ゲーミングPC Lab.

ユニットコム「15GSX8550-i7-QVSB」

〜Oculus Riftにも最適な、デスクトップCPUが動く4Kノート

15GSX8550-i7-QVSB

 株式会社ユニットコムは、iiyama PCブランドのゲーミングノートPC「15GSX8550-i7-QVSB」を2月に発売した。税別価格は277,980円で、各種カスタマイズにも対応している。最大の特徴は、ノートでアリながらデスクトップ用のCPUを搭載している点だ。この機種を試用する機会が得られたので、レビューをお届けする。

デスクトップPCをノートPCの筐体に詰め込んだ1台

 iiyamaと言えば、PC用ディスプレイとして古くから知られているブランドだ。現在はディスプレイ以外にも、iiyama PCとして、ユニットコムグループで国内生産PCを行なうブランドとしても展開されている。

 まずは本機の標準構成におけるスペックをご紹介しよう。

【表1】15GSX8550-i7-QVSB
CPU Core i7-4790
チップセット Intel Z97
GPU GeForce GTX 980M(8GB)
メモリ DDR3L-1600 8GB/SO-DIMM×1
SSD PLEXTOR M6e 256GB(M.2 2280)
HDD 1TB
光学ドライブ なし
ディスプレイ 15.6型4K(3,840×2,160ドット)IGZO(グレアパネル)
OS Windows 8.1 Update 64bit
価格 277,980円

 今回試用したPCは、上記の標準構成からCPUをCore i7-4790K(差額6,480円)に変更し、メインメモリをもう1枚追加(差額10,980円)して16GBにしたものとなっている。この仕様の価格は、295,440円となる。今回のベンチマーク結果については、大きな影響はないと思われるが、標準仕様と異なることをご留意いただきたい。

 本機はハイエンドなデスクトップPCをノートPCに入れ込んだという仕様だ。最も特徴的なのがCPUで、ノート用CPUではなくデスクトップ用、中でも「Devil's Canyon」と呼ばれるCore i7-4790Kを搭載している。チップセットもデスクトップ用のIntel Z97だ。昨今のCPUはノート用もデスクトップ用に匹敵する性能を持つが、実は肝となるのはチップセットがデスクトップ用である点となる。これについては、後述する。

 ストレージには、PCI Express接続のM.2 SSD「PLEXTOR M6e」を採用。SATA 6Gbpsの限界速度を超える性能を実現する。さらに2.5インチの1TB HDDも内蔵するが、オプションで2台目のHDDも搭載できる。

 ディスプレイは15.6型のIGZO 4K(3,840×2,160ドット)。GPUはNVIDIA製のノートPC向けのものでは最上位となるGeForce GTX 980M。無線LANは最新のIEEE 802.11acに対応している。スペックはどこを見ても最上級で、ハイエンドデスクトップPCにも迫るものになっている。

 唯一の注意点は、光学ドライブを内蔵できないこと。DVDやBDなどを楽しみたい人や、光学メディアからゲームをインストールする場合は、外付けドライブを別途用意する必要がある。

 本体サイズは、約386×262×35.7mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約3.4kgだ。

4Kゲーミングも実用的な性能

 続いて各種ベンチマークテストの結果を見ていきたい。利用したのは、「3DMark v1.4.828」、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 3.0.3」。

 ゲーム系のベンチマークテストの結果は、スペックに相応しい高い値が出ている。4Kでのベンチマークが可能なテストでは、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」で「快適」の評価、「バイオハザード6 ベンチマーク」では「B(標準的な動作が見込める)」という評価で、いずれもプレイ可能なレベルという結果が出ている。ゲーム側で画像品質を落とせばフレームレートの向上も期待できるので、4K解像度でも十分に実用的なレベルと言える。

