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サードウェーブ「Prime Galleria XT」
~自作用パーツで作られたゲームPC



サードウェーブ「Prime Galleria XT」

価格:129,980円(パーツ構成による)


 株式会社サードウェーブは、同社が運営するPCショップのドスパラ、およびそのWebサイトにおいて、自社ブランドの「Prime(プライム)」を冠したPCを販売している。その種類は豊富で、省スペースタイプやタワータイプのデスクトップPCはもちろん、モバイルノートPCやハイパワーノートPCまで、ほぼ隙の無いラインナップを揃えている。

 今回紹介する「Prime Galleria XT」は、その中でもゲーム用に特化している「Galleria(ガレリア)」シリーズの、上から2番目のモデルだ。最上位モデルのPrime Galleria XGとの違いは搭載ビデオカードの違いで、上のXGがGeForce GTX 480、今回紹介するXTがGeForce GTX 470を搭載している。CPUはどちらもCore i7だ。

 サードウェーブのPCは、PCパーツの販売で有名なドスパラが扱っているということで、搭載パーツのかなり細かな指定を行なえることが特徴となっている。具体的には、一般的なPCでは自分で選ぶことなんて考えられない電源ユニットまで選択できる。また、HDDはメーカーと型番を指定して購入することまで可能だ。後述するが、使用しているパーツには自作PCではお馴染みのメーカーのものが使われており、見た目も中身もほぼ自作PCとなっている。単体でパーツを購入するよりもお得に、しかも作る手間が必要ないというのが、このPCの最大の特徴と言える。PCでゲームをやるにあたり、性能や拡張性などの面で自作PCが欲しいが、ゲームで遊びたいのであって、PCの自作を楽しみたいわけではないという人に最適なPCである。

【表1】主な仕様

モデルPrime Galleria XT
価格129,980円
OSWindows 7 Home Premium 32bit
CPUIntel Core i7-870 Processor(4コア、2.93GHz、L3 8MB)
チップセットIntel P55 Express Chipset
グラフィックス機能NVIDIA GeForce GTX 470(GDDR5 1280MB)
メモリPC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB(2GB×2)
HDD1.5TB(Serial ATA 3Gbps、5,400rpm)
光学ドライブDVD±R/RW/-RAM(スーパーマルチドライブ)
電源ユニット750W
サイズ192×511×436mm(幅×奥行き×高さ)
重量約15kg

●ゲーム向けPCなので強力なスペック、BTOでさらなる高速化も可能

 搭載するCPUは、4コアで2.93GHz動作のCore i7-870だ。Hyper-Threading Technologyに対応しているので、Windows上では8スレッドとして認識される。現状、ゲームに8スレッドなんて不要だと思っている方も多いと思うが、たとえばカプコンの「ロストプラネット」は8スレッドまで対応しているし、徐々にではあるがマルチコア対応ゲームは増えている。

 また、Turbo Boost Technologyに対応しているので、動作状況に応じて3.6GHzまで自動で動作クロックがブーストする。実行スレッド数が少ないほどクロックが上がるので、Turbo Boost Technologyはマルチコアに非対応のゲームのほうが効果が高い。マルチコア対応ゲームなら実行スレッド数の多さで高速な処理が見込め、非対応のゲームならクロックがブーストするということで、Core i7はゲーム用途でもバランス良く高い性能を発揮できるCPUだ。

 Galleria XTの標準搭載CPUは実はCore i7-860だが、2010年7月下旬現在、販促キャンペーンによって無料でCore i7-870にアップグレードできる。アップグレードとは言っても、Core i7-870とCore i7-860は動作クロックが130MHz違うだけで、実売価格も1,500円程度しか変わらない。しかし、それでも無料でより速いCPUになるのなら、このキャンペーンは利用しておきたいところだ。キャンペーンの期間は告知されていないので、購入時のキャンペーンの有無についてはドスパラのWebサイトで確認してほしい。

 メモリには、PC3-10600 DDR3 SDRAM(DDR3-1333)の2GBを2枚で計4GB搭載する。試用したモデルは、OSがWindows 7 Home Premiumの32bit版だったので4GBのメモリはフルに利用できない。OSは32bit版を選択しても64bit版を選択しても価格が変わらないので、64bit版でとくに問題がないのなら購入時に64bit版を選べばいい。64bit版なら4GBと言わず、このPCの最大搭載容量の16GBを選んだとしてもフルにメモリ容量を使うことができる。

