山田祥平のRe:config.sys

全部入りではなかったスマートフォン




 今週のドコモの発表によって、携帯電話事業各社の秋冬モデルが出そろった。予想通りの展開ともいえなくはないが、とりあえず、2011年の春までは、この選択肢しかないということだ。おサイフケータイやワンセグなど、ガラケー独特の機能を取り込んだスマートフォンも登場し、いざ鎌倉へという気持ちにもなっていたのだが……。

●全部入りケータイは見参せず

 5月に「全部入りケータイ見参2010」を書いた。その後、にわかにAndroid周辺が賑やかになり、また、ドコモの来春からのSIMロックフリー化宣言、日本通信のiPhone用SIM提供など、周辺の状況が大きく変わった。だから、2010年は、携帯電話をもう一度変える気マンマンで、各社の発表を見つめていた。

 個人的にメインに使っているキャリアはドコモなので、WiMAXやのような先進的データ通信網は別勘定としても、3Gに関する通信は、ドコモのワンストップですませたい。そして、蓋を開けてみると、予想通りおサイフケータイとワンセグを実装した国産ブランドのスマートフォンが出てきた。

 できるだけ早く入手できるという点で、年内には発売されるはずの3D液晶搭載、FeliCa対応のAndroid端末「LYNX 3D SH-03C」 とFeliCa・防水のAndroid端末「REGZA Phone T-01C」が今回の選択肢に残った。両機ともに、かなり魅力的な端末だ。実機を手に取ってみたが質感もいい。だが、今回は、ガラケーからの移行を思いとどまることにした。

 機種変更をしないことに決めた理由は次の3つだ。

1. Androidのバージョンが2.1であり、バージョンアップが2011年春と、ずいぶん先に設定されていること。

 海外で使うために手元にあるGoogle携帯「Nexus One」が、すでに2.2にアップデート済みで、近々2.3へのアップデートも噂されているくらいなので、2.1で来春までガマンしろというのは酷だ。

2. 1番期待していたおサイフケータイも、2010年中に対応するサービスはわずかで、常用しているEdy、iD、モバイルSuicaのサービス対応が2011年になってしまうこと。

 特にモバイルSuicaがすぐに使えないのでは、せっかくのFeliCaの魅力が半減する。未対応サービスためにプラスチックのICカードを複数枚持ち歩くのは退化だ。

3. 案の定、テザリングがサポートされず、外部デバイスを接続できない通信機器となってしまっていること。

 以前書いたように、外部機器をつなぐことができない通信機はつまらない。両端末ともに、Wi-Fiアクセスポイントとして使うことはできないどころか、BluetoothのDUNもサポートされないし、USBモデムとしても使えない。Android 2.2では、ホットスポット機能とUSB接続でのテザリング機能が追加されるのだが、発表会の展示会場の係員の説明によれば、その機能は2.2へのバージョンアップ時も無効にされることになっているということだった。

 以上が、今回の機種変更をあきらめることにした経緯だ。

●テザリング解禁はいつになるのか

 それにしてもドコモはスマートフォンにおいて、どうしてここまで外部機器の接続を拒むのだろうか。いわゆるガラケーにおいては、ほぼすべての機種でUSB接続によるモデム機能を実装しているし、いくつかの機種はWi-Fiアクセスポイント機能も実装されている。もちろんBluetoothでの接続ができる機種もあり、それらの機能を積極的にアピールしている。

 ところが、もっともスマートでなければならないスマートフォンで、これらの機能をまったくサポートしないというのは、やはり納得ができないのだ。

 スマートフォン用に用意された「spモード」サービスでは、そのための専用APNとして「spmode.ne.jp」に接続することで、パケ・ホーダイ・ダブルへのの加入により、月額上限5,985円での無制限データ通信ができる。このAPNにはIMEI制限により、特定の端末しか接続できないようになっているそうだ。

 ドコモのサイトには、「パソコンなどの外部機器を接続した通信の上限額は月額10,395円となります」と注意書きがあるのだが、そもそも、外部機器を接続できる仕様のスマートフォンがないのだから意味がない。