【表2】ベンチマークスコア
「3DMark v1.4.828 - Fire Strike」
Score 8,351
Graphics score 9,456
Physics score 11,759
Combined score 3,615
「3DMark v1.4.828 - Sky Diver」
Score 22,567
Graphics score 29,190
Physics score 10,710
Combined score 21,679
「3DMark v1.4.828 - Cloud Gate」
Score 25,100
Graphics score 59,542
Physics score 8,299
「3DMark v1.4.828 - Ice Storm Extreme」
Score 119,995
Graphics score 174,664
Physics score 57,264
「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」
1,920×1,080ドット/最高品質 12,771
3,840×2,160ドット/最高品質 4,074
「バイオハザード6 ベンチマーク」(1,920×1,080ドット)
1,920×1,080ドット 12,473
3,840×2,160ドット 4,484
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」
1,920×1,080ドット/簡易設定5 65,009
「CINEBENCH R15」
OpenGL 139.62fps
CPU 828cb
CPU(Single Core) 174cb

 ストレージはやはりPCI Express接続のSSDの速さが光る。リード・ライトともSATA 6Gbpsでは出せないスピードで、実際の使用感も非常に良好だ。HDDは標準的だ。

【CrystalDiskMark】
SSD
HDD

 バッテリの容量や持続時間については記載がないので、「BBench」で実測値を調べてみた。キーストロークとWeb巡回あり(Wi-Fi接続)、ディスプレイの明るさ40%の設定で、満充電からバッテリ切れまで約2.2時間だった。

 BatteryBoostをオフにした状態で「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」をループ再生させたワーストケースでは約50分、「Diablo III」の実プレイでは約1時間10分でそれぞれバッテリ切れとなった。性能が高いだけあってバッテリ消費も激しく、基本的にはACアダプタを接続して利用する製品と言える。

見事な排熱処理で静音性・ゲームプレイともにハイレベル

 実際の使用感もお伝えしよう。ハイスペックなマシンだけあって、気になるのは排熱だろう。排気ファンは背面の左右にある。ベンチマークテスト中など高負荷時でも、ファンの音はさほど大きくは感じない。ゲームプレイ中ならゲームのサウンドが少し出ていれば、ファンの音が耳障りに感じることはほぼないと思われる程度だ。低負荷時はほぼ無音になる。

 筐体への熱伝導は、キートップにはやや熱が伝わってきており、WASDキー付近もやや温かくなる。冬場ならば問題にならないが、夏場は人によっては気になるかもしれない。リストレスト部は左手側がほんの僅かに温かさを感じるが、ほとんど気にならない程度だ。これだけのスペックを詰め込んでおいて、これほど静かに、かつ上手に排熱できるものかと驚かされる見事な設計だ。

 キーボードは、ストロークはノートPCとしては標準的な深さながら、クリック感がしっかりある。バックライトも搭載しており、専用アプリでLEDの色や光り方を変更できる。また明るさ調整やバックライトLEDのオン/オフはキーボード上の操作だけで変更できる。

 キー配置は一部のキーの縦幅が狭くなっているのが惜しいが、ゲームで頻繁に使われるキーではないので、ゲーマーとしてはさほど気にならないだろう。基本的なキー配置としては標準的で、文字入力での使用感も悪くない。またキーボードの一部をマクロキー化するツールも標準で用意されている。

 リストレスト部などはラバー素材でコーティングされており、ほどよい滑り止め感がある。冬場は金属の冷たさを感じず、夏場はサラサラした手触りが汗ばむ感覚を抑えてくれそうだ。長時間のゲームプレイでも不快感はほとんどなかった。

 ディスプレイはグレアパネル。ノングレアパネルに比べれば反射に気を使うことにはなるが、4Kを選ぶ人は精細でクリアな画質を求めたいはずなので、ニーズに合ったチョイスだと思う。実際、画像は非常に鮮明で、発色も良いので、インパクトのある映像を楽しめる。ただ応答速度は最近のゲーミング向けディスプレイほどには早くはなく、一般的な仕様という印象。動きの激しいゲームでやや残像感が感じられることもある。

 スピーカーは本体の奥側にステレオスピーカーが内蔵されている。さすがに重低音は出ないが、高音から低音までの全体的なバランスがよく自然な聞こえ方がする。また思ったよりステレオ感がしっかり得られるので、ヘッドフォンなしでゲームをプレイしても違和感がない。特に音質にこだわる人でなければ、内蔵スピーカーで概ね不満は出なさそうだ。