 さて、ゲームにとってもっとも重要なパーツはビデオカードだ。では、ゲーム向けを謳うGalleria XTが何を搭載しているのかというと、NVIDIAのGPUの中で上から2番目となる、GeForce GTX 470を搭載している。最上位GPUのGeForce GTX 480との違いは、GeForce GTX 480はコアクロックが700MHz、シェーダプロセッサのCUDA Coreが480基、メモリクロックが1,848MHz、メモリバス幅が384bitであるのに対して、GeForce GTX 470はそれぞれ、607MHz、448基、1,215MHz、320bitとなっている。それ以外の細かい違いもあるのだが、処理性能に影響を与える大きな違いはこんなところである。最上位ではないにしても上から2番目のGPUなので、十分にゲーム向けの構成である。

 GeForce GTX 470は、高い性能と引き換えに消費電力が大変多く、最大消費電力は215Wにもなる。そのため発熱量も多く、自分でPCを組む際にはエアフローをきちんと考えて自作しなければならない。しかし、Galleria XTならその辺りのことをまったく気にしなくて良い。なお、購入時にはGeForce GTX 480を選択することもできるが、そうすると上位モデルのGalleria XGと同じスペックになる。実は価格も同じになるので、最初からGalleria XGを選ぶのと同じことである。

 HDDは、標準の構成では5,400rpmの1.5TB HDDなので、購入時に選択できる7,200rpmの1TB HDDに変更すると良いだろう。回転数は速くなるが容量が減るので価格は安くなる。せっかく全体にハイエンド構成なので、HDDも回転数の速い高速なものにしておきたい。自分の好きなHDDを、メーカーと型番を指定して組み入れてもらうこともできるので、高速なHDDを自分で選択するというのもありだ。また、SSDの追加にも対応しているため、SSD+HDDの構成にすれば速度と容量の両立を行なえて、なお良い。

本体は黒一色で落ち着いたデザインである。机の上に置いて使うことを想定しているのか、ポート類は本体の下寄りに配置されている。前面インターフェイスは、さまざまなメディアに対応するメモリカードスロットに、USB 2.0×2とヘッドフォンとマイクを備えている。背面も標準的な構成。ビデオカードが2枚挿さっているように見えるが、これはGeForce GTX 470が2スロットタイプのビデオカードだからだ。
バックパネルには、PS/2(キーボード用)×1、USB 2.0×8、Gigabit Ethernet×1、S/PDIF(角型)×1、オーディオ×6を備える。左側面には、製品名の「Galleria」のロゴが入っているほか、CPU部分と拡張カード部分に吸気用の穴が空いている。
左側面の吸気穴は自然吸気用となっており、ファンの取り付けは行なえない。ファンが欲しい気もするが、空気の流れを考えると納得できる仕様ではある。右側面はフラットで何もない。ここを開けるのは、5インチベイにデバイスを組み込むときくらいだ。

●お馴染みのパーツが満載で安心&将来の拡張にもバッチリ対応

 Galleria XTに使われているパーツは、そのほとんどがPCパーツショップで単体購入が可能なパーツだ。自作PCではお馴染みとなっているメーカーの、聞いたことがあるパーツばかりが使われている。やろうと思えば、秋葉原やWebショップでパーツを購入して、ほぼ同じPCを自作することだって可能だ。製品名も分からないような、わけの分からないパーツは使われていないので安心感がある。また、自作PCと同じということは、自作PCと同じだけの汎用性に拡張性、将来性を持っているということになる。

 では採用パーツを簡単に見ていこう。注意してほしいのは、ここで紹介するパーツは、今回の試用機に使われていたパーツであるということだ。出荷時期によって使用するパーツが変わる可能性があるので、その点はご了承いただきたい。

 まずマザーボードには、Foxconnの「P55A」を使用している。Intel P55チップセットを搭載するシンプルなマザーボードだ。余計な機能がなく、玄人受けするタイプのマザーボードである。PCI Express 2.0 x16スロットの下が1スロット分空いているので、GeForce GTX 470のような2スロット占有タイプのビデオカードを搭載しても、スロットが無駄にならないのが良い。PCI Express x4スロットは、端が空いているタイプのスロットを採用しており、CrossFireXへの対応は謳われていないのだが、マルチディスプレイ目的でのビデオカードの追加は可能となっている。

