平澤寿康の周辺機器レビュー

コレガ「CG-HDC4EUS35-W」
〜5種類のRAIDに対応するUSB 3.0/eSATA HDDケース



コレガ「CG-HDC4EUS35-W」

発売中

価格:オープンプライス(直販28,800円)



 アライドテレシス コレガ事業部は、3.5インチ SATA HDDを最大4台搭載できるとともに、USB 3.0とeSATA接続での利用に対応した、RAID対応外付けHDDケース「CG-HDC4EUS35-W」を発売した。

●コンパクトなボディにHDDを4台搭載可能

 3.5インチHDDを4台搭載できる外付けHDDやNASのうち、個人での利用をメインターゲットとした製品では、本体サイズが小さく、静音性に優れる製品が多くなっているが、CG-HDC4EUS35-Wも、コンパクトなボディが特徴となっている。本体サイズは126×215×166mm(幅×奥行き×高さ)。これは、競合製品とほぼ同等のコンパクトさで、設置場所などに困ることはないだろう。

 HDDは、本体前面のカバーを開けて取り付ける。プラスチック製の前面カバーを開けると、金属製の保護板が現れ、その保護板を外すとHDDベイが現れる。HDDベイは、3.5インチSATA HDDを直接取り付けるタイプのものが用意されており、本体前面からHDDを押し込むように取り付けることになる。

 HDD取り付け時には、HDDに固定用ハンドルをあらかじめ装着した上で取り付ける。このハンドルにはラバーが取り付けられており、金属製の保護板によって押さえつけられ、HDDがぐらつきなく固定されることになる。ちなみに、HDDを抜き出すときには、このハンドルを下に回転させつつ引き出すことになる。

 ところで、HDDベイや保護板にはロック機構は用意されておらず、簡単にHDDを取り出すことが可能。このあたりは、家庭で利用する個人向け製品らしい割り切りだが、SOHO用途や業務用途など、保存データの保護を重視する用途には向いていないと考えた方がいいだろう。

 背面には、HDDを冷却する空冷ファンと接続インターフェイスが用意されている。接続インターフェイスは、USB 3.0とeSATAが用意されており、どちらか一方をPCなどと接続し、利用することになる。対応機器は、PCだけでなく、PlayStation 3や、RAGZAなどのUSB HDDを利用した録画が可能な液晶TVなども含まれている。

 空冷ファンとしては8cm角ファンが取り付けられている。このファンは、ファンコントローラによって回転数が制御され、通常利用時には回転数が落ちて動作するが、低速回転時でも若干動作音が気になる。もちろん、うるさいというわけではなく、リビングに置いてもTVの音を邪魔することのない程度ではあるが、音が耳に届くのは間違いなく、できればもう一段、静音性のレベルを上げてもらいたいところだ。ちなみに、本体前面のボタンを利用して、回転数を固定してファンを動作させることも可能。ただし、安定動作にはHDDの冷却が不可欠なので、基本的には自動制御のまま運用することがおすすめだ。

本体正面。HDDベイにアクセスするカバー、電源ボタン、RAIDレベル変更ボタン、ファンコントロールボタンなどがある バッファローのLS-Q1.0TL/1D(左)との比較。高さはCG-HDC4EUS35-Wのほうがわずかに高いが、幅と奥行きはCG-HDC4EUS35-Wのほうが短い 正面のカバーを外すと、HDDを固定する金属製の保護板が現れる
金属製の保護板を外すと、4個のHDDベイにアクセス可能となる HDDベイは、トレイなどを利用せず、直接HDDを取り付けるタイプのものを用意。HDDを取り付ける場合には、HDDに付属のハンドルを取り付ける必要がある 背面。HDD冷却用の8cmファンと、接続インターフェイスのeSATAコネクタ、USB 3.0コネクタが用意されている
本体左側面には、ACアダプタを接続するコネクタが用意されている 付属のACアダプタ。A4サイズのノートPCに付属するACアダプタに近いサイズだ

