ゲーミングPC Lab.
TSUKUMO「G-GEAR GA7J-C64/T」
~GeForce GTX 950搭載。「GameStream Co-op」のβ版も検証
(2015/9/29 06:00)
TSUKUMOのゲーミングPCブランド「G-GEAR」より、ミドルタワー型ゲーミングPC「G-GEAR GA7J-C64/T」が発売された。Intelの新型CPUであるSkylakeを搭載していることに加え、新たにNVIDIAの最新GPUであるGeForce GTX 950も選択が可能になった。
今回はこの「GA7J-C64/T」をカスタマイズし、Core i5-6600とGeForce GTX 950という組み合わせにした1台をレビューする。またNVIDIAのアプリケーション「GeForce Experience」のβ版で提供されているゲーム共有機能「GameStream Co-op」の試用レポートも合わせてお届けする。
コストパフォーマンスの高さが光るミドルクラスゲーミングPC
今回試用したPCは、「GA7J-C64/T」をカスタマイズしたもの。主なスペックは下記の通りで、9月24日時点では税抜き111,280円となった。
G-GEAR GA7J-C64/T(カスタマイズ済み) | |
---|---|
CPU | Core i5-6600 |
マザーボード | Intel H170 Express(ASUS H170-Pro) |
GPU | GeForce GTX 950(2GB) |
メモリ | 8GB DDR3-2133(4GB×2) |
SSD | 256GB(Trancend 370シリーズ) |
HDD | 1TB(東芝 DT01ABA100V) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ(ASUS DRW-24F1ST) |
電源 | 450W(CWT GPB450S) |
OS | Windows 10 |
販売価格(税別) | 111,280円 |
ビデオカードはGeForce GTX 950に変更している。メーカーや型番の指定はできず、今回はZOTAC製でシングルファンタイプの製品が使われていた。
CPUはCore i5-6600で、リテールファンを使用。マザーボードはASUS製「H170-Pro」が指定で使われている。メインメモリはSamsungのDDR4-2133が4GB×2で搭載。ストレージは1TB HDD、Trancend 370シリーズの256GB SSDを追加している。
ケースはG-GEARシリーズオリジナルのATXミドルタワー。前面がメッシュ、サイドもメッシュがあり、通気性重視のゲーミング向けケースとなっている。本体サイズは190×475×435mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約12kgとされている。このサイズのタワー型PCとしては比較的軽量で、設置の手間はあまりかからない。
OSはWindows 10 Home。ProやWindows 7、OSなしへの変更も可能だ。
全体的な構成として、シンプルかつコストパフォーマンスを重視した組み合わせになっている。ゲームもそこそこ遊ぶが、ほかにも色々と使いたいという人にはバランスがいい。
ベンチマークテストやゲーム中も騒音の変化は非常に小さく、通気性重視のケースとしては十分な静音性が得られている。GeForce GTX 950に変えることで、価格だけでなく消費電力と騒音を抑えられるというのが魅力だ。
GeForce GTX 950とSkylakeで予想以上に良好なベンチマーク結果に
「静音はいいが性能はどうなんだ?」ということで各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。利用したのは、「3DMark v1.5.915」、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 5.0.2」。
ベンチマーク結果は、GeForce GTX 950を搭載したPCにしては高いスコアが出ているように見受けられる。「CINEBENCH R15」の結果を見ると、シングルコア性能でCore i7-4770Kをわずかに上回っている。Skylakeのパワーが下支えして、3D系ベンチマークのスコアも良好に出ているのではないかと思われる。
ゲーム系ベンチマークはいずれもフルHDで最高画質の設定にしている。スコアを見ると、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」は最高評価の「とても快適」となる7,000を大幅に突破。「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」が最高評価一歩手前の「とても快適」となり、最新ゲームもかなり快適に動作するという値になっている。
Core i5-6600とGeForce GTX 950というミドルクラスの組み合わせは、性能とコスト、静音のバランスという点で高いレベルにまとまっている。さすがは最新の製品の組み合わせだけのことはある、という印象だ。より3Dゲーム寄りなバランスにするなら、CPUをCore i5-6500などに下げつつ、GPUをGeForce GTX 960に上げるといったカスタマイズもありだ。各々の用途やプレイするゲームに合わせて選んでいただきたい。
SSDはリードで550MB/secを超えており、SATA接続のほぼ限界値。ライトはやや落ちて315MB/secとなっているが、実用上は全く問題ない値だ。標準モデルはSSD非搭載だが、本機に搭載されたTrancend 370シリーズの256GBモデルなら+10,480円で追加できる。OSやゲームの起動が圧倒的に速くなるので、是非追加していただきたい。
ベンチマークスコア | |
---|---|
「3DMark v1.5.915 - Fire Strike」 | |
Score | 5,720 |
Graphics score | 6,602 |
Physics score | 8,009 |
Combined score | 2,354 |
「3DMark v1.5.915 - Sky Diver」 | |
Score | 16,236 |
Graphics score | 21,134 |
Physics score | 7,272 |
Combined score | 18,263 |
「3DMark v1.5.915 - Cloud Gate」 | |
Score | 17,427 |
Graphics score | 42,489 |
Physics score | 5,687 |
「3DMark v1.5.915 - Ice Storm Extreme」 | |
Score | 127,110 |
Graphics score | 196,007 |