 個人的には、現行で、ガラケーのWi-Fiアクセスポイント機能を使い、この上限額10,395円をずっと支払い続けてきた。それが半額近くまで落ちる代わりに、普段持ち歩いているiPod touchや、WiMAXが使えないエリアでのPCが、インターネットに接続できなくなってしまうのだ。

 spモードの利用規則を読むと、第9条(禁止事項)の(10)として「端末における不正なデータ改竄、オペレーションシステムやアプリケーションの改変修正、逆コンパイル、逆アセンブル、リバースエンジニアリングおよびテザリングに類する全ての行為と、それらにより本サービスを不正に利用する行為」が挙げられている。つまり、spモードにおいては、テザリングは禁止事項なのだ。規則では禁じておきながら、注意書きとして「パソコンなどの外部機器を接続した通信の上限額は月額10,395円となります」とあるのは、なんだか矛盾しているようだが、それが事実だ。

 でも、同じ契約で、SPモードと同時にmoperaUなどのインターネット接続サービスに加入し、そのために用意された「mopera.net」などのAPNを使えば、テザリングは規則違反にはならない。実際、これまでは、そうしてWi-Fiアクセスポイント機能やBluetooth DUNなどを使ってきた。

 ドコモとしては、上限「5,985円」のspモードで外部機器接続でのデータ通信をされてはたまらないということなんだろう。実際には、外部機器接続を現行スマートフォンでは判別できないから、テザリング関連機能をすべて無効にしているというのが実情ではないだろうか。これではテザリングを完全否定するソフトバンクモバイルと同じ穴のムジナだ。ネットワークに自信があるなら、こういうところでソフトバンクモバイルとの差別化をアピールしてほしいものだ。

 ちなみに、spモードは現時点ではspモード経由でしかspモードメールを送受信することができない。どうしても、docomo.ne.jp ドメインのメールが必要なユーザーにとって、spモードは必須だ。ただ、先日の発表会では、2011年1月上旬〜2月下旬を目処に、spモードのメールを無線LAN経由で送受信できるようになることが発表されている。この機能拡充をにらむと、moperaUでもspモードメールを送受信できるようになる可能性も高い。上限moperaUの外部機器接続時上限10,395円を覚悟の上でmopera.net APNに接続しながら、spモードメールを利用することができるようになるかもしれない。そして、これは、今後、ドコモがスマートフォンにおけるテザリングを解禁する可能性を示唆しているともいえる。今回発表になったAndroid 2.1の両機が、2.2対応するのが来春というタイミングも、そのことを予感させる。

 つまり、まだ、役者が揃いきっていないのだ。

●まさかのAndroidタブレット

 ということで、メインに使っているガラケーは、ひとまず、来春まで使い続けることにして、出揃った端末群の中から、GALAXY Tabを予約してきた。まだ、発売日も価格も未定だが、予定通り11月下旬に発売されれば、最速で新たなAndroid端末を入手できるはずだ。

 手元にはiPod touch、iPad、Nexus Oneがあるので、Androidタブレットを使ってみたいという気持ちも強かった。spモードでの接続では禁止されているテザリングだが、moperaUに加入し、Androidマーケットからpdanetなどのユーティリティを入手すれば、少なくともPCからのBluetooth DUNくらいはできるかもしれない。もちろん上限は10,395円になるが、それは、従来支払ってきたコストと同じだ。ガラケーで使ってきた3G経由の通信を、新しい契約でするようにすれば済む話だ。そのあたりの詳細は入手後に紹介することにしたい。

 次のスマートフォンラインアップが出揃うのは2011年夏秋モデルになるはずだ。ドコモによれば、スマートフォン元年と呼ばれる今年から、スマートフォンがガラケーを逆転するまでには3年かかるということだ。2011年夏秋というと、その折り返し地点になる。そのタイミングで、Androidの最新版が搭載され、現行のおサイフケータイのサービスがすべて対応し、テザリングができるようになり、しかも、SIMロックがかかっていない、あわよくばLTEにも対応したスマートフォンが登場することを期待したい。もしかしたら、黎明期にありがちの、独自UIによる混乱なども解消している可能性もある。来年の夏頃には「全部入りスマートフォン見参2011」を書ければいいのだが。