。タッチパッドの表面も鏡面仕上げになっており、指が吸い付く感じがするのが気になる。パッドの上部に、パッドの有効/無効を切り替えるボタンが用意されているのは便利だ

●USB 2.0ポートを4基備え、HDMI出力もサポート

 dm3iでは、インターフェイスとして、USB 2.0×4とミニD-Sub15ピン、HDMI出力、マイク入力、ヘッドフォン出力、LANの各端子を備えている。USB 2.0ポートが4基と、比較的多く、左右に2基ずつ配置されているので、周辺機器の接続の際に便利だ。HDMI出力もサポートしているので、HDMI端子を備えた液晶TVなどにも出力が可能だ。

 また、メモリカードスロットとして、5in1メディアスロットを装備。SDメモリーカード/SDHCメモリーカード/MMC/メモリースティックPro/xD-Picture Cardの読み書きが可能だ。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LAN機能とBluetooth 2.1+EDRをサポートしている。右側面にワイヤレス機能のON/OFFボタンが付いているのも便利だ。

 dm3iは、バッテリ駆動時間が長いことも魅力だ。公称バッテリ駆動時間は約8時間であり、BBenchによるテストでも5時間を超える駆動時間を記録しており、通常電圧版のCore 2 Duo搭載機としては優秀な結果といえる。ACアダプタのサイズや重量は、このクラスの製品としては一般的だが、ACケーブルのプラグが、2ピンのメガネタイプではなく3ピンのミッキータイプになっている。

左側面には、LAN、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 2.0×2、5in1メディアスロット、マイク入力、ヘッドフォン出力が用意されている右側面には、電源スイッチ、ワイヤレス機能ON/OFFボタン、USB 2.0×2が用意されている
dm3iのバッテリ。薄型のリチウムポリマーバッテリを採用しているdm3iのバッテリは、11.1V/57Whの6セル仕様だCDケース(左)とバッテリのサイズ比較
ACアダプタのサイズはこのクラスの製品としては標準的だが、ACケーブルのプラグはミッキータイプだACケーブルの代わりに装着可能なACプラグが付属しているCDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

●PCとしての基本性能は優秀

 参考のためにベンチマークを計測してみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」で、比較対照用にレノボ「ThinkPad T400s」、NEC「LaVie M」、ソニー「VAIO X」、日本HP「HP Mini 2140 Notebook PC」の値も掲載した。

 PCMark05のCPU Scoreの値は5604で、Atom搭載ネットブックはもちろん、CULVノートPCの「LaVie M」のスコアと比べても大きく上回っている。3D描画性能についても、単体GPUのGeForce G 105Mを搭載しており、統合型チップセットを採用したThinkPad T400の数倍のパフォーマンスを実現している。7,200rpmの高速HDDを搭載しているため、CrystalDiskMarkのスコアも優秀だ。トータルで判断して、10万円を切るノートPCとしてはトップクラスのパフォーマンスといえるだろう。また、BBenchによるバッテリ駆動時間のベンチマーク結果は5時間1分であり、ときどき持ち歩いて使うといった用途なら十分であろう。


dm3i ハイパフォーマンスモデルThinkPad T400sLaVie MVAIO XHP Mini 2140 Notebook PC
(1,366×768ドット液晶)
CPUCore 2 Duo SP9300(2.26GHz)Core 2 Duo SP9400(2.4GHz)Celeron U2300(1.2GHz)Atom Z540(1.86GHz)Atom N270(1.6GHz)
ビデオチップGeForce G 105MIntel GS45内蔵コアIntel GS45内蔵コアUS15W内蔵コアIntel 945GSE内蔵コア
PCMark05
PCMarks50424454282612481566
CPU Score56046204296615831482
Memory Score50165323306624212350
Graphics Score344818021397245546
HDD Score50514471494835265713
3DMark03
1,024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks)847821862048365718
CPU Score1535計測不可495207242
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH5676394519954361010
LOW8660計測不可13677661386
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP99.9799.9776.4336.1736.9
HP99.9799.9799.9785.575.97
SP/LP99.9310099.9710099.97
LLP99.9710099.9710099.97
DP(CPU負荷)5049687868
HP(CPU負荷)2722427868
SP/LP(CPU負荷)1914285942
LLP(CPU負荷)1711223932
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード76.27MB/s43.89MB/s60.31MB/s65.90MB/s未計測
シーケンシャルライト72.82MB/s41.44MB/s66.25MB/s38.42MB/s未計測
512Kランダムリード34.69MB/s22.17MB/s27.50MB/s63.23MB/s未計測
512Kランダムライト32.72MB/s24.77MB/s31.19MB/s3.108MB/s未計測
4Kランダムリード0.516MB/s0.329MB/s0.369MB/s4.135MB/s未計測
4Kランダムライト1.025MB/s0.811MB/s0.984MB/s1.523MB/s未計測
BBench
Sバッテリなしなし3時間39分2時間57分未計測
Lバッテリ(標準バッテリ)5時間1分4時間2分7時間26分6時間2分未計測
Xバッテリなしなしなし12時間56分未計測

●コストパフォーマンスが高く、メインマシンとしてもお勧め

 dm3i ハイパフォーマンスモデルは、通常電圧版のCore 2 Duo SP9300やNVIDIAのGeForece G 105Mを搭載しながらも、直販価格99,750円からとリーズナブルな価格を実現していることが魅力だ。ボディの作りや質感、使い勝手なども優れており、ノートPCとしての完成度は高い。下位モデルのベーシックモデルは、直販価格79,800円からと約2万円安い。予算が許せば、ハイパフォーマンスモデルをお勧めしたいが、ベーシックモデルでも、デュアルコアのCULV CPUを搭載しているので、Atom搭載ネットブックに比べれば、遙かに高性能であり、文書作成やインターネットの活用といった、比較的軽い作業なら十分快適に行なえる。重量が約1.9kgあるため、携帯性を最重視する人には向かないが、メインマシンとして使える比較的コンパクトなノートが欲しいという人にお勧めしたい。

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(2009年 11月 17日)

[Text by 石井 英男]