●5種類のRAIDレベルとJBODに対応

 CG-HDC4EUS35-Wでは、RAID 0/1/3/5/10と5種類のRAIDレベルに加え、複数のHDDを1つのボリュームとして利用できるJBODに対応している点も特徴の1つだ。このうち、冗長性が確保されているRAID 1/3/5/10で運用している場合には、HDDが1台故障した場合でも、HDDを交換することで自動的にRAIDボリュームがリビルドされ、保存データも失われない。逆に、アクセス速度を重視する場合には、RAID 0で運用することで、高速なアクセス速度を実現できる。さらに、容量の異なる複数のHDDをまとめて1ボリュームで利用したい場合にはJBODを利用するなど、用途に応じて柔軟な運用環境を選択できる点は大きな魅力と言える。

 また、RAIDレベル設定直後のRAIDアレイビルドが非常に短時間で完了する点も嬉しい。実際に、HDDを3台搭載してRAID 5を設定した場合でも、RAIDアレイのビルドにかかった時間は、設定後の再起動直後のわずか数秒程度だった。もちろん、RAIDアレイの構築は頻繁に行なうものではないが、設定が短時間で完了し、すぐに利用可能となる点は、特に初心者にとって魅力的と言っていいだろう。

 ただし、CG-HDC4EUS35-WはRAIDでの運用が基本となっているため、HDDを1台のみ搭載しての運用には対応していない。必ず2台以上のHDDを取り付けて利用する必要がある点には注意が必要だ。また、RAIDレベルを変更したり、HDDを追加して容量を増やす場合には、既存のRAIDアレイは失われ、保存データはすべて消えてしまう。競合製品の中には、HDDを追加した場合に、保存データを保持したままRAIDアレイを再構築して容量を増やせる製品もあるが、CG-HDC4EUS35-Wとの価格差はかなり大きい。比較的安価な製品であるCG-HDC4EUS35-Wでは、この仕様は仕方がないだろう。

 ところで、CG-HDC4EUS35-Wには、Webブラウザなどでアクセスする設定メニューのようなものは用意されておらず、運用時のRAIDレベルの設定はすべて本体のボタンのみで行なうようになっている。その時に活用するのが、背面に用意されているRAID設定ボタンだ。本体前面のMODEボタンを長押ししてRAIDレベルを選択し、その後背面のRAID設定ボタンを長押しして本体の電源が切れれば設定完了となる。設定時に利用するボタンが本体の前面と背面に分けられ、さらに背面のボタンはフタで隠されているのは、簡単にRAIDレベルが変更できないように配慮しているためだ。子供がいたずらでボタンを押したとしても、RAIDレベルは変更されないと思われるため、リビングのTV横など、子供の手が届く場所に置いて利用する場合でも、ほぼ心配はないはずだ。

 RAID設定用ボタンの下にあるディップスイッチは、ボリュームサイズの制限を設定するためのもの。Windows XPなど、約2TB以上のボリュームに対応しないOSでの利用に対応するため、ボリュームサイズを2TBに制限できるようになっている。もちろん、Windows 7など2TB以上のボリュームサイズに対応するOSでの利用であれば、ディップスイッチの設定を変更する必要はない。

本体正面右のRAIDボタンを長押しすると、RAIDレベルを示すインジケータを移動させてRAIDレベルを変更できる 背面コネクタ左のフタを開けると、RAID設定ボタンとディップスイッチが現れる。正面のRAIDボタンでRAIDレベルを選択した後で、RAIDボタンを長押しし、本体の電源が切れるとRAIDレベルの設定完了。その後電源を入れると、設定したRAIDレベルでRAIDアレイが構築され、すぐに利用可能となる

●3TB HDDも正常に認識

 CG-HDC4EUS35-Wは、公称スペックとしては、2TBのHDDを4台搭載した、最大8TBでの運用に対応している。ただ、すでに2TBオーバーの容量を持つHDDが登場してきており、それら2TBオーバーのHDDも正常に利用できるかどうか気になる人もいることだろう。今回、ちょうど手元に3TB HDDが3台(Western Digital WD30EZRS×2台、HGST HDS723030ALA640×1台)あったため、これらを取り付けて正常に認識するかどうかチェックしてみた。

