メモリ屋社長のちょっとタメになるメモリ話

Ryzenで話題になった、メモリの”Rank”って何のこと?

著者近影

 みなさま、こんにちは。センチュリーマイクロ株式会社で代表をしております嶋野と申します。今回からPC Watchでブログ的なコラムを連載することになりました。

 センチュリーマイクロのことをご存知ない方もいらっしゃると思いますので、簡単に弊社の紹介をさせていただきます。弊社は、創業35年のメモリモジュール専業メーカーです。メモリモジュールの設計・製造・販売・アフターサポートが主な事業内容です。

 ”MADE IN JAPAN”にこだわり、高品質で長期間安心してお使いいただける製品作りをモットーとし、PCから医療機器やアミューズメントマシンなど、幅広い分野に採用していただいております。

 このコラムでは、メモリにまつわる話や、その他よもやま話もできたらと思っていますので、よろしくお願いします。

メモリのRankとは?

 さて、第1回はやはりメモリのお話をしようと思うのですが、社内でも今話題になっているのは、先日登場したAMDのRyzenです。コストパフォーマンスがよく、対応メモリも2666(2667)までとIntelを追い抜き、久しぶりにAMDの反撃を予感させてくれる製品です。

 ところが、どうもメモリ周りの仕様が少々ややこしく、搭載枚数だけでなく、搭載するメモリのRankによっても速度が変わってくるようです。2DIMMの場合、シングルRankだと2,667MHzで動きますが、デュアルRankだと2,400MHz止まり、4DIMMだとそれぞれ2,133MHz、1,866MHzとなります。Rankというのはメモリの動作単位なのですが、今回はこのRankについて解説したいと思います。

 自作PCで使われるメモリはDIMM(Dual Inline Memory Module) と呼ばれるモジュールタイプのメモリですが、DIMMは基本的に64bitのバス幅を持っており、CPU、あるいはチップセットのメモリコントローラと64bit単位でデータのやりとりを行ないます。DIMMには複数のDRAMチップが搭載されており、必ずこの64bitの単位を構成できるようになっています。

 そして、1枚のDIMMに64bitになるDRAMのグループが1つであれば1Rank、2つであれば2Rankとなります。メモリコントローラはRank毎にやりとりを行なうので、2Rankメモリでは電気的には2枚のメモリが刺さっていることになり、メモリコントローラによっては速度が下がる、搭載できる枚数が減るなど、制約が発生する場合があります。

 それでは、Rankの判別はどうするかですが、基本的にはスペック表記で判断して頂くことになります。時々「DRAMが片面に実装されていたら1Rank、両面に実装されていたら2Rank」という判別方法を聞きますが、間違いです。確かにそれでも結果的には合っている場合が多いのですが、両面実装で1Rankのメモリも存在します。

 また、直接Rankの記載がなくとも、DRAMチップに記載されている型番などからDRAMの仕様がわかれば、Rankの計算をすることはできるのですが、それにはDRAMの構成を理解する必要があります。

 DRAMには、例えば同じ4Gbでも、1024Mb x4や512Mb x8など、内部の構成に違いがあります。内部の構造を簡単に表したものが上の図です。

 1024Mb x4構成では、1つのDRAMは1024Mb=1Gbのセルアレイが4つからなっています。そして、1024Mbのセルアレイは更に大量の1bitのセルからなっており、この1個1個のセルに対して、行と列を指定することで、DRAMにデータが読み書きされます。512Mb x8の場合は、セルアレイが8個搭載される形になります。現在は主にこのようなx4タイプとx8タイプのDRAMが使われています。

 上の図は、4GBのシングルランクメモリです。採用されているのは512Mbx8の4Gb DRAMで、1Rankあたり64bit1単位でアクセスされる決まりなので、片面に8個搭載した時点で512Mb×8bit×8個=32,768Mb=4,096MB=4GBとなります。

 逆に言えば、512Mbx8のDRAMを使用して作られた4GBのメモリ=1Rankとなります。これはきれいな片面実装1Rankのパターンですが、たとえば同じDRAMで同容量のSO-DIMMを作った場合、実装スペースの問題等で片面に4個ずつ、両面で8個搭載という実装方法をとる場合があります。

 上記画像のように、両面で1Rankというパターンにはご注意ください。

 続いて次の画像は256x8の2GbDRAMを使用した4GBのメモリです。

 同じ4GBでもDRAM1個あたりの容量が先ほどの半分なので16個のDRAMを使用する必要がありますが、1Rankあたり64bit単位でアクセスされる決まりは同じなので、x8 ×8個のグループが2つ必要となり、2Rankのメモリになります。

 このように、搭載されているDRAMの容量・構成と、搭載されている総容量がわかればRankを判断できます。一昔前に比べるとRankによる制限は少なくなっていますが、メモリを購入する際はRankによる制限の有無の確認と、購入するメモリのRankに注意することをオススメします。

 以上、1回目は、メモリのRank・構成についてお話させていただきました。初回から少し専門的な内容になってしまいましたが、いかがでしたか。

 毎回お堅い話だと私も(が??)疲れてしまうので、次回はちょっと緩めな内容でいこうかと考えています。こんな話が聞きたい!などもあれば、記事のツイートやシェアなどで是非コメントください。

 それではまた。

嶋野 康生

センチュリーマイクロ株式会社代表取締役社長。PCパーツショップのサポート、台湾系マザーボードメーカーを経て、2005年7月にセンチュリーマイクロに入社。マーケティング担当として入社したが、Webマスター・営業などさまざまな業務を担当後、現職に至る。PC、スマホはもちろん、カメラやクルマ、バイクなど多趣味かつ新しいモノ好き。たまにものすごく脱線します。