日本エイサー「Aspire 1410」
〜6万円を切る11.6型CULVノート



日本エイサー「Aspire 1410」

発売中

価格:オープンプライス(59,800円前後)



 日本エイサーから登場した「Aspire 1410」は、CPUとしてデュアルコアCeleron SU2300(1.20GHz)を搭載、1,366×768ドットの高解像度液晶を搭載しながら、実売で5万円台という低価格を実現した、高コストパフォーマンスのモバイルノートだ。

 Intelが新たに投入したCULV(Consumer Ultra Low Voltage)プロセッサは、ネットブック系で採用されてきたAtom系のプロセッサよりも高性能でありながら、高級モバイルノートで採用されてきた従来の超低電圧系(ULV)プロセッサよりもより低価格ラインを狙った、戦略プロセッサ製品だ。

 Atom系CPUを搭載したネットブック「Aspire One」シリーズが高い人気を集めているだけあって、同社が発売するCULVプロセッサ搭載製品としての「Aspire 1410」(以下AS1410)も注目を集めることは間違い無い。今回、このAS4810を試用する機会を得たので、早速レビューしてみよう。

●エイサーが作るとCULVノートもこうなる

 まずはじめに、いわゆる「CULVノート」の位置づけを再確認しておこう。

 低価格モバイルノートを生み出す原動力として、IntelのAtomの登場が果たした役割は大きい。それ以前のノートPCでは考えられなかった低価格を実現し、いわゆる「ネットブック」と呼ばれるまったく新しいカテゴリを確立したのは、近年稀にみるエポックメーキングな事実だ。

 その一方で、従来のCore 2 DuoなどのCPUを搭載した「高級」モバイルノートとネットブックとでは、性能面や機能面での差が大きかったのも事実である。画面解像度、処理性能、バッテリ持続時間などの点で劣るネットブックは、そうしたモバイルノートの「サブ」機として扱われ、本格的な作業にはやはりきちんとしたノートPCが必要、といわれることも多かった。

 もちろん、そうしたネットブック特有の制限を取り払う動きもあった。本連載でもすでに紹介した日本エイサーの「Aspire One 751」(以下AO751)などがそれだ。CPUとしてネットブックのAtom Nシリーズよりも低消費電力のAtom Zシリーズを採用、バッテリ持続時間を延ばすとともに、液晶解像度を上げて使い勝手を高めた。そのほか、さまざまな機能を搭載することで、ソニーの「VAIO type P」やASUSTeKの「S121」などと並び「ネットブック以上」の機能を実現している。ただ1つ、CPUの処理性能を除けば、だが。

Atom Z520搭載のAspire One 751(下)と比較。上方からの撮影のためややAS1410の方が大きく見えるが、実際は両者の横幅はほぼ同一 AO751は6セルバッテリを装着しているためバッテリの張り出しが目立つ。AS1410は同じ6セルバッテリでも張り出しは無くなった

 IntelのCULVプロセッサは、これら「ネットブックを超える機種」に対して手着かずのままで残された「CPU処理性能の問題」を解消するための解となり得る存在だ。ネットブックの性能面の問題を解消し、かつ、これまでのULVプロセッサを搭載した製品に比べると、より低価格なモバイルノートが実現できる。乱暴な言い方をすれば、今回紹介するAS1410はAO751のCPUをそっくりそのままCULVプロセッサに交換したもの、と考えてもよいかもしれない。

 この種のCULVノートだが、各社いろいろ苦労して呼び方を考えているようだ。たとえば東芝などは、ネットブックに対比する形で「ネットノート」と呼ぶ。またエイサーではこの製品カテゴリを「Light Note」と名づけるようだ。こうした呼び名が定着するか、あるいはいずれかに統一されるのかはわからないが、本記事ではこれまで通り「CULVノート」と呼ぶことにする。

●11.6型WXGA液晶搭載、HD外部出力も行なえる

 前置きが長くなってしまったが、AS1410のスペックについて詳細に見てみよう。

 CPUは再三述べている通りのCULVプロセッサで、超低電圧版Celeron SU2300を搭載する。デュアルコアの1.20GHz駆動でFSBは800MHz、キャッシュ容量は1MBとなる。チップセットはMobile Intel GS45 Express、グラフィックはチップセット内蔵のIntel GMA 4500MHDとなる。HD動画再生支援機能付きだ。

 メインメモリはPC2-5300(DDR2-667)で、2GB SO-DIMMが1枚搭載されている。メモリスロットは2つ用意されており1つが空きとなっているため、最大4GBまで増設可能であると同時に、増設時はデュアルチャンネル動作も可能となる。