 結論から言うと、今回利用した3TB HDDは全く問題なく認識され、全容量が利用可能であった。2台搭載時のRAID 0とRAID 1、3台搭載時のRAID 5と、全て問題なく利用できた。もちろん、現時点でメーカーは3TB HDDの動作を保証していないため、基本的には自己責任での利用となる。とはいえ、3TB HDDを正常に認識できたという点は、これから購入する外付けHDDケースとして魅力的と言っていいだろう。

3TB HDDを2台搭載し、RAID 0に設定した状態。Windows 7上から、きちんと6TB全容量が認識されている こちらは、3TB HDDを2台搭載し、RAID 0に設定した状態。3TBが認識されている

●アクセス速度は、USB 3.0接続よりeSATA接続のほうが高速

 では、実際にHDDを取り付けて、どの程度のアクセス速度が発揮されるのかチェックしていこう。今回は、取り付けるHDDとして、3TB HDDを3台(Western Digital WD30EZRS×2台、HGST HDS723030ALA640×1台)利用し、2台取り付けてRAID 0とRAID 1、JBODに設定した場合と、3台取り付けてRAID 5に設定した場合の速度を計測した。速度の計測には、CrystalDiskMark 3.0を利用し、USB 3.0接続時とeSATA接続時の双方で計測を行なった。計測に利用したPCのスペックは下に示したとおりだ。

テストPCの環境
CPU Core i5-750
マザーボード Intel DP55KG
メモリ PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2
グラフィックカード Radeon HD 5770(MSI R5770 Hawk)
HDD Western Digital WD3200AAKS(OS導入用)
USB 3.0拡張カード ASUS U3S6
OS Windows 7 Ultimate

・ベンチマーク結果
3TB HDD×2台、RAID 0 eSATA
3TB HDD×2台、RAID 0 USB3.0
3TB HDD×2台、RAID 1 eSATA
3TB HDD×2台、RAID 1 USB3.0
3TB HDD×2台、JBOD eSATA
3TB HDD×2台、JBOD USB3.0
3TB HDD×3台、RAID 5 eSATA
3TB HDD×3台、RAID 5 USB3.0

 結果を見ると、RAID 0やRAID 5運用時では、シーケンシャルアクセスで200MB/secを超えるアクセス速度が発揮されており、十分高速な速度が発揮されていることがわかる。ただし、200MB/secを超えるのはeSATA接続時のみで、同じ環境でもUSB 3.0接続時には速度がやや遅くなっている。これは、PC側のUSB 3.0ホストコントローラまたは、CG-HDC4EUS35-W側のUSB 3.0コントローラの制限と思われる。現時点では、まだUSB 3.0コントローラのほとんどが理論値に近い速度を発揮できていない。そのため、USB 3.0で速度が遅くなっているのは、ある意味仕方がないだろう。とはいえ、USB 3.0接続時でも十分に高速なのは間違いなく、実際の運用時に遅いと感じることはほとんどないと考えていい。もちろん、最大限速度を引き出したいなら、eSATA接続で運用すればいい。

 CG-HDC4EUS35-Wは、HDDを最大4台搭載でき、RAIDで運用する外付けHDDボックスの中でも、本体がコンパクトで、HDDの取り付けやRAID設定などが手軽に行なえるなど、家庭で利用する個人向けの製品としての魅力が大きい製品だ。もちろん、HDDベイにロック機構がないなど、安全性に関してはやや問題があるため、SOHOや業務用など、保存データの保護を重要視する用途にはおすすめしにくい。とはいえ、RAID 1や5など、冗長性を保った運用が行なえるので、家庭での利用であれば冗長性に関してもほぼ問題ないレベルだ。また、メーカー保証外ではあるが、3TB HDDを正常に認識し利用できる点も魅力だ。直販サイトのコレガダイレクトショッピングで28,800円と、RAID対応外付けHDDボックスとして比較的安価な点も合わせ、家庭で、PCのデータをバックアップしたり、USB HDD録画対応の液晶TVに接続して利用するRAID対応外付けHDDボックスとしておすすめしたい製品だ。

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(2010年 12月 22日)

[Text by 平澤 寿康]