■本城網彦のネットブック生活研究所■
Touch Note T1028M |
6月末に発売になったばかりの「GIGABYTE Touch Note T1028M」が届いた。基本的な構成はネットブックなのだが、ちょっと変わっているのが「液晶パネルが回転」し、そして「タッチパネル」と言うのが面白いところ。使用感などをレポートしたい。
●GIGABYTE Touch Note T1028Mの仕様
同社のネットブックは、普通のネットブックに加え、他社には無い変わったラインナップも持っている。例えばB6サイズで7型のパネルを搭載した「M704」は、CPUにVIA Esther ULV C7-M (1.2GHz, 400/800MHz, 128KB/128KB L2) を使用、キーボードはスライド式だ。「M912」は8.9型の液晶パネルで回転+タッチパネルモデル。そして今回紹介する「T1028M」は、この「M912」のパネルが10.1型になったタイプとなる。
仕様的には、CPUにAtom N270プロセッサ、Intel 945GSE Expressチップセット、メモリ1GB(最大2GB)、10.1型液晶パネルWSVGA(1,024×600ドット)、2.5インチSATA HDD 160GB、4-in-1カードリーダ、USB 2.0×3、音声入出力、Ethernet、LAN 802.11b/g/n無線、Bluetooth 2.1+EDR、130万画素Webカメラ……と一般的な構成だ。4セルのバッテリを搭載し4時間駆動。サイズは265×195×38.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量1.3kg。ちょっと珍しいのはExpressCardスロットがある事だろうか。オプションとして3.5GのHSDPAもあるようだ。
最大の特徴は冒頭で書いた通り、液晶パネルが回転し、しかもタッチパネルになっている点。ネットトップでタッチパネル式は、液晶パネル一体化モデルで何機種か出ているものの、ネットブックではあまり見かけず、この機能が欲しいユーザーにとってはかなり魅力的な機種となる。
重量。実測で1.36kg | バッテリ。リチウムイオン4セル4,500mAh |
10.1型液晶パネルと搭載したネットブックとしては平均的なサイズであるが、パネルが回転する関係もあるのか、少し厚みがある。またタッチパネル用の素材が表面にあるため、グレアでもノングレアでもない中間的な感じで極端な映り込みは無い。
キーボードは、キーピッチ17mmとこれもよくあるタイプ。ただ全体的に少したわむのが残念なところだ。タッチパッドは、パームレストになる部分も含めかなり狭い。タッチパッドの前にスペースは無くボタンは左右に付いている。サウンドに関してはカタログに「ビルトイン 1.5W×2 ステレオスピーカー」と書いているだけあって音量は十分。ただし音質は今一歩か。熱やノイズは気にならないレベルだが、細かい振動は全体的に感じられる。
そして回転するパネルは、ギミック的にも、用途的にもなかな面白い仕掛けだ。水平に180度回転、そして前後も180度傾く。従って180倒して複数人数で同時に表示を見たり、水平に180度+後ろへ180度倒した状態だとキーボードをスッポリ覆い、タブレットPC型のネットブックに変身する。回転を支える軸の部分は若干グラグラしているが、実用上は全く問題無い範囲だろう。この機構のため他のネットブックには見られないものとして、キーボードの外側左右とパネルの外側左右にそれぞれ凸凹がある。これはパネルを閉めた時に回転しないよう、ストッパーの役目をはたしている。
【動画】パネルを回転させているところ |
余談になるが箱に「Intel Atom N280 1.66GHz(Optional)」と「Intel GN40 Express Chipsets(Optional)」と記述がある。前者は最近少し出回りはじめたFSBが667MHzの高速タイプのCPUだ。後者は、動画支援機構などを持つIntel 945GSE統合型チップセットに替わる新しいネットブック用のチップセットであるものの、実際はまだ市場には(多分)出ていない。IONプラットフォームと共に筆者が注目しているIntelの新チップセットなので、こちらも是非触ってみたいものだ。加えて「265×214×41.4mm(同)/1.48kg (6-cell Battery)」の記述も。6セルバッテリのオプションだ。更にマニュアルには「1,366×768ドット」のパネルの話も書かれているが詳細は不明である。
パッケージにオプションとしてこんな記載も。「Intel Atom N280 1.66GHz(Optional)」と「Intel GN40 Express Chipsets(Optional)」が書かれている | マニュアルにオプションとして「1,366×768ドット」の記述が。できればこの解像度で使いたい |
●便利な「Smart Manager」
付属のアプリケーションは「InterVideo WinDVD」と「ノートンインターネットセキュリティ」。システムコントロールするツールとして「Smart Manager」、タッチパネル用ツールとして「eGalax Touch」が入っている。特に前者は、ボリューム、WWAN、Bluetooth、無線LAN、明るさ、ウェブカメラ、回転、タッチパネルのキャリブレーション、タッチパッド、オンスクリーン・キーボードなどのコントロールをまとめてON/OFFなどできる便利なもので、本体左側の[機能]ボタンを押すと起動する。もちろんそれぞれのON/OFFは、ファンクションキーに割り当てられているが、タブレットPCでの運用時にはキーボード塞いでしまう。従ってこの方式もないと困ったことになる。
HDBench。Atom N270+Intel 945GSEとしては一般的な値だが、HDDのシーケンシャルライトだけ速いような気がする | CrystalDiskMark。やはりSeq Writeが速い。WD1600BEVTだからだろうか? |
HDDのパーティションはCドライブが80GB(NTFS)、Dドライブが約66GB(FAT)、そしてリカバリー用に約3GBが割り当てられている。実際のリカバリーは付属の「XPRESS RECOVERY 3 Lite」で行なう。
ベンチマークテストはご覧の通り。Atom N270+Intel 945GSE統合型チップセットとしては一般的な値であり、特に速くも遅くも無い。操作した感触も多くのネットブックと同じだ。ただキャプションに書いたが、HDDのシーケンシャルライトが少し速めだ。ドライブの違いによるものかも知れない。
本機の売りであるタッチパネルに関しては、指先で操作すると以前店頭で液晶一体化型ネットトップで操作した雰囲気より、更に反応が鈍いように思う。ネットトップのタッチパネルもゆっくり操作しないとマウスカーソルが追尾しなかったのだが、このT1028Mのものは更に鈍感。絵や字を書くのは(慣れもあるだろうが)ちょっと大変そうだ。ただし、付属のスタイラスペンを使うとそれなりに追尾する。いずれにしてもノートとペンのように左手でボディ、右手でペンを持つと重量が1.3kgと重めなので長時間は辛い。テーブルに置いて操作するのが無難だろう。
以上のような関係から、文字認識や何かをペンで書くと言った操作より、どちらかと言えば、タップによるアプリケーションの起動やウィンドウやパネルなどの操作系に使うのが主となるのではないだろうか。例えばネットサーフィンを行なっている時は文字入力はあまりなく、リンクをタップするだけの事が多く、ブラウザ用途であれば意外と使い易かった。
液晶パネルが回転しかつタッチパネルでタブレットPCに変身できるというのは、普通のノートPCを含めて対応機種はごく限られている。基本的にネットブックなので性能的にはそれなりであるが、あまりマシンパワーを必要とせず、この機構を使いたいユーザーにとっては財布に優しい選択肢となるだろう。