 HDDは2.5インチ250GB、1,366×768ドットの11.6型ワイドのグレアタイプ液晶パネルを搭載する。またこの液晶ディスプレイはLEDバックライトを採用することで、消費電力を抑えるとともに、薄型・軽量化にも貢献する。

 ネットワークはIEEE 802.11b/g/n、Gigabit対応の有線LAN、Bluetooth 2.1+EDRのほか、SDカード/MMC、メモリースティック(PRO)、xD-Picture Card対応の5-in-1カードリーダ、30万画素Webカメラ、マイクなどを搭載。3ポートのUSB2.0のほか、外部ディスプレイ接続用としてアナログRGB(ミニD-Sub15ピン)端子のほか、HDCP対応のHDMI出力端子も搭載する。

本体左側面。アナログRGBのほか、HDMI端子も新たに加わった。冷却ファンの騒音はほとんど感じられないほど。USB端子は反対側の側面にもある 本体右側面。USB 2.0端子はこちら側には2つある。手前上部は5-in-1タイプのカードリーダ。盗難防止用のケンジントンロック穴も用意されている LEDインジケータは左から順にパワー、バッテリチャージ、Bluetooth、無線LANの順。本体下側のスイッチはそれぞれBluetoothと無線LANの手動ON/OFFスイッチ

 バッテリは6セル、11.1V 4,300mAhで、スペック上の駆動時間は7時間、省電力モード時で8時間となる。本体重量はバッテリ込みで1.38kg。OSは64bit版のWindows 7 Home Premiumがプリインストールされる。

 これらからもわかるように、ハードウェアスペックはかなり充実している。CPUが異なる点と、重量が数百g程度重めである点さえ除けば、いわゆるモバイルノートPCと比べてもそれほど遜色の無いスペックと言ってもよい。それでいて価格はそれらモバイルPCと比較しても遥かに下回る5万円台というのだから、このクラスのCULVノートがどれだけコストパフォーマンスが高いかがわかるだろう。

 「AO751」との比較でいえば、液晶解像度や本体重量、バッテリ駆動時間などはほぼ同等レベル。CPUやメインメモリ、HDD容量のほかBluetoothが2.0+EDRである点などが異なる。すでに実売価格で3万円台にまでなっているが、その価格差と性能差が見合うものかどうかが、判断の分かれ目となるだろう。

HDDとメモリアクセス口には剥がすと無効となる保証シールが貼られていた。が、丁寧に剥がしたところ、跡も残らず、破れることもなく綺麗に剥がれてしまった メモリはPC-5300 SO-DIMM。2GB×1が実装済みで1スロットが空きとなっている。ワイヤレスLANはIntel WiFiLink1000が使われていた HDDは2.5インチ5,400rpmの250GB SATA HDD。試用機に搭載されていたのは、HGSTの「5K320-250」が使われていた。手前に見えるのはSATA配線用のFPC
試用機の本体重量はスペックをわずかに上回る1.4kg。国産モバイルPCの水準からするとやや重めだが、十分に持ち運べる範囲だ バッテリは6セル11.1V、4,300mAhタイプ。ノートPC用としては標準的な容量だが、バッテリ持続時間は約8時間と、十分に長い 6セルバッテリの重量は約300g。AO751のものとは形状が異なる。またAO751とは異なり、3セルバッテリは用意されないようだ
ACアダプタ+ケーブルの重量は330gと重い。ただその約半分はAC100Vケーブルの重さによるもの ACアダプタ単体であれば、重さは半分以下の160gとなる AC側のコネクタは国産機に多いメガネタイプではなく、3ピンのいわゆるミッキータイプ。アダプタなどを使って、軽量ケーブルに交換したいところ

●高級感は無いがチープでもない外見・使用感

 AS1410の本体色は黒、紺色、白の3色。それぞれダイヤモンドブラック、サファイアブルー、シーシェルホワイトと名づけられている。いずれ天板部分の色だけでなく、ディスプレイフレームやキーボード、パームレスト、タッチパネル部分なども同系統の色で統一されており、一体感は高い。

 いずれの色を選んだ場合でも、天板は光沢塗装仕上げとなる。周囲に軽く丸みを帯びているとはいえ、基本的には平面なので、新品時であれば非常にきれいな印象だ。ただし当然のように指紋などは目立つ。

 その裏側、液晶ディスプレイ部についても、フレーム部分は光沢仕上げ。グレア液晶とあいまって、まさに「テカテカ」な印象だ。このディスプレイ部分と本体部とは、特にロックなどは無く、バネによる固定となっているため、使いたいときにはさっと開いてすぐに使い始められるようになっている。開閉時の使用感はなかなか優れており、価格を感じさせない仕上がりだ。