4KのIGZOを搭載。精細さはもちろん、発色も良好だ
天板はロゴのみのシンプルなデザイン
キーボードはバックライト付き。一部のキーは縦長になっている
前面にはLEDで光るラインが入っている
左側面はLAN端子とUSB、メモリカードスロット、eSATA
右側面はUSB、ヘッドフォン端子など。光学ドライブは入らない
背面は電源コネクタとHDMI、DisplayPort端子
裏面にはしっかりした滑り止めを装備。排熱のためかスリットも多い
ACアダプタもそれなりの大きさがある
LEDの光り方や色を変更するためのソフトを収録
特定のキーをマクロキーにできる機能も搭載

話題のOculus Riftとの相性も抜群

Oculus Riftにも最適なノートPC

 本機はゲーミングPCとしての魅力も十分に備えているが、もう1つ面白い分野で役立つ製品でもある。最近話題のVRヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」の使用環境としてだ。

 本機の特徴として、デスクトップPC向けのCPUとチップセットが使われていることはご紹介した。チップセットがデスクトップ向けになっていることで、NVIDIA製GPUを搭載したノートPCで使われている、CPU内蔵のGPUとの自動切り替え機能である「Optimus Technology」が機能しないのだ。

 Oculus RiftはOptimus Technologyとの相性が良くないらしく、Oculusが機能しない、あるいは動作が制限されるなど、悩みの種として扱われてきた。しかし本機はそもそもOptimus Technologyが機能せず、常にNVIDIA GPUが使用されるため、そのトラブルから解放されるというわけだ。

 利点はそれだけではない。Oculus Riftは3DグラフィックスでVRの表示をするため、3D処理の負荷が相応に高くなる。これまでノートPCでは性能不足を感じている人が多かったようだが、GeForce GTX 980Mはデスクトップ版GPUに迫る性能を持っている。さらにCPUもノートPC向けのものを凌駕する性能だけに、「これ以上を望むべくもない」と言ってもいいほどの環境だ。

 実際、Oculus Rift Development Kit 2(DK2)を接続し、Oculus Riftを対応ソフトをいくつか試してみた。東京ゲームショウなどで展示され話題になったUnityのキャラクターが躍る「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star-」では、目の前でユニティちゃんがボーカル曲に合わせてリアルなダンスを繰り広げる。上下左右に移動すれば見る角度も変わり、首を動かせばステージ全景も眺められる(どこを見ているかはPC側のディスプレイでも分かるので、周囲の目がある時はほどほどに)。挙動も実に滑らかで、基本的には見るだけのコンテンツなのに、自分がユニティちゃんの目の前でライブステージに立っているような没入感が得られた。

 iWorks制作の「UnityCoaster2-Urbancoaster-」は、東京都庁やスカイツリーなど東京の建築物を配した街を、高速のジェットコースターで巡るというもの。ジェットコースターだけあって強烈なアップダウンとスピード感が堪能でき、上下左右も自由に見渡せる(左を向くと同乗者の女の子も見える)。どこを見てもスピード感はそのままで快適な空中滑走を体験できた。ちなみに座って体験しないと、平衡感覚が狂って転びかねないのでご注意。

 他にもいくつかのソフトを試したが、どれもフレームレートが低いと感じることはなく、実に快適なVR体験を堪能できた。動作に不安定なところもなく、セットアップさえ済ませてしまえば(ケーブルが多くて割と大変だが、これはOculus Rift側の問題であってPCに責任はない)本機とOculus Riftのセットで自在にVRコンテンツを堪能できる。Core i7-4790KとGeForce GTX 980MのパワーはOculus Riftでも実感できた。

 Oculus Riftは今後の製品化に向けて、解像度やリフレッシュレートなどのスペックの向上が予定されている。その分だけ要求されるPCスペックも上がるわけで、先行投資として導入したいと思う開発者は意外と多いかもしれない。お安い買い物ではないが、選択肢としてあるのはありがたいのは確かだ。

 本機をどう使うかは人それぞれだが、これで何か不満が出るということもまずないだろう。ハイエンドなデスクトップPCを探しているという人は、あえてこちらを選択することで、可搬性や省スペースなどメリットを感じられるならばアリと思えるかもしれない。ノートはダメだと頭ごなしに考えず、一度真剣に検討してみてはいかがだろうか。

(石田 賀津男)