Physics score | 56,994 |
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(DirectX 11) | |
1,920×1,080ドット/最高品質 | 6,346 |
「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」 | |
1,920×1,080ドット | 10,702 |
「バイオハザード6 ベンチマーク」 | |
1,920×1,080ドット | 9,692 |
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」 | |
1,920×1,080ドット/簡易設定5 | 33,825 |
「CINEBENCH R15」 | |
OpenGL | 124.34fps |
CPU | 600cb |
CPU(Single Core) | 166cb |
友達のゲームを操作できる新機能「GameStream Co-op」
本製品固有の機能ではないが、NVIDIA製GPUの新機能「GameStream Co-op」のβ版が先頃公開されたので、今回これもレポートしたい。これは「GeForce Experience Share」という新機能の1つとして提供されるもの。機能的には、ネットワーク経由で自分が遊んでいるゲームを特定のプレーヤーに見せたり、操作を代わってもらう、あるいは2人一緒に遊ぶといった機能を提供する。呼び出されるゲスト側は、Chromeブラウザさえあればよく、特定のGPUが必要だったり高いマシンスペックが要求されたりしない。
挙動としては、録画機能の「ShadowPlay」と同様に、NVIDIA GPUがゲーム画面をH.264動画にリアルタイムエンコード。その映像と音声をゲスト側PCにストリーミング配信する。さらにゲスト側のキーボードやマウスの入力情報がホスト側に送信され、ホスト側で動いているゲームを直接操作できる。いわゆるクラウドゲーミングを、NVIDIA GPUを搭載したPCとChromeブラウザで実現しつつ、ホストとゲストが一緒に遊ぶという発想を取り入れたソリューションだ。
「GameStream Co-op」の利用にはいくつかの決まり事がある。まず環境として、ホスト側はGeForce GTX 650以上のGPUと、上り7Mbps以上のインターネット回線が必要。ゲスト側のGPU要件はないが、Chromeブラウザと下り7Mbps以上のインターネット回線が必要になる。
利用できるゲームは、DirectX 9以上で、なおかつフルスクリーンでのプレイ時に限られている。ゲストがホストPCのデスクトップまで見えるようだと、意図せずPC内を覗かれる可能性があり、セキュリティ・プライバシー的によろしくない。フルスクリーン限定であれば、安心してゲストを呼び入れられるというわけだ。なお、見た目はフルスクリーン表示だが、実際にはウインドウモードで動いている「仮想フルスクリーンモード」で動いているゲームも「GameStream Co-op」は使用できない。
実際の「GameStream Co-op」を使用するには、まずホスト側でゲームを起動し、フルスクリーン表示にする。その後、ショートカットキー(標準設定ではAlt+Z)を押すと、「GeForce Experience Share」の操作画面がオーバーレイ表示される。
その中から「ストリーム」を選択し、「ゲストコントロール」を選択。「プレーをご覧ください」、「自分としてプレーする」、「一緒にプレーする」の3つの中から利用方法を選ぶ。「プレーをご覧ください」はゲストに画面を見せるだけで、「自分としてプレーする」と「一緒にプレーする」はゲストもゲームを操作できる。
続いてゲストを招待する。再び「ストリーム」を選択して、「招待を送信する」を選ぶと、メールアドレス入力欄が現れる。ここに招待したい相手のメールアドレスを入力すると、今プレイしているゲームへ参加できる招待メールが送信される。メールを受け取った側は、メールにある「ACCEPT INVITE」のボタンを押すだけで、新たなウインドウが開いてホストのゲーム画面が表示される。なお、初回のみChrome用プラグインのインストールが発生する。「招待URLをコピーする」は、ChromeからホストPCにアクセスするためのURLが発行される。基本的に1対1で使う機能なのでメールでの招待が楽だ。
ゲスト側のChromeブラウザにホスト側のゲーム画面が表示されたら、後は見るなり遊ぶなりするだけだ。キーボードとマウスの操作はゲストとホストで完全にリンクするので、特に設定などすることなく、ホストのゲームをゲストが触れるようになる。
筆者は今回、自宅内にある別のPC(ちなみにRadeon搭載機)をゲストとして同一LAN内でテストした。最初に気になったのは画質だ。「GameStream Co-op」に関する画質設定の項目は見当たらず、現状では1,280×720ドット/30fpsでストリーミングされているようだ。ゲーム画面がそれ以上の解像度であれば、縮小表示ということになる。
操作のタイムラグはほぼ感じられないレベルだが、FPS系のゲームでは僅かな遅れを感じることがあった。これは通信のラグよりも30fps表示になっていることが影響していそうだ。フレームレートが制限される時点で、シビアな対戦ゲームをプレイするのは少々厳しい。
そこまでシビアなタイミングが求められないようなゲームでは、違和感なくプレイできた。例えば「Diablo III」はフルHDだと文字が潰れ気味で読みづらいという点はあるが、ゲームプレイ感覚としては快適そのものだ。後はインターネット経由であれば、通信環境次第といったところ。
また今回、「自分としてプレーする」と「一緒にプレーする」は、どちらを選んでもホスト/ゲストともにキーボードとマウスで同時に操作ができた。「一緒にプレーする」だとゲストPCに接続されたゲームパッドを2つ目として認識するのかと思ったが、それもうまくいかなかった。β版だからなのか、何か設定方法があるのかは、現状では不明だ。
「GameStream Co-op」はリモート接続のための複雑な設定が不要で、ゲストに招きたいプレーヤーにメールを送信するだけでいいという手軽さが最大の魅力と言える。現状ではどうしても解けないシングルプレイのゲームで、友達にやってみせてもらうといった用途が考えられているようだ。今のところ使用できるケースが限定されるが、より高解像度で60fpsに対応し、良好な通信環境があるなら用途は広がる。
また「GeForce Experience Share」には、このほかにもTwitchへの配信やYouTubeへの直接アップロードといった配信系の機能も搭載される。これらの機能が、ミドルクラスのGeForce GTX 950でも快適に利用できるという点は十分驚きに値する。正式版の実装はまだ未定だが、楽しみにお待ちいただきたい。