 ビデオカードは、Palitの「NE5TX470F10DA」だ。リファレンスデザインではなく、オリジナルクーラーを搭載した製品で、2つのファンでGPUを強力に冷却する。画面出力端子が、DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×2と、多彩な出力に対応していて便利だ。

 電源ユニットには、Abeeの「ZU-750B-KA」を搭載している。80PLUS BRONZEを取得している750Wの電源ユニットで、+12Vは26A+26A+26A+26Aの4系統出力となっている。市場価格は2010年7月下旬現在で11,000円前後なので、750Wの電源ユニットとしてはかなりコストパフォーマンスに優れた製品だ。+12Vが4系統もあるため、その使いわけが難しく扱い辛い電源ユニットではあるのだが、自分で組むわけではないので気にすることはない。

 メモリはADATA製で、型番は「10241861」だ。HDDにはSAMSUNGの「HD154UI」を使用している。500GBプラッタを採用する1.5TBモデルである。光学ドライブは、LGの「GH24NS50」を搭載する。

 TDP 95WのCore i7を搭載しているということで、CPUクーラーにはかなり大きな、オウルテックの「斬 ver.Ⅱ」を使用している。4本のヒートパイプと120mmファンを搭載するトップフロータイプのCPUクーラーで、TDP 130WのCPUまで対応する。動作音は低負荷時なら耳を近付けないと音が聞こえないレベルで、高負荷時でも十分に静かな部類に属するCPUクーラーである。

 ケースはオリジナルケースで、型番には「CB-03」と書かれている。ベイ構成は、5インチベイ×4(1つ使用済み)、3.5インチシャドウベイ×4(1つ使用済み)、3.5インチオープンベイ×2(1つ使用済み)となっており、ミドルタワーケースとしては十分な数のベイを備えている。ケースの作りや構造などに特別なものはなく、いたって標準的なミドルタワーケースだ。

 ファンは、前面の下に120mm角の吸気ファンを1つと、背面の上に120mm角の排気ファンを1つ搭載している。本体左側面にある吸気口は自然吸気のためのもので、ファンの取り付けは行なえない。低負荷時のエアフローは十分だが、さすがにこのパーツ構成では高負荷時の熱はかなりのもののようで、重いゲームでしばらく遊んでいると、あらゆるファンがフル回転を始める。うるさいと感じるほどの音ではないが、静音とは言えない動作音である。

マザーボードはFoxconnの「P55A」。OEM用というわけではなく、単体製品としてPCショップで購入できるものだ拡張スロットは、PCI Express 2.0 x16×1、PCI Express 2.0 x4×1(エッジフリー)、PCI Express 2.0 x1×1、PCI×3となっているSerial ATA 3Gb/sは、P55チップセットが提供する6ポートを搭載しており、試用モデルではHDDと光学ドライブで2ポートが使用済みとなっていた
ビデオカードはPalitの「NE5TX470F10DA」。デュアルファン構成のオリジナルクーラーと、豊富な出力端子を備えていることが特徴だ電源ユニットはAbeeの「ZU-750B-KA」。Galleria XTのスペックでは700W電源ということになっているが、750Wの電源が搭載されていたメモリはADATAの「10241861」。PC3-10600 DDR3 SDRAMで、2GBが2枚である。ほかに、2GB×4、4GB×2、4GB×4の構成を選択できる
HDDはSAMSUNGの「HD154UI」。搭載するHDDは自分で好きなものを指定でき、40GB、64GB、80GB、160GBのSSDを追加することもできる光学ドライブはLGのDVDスーパーマルチドライブ「GH24NS50」。Blu-ray Discドライブも選択できるし、なんと光学ドライブ無しという選択も可能CPUクーラーはオウルテックの「斬 ver.Ⅱ」。巨大で冷却能力が高く、動作音も静かだ。ファンの交換を簡単に行なえてメンテナンス性も高い
5インチベイは4つある。ドライブの両側からネジで固定する昔ながらの取り付け方法を採用しており、ワンタッチ式に多い強度面の不安がない3.5インチシャドウベイは4つ。HDDをベイに挿し込んで、片側のみネジで固定するタイプ。横には前面ファンがあり、HDDの冷却を行なえる
ケースはオリジナルの「CB-03」。オーソドックスなミドルタワーケースで特徴がないため、パーツの取り付け方などが分かりやすく扱いやすい3.5インチオープンベイは2つ。1つはメモリカード用のインターフェイスパネルで使用済みだ。ここにHDDを搭載することもできる