 こうした光沢仕上げのディスプレイ部に対して、キーボードやパームレスト、本体底面部は艶を抑えた梨地仕上げになっている。高価な製品のように「マグネシウム合金」などは採用していないため、底面などには未塗装(パームレスト部分は本体同系色の塗装済み)のプラスチック地肌そのものが露出している。高級感こそ無いが、逆にチープな印象を与えるほどでもなく、必要十分な仕上がり具合といえるだろう。

 キーボードは、写真を見てもわかるようにキートップがすべて平面になっているタイプ。キーピッチは縦横共に約19mmほどで、最も右側の1列についてはやや横幅が縮小されているとはいえ、ほとんどのキーでフルピッチが採用されているところは立派。見た目から受けるほどストロークも浅くはない。

 打鍵感は比較的軽めではあるが、決して「カチャカチャ」という感じではなく柔らかい感じ。筆者も含めて、軽目のキーが好きな人には入力しやすいキーボードであるように感じる。ただし、キーボード中央部は強く押すとたわんで沈み込む。こうしたキーボードは打鍵が強い人にとってはかなり違和感を覚える可能性もあるだろう。キー入力に関しては個人の好みが大きい要素なので、実際に操作してから判断したいところである。

 最薄部で22mmという厚みは、鞄などに入れて持ち運ぶ際にも邪魔にならない。価格を考えると、全体的にはかなり上質な仕上がりと言ってよいだろう。

本体背面。国産ノートPCのような合金製ではなく普通のプラスチック製ではあるが、チープ感は無い 背面はきれいな光沢を持つメタリックブラック。このほか、ホワイトとブルーのカラーバリエーションが用意されている
液晶パネルは艶のあるグレアタイプのワイドパネルを使用。液晶フレームも光沢タイプなので、ディスプレイ周りはまさに「テカテカ」だ キーピッチはデスクトップキーボード並みの縦横約19mmを確保。キータッチはかなり軽めだが、いわゆる「カチャカチャ」する感じは無い

●マルチタッチ対応タッチパッドを採用

 液晶のサイズは11.6型ワイドで、解像度は1,366×768ドットである。アスペクト比16:9の光沢タイプの液晶だ。前述のようにLEDバックライトを採用しており、バックライトはかなり明るめの印象だ。発色やコントラストの点でもほとんど不満は無い。

 ただし、グレアタイプの液晶ということで、周辺環境の写りこみは大きい。特に背後に照明がある場合や窓際での利用などでは映り込みがかなり気になるだろう。バックライトはかなり明るくできるので屋内ではあまり問題は無いが、屋外で使うことの多い人などでは、反射防止フィルムなどの使用が必要となるかもしれない。

 なお本機には、外部出力としてHDMI端子も装備する。グラフィック能力では、1,920×1,080のフルHD動画再生も可能な性能を持つが、本体側液晶では解像度の問題でフルHD再生はできない。家庭用TVや外部ディスプレイなどでフルHD再生ができるというのは魅力だろう。

 ポインティングデバイスとしてはキーボード手前にタッチパッドを配置する。AO751では左右ボタンが共通のシーソータイプであったが、今回は左右ボタンが独立したタイプに変更されたため、ボタンの操作性に関してはかなり向上している。

 このタッチパッドは、2本指でのマルチタッチ操作にも対応しており、拡大/縮小や回転操作、スクロール操作などが行なえる。

 気になったのは、キーボードのキートップとパット部分の高さの差がほとんどなく、特にスペースバーを右親指で打鍵する際にパッドの誤感知がされやすかった点だ。スペースバー打鍵の際に意識して左親指を使うようにするか、やや手首を浮かせぎみで入力すれば問題は無いのだが、もう少し配置に工夫があればより使いやすかったであろう。

 なおこのタッチパッドは、Fn+F7キーによりワンタッチで有効/無効の切り替えが行なえる。あまりに誤感知が多いようならOFFにして使うという方法もありだが、せっかくのマルチタッチ対応の機能を無駄にすることにもなってしまうため、やはりもう少し工夫が欲しかったところであろう。

11.6型WXGAという高いドットピッチを持つ液晶であるが表示品質は高い。ただしグレアタイプのため背景によっては盛大な写りこみが発生する タッチパッドとスペースバーの高さの差がほとんど無いため、スペースバーを打鍵するとパッドに感知されてしまうことも。この方向からみると、キーボードがわずかに歪んでいることもわかる

