■ゲーミングPC Lab.■
株式会社サードウェーブが運営する、秋葉原の老舗パーツショップとしておなじみのドスパラは、オリジナルPCも多数販売している。その中でも、PCゲーマーをターゲットとした「Prime Galleria」シリーズは、さまざまなPCゲームの推奨認定を受けたモデルも多数ラインナップされている。
その中から今回は、人気MMORPGの最新作である「FINAL FANTASY XIV」の推奨認定を取得した「Prime Galleria FINAL FANTASY XIV推奨認定パソコン ZX」を紹介しよう。
●Core i7-950やGeForce GTX 470など、強力パーツを惜しげなく搭載「Prime Galleria FINAL FANTASY XIV推奨認定パソコン ZX」(以下、Galleria ZX)は、FINAL FANTASY XIVの推奨認定を取得していることからもわかるように、パフォーマンスの優れるパーツを惜しげなく搭載した、ハイエンド仕様のマシンとなっている。
まずCPUには、標準でCore i7-950(3.06GHz)を採用している。コードネーム「Bloomfield」と呼ばれる、メインメモリのトリプルチャネルアクセスに対応した、Core iシリーズの中でもハイエンドに位置付けられているモデルだ。8月末に価格改定が行なわれ、大幅に価格が下落したことから、自作ユーザーの間でもかなり人気になっているCPUだが、コストとパフォーマンスのバランスが現時点で最も優れているCPUであることは間違いなく、納得の選択と言っていいだろう。
マザーボードは、Intel X58 Expressを搭載する、ASRock製のATX仕様マザーボード「X58 Extreme3」を採用。X58搭載マザーボードとしては比較的安価な部類に入る製品だが、レギュレータ部に大型ヒートシンクと空冷ファンを取り付けるなど、動作の安定度を高める仕様を盛り込んでいたり、USB 3.0を標準搭載するなど、機能面に優れる点は嬉しい。また、NVIDIAのSLIとAMDのCrossFireXの双方をサポートする。もちろん、メインメモリは標準で2GBのPC3-10600 DDR3 SDRAMを3枚、計6GB搭載し、トリプルチャネルアクセスを実現している。
ビデオカードは、標準でGeForce GTX 470搭載カードを採用している。試用機では、ビデオメモリとして1,280MBのGDDR5を搭載する、Palit製の「NE5TX470F10DA」が採用されていた。空冷ファンが2個搭載されており、高負荷時でも安定した動作が可能。また、DVI×2、HDMI、DisplayPortと4系統の映像出力を標準で用意している点も魅力だ。
その他のパーツは、ストレージデバイスとして1.5TBのSATA HDD、DVDスーパーマルチドライブが標準で搭載される。
これらのパーツは購入時に自由にカスタマイズ可能だ。用途に応じて、CPUやビデオカードを強化したり、より大容量のメインメモリやHDDを搭載できる。とはいえ、標準仕様でも、最新ゲームを快適にプレイするための十分なパワーが備わっており、パフォーマンスに不満を感じることはほとんどないだろう。
ちなみに、大手メーカー製のPCと異なり、ホワイトボックスマシンでは、同じ製品でも販売時期によって採用されるパーツのメーカーや型番が異なることがある。そのため、今回紹介しているパーツが常に採用されるわけではないという点は、あらかじめ頭に入れておく必要がある。とはいえ、基本的な構成が変わるわけではないので、特に心配する必要はない。
HDDは、標準で容量1.5TBのモデルを搭載。試用機では、Smasung製の「HD154UI」が採用されていた | 光学式ドライブは、標準でDVDスーパーマルチドライブを搭載。BTOでBlu-ray Discドライブなどに変更することも可能だ |
●一般的な仕様のミドルタワーケースを採用
採用されているケースは、Prime Galleriaシリーズで広く採用されているものが利用されている。サイズは192×511×436mm(幅×奥行き×高さ)と、ミドルタワーケースとして一般的なサイズだ。
ケース内部には、左側面パネルを開けることでアクセス可能。パネルの固定が手回しネジでない点は少々残念だが、頻繁に内部をメンテナンスするというわけでなければ気にはならないだろう。側面パネルには、CPUおよび拡張カード付近に吸気口が用意されており、ケース後部の12cm排気ファンと合わせ、内部の換気が容易に行なえるよう配慮されている。
