ゲーミングPC Lab.

LEVEL∞「Lev-C011-LCi7-VNR」

~コンパクト&GeForce GTX 1080搭載でも驚異の静音性を発揮

LEVEL∞ Lev-C011-LCi7-VNR

 株式会社ユニットコムのゲーミングPCブランド「LEVEL∞」より、コンパクトゲーミングPC「Lev-C011-LCi7-VNR」が発売された。

 本機は「LEVEL∞」のデスクトップ向けゲーミングPCとしては、最も小型な「C-Class」に属する。Mini-ITXマザーボードを採用しながら、最新GPUであるGeForce GTX 1080、さらに水冷CPUクーラーも搭載するというハイエンド構成を実現している。Mini-ITXケースに最新のハイエンドGPUを搭載した製品をすぐに投入できるのは、長年の研究の積み重ねがあってのものだろう。

コンパクトにハイエンドを詰め込む妥協のない構成

 「Lev-C011-LCi7-VNR」のスペックは下記のとおり。

LEVEL∞ Lev-C011-LCi7-VNR
CPUCore i7-6700(4コア、3.4GHz)
GPUGeForce GTX 1080(8GB GDDR5X)
メモリ8GB DDR3L-1600(4GB×2)
SSD240GB
HDD1TB
光学ドライブDVDスーパーマルチ
電源700W(80PLUS GOLD)
OSWindows 10 Home
税別価格189,980円

 GPUは前述の通り、最新のGeForce GTX 1080を採用。CPUも最新のSkylake世代となるCore i7-6700で、ハイエンドゲーミングPCと呼んで差し支えない構成だ。

 メインメモリはDDR4ではなく、DDR3L-1600の8GBとなっている。メモリスロットは2スロットが埋まっており、空きはない。大抵のゲームのなら8GBでも不足することは少ないはずだが、気になる人はカスタマイズで8GB×2など大容量のメモリに変更しておくと良い。

 ストレージは240GB SSDと1TB HDDのデュアル構成。今回の試用機では省かれていたが、実際にはスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブも搭載しており、天板をスライドさせるとアクセスできる。ドライブベイは、3.5インチは1つで使用済み、2.5インチは4つで残り3つが使用できる。

 700Wで80PLUS GOLD認証取得のATX電源も搭載。サイズはコンパクトながら、スペックは妥協がなく、ストレージも十分に搭載されている。スペックだけを眺めても、とにかく小さなゲーミングPCが欲しいという人にはうってつけの1台だ。

4KもVRも万全の新世代ハイスペックPC

 続いて、各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。利用したのは、「3DMark v2.0.2530」、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「CINEBENCH R15」、「SteamVR Performance Test」、「CrystalDiskMark 5.1.2」となる。

 GeForce GTX 1080を搭載しているだけあり、ベンチマークスコアの結果は、かなりのハイスコアが出ている。フルHD(1,920×1,080ドット)クラスだともはや楽勝で、4Kクラスでも「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」が最高品質で「とても快適」の評価が得られるなど、十分実用的なレベルに達している。

ベンチマークスコア
3DMark v2.0.2530 - Fire Strike
Score16,130
Graphics score21,265
Physics score11,732
Combined score7,174
3DMark v2.0.2530 - Sky Diver
Score34,529
Graphics score72,692
Physics score10,658
Combined score21,886
3DMark v2.0.2530 - Cloud Gate
Score30,744
Graphics score127,198
Physics score8,414
3DMark v2.0.2530 - Ice Storm Extreme
Score151,961
Graphics score309,751
Physics score54,605
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(DirectX 11/最高品質)
3,840×2,160ドット6,444
1,920×1,080ドット15,257
ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク(最高品質)
1,920×1,080ドット10,341
バイオハザード6 ベンチマーク
1,920×1,080ドット20,981
ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4(簡易設定6)
1,920×1,080ドット44,988
CINEBENCH R15
OpenGL133,15fps
CPU814cb
CPU(Single Core)171cb

 今回はVR Readyを謳うビデオカードを搭載していることから、VRデバイス向けのベンチマークテスト「SteamVR Performance Test」も試してみた。結果は、動作に問題がないReadyの中でも、最高性能を示す右端にマークが記されていた。GeForce GTX 1080はVRが高速だという話の通りの結果だ。

SteamVR Performance Test

 ストレージに関しては、「CrystalDiskMark」で計測。SSDはIntel 540sシリーズの「SSDSC2KW240H6」。HDDはSeagate製「ST1000DM003」が使われていた。Intel 540sシリーズはTLC NANDを搭載したSSDで、人気のIntel製品の中では比較的安価なものとなる。それでもSATA接続のSSDとしては限界に近い性能を持っているのがわかる。