●パーツ構成通りの高速なベンチマーク結果

 最後にベンチマークテストの結果を見ていこう。さすがにスペックが高いだけあって、全体にベンチマークテストの値も高い。Galleria XTはゲームPCなので、ここではゲームのベンチマークテストの結果に注目する。

 BIOHAZARD 5 BENCHMARKの結果を見てみると、結構余裕の値を出している。BIOHAZARD 5 BENCHMARKのテスト結果はフレームレートなので、どの程度快適にゲームを楽しめるのかということが分かりやすい。このPCの場合、アンチエイリアスを強くかけて、モーションブラーをオンにした重い設定でも、80fps程度でスムーズに描画できていることが分かる。BIOHAZARD 5 BENCHMARKでこれくらいの値が出ていれば、現在販売中のゲームであれば特別に重いゲーム以外なら問題なく楽しめる。これならゲームPCとして十分な性能と言って問題ない。

【表】ベンチマーク結果

Prime Galleria XT
CPUCore i7-870(2.93GHz)
チップセットIntel P55 Express
ビデオチップGeForce GTX 470(GDDR5 1280MB)
メモリPC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB(2GB×2)
HDD1.5TB(Serial ATA 3Gbps、5,400rpm)
OSWindows 7 Home Premium 32bit
PCMark Vantage Build 1.0.2
PCMark6799
Memories6233
TV and Movies5580
Gaming7666
Music6621
Communications5762
Productivity5216
HDD3641
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score10498
CPU Score10748
Memory Score11181
Graphics Score19856
HDD Score5644
3DMark Vantage Build 1.0.2(Performance)
3DMARK SCOREP17751
GPU SCORE14595
CPU SCORE50535
3DMark06 Build 1.2.0(1,280×1,024ドット/32bitカラー)
3DMark Score20357
SM2.0 Score7659
HDR/SM3.0 Score10153
CPU Score5480
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
High9248
Low11577
BIOHAZARD 5 BENCHMARK(1,920×1,080ドット、DirectX10)
ベンチマークテストA(標準設定)135.1
ベンチマークテストB(標準設定)107.8
ベンチマークテストA(アンチエイリアス:C16XQ、モーションブラー:オン)78.2
ベンチマークテストB(アンチエイリアス:C16XQ、モーションブラー:オン)84.3
Windows エクスペリアンスインデックス
プロセッサ7.5
メモリ(RAM)7.5
グラフィックス7.8
ゲーム用グラフィックス7.8
プライマリ ハードディスク5.9

 ゲームPCというと、攻撃的なデザインや、ピカピカと光るLEDが付いているPCを筆者は想像してしまう。そういうPCのほうが確かにゲーム用という雰囲気なのだが、ゲームを楽しむ人がみんなハデ好きというわけではない。その点、Galleria XTはビジネス用のPCと言っても違和感がないくらいに落ち着いたデザインを採用している。こういうゲームPCを望んでいる人はかなり多いのではないかと思う。

 このPCの最大の魅力は、パーツ構成がほぼ自作PCと同じというところだ。単体で販売されているメジャーメーカーのパーツを使用しているので、たとえばマザーボードであれば最新CPUに対応するBIOSの提供が期待できる。将来、より高速なCPUに換えたいと思えば、難なく換えることができる。OSも、オリジナルソフトなんて入っていないし、独自のドライバを必要とするようなパーツも使われていないので、OSの再インストール時にリカバリの作業なんて必要ない。OSをクリーンインストールすればいいのだ。自作PCのスッキリとした分かりやすさと、大抵のことは自分でなんとかできる汎用性の高さを、このGalleria XTはそのまま備えている。

 これだけの高性能パーツを比較的安価に一式入手でき、自分で作る手間がなく、すぐにゲームを楽しめるというのが、このGalleria XTだ。自作は面倒だけど、自作PC並みに高性能で汎用性のあるゲームPCが欲しいという人には結構良い選択の1つだと言える。

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(2010年 7月 27日)

[Text by 小林 輪]