用意されているドライブベイは、5インチベイが4個と3.5インチベイが2個、3.5インチシャドウベイが4個と十分に豊富。このうち、5インチベイの最上段には光学式ドライブが、3.5インチベイにはメモリカードリーダが、3.5インチシャドウベイにはHDDが1台取り付けられるため、利用できるベイは5インチベイが3個、3.5インチベイが1個、3.5インチシャドウベイが3個となる。これらベイのうち、HDDの増設や交換などで頻繁に利用する3.5インチシャドウベイは、本体横から直接HDDの着脱ができるよう、90度横向きに設置されており、作業はかなり楽に行なえる。
マザーボード上部は大きな空間が確保され、障害物もないため、メインメモリの増設や拡張カードの取付も楽に行なえる。
電源ユニットは、スペック表では700W電源とされているが、試用機では、容量750WのDelta製「GPS-750ABA」が搭載されていた。80PLUS認証を受けており、静音性に優れる点も魅力だ。
●優れたパフォーマンスを確認
では、パフォーマンスをチェックしていこう。Galleria ZXはPCゲーマーをターゲットとした製品のため、通常利用しているベンチマークソフトに加え、ゲームベンチマークもいくつか追加して計測した。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」と「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Vantage Bulld 1.0.1 1901」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」に加え、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】」、「バイオハザード5ベンチマーク」、「ロストプラネット2ベンチマーク」を利用した。また、比較用として、筆者が利用している自作PCでも同じテストを行なった。その自作マシンの仕様は表にまとめたとおりだ。同時に、試用機のスペックも表にまとめてある。
【表1】ベンチマーク時の構成試用機のスペック | 比較用自作PCのスペック | |
CPU | Core i7-950 | Core i5-750 |
マザーボード | ASRock X58 Extreme3 | Intel DP55KG |
メモリ | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3 | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 |
ビデオカード | GeForce GTX470(Palit NE5TX470F10DA) | Radeon HD 5770(MSI R5770 Hawk) |
HDD | Samsung HD154UI | Western Digital WD3200AAKS(OS導入用) |
OS | Windows 7 Professional 64bit | Windows 7 Ultimate |
【表2】ベンチマーク結果
Prime Galleria ZX | 自作PC | ||
CPU | Core i7-950(3.06/3.33GHz) | Core i5-750(2.66/3.20GHz) | |
チップセット | Intel X58 Express | Intel H55 Express | |
ビデオチップ | GeForce GTX 470 | Radeon HD5770 | |
メモリ | 6GB | 4GB | |
ストレージ | 1.5TB (SAMSUNG HD154UI) | 320GB(Western Digital WD3200AAKS) | |
OS | Windows 7 Professional64bit | Windows 7 Ultimate | |
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a | |||
PCMark Suite | 7248 | 6420 | |
Memories Suite | 6501 | 5585 | |
TV and Movies Suite | 5259 | 4498 | |
Gaming Suite | 8760 | 6983 | |
Music Suite | 7027 | 5638 | |
Communications Suite | 7195 | 5900 | |
Productivity Suite | 5838 | 5440 | |
HDD Test Suite | 3474 | 3627 | |
PCMark05 Build 1.2.0 | |||
PCMark Score | N/A | 9959 | |
CPU Score | 10695 | 9585 | |
Memory Score | 9452 | 10401 | |