【CrystalDiskMark】
SSD(Intel SSDSC2KW240H6)
HDD(Seagate ST1000DM003)

コンパクト・ハイエンドでも静音。満足度の高い1台

ブラックでまとめられた落ち着いた外観は、ゲーミングPCとしては珍しい

 本機はスペックの高さもさることながら、使用感の良さも抜群だ。最も素晴らしいのは静音性。ケースは左右が大きくメッシュで開いた格好なので、内部の音は比較的漏れやすい形になっている。そのためアイドル時でもファンの音は少し聞こえる。

 本領を発揮するのは高負荷時で、ベンチマークテストなどを動かしても、騒音が増したように感じない。CPUが水冷クーラーなので、騒音の上がり方が緩やかなことに加え、騒音の音質が甲高くなるような変化がなく、騒音が大きくなったと感じにくいようだ。また高負荷をかけ続けた後のノイズも、ハイエンドPCとしてはかなり小さめで、静音性をさほど重視していないコンパクトケースの割に驚くほど静かだ。

 3Dゲームを動かした途端にファンが高回転を始め、耳障りな騒音が聞こえるゲーミングPCが多い中、本機は上手くチューニングされていると思う。CPUはともかく、ビデオカードもかなり静かで、GeForce GTX 1080の出来の良さもあるのだろう。ただし背面からの排熱はかなりのもので、ビデオカードの部分に手をやると、ハッキリと熱さを感じる。背面のそばに熱に弱いものを置かないなどの配慮は必要だ。

 続いて筐体も見ていこう。ケースの外観は従来の「C-Class」と同様、ブラックの筐体にヘアライン加工された前面・天板パネルの構成。派手な装飾が多いゲーミングPCの中では極めて落ち着いたデザインで、機能美を感じさせる。電源ボタンやUSB、ヘッドフォン端子は前面右横にあり、正面から見えない配置になっているため、いい意味でPCらしくない、スッキリした外観になっている。

 側面は左右ともメッシュで、真横から見ると中を覗き見られるが、斜めから見るとさほどでもない。背面は各種端子や排気口が並び、至ってベーシックな印象だ。

正面はロゴだけでシンプルなデザイン。ボタン類も見える位置にない
右側面。前方に電源ボタンやUSBなどの端子がある
左側面はボタンもない。側面はメッシュで内部が見える
背面もブラック。端子部の構成はベーシックなものになっている
天板はパネル部はフラット。光学ドライブ搭載時は天板を後ろにスライドさせるとアクセスできる
底面はメッシュで大きく空いている。高めの足があり、空気の流れもある

 内部へのアクセスは、背面のネジを外し、左側面のパネルをスライドさせて外す。この時点では水冷用のラジエーターと3.5インチHDDが取り付けられたプレートが見えるだけ。プレートの左右にあるネジを外し、上へ持ち上げるように開くと、内部にアクセスできる。

 ただし本機はCPUの水冷ユニットが取り付けられているため、プレートを完全に取り外すのはかなり大変な作業になる。水冷ユニットを分離させなくともメモリやビデオカードの交換はできそうには見えるが、内部を弄りやすいようにはできていないと思った方が良い。

左のパネルを外したところ。水冷ユニットなどが装着されたプレートが見える
プレートのネジを外すと開くが、水冷ユニットがあり完全に外すのは大変だ
内部配線は右下に詰まっているが、マザーボード上は上手くスペースが空けてある
メインメモリ等には辛うじてアクセスできそう

 CPU水冷ユニットやATX電源、さらにはハイエンドビデオカードをMini-ITXケースに投入しているだけあって、内部はかなり窮屈になっている。とはいえ無理な詰め込み方をしているわけではなく、ケーブルの取り回しも最小限で済むようにできている。マザーボードとケースのデザインがよく練られているのが分かる。

GeForce GTX 1080。2スロット占有なので、拡張スロットの空きはない
CPUの水冷ユニットは「Asetek 550LC」を使っていた
HDDとSSDは水冷ユニットと同じプレートに固定されている
右側面のパネルを開けたところ。ここにも2.5インチベイがある

 筆者は以前にも「C-Class」の製品に触れたことがあるのだが、その時と同様、非常に完成度の高い製品だと感じた。コンパクトなケースにハイエンドの構成を美しく入れ込んで、落ち着いた外見で手堅くまとめている。ビデオカードを2枚差ししたいとか、HDDを複数台搭載したいといった場合はターゲットから外れるものの、「コンパクトなゲーミングPCが欲しい」という日本ならではのニーズに対しては、極めて高いレベルで答える1台に仕上がっている。