●まずまずの性能と長いバッテリ持続時間

 ベンチマークではPCMark05、PCMark Vantage、それにWindowsエクスペリエンス・インデックスの値を掲載する。比較用としてはAO751の値を掲載するが、AS1410が64bit版Windows 7 Home Editionであるのに対して、AO751のOSは32bit版のWindows XP Professional Editionだ。OSが違うため、ベンチマーク値は同列に比較できない点には注意してほしい。

 バッテリ持続時間に関しては、いずれも同じ6セルバッテリで容量も同等なので、よい比較になる。テストには海人氏作の「BBench 1.01」を使用、電源プランは「省電力モード」、1分ごとにWebサイトへの無線LAN経由でのアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測した。

 テストを見てわかるように、省電力モードにおいてのAS4810の駆動時間は「公称」の8時間にはわずかに及ばなかったとはいえ、きわめて優秀な値を達成している。省電力CPUであるAtom Z520を搭載したAO751と比べてもほとんど変わらない駆動時間を達成しているのは立派。これだけの駆動時間を達成できていれば、ちょっとした外出であればいちいちPCを「スタンバイ」状態にしなくても運用できる。


Aspire One 751 Aspire 1410
CPU Intel Atom Z520 Intel Celelon SU2300
チップセット Intel US15W Mobile Intel GS45 Express
ビデオチップ Intel GMA500 Intel GMA4500MHD
メモリ PC2-5300 2GB×1 PC2-5300 2GB×1
OS Windows XP Professional Windows 7 Home Premium x64
PCMark Vantage Build 1.0.1.0
PCMark Suite N/A 2300
Memories Suite 1520
TV and Movies Suite 1628
Gaming Suite 1380
Music Suite 2779
Communications Suite 2357
Productivity Suite 1650
HDD Test Suite 2779
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A N/A
CPU Score 739 2818
Memory Score 1450 2982
Graphics Score N/A 965
HDD Score 3547 4473
Windowsエクスペリエンスインデックス
プロセッサ N/A 3.9
メモリ 4.7
グラフィックス 3.2
ゲーム用グラフィックス 3.2
プライマリハードディスク 5.3
Windowsの起動/終了 (秒)
電源オンからようこそ画面まで 33.9 42.9
シャットダウンから電源オフまで 47 14.7
電源オンから休止状態へ 32.3 17.7
休止状態からようこそ画面へ 45.1 38.2
バッテリ持続時間(Bbench 1.01による)
バッテリフルから5%(休止状態移行)まで 7時間43分50秒 6時間14分10秒

 実際に使ってみた感じでも、使用感はなかなか快適だ。Webの巡回やテキスト入力を行なう程度であればまったくストレスを感じることは無く、PCの起動や終了の際に、多少「待たされる」感がある程度。これは2.5インチHDDを使用する限りにおいては、ある程度仕方ない部分もあるだろう。

 OSが64bitであるため、特にハードウェアのドライバについては、64bit対応しているかどうかについての確認を忘れないようにしたい。もっともノートPCという性格上、USBで接続する機器には限りがあり、それほど問題となることは無いとは思われる。

●他のカテゴリを「食う」抜群のコストパフォーマンス

 以上、CULVノートであるAS1410について紹介してきたが、全体的な印象としてはやはり「コストパフォーマンスが極めて高い」という点に尽きる。もちろん絶対的な性能やバッテリ持続時間いう点では、たとえばパナソニックの「Let'snote」などの高級モバイルPCには及ばない。バッテリ込みで1.3kgオーバーという重量は、特に国産メーカーのモバイルPCと比べれば数百g以上も重い。

 しかし、忘れてはならないのがAS1410の価格である。それら「高級」モバイルPCと比べると、AS1410の価格は1/3〜1/4程度にすぎない。これだけの価格差を考えれば、多少の性能さや重量差は無視できる、と考える人も多いだろう。

 そう考えると、AS1410のようなCULVノートの登場は、他のカテゴリのモバイルPCにとっては脅威といえるだろう。上位ランクのPCでは、より一層の性能面での「差別化」が必要となる。たとえばCPU性能、WiMAXやWLANなどのネットワーク対応、あるいは段違いのバッテリ持続時間など、さまざまな面での差別化が必要だ。

 さらに、下位ランクの機種はさらに厳しい。いまでこそ多少の価格差はあるが、CULVノートの低価格が今後進めば、価格差自体は大きな武器とはいえなくなってくる。逆に性能を上げてしまっては、CULVノートとの境目があいまいになる。

 そう考えると、AS1410のようなCULVカテゴリの製品は、まさに他のカテゴリを食いかねない「黒船」のような存在といえるだろう。今後ますます製品が増えてくることが予想される、なかなかに期待の持てるジャンルだ。

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(2009年 11月 9日)

[Text by 天野 司]

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