Graphics Score | 20399 | 14096 | |
HDD Score | 5804 | 5331 | |
3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a 1,280×1,024ドット | |||
3DMark Score | 18121 | 10280 | |
GPU Score | 14905 | 9636 | |
CPU Score | 51385 | 12855 | |
3DMark06 Build 1.1.0 0906a 1,024×768ドット | |||
3DMark Score | 20265 | 15855 | |
SM2.0 Score | 7782 | 6355 | |
HDR/SM3.0 Score | 9910 | 7442 | |
CPU Score | 5498 | 4353 | |
Windows エクスペリエンスインデックス | |||
プロセッサ | 7.5 | 7.3 | |
メモリ | 7.5 | 7.5 | |
グラフィックス | 7.7 | 7.4 | |
ゲーム用グラフィックス | 7.7 | 7.4 | |
プライマリハードディスク | 5.9 | 5.8 | |
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】 | |||
1,280×720ドット | 16204 | 9564 | |
1,920×1,080ドット | 8321 | 5424 | |
バイオハザード5ベンチマーク DX10 (アンチエイリアス:8X、モーションブラー:オン、影品質:高、テクスチャ品質:高、画面クオリティ:高) | |||
1,280×720ドット | ベンチマークテストA | 141.4 | 88.6 |
ベンチマークテストB | 119.8 | 92.5 | |
1,920×1,080ドット | ベンチマークテストA | 87.4 | 52.7 |
ベンチマークテストB | 93.6 | 63.1 | |
ロストプラネット2ベンチマーク DX11 (アンチエイリアス:CSAA8X、モーションブラー:on、影品質:HIGH、テクスチャ品質:HIGH) | |||
1,280×720ドット | テストタイプA | 60.2 | 32.2 |
テストタイプB | 51.2 | 32.8 | |
1,920×1,080ドット | テストタイプA | 44.2 | 23.0 |
テストタイプB | 36.6 | 23.3 |
結果を見ると、比較用の自作PCとはスペック差が大きいこともあり、パフォーマンスもかなり大きな差が見られる。また、ゲームベンチマークも、かなりの好成績となっている。もちろん、現時点でのフラッグシップパーツを集めて作られているわけではないため、当然今回の結果よりも好成績を収めるゲーミングPCが存在するのは事実だ。それでも、表示解像度が1,920×1,080ドット(フルHD)、アンチエイリアス8Xという、かなり過酷な条件でも、ロストプラネット2で30fpsを大きく上回っており、描画処理が非常に重い最新の3Dゲームも十分快適にプレイできると考えていい。FINAL FANTASY XIVベンチマークの結果も、快適プレイに十分な結果となっており、推奨認定PCとして申し分ないパフォーマンスが発揮されていると言っていいだろう。
ところで、マシンの動作音だが、それほど負荷のかかっていない状態でも、ファンの音は耳に届く。また、高負荷時には、ビデオカードやマザーボードのオンボードファンの音が大きくなり、ややうるさく感じる。
Galleria ZXは、FINAL FANTASY XIV推奨認定を受ける、非常に優れたパフォーマンスを持ちながら、今回試用したものとほぼ同等のスペックで、販売価格が139,980円と安価に抑えられている。もちろん、各パーツを個別に購入し、自分で組み立てれば、多少安くすむのは事実。とはいえ、パーツを買い集める手間や組み立て、OS導入などの手間がかからない点や、組み上がった状態での動作保証が受けられる点を考えると、コスト差に十分見合うメリットがあると言える。
また、製品自体はゲーミングPCとして位置付けられてはいるが、特別ゲームに特化した仕様とはなっておらず、動画編集やグラフィックス制作といった趣味に活用したり、マルチディスプレイでビジネスソフトを快適に利用するといった用途にも柔軟に対応する。そういった意味では、最新ゲームの快適プレイのためにPCを購入しようと思っている人だけでなく、AV用途などの趣味やビジネス用途で利用するデスクトップPCを探している人にもオススメしたい。
(2010年 10月 22日)
[Text by 平澤 寿康]